新聞記者のレビュー・感想・評価
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あれれ
アカデミー賞受賞でかなりハードルが上がっている状態で見てしまったのがよくなかったのか、最初から置いてきぼりをくったような内容だった。
散々、お前子供が生まれるんだってな、と脅されながらも妻子が狙われるわけでもなく精神的に追い詰めていくやり方なんでしょうが、この短い時間では表現しきれなかった。
ただ、松坂桃李さんのやつれ具合が半端なく、説得力を増した。
シムウンギョンさんは怪しい彼女をみてから大好きな女優さんだが、やはりシリアスよりもコメディの方が合っていると思うのはわたしだけでしょうか。
最後は突然死んでしまったのか、しかしみている方はそこまで追い詰められた感もなく最後まで置いてきぼりだった。
もう少し観客の目線に立てば、より作品の質が高まったのでは。
まずは第43回アカデミー賞の最優秀賞獲得を心よりお祝いしたいと思います。藤井道人監督はこれだけの作品を作り上げる実力を示すことができ、これからの活躍が楽しみです。
また作品の主題も意欲的かつ挑戦的で、現在進行形の社会的な問題を取り込み、かつエンターテイメント映画として成立させるという難題に正面から立ち向かいました。その熱意は本当に素晴らしいと思います。
このように本作に対しては手放しに絶賛したい気持ちがあることを前提として、個人的にどうしても看過できない幾つかの点について指摘したいと思います。
まず撮影についてです。今村圭佑氏による撮影は、真上からの俯瞰撮影など、斬新な構図が目を引きました。しかし同時に、不要とも思えるような撮影技法に溺れた面があります。特に気になったのは、新聞社の編集部という重要な場面における、過剰なまでの手ぶれ演出です。緊迫感を醸し出す意図なのでしょうが、この揺れ方が尋常ではなく、しかも手ぶれ補正機能の付いたレンズを無理に動かしたような不自然な揺れのため、画面を見続けることが非常に苦痛でした。ところが状況的には重要なやりとりが進行しているため、辛くても目を逸らす訳にもいきません。このような場面が今後も続くかと思うとげんなりして、途中で席を立とうかと思ったほどでした。
本作ではそれ以外の場面でも手ぶれ撮影を用いていますが、多くの場合はそこまでしつこい演出ではなく、特に神崎家での撮影においては非常に効果的に機能していました。「せわしない現場描写=激しい手ぶれ」という発想なのでしょうが、見づらいだけの手ぶれを喜ぶのは撮影監督だけです。ラッシュの時に誰も止めなかったのかと不思議に思いました。
次に、映画畑を歩んできたスタッフとは思えないような、演出上の引き出しの少なさ(古さ)が気になりました。例えば政府直属の「ある機関」の描写ですが、薄暗い照明に無表情な職員達がひたすらPCの画面を見ながらキーボードを操作するという、いかにも「悪の組織」然としたもので、ここだけ『未来世紀ブラジル』を見ているような錯覚に陥りました。『ブラジル』には管理社会への諧謔という要素があったのですが、本作に関してはそのような風刺が含まれるような余地はなく、制作側は(劇中の職員の表情と同様)ひたすら生真面目に、手垢の付いた演出で押し通しています。しかもこの組織があらゆる犯罪行為を躊躇なく行ってきたことが明らかになるにつれて、現実に存在する同名の機関との乖離が著しくなり、現実味を欠いていきました。主人公杉原の上司が登場するごとに、社会ドラマの軌道から外れて、どんどんファンタジーの領域に近づいていきました(おまけに大勢スタッフがいるはずだが、実働はほぼ杉原と上司の二名だけ…)。主人公達に対立する「敵」をここまで分かりやすく描写しないと観客には伝わらないと考えたのでしょうか?そうであれば制作者側は観客の鑑賞眼を見くびりすぎていると思います。
また現代であれば、報道機関は紙面だけではなくインターネット上でも、日常的に情報発信を行っています。ところが本作では、インターネットで交わされる情報はTwitterと思われるSNSでの断片的な感想や罵詈雑言に限られていて、重要な情報は紙面によって初めて人々にもたらされるということになっています(新聞記者である主人公が一般人が映った画像をSNSにアップする場面もあったが、肖像権の点で問題ないのだろうか?)。
