劇場公開日 2019年9月27日

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「だから靖子、このすごい俺が幸せにしてやるよ。」宮本から君へ 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5だから靖子、このすごい俺が幸せにしてやるよ。

2019年10月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

原作既読。ドラマ視聴済。
TVドラマは原作の前編、映画が後編。そりゃそうなるのよ、後半、お子様に見せられない場面がやってくるのだから。
だから原作を読んでいる身としては、その場面をどう描くかが心配だった。あのまま、まともに描いたら、この先上映制限がかかるんじゃないかと本気で思った。それは、この原作漫画が傑作だからだ。あの場面をどう乗り越えるのかが、宮本という男の真価だからだ。中身も知らないで批判してくるメディアに潰されやしないかと気を揉めた。バイオレンスシーンで容赦しない監督はおそらく効果音でガンガン煽って靖子を追い詰め、画面の端っこに宮本の腑抜けた寝顔をかぶせてくるだろうと。そうやって観る者の「拓馬憎し!」の感情を高めて、暴走する宮本の味方にしようとするのかと思った。
だけど、あの場面は想像していたよりもおとなしかった。その分、翌朝の靖子の怒りは尋常ではなかった。そう、あれでこそ靖子だよ。それで宮本に火をつけるのは十分だった。
だから、対決後の場面から映画が始まるのは、個人的には納得がいった。

エレカシ宮本の主題歌もいいが、ドラマ版のエンディング、MOROHAもいい。あれこそ、しがないサラリーマンだけど一人の女を死に物狂いで愛する宮本なんだよな。できれば彼らの歌も使ってほしかった。

栗太郎