ボーダー 二つの世界のレビュー・感想・評価
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私は心の匂いを嗅ぎ分ける!
いや~正直どんな映画なのかが全く想像ができなかったのですが、予告みて一瞬で鑑賞してみたいという気持ちになりました。
謎々…の物語です。人とは違った容姿の税関職員ティーナの正体は?彼女はなぜ匂いで人間を嗅ぎ分けれるのか?突如現れた彼女と同じ容姿の奇妙な旅行客のボーレの正体は?そんな謎ばかりの前半でしたが、二人が会った瞬間に惹かれあって関係性を深めていくにつれ、謎は中盤過ぎくらいでようやく明かされます。
ですが、正体をしった時点では、「あ~、え!?そうきたのか!」というのが正直な感想でした。全く予想は出来ませんでしたが、個人的に二人の正体が知った瞬間は期待外れの感情も湧き出し複雑な気分でした。
しかし、本作は正体が分かってからの展開が面白く、ティーナの葛藤や行動は興味深い展開でもありました。恋愛物っぽい要素も含むのですが、決して恋愛で簡単には語れない、ティーナの複雑で純粋な心情が描かれています。
本作はラスト直前で画面が暗くなるシーンがあります。てっきりそこで映画が終わりエンドロールと思いましたが、続きがありました。いったいここから何を描くのかと思ったら…。観終わった後の感情は表現できないが正しいかもしれません。凹むとか嫌悪感という感情でもないのです。ただ一番に思ったの何か観てはいけないものを観てしまったという感情が近しいのかもしれません。
それは何か、「グロテスクな美しさ」という相反する言葉が当てはまっているかもしれません。これは容姿の意味だけでなく心情的な意味でも当てはまる映画でした。想像できない世界観を体験した映画です。なんだか映画の新しい世界観や深さを改めて知ることができた作品に出会えた気持ちになりました。
ティーナは最後、どうしたんでしょうか
北欧の国境フェリー税関職員として勤務するティーナは、生まれつき
【嗅覚で、人の犯罪。それによる罪悪感や羞恥心を嗅ぎ分ける】
特殊能力を持っていました。ティーナが嗅ぎ分けた人たちは、
違法麻薬や違法ポルノを所持しており、犯罪者の検挙率が高いため、職場での評価も高いものでした。
しかしティーナは、自分の特殊能力や見た目によるコンプレックス、犬に懐かれないばかりかいつも
吠えられることに、心からリラックスできない毎日を過ごしていました。
そんなある日。ティーナの前に1人の人があらわれて、この出会いからティーナの毎日が変わり始めます。
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〜この映画の好きな点〜
◾️人ならざる何かの存在の肯定。この点、好きです、北欧のそういうお話(も)好きです。
◾️ティーナがヴォーレを見るときの目の温度や湿度。
2度目の再会後、ヴォーレの体の特異性を知っちゃうシーン。
ヴォーレのいる宿の近くまで匂いをたよりに会いに行っちゃうシーン。
ヴォーレがお鍋を借りに来たシーン。
この三シーンのときのティーナの目が色っぽい。(なんかいい、素敵)
◾️ティーナがやっと心身を許せる相手に巡り会えたこと。肩の荷がおり、ようやく安心できた瞬間の姿がよかったです。
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ラスト、大切な宝物を抱き抱えたティーナは、どうするのでしょうか。
彼の国へ行って、自分の仲間を探すのでしょうか?
それとも胸に抱えた宝物とともに、その場に残って生きていくのでしょうか?