さらに後半では、輪転機で刷り上がった新聞が、各家庭に届けられるという、スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』にそっくりな場面が登場します。新聞ができあがる過程を見ることができる面白さを感じなくもないですが、1970年代を舞台にした映画と現代の新聞社の描写がほとんど一緒というのはどうしたことでしょうか。例えば新聞社のホームページ上に速報の文字が現れる、というだけでもかなり現代的な要素が強まったと思うのですが。
映像表現者としては若い世代に属する藤井監督とスタッフが、こうした典型的、というか古くさいインターネット観、新聞観を何の疑問もなく提示し、より新たな価値観、映像表現を導入していないことに驚きを隠せませんでした。
以上の問題点と比較して些細な点ですが、杉原のかつての上司が命をかけて伝えようとしたある「秘密」についても疑問を持ちました。その謎が明らかになるまでの過程は、実際に世間を騒がせた、ある大学許認可問題をなぞるかのような現実味のある展開だったのですが、その中核にある謎が少し現実離れしたものであったため、ここでも主人公達の挑む課題が空想の彼方に飛んで行ってしまいました。というか、「あれ」そのものを開発するのは問題だとしても、「あれ」を研究する機関であれば、国家戦略としてはあり得るんじゃなかろうか、とも思いました。教育機関と偽ることは問題だとしても、そもそも偽装する必要のない秘密だったんじゃ…。
また本作で登場人物が見せる感情は、一貫して「悲嘆」「怒り」「失望」「疑念」に満ちており、喜びや楽しさが入り込む余地はほとんどありません。社会派ドラマとしての重厚さを強調したいという気持ちも分かるのですが、一様に暗い表情でひたすら眉間に皺を寄せた人物を二時間近く見続けるというのは相当な苦痛が伴います。前述した自己満足的な手ぶれ演出の問題とも共通しますが、やはり社会派エンターテイメント映画を目指すのであれば、もう少し観客を映像的に楽しませることにも意識を向けてもらいたいところです。
長々と批判的な文章を書きましたが、冒頭で言及したように、本作を作り上げたスタッフの熱意には非常に感服しており、次作を楽しみにしています。
なお、シム・ウンギョン扮する吉岡エリカは、原案を提供した(そして恐らくモデルとなっている)東京新聞・望月衣塑子記者のように、現場に積極的に切り込んでいく性格なのかと思いきや、意外に慎重派で、やや猫背の姿勢が醸し出す「底知れない」雰囲気が印象的でした。彼女の独特さをもう少し物語に活かして欲しかったと思わなくもなかったですが、これはほんとに些細な願望です。
心配かな。。
フィクション映画として評価すれば、俳優陣の頑張りや、サスペンス調の展開もあり、一気に観ることができ、まぁまぁといった感じか。
恐いのは、これを現実社会の類似事件の「事実」として信じてしまう人が結構居るだろうってこと。
映画では「自分を信じ、疑え」とのフレーズが何度も使われていた。しかし現在、偏向的なマスコミ報道の真偽を判別できず、ミスリードされている人が殆どである現状に鑑みると、無意味というより害悪なフレーズ。だってミスリードされた「自分」に気付けないんだから。。
実際の世の中の政治家や官僚は、映画やドラマのような極端な悪人はおらず、本当に大変な仕事をやってます。
この「映画の背景」にある『悪意』に気づく人が多いことを願います。
生々しい葛藤
内閣情報調査室の悪事が明るみにされた。悪事というのは、現政権に不都合な情報をコントロールしていることだ。レイプ事件や大学新設など政府が裏で手を引いているような案件に対しての批判的なコメントに対抗するように政府よりのコメントをツイートして世論を操作している。この任務に従事していたのが杉原で外務省から出向している官僚である。杉原は自分の隠蔽工作のような仕事内容に日々疑問を感じていた。そんなある日、かつての上司が投身自殺したことをきっかけに意を決して立ち上がる。国の悪事を暴こうと真相を追及し、新聞社に勤める記者と協力する。表向きは大学であり実態は軍事転用目的の生物兵器研究所の計画を新聞に掲載することにした。しかし、内調からの圧力があり、それに屈した杉原は真相の追及を途中で断念する。最後は自分の信念よりも組織に忖度した杉原が自己嫌悪に苛まれたような悲痛な表情で作品の幕が閉じられる。
これ(笑)
本気で作った映画なのか(笑)
政権批判の映画だとかいう噂だったからそういうやつだと思ってたけど、とんでもない。
いやでも単なる政権批判映画だと思われないためにあんな突拍子もないネタを入れたのか。
ズッコケました……
批判してる人がやけに感情的だね
何が真実だとか、そんなことはどうでもいいのだ
これは映画だ、観る人なりの判断で良いと思う
でも、批判してる方は何故そんなに感情的に敵意むき出しなのでしょう?
