ニューオリンズ
1947年製作/90分/アメリカ
原題または英題:New Orleans
スタッフ・キャスト
- 監督
- アーサー・ルービン
- 脚本
- エリオット・ポール
- ディック・I・ハイランド
- 撮影
- ルシエン・アンドリオ
- 音楽
- ナット・W・フィンストン
1947年製作/90分/アメリカ
原題または英題:New Orleans
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2022年8月2日ー 舞台は戦前1917年のアメリカ・ニューオリンズである。黎明期のジャズの姿と、賭博屋を営みながら、ジャズを愛する男と、クラシックを愛する母に育てられた令嬢との身分違いの恋物語を描いた逸品である。- ■1917年のニューオリンズ。 賭博場を経営するニックの店では、表ではクラシック、裏ではジャズが演奏されて異なる客層を楽しませていた。 表の客の娘でオペラ歌手のメラリーは、ジャズに興味を持って裏の店に出掛け、そこでニックと恋に落ちる。 ◆感想<Caution!内容に触れています。> ・まず、驚くのは今作公開年である。1947年のアメリカ南部と言えば、黒人蔑視の風土が根強くあり、多くの映画でも描かれている様々な黒人に対する卑劣な行いが横行していた時代である。(今でも、そうであるそうである。) ・そんな中、この作品を世に出した製作陣には、素直に敬意を表する。 ■この作品が面白いのは、ニックとミラリーの恋物語を主軸に据えながら、屹立した存在感を放つ、ニックの店で演奏する若きルイ・アームストロングやメイド役、エンディを演じたビリー・ホリデイの姿が見れる事である。 特に、ルイ・アームストロングが笑顔で、あの独特のだみ声でメンバーを紹介するシーンや、彼がトランペットやコルネットを吹きながら楽し気に歌うシーンである。 ・ニックに付きまとっていた酒浸りの元彼女の女性グレースがニックの店の前で事故死してしまい、ニックはニューオリンズを追われるのだが、彼はルイ・アームストロングたちを率いてシカゴに行きジャズをドンドン広めて行く様は観ていて楽しい。 ・更に、メラリーがオペラ座の講演の最期に「ニューオリンズ」を熱唱するシーン。オペラを聞きに来た多くの観客が席を立つ中、彼女は誇らしげに歌いきるのである。 ■更に、クラシック界で一線に立っていたメラリーと、ジャズの音楽会社の社長になったニックが、メラリーに対しジャズに対し否定的な態度を取っていたメラニーの母親がニックの姿を見て彼と、ジャズの良さを認め、ニックにメラリーの公演のチケットを渡すのである。 自分の公演に来てくれたニックの姿を見たメラリーは、再び満員の客席の中、「ニューオリンズ」をニックに向けて熱唱するのである。 観客は、最初は驚くが誰も席を立たずに彼女の歌声を聞くのである。 <再度記載するが、今作の意義は、1947年にジャズを題材にした映画を製作、公開した製作陣の人種差別なき姿勢に尽きると思う。 恋人の男女は白人であるが、二人とも黒人蔑視思想は持っていない。 ニックは、ジャズの音楽会社の社長である。 歴史的に意義ある作品であるし、内容もとても面白い作品である。>
脚本は40年代のアメリカ映画らしい幸福な予定調和が心地よい作品。この映画の特筆すべきは、ニューオリンズやシカゴの当時の様子を感じられるだけじゃなく、まさにその時代のスター、サッチモとビリーホリディが出演し、演技はおろか演奏や歌唱を披露しているところ。もうその点だけとっても、ジャズファン、音楽ファンなら全員観たほうがいいと断言できる。そんじょそこらのドキュメンタリー観るよりワクワクすること間違いなし。ワクワクしない人は音楽ファンじゃないね。 アメリカ史や音楽史に興味がある人も、白人の上流社会と労働力としての黒人との関わり、ラグタイムやブルース、ジャズの変遷なんかの空気感を伝えていて楽しめること間違いなし。
トランペット奏者、歌手、ジャズミュージシャンの天才、ルイ・アームストロングが出演とあって鑑賞。
クラシック音楽が主流だった1917年当時、南アフリカの奴隷労働歌から生まれたブルースやジャズは、到底受け入れられるものではなかったが、心地良い音楽は人から人へと偏見を超え、国境を越え、世界に広まっていく。
人種差別を強調するのではなく、音楽を通して、恋愛や友情が、時に悲しく、時にユーモアを交えながら展開されていく。
ラストのクラシックとジャズの競演には心が揺さぶられる。