マローボーン家の掟のレビュー・感想・評価
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ヒッチコックの「サイコ」のリハビリ映画
「マローボーン家の掟」(原題:Marrowbone)。
人里離れた森の中にある大きな屋敷に、母親を亡くした4人兄妹が、奇妙な5つの掟を守って密かに暮らしている・・・。そして天井裏からは時折、何かがうごめく音が聞こえる。もうこれだけで興味津々。
家族は、凶悪殺人事件を起こした父親から逃げるため、イギリスから海を渡ってアメリカに移住してきたのだ。この屋敷は久しく人の住んでいない、母親の生家であった。
まもなく母親は病死してしまうが、亡くなる間際、長男ジャックが法的に兄妹を守って生活していける21歳になるまで、隠れて暮らすように遺言した。
子供たちだけで暮らし始めた兄妹だったが、すぐに父親がライフル銃を携え、追いかけてきた。兄妹は反撃し、ついに動かなくなった父親を最上階の部屋に閉じ込めた。
本作は、「ジュラシック・ワールド 炎の王国」(2018)のフアン・アントニオ・バヨナ監督が、製作総指揮を務めたサスペンス・スリラー。バヨナ監督が世界的な知名度を上げた「永遠のこどもたち」(2007)の脚本を書いたセルヒオ・G・サンチェスの初監督・脚本作品になる。
ここから意外なエンディングへ向けて、急展開していく。殺したはずの父親が生きていたのだ。雨水をバケツに溜め、小動物を殺し、行き長らえていた。
さらに本作は、アルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(1960)のアレンジメントが入ってくる。
しかも単なるスリラーではなくなる。兄妹の唯一の友人で、ジャックの恋人アリーが救いとなる。
「永遠のこどもたち」で、切ない子供の心を描いた脚本家らしく、弟妹たちを守ろうと必死に戦い、追いつめられていくジャックの行動に温かい視線を注いでいるのだ。
完全なるサスペンススリラーを求めると、拍子抜けする。ふつうに精神病患者のリハビリ映画で、結局、怖くないじゃん・・・・。
(2019/4/12/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:佐藤恵子)
OUR STORY
1960年代後半、イギリスからアメリカの田舎町の町外れの屋敷に引っ越して来た家族の話。
母親と長男、次男、長女三男という4人兄弟で父親はおらず、恐ろしいヤツから逃げて来た様子。
程なくして母親が病死した後、襲撃を受けてその6ヵ月後…というストーリー。
不思議な掟を守り愉しく過ごす兄弟達の様子は何かに怯える様な感じもあるけれど、中盤までスリラーやホラーという様子は感じさせない。
ただし、ひたすらにみせない語らない何かから色々と想像出来てしまうところもあるし、あらすじに書かれしまっていたり、監督が脚本に携わった作品からもかなりネタバレ要素がね。
ホラーではあるし驚かす様な描写もあるし、ある意味何でもありなスリラーではあるけれど、切ないダークファンタジーという感じでなかなか面白かった。
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