それがとても印象的です。
シム・ウンギョンの涙から…そして観て良かった
日本アカデミー最優秀主演女優賞に選ばれて当惑、そして嗚咽する女優さんに胸を鷲掴みにされた。
この映画なぜノーチェックだったのかな。
物語は淡々とそして段々とスリリングに展開する。演出は暗い映像が多いけれど、アップやスローで役者さんの表情をしっかり捉えて見せる。みなさん凄く上手い。だからリアリティが生まれる。
ここまで情報操作されてるの?日々ネットニュースでさらりと見て、知らないで済ませてたことたくさんありそう。
リークする決意をした杉原(松坂桃李)が
"君なら自分の父親にどっちを選択して欲しい?“と放ったシーンは特に胸にぐっと刺さる。
そしてラストの吉岡(シム・ウンギョン)と対峙したシーン。杉原の声なき声で"ごめん"と言った松坂桃李の表情…エリート官僚で、父親になったばかりの彼の揺れ動く胸の内がぐっと伝わってきた。
主演女優について
聡明で骨太で、なお透明感もあって適役。
韓国の方なので日本人のようにセリフに感情を乗せられない。でもそんなことを飛び越して表情で身体全てでこちらに伝わってくるものが凄かった。
逆にこの役を演じることのできる日本の女優は私には思いつかなかった。
日本アカデミー賞、結果にいつもなんだかなぁって思ってしまうけど見て良かった。
この映画見逃さなくて良かった!!
歴史は「社会」が作る
シンケンレッドから娼夫を経て官僚にまで出世した松坂桃李。
「その時は僕の実名を…」そこまで家族を顧みないのはどうかと。でも良いセリフ。そこまで熱意があったのにラストは疑問符。神崎の手紙でビビったのか。
おばあちゃんから若返って新聞記者になったシムウンギョン。
帰国子女で英語ペラペラという設定では日本の女優では居なかったんでしょうね。ハングルを一切話さないのに演じたのは立派。
圧倒的な「悪者」、田中哲司か良かった。
内調のシーンだけ薄暗いのは、「印象操作」。
この作品も「情報操作」か真実か。
この作品を支持する人が増えて、TVで流れるほど大衆が知るまでになれば真実になるのか。
少なくとも、自分は支持したい。
この文の前半は「情報操作」ではないです。
わざとフィクションぽくしてるのかな?
時節柄、反体制と取られかねない内容を良く映像にしたなとアッパレ感の直後、でも主演女優を無理矢理韓国人にしたのは結局政権への忖度か、と気持ちも中和。どう見ても不自然だもの。むしろそれほど今の政権の圧力は大きいのだろうか。主演のシム・ウンギョンはSUNNYからそのまま大きくなった感じ。コメディの方が似合うのでは。
真の恐怖とは…。
ホラーより怖いよこの映画!!!
「日本の民主主義なんて形だけでいい」
この言葉が怖くて怖くて!
メディアの力も怖いし内閣も怖い。
なんなんだ日本て国は!!
と、うっかりのめり込んで観てしまうほど、
この作品のセンスがすごくいい!!
こんな切り込み方、今までの映画にありそうでなかったですよ。
この監督すごいなぁ!!今後注目します!!!
内調の人間がTwitterとか、本当に怖い!!!
これ、フィクションだよね?と何度も自分に言い聞かせるくらい、
どんどん「ありえそう」な場面が続き、
あとで調べてみたらこの原作、東京新聞の記者さんなんですね。
どうりで。
キー局がどこも宣伝していなくて、
こんなに著名な俳優さんが出ているのに、
どこも宣伝しない理由がこの中にあるんじゃないかと思ったら、
さらに怖い!
しかも主役の韓国の女優さんの演技力もすごくて、
日本の若手女優さんでここまで出来るひと少ないなーとか思ったり、
いろんな意味で楽しい作品でした。
そして松坂桃李が主役ってのがアレルギーな私は、
ほらね、やっぱりこのくらいの立ち位置のほうが彼は輝くよねと、
自分の審美眼を確認したりもできました。
とにかく面白かった!
平日なのにほぼ満員の場内、
是枝監督も絶賛したという今作、ぜひ!!!