気になるラストでした。。
奇抜さのわりに突き抜け感がない
独特な世界観と設定で比喩的にマイノリティを中心にそこから派生するコミュニケーションなどを描いたアリ・アッバシ監督。
似ているものに惹かれていく感情。その対極にある違うものを拒絶する感情。行き着く先は自分と違うものを排除しようとする強い負の感情。
少し前にアリ・アッバシ監督の「マザーズ」を観た。公開は「マザーズ」が後だが作られたのは「マザーズ」が先。
これと本作を観るに子どもに対して何か訴えたいことがあるように思う。
子どもは未来を象徴する存在だ。人間にとって社会にとって子どもなくして未来はない。
つまり子どもにこだわるアッバシ監督は未来に憂いを感じ警鐘を鳴らそうとしているのかもしれない。
もしくはただ怖い感じにしたいだけかもしれないけれど。
それなりに面白く観た。いわゆるストーリーが分からないこともない。
しかし、楽しさを追求しただけの単純な娯楽作ではないだろう本作に、もし何か伝えたいメッセージが存在しているのであれば、イマイチ見えてこないのはちょっと残念だ。
映画なので頭で分からなくとも感じることができればいい。その感覚の部分でも刺さって来ない。
全く違うストーリーだが似たような内容の「心と体と」という映画が頭をよぎった。ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞したハンガリー映画だ。これはいい作品だった。
「心と体と」と比べてしまうと「子ども」という余計に思える要素の分だけ見えてくるものを感じない。
答えを教えてほしいわけではないが、観ている最中に感じる興味が興味のまま最後までいってしまう起伏のなさ。つまりちょっと淡々としている。
物語の起伏というよりはキャラクターのエモーションによる起伏がない。
この辺はヨルゴス・ランティモス監督なんかに似てる感じがする。作品のテンションが低いんだな。それが悪いことはないけれど、観る側の嗜好に左右されやすい。
そんなわけで、個人的には星4つは無理かなくらい。
刺さる人には刺さる、好みの分かれる作品に思えた。
なんとも言い難い
冒頭から、ティーナの異様な雰囲気が漂う。税関で匂いを嗅ぎ分け、怪しいものを見抜く。よくもピッタリの仕事を探したものだ。とはいえ、とにかく、容姿も含め異様な雰囲気。ある日怪しい旅行者ボーレを尋問するが、このボーレも異様な雰囲気。どことなく2人は似ている。
2人は惹かれ合い、愛し合うが、2人が愛し合う場面も異様だ。とにかくあまり観たくない。ボカシは必要なんだろうが、2人の身体は人間とはどうやら違うようで、そこが曖昧なままで、少々消化不良。
ボーレには膣があり、ティーナにば生殖器があるのか?2人が特異体質なのか、彼らの種族は皆そうなのか?
ボーレが定期的に出産するらしい赤ちゃん?いゃ〜不思議だ。
結局ボーレはあの後どうなったのか?ティーナは自分たちの国へ行ったということか?
とても異様な映画だった。それにしても、ティーナとボーレのメイク、すごいな。
主人公の女性は超人的な嗅覚の持ち主だが、ビンの中身が分かったり、ス...
主人公の女性は超人的な嗅覚の持ち主だが、ビンの中身が分かったり、スマホのデータに問題があることが分かったりと、これは嗅覚などというレベルの話ではない。
動物的な勘だな、と思っていたら実際その通りだったか。
醜悪で観るに堪えないシーンもあるが、それはあくまで人間の感覚か。
種の保存
第71回カンヌ映画祭でも話題を呼んだ、スウェーデン作品。性別、人種、宗教など多様性の文化を容認しようとする現代だからこそ、意味ある作品とも言える。通常の人間とは違う醜い容姿に生まれ、世間から孤独や疎外感を受けてきた人の生き様を描く中で、それを北欧に伝わるトロール伝説と絡めた、大人のためのファンタジー・ミステリーとして仕上げている。
異形な容姿によって、自分への肯定感が持てず、排除をしてきた人間への恨みだけが積み重なっていく主人公・ティーナ。そして、ようやく巡り合えた同種族のヴォーレによって、切なくも、露骨な恋愛ドラマが描かれていく。その中で、自分がトロールの種族であることと共に、出生の秘密も明らかになっていく。そこに更に、幼児ポルノや人身売買といった、醜悪な罪の要素も盛り込んで、サスペンスとしての色彩も濃くしていく。
特に、ティーナとヴォーレの生殖構造が、人間とは全く違った形で描かれていて、やや理解にし難いシーンもあったが、本来の人のラブ・シーンとは異なり、純粋に種族の継承の為に行う獣同士の性交のように、荒々しく描かれていたのは、観てはいけないグロテスクなものを目の当たりにした感じがした。
