嘘八百 京町ロワイヤルのレビュー・感想・評価
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骨董趣味+義賊の喜劇。日本らしい垢ぬけなさも○
犯罪映画の中でも軽めのケイパー・フィルム、また巧みな話術や贋物を使い金品を騙し取るコンゲームものは、欧米で根強い人気を保つサブジャンルだが、日本ではさほどコンスタントに作られているわけではない。今回で2作目の「嘘八百」シリーズは、そうした洋画のサブジャンルの型を借りつつも、茶器を中心とする骨董趣味を加え、鼠小僧に代表される義賊の伝統も受け継ぎ、日本ならではの“コンゲーム・コメディ”を確立しつつある。
「スティング」や「オーシャンズ」シリーズなどの賊たちはたいてい伊達者で洗練されているのに対し、中井貴一と佐々木蔵之介の垢抜けない、やぼったい感じが邦画の喜劇に似合い、親近感がわく。1作目の成功を受けてか、広末涼子を筆頭に新顔の俳優陣も多彩に。主役2人と広末の恋のさや当てで娯楽色が増した。居酒屋「土竜」に集う贋作師3人組(坂田利夫、木下ほうか、宇野祥平)が今回もいい味を添えている。
バカバカしいのにバカっぽくないコメディ
このシリーズが面白い理由はユルさにある。
一応詐欺師ものってことになるだろうが他の詐欺師ものと比べても、華麗に決めたりアッと驚くようなこともない。
計画はグダグダで危なっかしい。勢いと運任せの適当に見える。それでもちゃんと成り立つし面白く見ていられる。
なぜなら中井貴一演じる則夫と佐々木蔵之介演じる佐輔のダメな大人二人組を見るキャラクターもののドラマだからだ。詐欺師ものなんかじゃないんだな。
その中で、佐輔の陶芸の腕だけは「本物」で、それを軸にしているのだ。
前作はキャストの豪華さに反して10日ほどで撮影された、まあ低予算作品で、本作が公開されるときも「まさかの続編」が煽り文句だった。
きっと本作も似たような低予算。だけどキャストはパワーアップして、ゆるーいコメディ作品だけど撮影現場は本物なんだろうなと容易に想像できる。
メチャクチャ面白いとは言えなくともこのユルいノリが好きなんだよね。
かたっ苦しくなくて退屈しない有り難い作品であり、バカバカしいのにバカっぽくない堅実さに惹かれるのだ。
もしかしてシリーズ化?
つづく…かも。いや無理かも。
2作目をなかなか見れてなくて、23年7月にようやく鑑賞。
2人ほど、俳優さんを見て「あーっ」てなって、ラストにあった「つづく…かも」で、いや無理かもってなった。
好きな邦画だっただけに残念。
どうせ歪むなら美しく歪みたい
三作目を映画館で観て面白かった為、先日一作目を、今回二作目を家で観ました。
古美術店 獺(カワウソ)を営む小池則夫はテレビのレポートを受けるが、嵐山堂の二代目から茶碗を安く見積もられ、しかも偽物呼ばわりされてしまう。
個展を開いていた陶芸家の野田佐輔は、自身が創作した茶碗を偽物呼ばわりされたことで、オーナーから個展打ち切りを迫られていた。
そんな二人は、嵐山堂が贋作を不正に販売していることを知り、同じく遺恨を持つ美人詐欺師と手を組み騙し返す計画を立てる。
今回は「織部のはたかけ」を軸に騙し合いが繰り広げられます。
相変わらずの則夫と佐輔の掛け合い、茶碗作りのシーンは癖になる面白さでした。
娘のいまりは占い師になってて、心なしか則夫の古美術より繁盛してるのも笑えました。
誰も世話を焼いてくれないところで、自分の器に向き合ってみたい。昔の俺を超えないといけない。
今作は佐輔の過去を超えたいという熱意が伝わってきました。
頑張りたい時、自分自身にも言い聞かせたいです。
過去の自分よりも根性が歪んでしまったことに嘆く佐輔に、則夫が今のあんたにしか出せない歪みがある、いずれ評価はついてくると諭すシーンも良かった。
歪みを美しさと表現するのは斬新でした。
前作の良い所が無くなりました。
まず、前作を見た人にしか分からない
キャラ設定でマイナス。
前作は”アメリカ詐欺師もの映画”のような
スタイリッシュさや大作感がなくて
逆に良かったのだが、
今回はドタバタ詐欺師ものに
なってしまってマイナス。
コンフィデンスマンJPに影響されちゃったか。
本気でついた嘘は真実より”真”なり。
情熱を込めた贋作は本物より本物。
といった、前作の”魂”のような部分が、
ある意味前提として話が展開されているので、
今作のテーマ性がただのエンタメに
なってしまってマイナス。
おっさん二人のバディものが
逆に好印象だった前作に比べ
不二子ちゃん的な広末が加わりマイナス。
良かった点もあるにはあるが、
この映画の評価を上げるほどの改良ではない。
広末涼子登場で起死回生を狙ったが、前作同様いまひとつ大爆笑とはいか...