動機にピンとこなかった
話の内容としては面白かったけど、政府の高級取りのお役人さんがこんな暗いへやでこんな書き込みばかりするような仕事するかな⁈って感じたのと主人公の先輩が自殺する動機もそんなに責任感じて追い詰められる程かなぁ…死んでしまうくらいなら普通に仕事を辞めてしばらく田舎や離島で暮らせば??なんて思いながら観てしまった。
本田翼の奥さん役はめちゃくちゃ可愛いかった。
ズリネタ映画
社会派というには偏りが気になる。言ってしまえば反政権派用ズリネタ映画。
現実の疑惑や事件だったり実在の人物や名称をストーリーに組み込むことで飛躍したフィクションに現実味を持たせるのは上手さではあるが、この偏り具合では危うさが上回る。
劇中で情報・印象操作の恐ろしさを描いているが、この映画自体も印象操作じみているという皮肉な結果もなんとも不気味。
技術面は良いだけに都合の良い美化や願望を捨ててどの向きにも厳しい目を向けられていればちゃんとした社会派映画になっていたように思うが、それはこの映画の目指すところでは無さそうだ。
登場人物の描き方ってこんなんでいいの?
現政権へ物申す立派な志の作品として見させて頂きました。あれこれ、首相絡みの想像が難しくないエピソードがいくつもあり、細菌研究の顛末は別としても、そのための資金が首相のお友達の企業に流れている・・・とか。その勇気には拍手をしたいと思いますが、残念ながら映画としての満足度はそれほど高くありませんでした。
特に内閣府の人たちの描き方はまるで二流のSF漫画みたい。優秀な職員たちが無表情にSNSにネトウヨのような書き込みをしてるなんてありえないし、ただただ隠ぺいと情報操作を部下に押し付ける田中哲志演じる上司の描き方は、さんざどこかで見たパターン以外何ものでもありません。まっとうな神経を持った人間が、死んだ神崎と松坂桃李以外いないような内閣府って何?。国会中継で議員に叱られたてアタフタしているだけが官僚ではなく、実際は頭の良いちゃんと仕切れる人がたくさんいるわけで、せめてそういう人たちの有象無象のリアリティのある人間関係の中に、この問題を放り投げてくれたら、もっと恐ろしい主題が浮かび上がって来たのではないかと残念です。
新聞社もそう。これだけの社運を揺るがすような政権への反旗を朝刊の一面を使って行おうっていうのに、あまりにもそこに葛藤がなさすぎる。北村有起哉のデスクが当初は上からの圧力に屈して手を引けと言っていたのに、証言者が実名を出していいと言っただけで、少し記事を直させて翌日には発行してしまう。社長にはどうやってOKを取ったのか。政治部の記者にもいろいろな意見の人がいるわけだし、絶対に反対もあるだろうにどのように説き伏せたのだろうか。官邸からの反論を想定して負けないだけの次の手を考える。そういうところを丁寧に描いてくれたら、見た人は納得してくれたんじゃないかな。この結末に持っていくには、そうした様々な真反対の意見をギリギリまで集約した結果でなければ、やはり陳腐な印象しか残らないと思います。
主題の言及が緩い
杉原や神崎の家族が描かれたり、都築が与えられた業務に苦悶する事が描かれ、最後のシーンで、杉原は吉岡を離れることになる。
結局、この映画は何を描きたいのか。
単に問題を投げかけているだけなのか?
そして、キャスティングも不思議ではあるが、いずれも適役に見えた。
主演のシム・ウンギョンは初めて見たが、日本語で演じきれていると感服した。緊張感のある役柄だからか、日本語での演技から来る緊張感か、迫力があり、良かった。
内容が柔らかいのが、せっかくの好演を台無しにしてる気がした。
政治に詳しくなくても…
DVDで鑑賞しました。
観たいと思ったきっかけが、アカデミー賞にノミネートされたことと、前にSUNNY強い気持ち・強い愛を観たのをきっかけに韓国版も視聴して、シム・ウンギョンさんの演技に魅了されたからでした。
私は、こういった社会派の映画って難しいなぁと思うタイプなのですが、実によく描かれていて、最近のニュースも取り上げられていたので、凄く入りやすかったし、わかりやすかったです。
去年、沢山映画を観ましたが、この映画が1番良かったです。映画館で観ればよかった。
光と闇を見事に描き切った。
光と闇のコントラストが情緒深い。
社会派として今の日本をよくここまで描き切った。
フィクションの映画としても面白い。
主演の2人は邦画としてはトップレベルの名演!
日本アカデミー賞をとって欲しい。
この作品は新聞社が「正義」だからいいが、現実では新聞社もかなり問題があると思う。
そこまで描き切れたら言う事なし!
もっとこういう邦画が増えて欲しい。
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