ストーリーは、醜い容姿ながら、その鋭い臭覚によって、税関職員として密輸を取り締まる仕事をしていたティーナが、ある日、自分と同じ匂いを持つ旅人のヴォーレと出会う。ティーナは、ヴォーレを自分の家の離れに住まわせ、次第に2人の間には恋愛感情が芽生えていく。ティーナは、これまで自分に引け目を感じていたものが、ヴォーレとの出会いで、晴れていったのもつかの間、ヴォーレの真の目的を知り、再び奈落の底に突き落とされる。
ティーナを演じていたエバ・メランデルとヴォーレ役のエーロ・ミノフについては、初めて知る俳優さんだったが、顔は特殊メイクながらも、裸体をさらけ出し、体当たりの迫真の演技は、なかなか印象深いものがあった。
寓話でもアナロジーでもない、ファンタジーの延長線として見るべき
ギレルモ・デル・トロが絶賛しているように、これはファンタジー世界の存在が現在にも存在したら、というifを描いた作品。
色々な仕掛けからルッキズム、LGBTへの差別、マイノリティーへの迫害、自然破壊などのテーマに結びつけたくなるが、気を付けなければいけないのはそもそもの舞台がファンタジーなのだからそれを基に現世でのひずみをあれこれ言うのは軸が外れている、ということ。もう少し言葉を足すなら、そういう話の展開をしたくなるように、「炎上」しやすい設定をちりばめている作品なのだから、衒学的にそれに踊らされてはいけない。
トロルという存在は北欧に伝わる怪異であるが(ムーミンもトロルだね)、そもそもは旅人を襲う異形の山賊だった。彼らは垢にまみれ、毛皮で身を囲い、山や橋で人を襲うので、人間とは違うそういう種族がいると思われていたが、実のところは単なるアウトローだった。
しかし、そうではない世界、本当にトロルが存在した世界の延長線上にこの映画の舞台は存在する。
トロルにとって人間は別種なわけだから、ネコの仔が生まれたらさっさと里子に出すように、人間は彼らにとって倫理の埒外に存在する。なので児童ポルノに加担してもそこに呵責は無い。
主人公は人間世界で育ったので人間世界のルールが染みついているが、ファンタジーの世界なのでそれすらも「君は人間界で育ったからね」と一蹴される。
そういうifの世界の話。リアリティを持たせるために現世の歪を倍増して意図的にちりばめているけど、それは作り手の意図だということを意識すべき。
(進撃の巨人を読んで現代社会の不均衡を嘆くのと同じこと)
そんなファンタジー作品として、リアリティあるなあと楽しく観ました。カタルシスは無かったけど、トロルがまだ存在して世代がつながったという表現があったので、監督はそれを以てカタルシスとしたかったのだろうなあ。
醜さとは
嗅覚で悪事を働くものを見分けられることからスタートしましたが、物語は彼女の出世に及ぶまで展開します。
序盤は、どうなるのか気になりましたが、中盤から後半はまったく面白くなかった。
全編を通して暗く、ストーリー的にはあまり楽しめなかった。
こっち向いて!
ファンタジーそのもの。我々極東の民族には理解不能な話だと思う。
しかし、トロールの話は日本でヒットしましたからね。でも、あのトロールの話も『水害』とか『彗星』とか『極寒の冬』とか『孤島の灯台守』とかのディストピアを題材にしていたからね。話のテーマを日本人は真に分からずに、単に『童話』として、出てくるキャラクターに愛を注いでいるのかもしれない。
まぁ、この話は成人版ファンタジーだと思うが。
獣ならあのような生殖行為は取らないと思った。そこに意図があるのかなぁ。
共存は難しい
結論から言うと、良くあるといえば良くある話かなと思った。もののけ姫的な感じ?
森の中の動物や傘や湖の描写は主人公の純粋さ、特異な体質を受け入れている寛容さ、醜い容姿を誰も咎めない自分だけの世界という感じがしてよかった。気持ちいいだろうな。
周りとは異質な存在として見られていても人間社会の中でそれなりに人間として生きてきたティーナは、自分の正体がトロルだとわかった時安堵し、そして自分と同種のヴォーレが自分を受け入れてくれたことに初めは歓喜したんだろう。
誰だって自分が何者か教えてくれて、受け入れてくれる人が現れたらそりゃ嬉しいわ。
でもやっぱりトロルとして生きてきたヴォーレと、人間として生きてきたティーナには価値観に大きな溝があった。ティーナは人間のことを恨んではいなかったし、自分らしく生きて行きたかっただけだと思う。
いくらトロルが迫害された種別だとしても、育ての父親にアタリがキツすぎない?とは思った。そのまま病院にいたらティーナはおそらく殺されてただろうし、奪ったのではなくて育てることを申し出たから今あなた生きてるでしょ?思春期か?と思ってしまった。
虫を食べたり、生々しい描写があったり度々顔を顰めながら見ていたけど、これがちょっと風変わりな美女設定だったら、話に重みがなかっただろうと思う。演者さんすげえ〜に尽きる。
ティーナには争わず、森の中でひっそりと種を育んでほしい。
顔に驚く
こんな容貌の人がいるのだろうか?