良いバディ
コンビ、バディを考える時、
ギャップをまず考えるので
一人がおじさんなら、もう一人は若者とか男女を
想像しやすいですが、中井貴一と佐々木蔵之介?
嫌いじゃないけど映り的には渋すぎやしないかと
思ってましたが、
よく喋る人たらしな中井貴一と
寡黙な芸術家タイプの佐々木蔵之介の掛け合いが
面白くて最後まで観てられました。
周りのキャストも良かったし
広末涼子もとても良かった。
個人的には若い頃好きじゃなかったけど、
今は良い感じに歳を取られてて素敵でした。
義賊的な贋作を使ってだます詐欺なんだけど、
悪いやつを騙すと言うパッケージは良かったんだけど、
一番の巨悪だと思った税金を使って贋作を作ってた
センターの悪巧みの部分があっさりしてて、
そこは残念だった。
息の根を止めると言うよりはお灸を据えてやろう
くらいのノリなので、
やってる事は1時間ドラマ的なのかなと思いました。
贋物も人助け
詐欺師紛いの古物商と贋物陶芸家が幻の美術品を巡って騙し騙され…。
前作一本で終わらすのは勿体ない。と言う事で、続編。
ずっと見ず仕舞いだったが、前作見たら面白かったので、引き続き続編も鑑賞。
続編の楽しみの一つは、登場人物たちのその後。
前作では車を走らせてお宝探ししていた小池だが、晴れて古美術店を構えていた。娘・いまりは“副業”で占いをしている。本業より副業の方が繁盛しているけど…。
野田は個展を開いていた。贋物とは手を切り、妻に支えられながら、自分自身の本物を。が、今一つ売れず…。
人生再起させて順風満帆!…とは行かず。そんな二人に追い討ちが…。
小池の店に老舗古美術店の二代目当主と大御所鑑定家がTV番組のロケで突撃鑑定を。野田の作品がコケにされ、前作での一件を暴露され、苦汁を舐めさせられる。
そう、今回の敵はこの老舗古美術店“嵐山堂”。
ある時、小池を訪ねて来たのは…
着物美人の志野。
惚けた母親を騙して、父の形見の茶器が何者かに奪われた。古田織部の幻の茶器“はたかけ”。
小池は鼻の下を伸ばして協力。野田の贋物を渡して一件落着…とはならなかった。
どうやら本物は嵐山堂にあるらしい。志野に渡した贋物がネットオークションに。
志野の目的は…?
着物美人の志野も最初の依頼も嘘。
本当の目的は…
嵐山堂は贋物ビジネスで悪どく稼いでいる。それを暴露。
志野の父親は嵐山堂の番頭で、先代からの信頼も厚かったが、先代亡き後二代目からお払い箱。先代の大事な形見まで手離す。失意の志野の父親は自殺…。
嵐山堂の贋物ビジネスの片棒を担いでいるのは、TVなどで人気のイケメンの陶芸王子。野田もその昔、嵐山堂に利用されていた。
今回の敵に一泡吹かせる動機は揃った。
計画はこう。
TVの生番組をお膳立て、二代目や鑑定家や関わる政治家など“悪者”を集わせ、番組の中で悪事を暴露。その最中、野田の贋物と本物の織部の茶器をすり替える。
まるで“古美術版オーシャンズ11”とでも言うべき、前作以上の大騙し作戦!
新キャストは…
着物美人も本性も色っぽい広末涼子。
憎々しい二代目の加藤雅也。
山田裕貴は陶芸王子の苦悩を。
2作目だがすでにお馴染み感ある家族や仲間も続投。
皆で役割担当を決め、一丸となって悪者を懲らしめる様は、もはや『水戸黄門』的なお楽しみ。坂田よっちゃんが先代の幽霊(?)に化けて驚かすというのはちょっとアレだけど…。
今回の騙しは前作よりちょっとドタバタ感あり。
笑いベースだが、味わい深いドラマもあり。
かつてより歪んだものしか造れない野田。今のあんたにしか出来ない歪みがある、と小池。
作戦スタート。嵐山堂の悪事が暴露されるも、二代目は知らぬ存ぜぬ。
小池は古美術や陶芸、それらに代々込められた思いを説く。
中井貴一&佐々木蔵之介の名コンビはますます好調。
騙し終えての大団円も朗らか。
もっともっと彼らの大騙しが見たくなる。
オチやエンディング中の“その後”も恒例。
ますます乙な味になっていく。
1作目2作目を続けて鑑賞。
面白かった。来年公開の3作目が楽しみになった。今度はスルーせず。
末長く邦画の新たな名物シリーズになりますように。
自分にとっての本物とは!
