ゴーストランドの惨劇
劇場公開日:2019年8月9日
解説
「マーターズ」の鬼才パスカル・ロジェが6年ぶりにメガホンをとり、絶望的な惨劇に巻き込まれた姉妹の運命を、全編に伏線と罠を張り巡らせながら描いたホラー。人里離れた叔母の家を相続し、そこへ移り住むことになったシングルマザーのポリーンと双子の娘。奔放で現代的な姉ベラとラブクラフトを崇拝する内向的な妹ベスは、双子でありながら正反対の性格だった。新居へ越してきた日の夜、2人の暴漢が家に押し入ってくる。母は娘たちを守るため必死に反撃し、姉妹の目の前で暴漢たちをメッタ刺しにしてしまう。事件から16年後、ベスは小説家として成功したが、ベラは精神を病んで現在もあの家で母と暮らしていた。久々に実家に帰って来たベスに対し、地下室に閉じこもるベラは衝撃の言葉をつぶやく。出演はテレビドラマ「ティーン・ウルフ」のクリスタル・リード、「ブリムストーン」のエミリア・ジョーンズ。
2018年製作/91分/R15+/フランス・カナダ合作
原題:Incident in a Ghostland
配給:アルバトロス・フィルム
スタッフ・キャスト
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2019年8月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
パスカル・ロジェ監督の前々作「マーターズ」を観た時の衝撃は忘れられない。苦痛が極限を超えて聖性を帯びる展開に唖然とし、道徳や良識に縛らない突き抜けた強烈な表現に“映画の自由さ”を感じたものだ。ただしその次の「トールマン」は暴力描写ではなく意外な真実で驚かせるストーリーテリングに長けたサスペンスだった。今作は再びバイオレンスホラーに戻ったが、鬼畜度は抑えめになり、劇中の“真実”と“虚構”を巧みにコントロールする仕掛けであっと言わせる。終わらない悪夢を観客も追体験することになるだろう。仕掛けを知った後で、散りばめられた伏線を答え合わせ的に観直したくなるタイプの作品でもある。
10代のベスに扮したエミリア・ジョーンズの熱演は特筆に値する。ベスの振れ幅の大きな感情をリアルに表現した彼女の魅力が、作品の出来に大きく貢献した。現在17歳、さらなる活躍が楽しみな女優だ。
2022年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
この監督の映画がどういう空気感か知っている人には何も言う事はないが
普段普通の映画ばかり見ていてきつい映画への耐性がない人にはオススメしない。(視覚的にストレートな描写はないものの精神的にきつくなるのは間違いない)
ただこの映画は「きついわー」で終わらず特にラストの描写はある種の救いのようなものを感じる。近年サブスクが普通になってホラー・サスペンス系の色んな映画を見てきたがラスト後もモヤモヤしたものが残る作品が多かった中でこの映画はきっちりと幕引きをしつつ希望の光のような余韻を残すラストが良かった。
2022年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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調べてみるとアメリカの絵本に「ベスとベラ」という傑作があるらしく、もしかしたら双子の姉妹の名前はそこから採ったんじゃないかと思える。キャンディ屋のトラックなんてのも絵本の世界のようだし、人形だらけの屋敷にしたってそう。どことなくゴシックホラー調な展開と、ベラが「ロブ・ゾンビ風」だと評する叔母クラリスの屋敷が見事な世界観を醸し出していた。
目が光る人形よりも頭のデカい3頭身の人形が不気味。頭がデカいだけならチコちゃんだって怖い。本人にそっくりなラブクラフト役の俳優もちょっと怖かった・・・
キャンディトラックウーマンの魔女(男性名っぽい俳優名だった)に海坊主風の巨体オッサンはそんなに怖くないし、暴行を受けるシーンも痛々しいけど怖くない。なんたって、伏線となるガソリンスタンドの新聞記事からして、娘二人は殺されないと想像できるからだ。
そんな中、この作品の優れているのは現実と夢が入れ子構造になっていること。16年後にホラー作家として大成功を収めたベスが姉ベラに呼び出され恐怖の館を訪問するのですが、この大人のストーリーが全て少女ベスの夢か妄想になっている。時折うなされる悪夢のシーンの方が現実というわけだ。
双子ではあるけれど黒髪と金髪で見分けやすいのですが、大人のベスと少女のベスがどこで入れ替わっているのかわからないほど似ていた。この少女ベス役のエミリア・ジョーンズの演技も見事で、一緒に妄想したくなっちゃいます・・・仕掛けが分かってしまうと二度見したくはないけれど、夢と現実を使い分けた編集が見事だったとしか言い様がない。
2021年12月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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現実の出来事は、最後のほうでパーティから姉のところへ行った以降の部分だけということでいいんですかね。
母親が二人組を殺したのも、母親が殺されたのも全て妹の妄想ということで。
見返してみたら真相がわかるのかもしれないけど、もう一回見る気にならないもので。