と思いながら見て
視聴後は、まったく特殊メイクに見えない技術と、そのために使うキャストの忍耐と努力を思った。
虫。ほんとに食べさせられてないですか、とか。
あの湖に入って泳ぐのは大丈夫なのですか?底からなんか巨大生物とか来ませんか?とか。
児童ポルノについて。
今から30年(いや 40年?)以上前、まだ昭和だった頃、夫の同僚がハワイに新婚旅行に行ってビデオを数本買って来たのを(同僚夫婦やその他の友人とともに)見た事があった。
いわゆる鑑賞会だ。馬鹿げてる。
その中の一本に児童ポルノがあった。
そういう事がまだ、はっきりいうと
ピンと来ない(まだ自分に子どもがいなかった事やそういう事実の細かい部分に思いが至らなかった)まま じわじわとした嫌悪感が残った。
無粋な事を言えない状況、っていうのがある、というのも今思えば。と言う事になるけれど。
つまりそれに正しく反応するには若輩者過ぎた。
今の時代、見つかったら犯罪。だし、今も持ってたらそれが犯罪ですが処分されたでしょうか?
若さの無知というか、昔は海外の無修正モノをやたら重宝したり見てみたがったりするやつは一定数 いた。
うちの夫はその類いを隠れて見るのではなく(もちろん子どものいない場所で)
そのまま見てしまう人だったので、目にするたびにその外国人の異様に長〜〜い性器とか、あと犯罪でしょこれ、みたいなやつとか、精神的ではなく肉体的に 吐き気がした。
もちろん収集癖なんかなくて 中学生が海外無修正のグラビア雑誌を珍しがって借りてくる程度の興味だし、当然小児性愛傾向は皆無だったのでそれ以外は普通のオトナの裏ビデオっぽいものだったんだけれど、それに真剣に意見する私には少し腹立ててた気がする。
なんだよ風紀委員の優等生が、アホな事ぬかすな、みたいに。
なので
そういう物の存在は知ってた。
北欧の自然は美しくはあるが、暗い。
ヘラジカ キツネ 苔蒸す湖
大木 小さい虫
税関(?)で 違法品を鼻で嗅ぎ分けるその顔が、
これは美醜の問題ではなく 品種の違いなのではないか?と気づくのに、同種の人が現れるまでかかってしまった。
だが、彼は男ではなく 彼女は完全な(人間で言うところの)女ではない。
ん?
となるとどうなる?
と、肝心な部分が完全ぼかしで想像するしかないわけで
これは 話の根幹に関わる部分が訳がわからなくなるんだけれども、実際には 相当ぼかされてても まあ理解はした。
異種
これに、今盛んに言われてスポーツ界では問題も露出し始めているジェンダーに関しては混同してはいけないだろう事はわかる。
彼らは異種じゃなく人間ですから。
ヨーロッパあたりでは 人間以外にも ドワーフ、エルフ、ゴブリン、トロール と言ったような生物学的に違うのがいる(らしい)。
魔法使いから言わせたら、私たちはマグルですが。
地球上には、もちろんいっぱい動物は生息してるけれど、
その他の つまり言葉を話し知恵を持つタイプのものでさえ
人間以外もいる、というもの。
それらを 人間が そのものずばり 人為的に淘汰して来て今があるのだとすれば、残った僅かな異種からすれば復讐の対象であると言うのは理解する。
彼女は 人間か非人間かというよりも前に
善であった。
それは彼女を育てた両親の誠意の賜物であろうと思う。
人間か否か
スウェーデンの税関職員ティーナは何らかの罪に関する事柄を匂いとして嗅ぎ取るという特殊能力を持っているが、と同時に自分の容姿にコンプレックスも抱いていた。
いつものように税関職員として違法物所持を検挙するが、それが児童ポルノだったことからルート摘発のために捜査に協力をする。
そんな折、いつもの税関にて自分と非常に容姿の近い怪しげな男ヴォーレから何かを嗅ぎ取るが、成り行きで親しくなって行くうちにヴォーレに恋心を抱き、さらに自分のルーツを聞かされることでティーナの運命は翻弄されていく。
前半の動物と触れ合うティーナを見ていると、もっと牧歌的なストーリーなのかと思ったが、ヴォーレ登場後の展開がまさかのクライムサスペンスとは恐れ入った。
もちろん動物との触れ合いもある意味伏線なんだが、ティーナやヴォーレがまさに人間ではない種族であり、ティーナ自身の生態や出生の謎までがサブストーリーの展開と上手く重なることでより見応えのある作りになっていると思う。