古美術を題材としたお話ですが、内容は特に堅苦しくなく、見やすかったですし、構成もまとまっていて、とてもおもしろかったです。
役者さんの演技が一人一人際立っていたのが丁度よく相まっており、お話も贋作の贋作の、また贋作!でしたが、一人一人の思いがしっかりとお話で仇を取れたので、非常に最後までのめり込みました。(佐々木蔵之介さん、広末さん、陶芸王子など)
坂田利夫さんと塚地さん、友近さんは相変わらずの良い味出てました!
前作でも焼肉を食べていて、今回も食べていて、いつも美味しそうに食べているシーンがあり、とても良いです。
あんたの敵は昨日の自分だ。
あんたの腕が本物だって見せてやるんだ。
というヤル気にさせる主人公のセリフに、いまを生きる私たちにも感じるものがありました。
続きも早く見たいです!
前作より良かった!!
前作より面白いと思います。国立古美術修復センターの巨悪にはサラッとしか触れないのが、上手くも物足りなくもあると思います。蔵之介さんは京都が舞台という事で心なしか調子が良いように見えました。友近さんは出番が多いわけではないですが、前に出すぎず上手いです。わざと京都風にしたのでしょうが、加藤さんの発声が悪役としては物足りなかったです。昔から広末さんが苦手なので萌えポイントは無く、森川さんは前作の方が綺麗に撮れていました。次回作も楽しみです。
なかなか楽しめました。
シニア版コンフェデンスマン
古田織部
続編求む!
面白かったー
前作より密度が濃くなった主演2人の掛け合いが、軽妙で楽しい!
関西弁がもつ胡散臭さと人情味。それをスパイスに語られるメインストーリーの誠実さ。無駄にプロフェッショナルな仲間たちの存在感!出来過ぎなアレやコレやが全く嫌味じゃない奇跡!
是非、シリーズ化して欲しい。
熟年のベテランが物語の中心に立つ。
前作のレビューでも書いたような気もするが、その年輪が表現する人生の機微というのだろうか?絶妙なのである。ある種、レールから外れてる事が魅力的だ。
釜から出される焼物の神々しさも、今作でも際立っていた。
義賊、まるでルパン3世のような位置どりも好感触。峰不二子パートな広末さんも、これからまた関わってきたりするのかと思うと、是非是非つづいて欲しい。
今回はちょいとカメラワークがあまり良くなくて残念だったのだけど、お話は凄く面白かった。
「嘘八百」とは秀逸なネーミングだ!
また観たい!
まるで漫才のような掛け合い。
そのスピード感!
王道のジャイアントキリング
歴史ロマン
古美術の情緒や魅力
芸術への情熱
…好きやわー、このシリーズ!
年に1本なんて贅沢は言わないけれど、是非続編を!
馴れ合い芝居
前作同様、骨董詐欺コメディ、歴とした犯罪なのだが巨悪を小悪が倒すというか毒をもって毒を制す小気味よさで犯罪感を薄めています。「お宝鑑定団」の影響もあり骨董好きにはたまらない映画かもしれません。古物商の中井貴一さんと陶芸作家の佐々木蔵之介さんの腐れ縁が肝ですから一作目からご覧になった方がよいでしょう。
一作目は利休でしたが塚地さん扮する学芸員のモデル、堺市博物館、さかい利晶の杜の矢内一磨さんの協力、監修もありもっともらしい架空の名器「黒織部はたかけ」が登場。
骨董品は不案内ですが織部焼は美形を廃し野趣を尊んだ作風のようですね、織部焼を選んだのは器の独特のゆがみと人のこころにある歪みを掛けているようです。
それにしても詐欺師もののサスペンス感とお笑いを混ぜるのは難しい、どうしても緊迫感が薄くなりますし、いまだに喜劇と言うとオーバーアクションで笑いを取りに行く役者さんが多く興醒めです。文化財保護を隠れ蓑にした贋作工場など大風呂敷を広げたのにうやむや、打ち上げで盛り上がるだけではすっきりしません。騙し討ちの手口も稚拙だし頭を使っているところが見えません。喜劇に寄せるのも結構ですがコンゲームならではのカタルシスも物足りない。
最後に広末親子まで如何わしく描いて終わるのはやりすぎ、これでは息子も将来、詐欺師かと思えて不憫です、嘘八百ならひとつ位は綺麗な嘘のままでも良いでしょう・・。
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