もちろん予算的な都合や原作との兼ね合いもあるだろうが、後半からラストまでをより壮大なホラーやファンタジーなどの感覚で描かず、あくまでティーナとヴォーレの運命的な出会いと別れ、そして彼女たちの近辺で起こった幼児誘拐事件上のストーリーで描いている点がすごく面白くて好印象だった。
わりとあいまい
ゆるめのニュース系ユーチューバーでよく見ている人がいるんだが、あるときかれが言うには、なんかモノを紹介しようとして、対象をカメラにちかづけると(カメラに近づけたとき手がアップになるので)手指についての見た目をコメントするやつがかならずいる、とのことだった。
ゆび太いんですねとか、爪のびてますねとか、ゆびみじかとか、ゆびほっそとか、ほんとにどうでもいいことを言ってくる。そういうやつがかならずいる──とかれは苦々しく強調した。
たにんのからだつきが、じぶんとはちがっているばあい、しょうげきを感じることがある。顔はいうまでもないが、手や脚など、ふだん目につかないような部位を見て、形や色などにハッとするような違和を感じること──がある。
それを感じてしまうのはしかたがない。
じぶんの顔や身体ではない、たにんの顔や身体に慣れていないんだから。
だが、それを指摘するのはもちろん、見るのも失礼なことだ。見て見ぬふりがあたりまえである。
おりしも軽いエンタメニュースにこんなのがあがっていた。
『歌手のきゃりーぱみゅぱみゅが21日、自身のツイッターを更新。一部のファンに対して嚙みついた。
きゃりーぱみゅぱみゅはまず親指をのぞき4本の指にそれぞれ違う指輪をつけた画像をアップ。「重ね付けきゃわー」のコメントをつけてツイートした。これに対してフォロワーから「素敵」の声が上がる一方、「お肉ついてムチムチ」などのコメントも書き込まれた。
これに対して、きゃりーぱみゅぱみゅは再び投稿。「指輪とか靴とかアイテムを公開してるのに『指ムチムチですね!』とか『足首ないですね!』とか『扁平足ですね!』とか体型の事を指定してくるの本当にやめて欲しい。UPする気がなくなります、、、痩せてたら可愛いんですか?私は自分が好きな自分になる事が大切だと思います」と怒気を含ませてツイートした。』(2021/11/21中日スポーツより)
ひんぱんに見かける、よくあるニュースだと思う。
研修やセミナーでおこなうワークショップでまったく見ず知らずの他人と見つめ合って話すことがある。(サラリーマンならばみんな大嫌いな)ワークショップてやつは参加者に恥をかかせる仕組みなので、人前でなんかやったり、初対面の他人と共同作業をする──というようなトレーニングがよくある。他人と見つめ合ったとき、その異様に気づく。とうぜん相手もわたしの顔に異様を感じている。トレーニングは多様性を養っている。いうまでもないが多様性とはじぶんとはちがうにんげんを受け容れること。その度量がなければ仕事ができない。──だから職業人のセミナーにそれがある。
知ってのとおり、本物の他人とは、テレビやユーチューブなどに出てくる見慣れた著名人ではない。見たこともないにんげんこそが他人なわけである。わたしやあなたのように。
多くの日本人の周りにはじぶんと見た目が似通った日本人しか生きていない──こともあって、(日本人は)多様性の許容範囲が、おそらくこの惑星でも際立って狭いと(個人的には)思っている。
ためしに、前述したきゃりーぱみゅぱみゅのムチムチの指をごらんになるといい。そこには、まったく何の変哲もない手指──あたかも手指というものの最大公約数を具現したような、まことにふつうの手指が写っている。それをムチムチと言ってしまうのは、多様性の許容範囲の狭さの為せるワザ──としか言いようがない。
そんな視点があるなら、どんな他人も脅威でしかない。そんなにんげんにとって、見慣れていない誰某はすべていびつであり、敵対視にあたいする。他人=敵。それが多様性がないことの最大の弊害。弊害というか罪業だと思う。
よしんばそれがムチムチの指だったとしても指摘する必要はない。(いうまでもなく)たにんとはじぶんとはちがう姿形をしているものだ。人様の姿形をうんぬんするのは、そのことを知らないと言っているに等しい。
もしきゃりーの手指を異様だと認めるならば、もはやこの世界に異様でない手指なんてない。わずかな差違に過剰反応するなら、わたしたちは他者にまみえることができず、世界をみることもできない。
だれかの鼻や目や耳や手や指や、諸々の部位、目についた造形が、わたしたちの見慣れたそれとちがっていても、おどろいてはいけない──それを「多様性」と言うのだ。
なぜセサミストリートには毎回肌の色や年齢が異なるホストが出てくるのか。なぜ、わざわざ車いすのゲスト、ダウン症や発達障害の子供、マイノリティ属性をもったキャラクターを登場させるのか。(いうまもでないが)子供に「よのなかへ出たらおまえとは違う人ばかりだぞ」と教えたいから──に他ならない。
その「多様性」がやしなわれず誰に対しても敵視や嫌悪した結果、暴力や戦争に発展する──そう、人の歴史は言ってきた。わけである。
──とかなんとか言いつつわたしもレビューというかたちで、俳優の誰某の顔立ちについて言及することがある。多様性のないわたし。映画でそれ(多様性)をやしなっています──という話をしたまで。
そこまで言っておきながらナンだが、よのなかには、それとこれとはハナシがちがう──というのがある。
多様性はやしなうべき、だが(たとえば)移民の受け入れとか、断然反対である。リベラルと理想主義はちがう。国の方針を理想論で決めてはいけない。
反して映像作品は理想的であったほうがいい。人は不器量な俳優が出てくる映像作品に耐えられない。なぜ器量のいい人が俳優になるのか──説明が必要ですか?うつくしい人が俳優になるのは必然であって、そこは「多様性」なんて言ってられない。
絶賛された映画ワンダー君は太陽(2018)において、障がいを持って生まれたオギーの顔の造形は「かわいい」範疇にとどめてあった。
言っていることがわかるだろうか。Chbosky監督はリアルと観衆の共感をかせげること──そのバランスをうまくとった、わけである。
オギーがもっと醜悪だったら映画の評価はどうなっただろう?
博愛ってのはにんげんの命題だと思う。ただし博愛がたわむれならば、掲げるのは慎重にしたほうがいい。
2018年のスウェーデン映画。
美醜の命題に切り込むのかと思っていると、奇譚になっていく。原人風の造形がリアル。鼻の良さを買われて税関に就いているが、かのじょの嗅覚を逃れる異物はない。鼻孔をクイッという感じで動かすたび異形のものの野生がかいまみえた。
ベルイマンの国だから(って言い方はばかっぽいが)日本よりずっと映画はうまいし、落ち着いていて日本映画みたいなこけおどし感はない。(北欧は)わたしたちの大人っぽさよりも二回りくらい大人っぽい。
が、焦点が定まっていなかった。
多様性についてくどくど話したが、ファンタジーならば多様性の出る幕はない。相手がにんげんでないなら、美醜にたいする思いやりがいらないからだ。
映画はわざと醜い者の悲哀とモンスター奇譚を混同させている。それがけっこうズルい。(→与しなければ美醜差別と言われそうな気配のある映画になっているところがズルい。)
出生の秘話で幕引きするが、見た目に反して物語の印象も弱かった。と思う。
2015年16年にかけシリアをはじめとする大量の移民を受け容れたスウェーデンは今(2021)犯罪の激増に悩まされている。メルケルとおなじ末路。胸をはり高らかに共済をうたって難民を受け容れた──はいいが自国民が暴力にさらされ、財産が略奪され・・・。だが(難民を大量移入させたら)そんなことが起こるって、あたりまえに想像できたことだ。
それが国策なら博愛主義や融和政策にまさる破壊活動はない。
移民受容や参政権付与に与するれんちゅうってのは何らかの悪意がある──個人的にはそう信じている。
クライムサスペンス、ファンタジーそして私たちが生きる世界
北欧の奥深さというか、負の遺産を感じる作品。
最初は、孤独に生きる女性が人情に触れる話かいや凄腕検査官みたいだからクライムサスペンスか、と思いながら、森の生き物達が寄り添い集まってくる、北欧ファンタジーか、となり、なんとトロルの物語に。
いかにもティーナを利用してるとしか思えないようなローランドにはなぜ羞恥心を感知して鼻をピクピクさせないのか、など疑問に思いながらも、とにかくファンタジーとしてトロルの2人の話が進み人間が絡むと犯罪が存在する。空港検査官として、ここでは酒やなんかは大目に見てあげるけど日本より厳しくしっかり取締まりの児童ポルノ問題が重く絡んでくるあたりはさすがヨーロッパだ。近所の夫婦の分娩のため夜車を走らせるティーナ、それがトロルの未受精児にすり替えられて、最後は自分の子どもであろうトロルベビー、という小さな命という伏線があり、犯罪という伏線があり、なんとなく福祉国家でおおらかなイメージが日本にはあるスウェーデンで、サーミの血で紹介されたように、トロルにもマイノリティとしての検査研究検体それに起因する死亡という悲惨な歴史、マイノリティいじめ、差別、そして優生思想という人間社会にどこにもいつでもある魔物があるのだ。野生動物たち、美しい苔むす森、生きた昆虫を食べるトロル、。と様々な角度で、愛と生命について多角的に考えさせられた。特殊メイクがすごい。素朴な暮らしぶりも良くて善良そうな人達が個人レベルでは児童ポルノなどの卑劣な犯罪、社会単位ではマイノリティ差別迫害をしていて、かたや、圧倒的な自然の神秘に畏れとトロルの存在も感じる。ティーナが、自分がやっぱり妖精だった、違和感感じていた人間じゃなかったということに本能的に喜びを純粋に感じるあたりがとてもよかった。
久しぶりに本気で最低点付けたいと思ったわ笑
表面的に醜く「出来損ない」であるとはどういうことか、醜悪とはどういうことか。
この作品を製作するにあたり、その観点でシナリオを構築し映像として演出しなければなならい。
この映画の作り手は、これを観る多くの人が醜悪でおぞましいと思うであろう方向性を具現化する術を理解している。真実を語るために。
しかし、それは例え表面的にでも醜い「出来損ない」の概念を持つからこそ生まれる思考でもある。何が言いたいか。この作品はある種、ここに描かれる多くの表面的な事象が醜悪であることを雄弁に物語ってしまっているのである。
その概念を固定化する試みは、たとえば「盲目と思われる赤ん坊の姿」に対しあまりに無慈悲ではないだろうか。このクソ気持ちの悪い空想映画は、思慮深さと同情心を履き違えている。仮に安っぽくても思いやりがあったら、いくら真実を語っていようともあの姿を映像作品として残すことを躊躇うはずである。
ほんと誰だよ、こんな反吐が出そうなエセ芸術嗜好のヨゴレ映画をオールタイムベスト?にしてるアホは。久しぶりに本気で最低点付けたいと思ったわ笑(辛辣すぎるか。。)
予定違い
まさかのトロル!
容姿で色々抱えた主人公かと思っていたら
人間ではなくトロルだったんですね!!
初めてあの人が前から歩いてきた時から
2人とも顔そっくりじゃん、同じじゃんなってたら
同じトロルでした。
そしてまさかの、女性かと思ったら男性だし
男性かと思ったら女性だし、逆でした!!
だからずっと同棲してる人からの欲求を拒んでいて
わたしは子供ができないと言っていたんですね。
2人が出会えて幸せになってると思ったけど
人間への復讐心から
定期的に生まれる自分の子供を
チェンジリングして、人間の子供打ってた犯人でした。
だからにおいがしていたのか、どうなのか。
けど主人公はトロルだけど
人間の心を持ってましたね。
最後はあの赤ちゃんをさずかって
どんな日々を過ごすんだろう。
種の共存
いやはや別の種族への報復は悲しいですね…。
グロテスクは赤ん坊の目?や顔に傷があったあのシーンでしたが、いかんせん人類への復讐にしてはやることがしょぼいというか…。
スリリングでこの話どこにいくんだろうという間はすごく楽しかったです、
人を見た目で判断してはいけない
仕事を終えて車で帰宅した自宅🏡はマイナスイオンたっぷり✨の大自然の森の中🌲🌿。主人公ティナは森林浴が大好き!理性を保って真面目に生きている彼女は偉いと思う。それよりもあの犯人が許せない。映像はなかったけれど子どもの鳴き声だけでわかる。酷い人間だ。ティナはすごいスキルの持ち主なので、税関職員に留まらず、ぜひ特捜部Qで事件解決して欲しい。
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