蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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高潔
度肝を抜かれる。
彼らは俳優のはずなのだけど、天才的なピアニストにしか見えない。
どんなトリックを使ってるのか?まさか研鑽と修練の成せる業とでも言うのか?
音の洪水に圧倒される。
物語はとあるコンクールの一部始終だ。
夢とかあやふやなモノは介入できない。
明確な才能や非情なまでに区分けされた世界の話だ。そこにはある種の人間しか立ち入る事はできない。
そのはずだ。
なぜ、俳優が介入できてんだ?
お前ら何者だ?
その空間の再現率も、その纏う空気感にも雑味を感じない。
まるで音楽特番のドキュメントを見てるような錯覚さえ感じる。そんな開き直り方が出来てしまうのが凄い。
物語の核は地味な感じがするのだけれど、実態の無い「音」というものを追求する事への葛藤や、その高みのような事が描かれる。
「刹那的に消えていく音符に触れながら、実は永遠の時間を感じているのです。」
とかなんとか。
クラッシックの存在意義ってのは、そんなとこにあったのかと思う程カチッと音を立ててハマった台詞だった。
そして、そんなモノを表現していく役者達。
その表現の根本にさえも、今まで日本映画には無かった文法を感じる。
松岡さんの空虚な感じもさる事ながら、鈴鹿央士…あなたは何者だ?
台本を読み込んでもアレは出来ない。
演技を追求してもあぁはならない。
技術を極めてその後、削ぎ落としてもあそこには到達出来ないように思う。
透明感なんて生易しいもんじゃない…無味無臭だ。まるでその時々、観る人の感性によって変わる「雲」のような存在に思う。
この役がハマり過ぎてただけなのかもしれないが、この作品だけでも今年度の俺的アカデミー新人賞は、彼一択だ。
冒頭の無音の雨に、ラストの拍手喝采の音がリンクしていくのも小憎らしい演出だと思う。俺には届かなかったけど、あの黒い馬にも何かの暗喩があるのだろう。
作品としての質感も、その演出の手法も、俳優陣の芝居への直向きさも、今までのモノとは一線を画すように思えてならない。
石川慶監督が踏み出した一歩の功績は大きいのではと思う。
お見事でした。
いや、そんな言葉では収まらないかな…映画がもたらす奇跡を感じました。
ピアノの演奏に(´Д⊂ヽ
天才が努力したら叶わない現実がリアル
フリーパス7本目は、直木賞と本屋大賞受賞作の実写映画『蜜蜂と遠雷』
毎度の事ながら原作未読鑑賞です(^◇^;)
スポーツの実写映画のように、ピアニストが観ると苦笑いなのかは分からない!?
演奏シーンの大半は、吹き替えだと思いますが、松岡茉優さんの背中の筋肉の動きは、ホアキンと同じく凄かった。
松坂くんが自然体だったので、チョッと演技しすぎ感はある。。。
今年は、この作品から主演女優賞と新人賞出そうな感じ!?
どんなに努力しても、持って生まれた才能を持つ者が、良き指導者に出会って、直向きに努力されたら絶対叶わない。
それは、どんな世界でも共通ですね。
それがリアルにシビアに表現されてたのが良かった。
ただこの映画のイメージワードが出てこない^^;;;
原作は不在
素晴らしい!
中盤から面白くなる映画❗
ピアノもクラシックも興味はありません。
天才を描く
語りすぎない邦画がやっと…
世界はね、いつだって音楽に溢れているんだよ
原作未読。それゆえの不明な描写はいくつもあった。そこは問わない。それよりも、三人の若き天才たち(つまり明石は彼らを引き立てるための駒なのだろうと思うが)の、天才振りを堪能することにおいては十分すぎるクオリティだ。これから先、ピアノ協奏曲に対する興味も増した。文字だけじゃ表現しきれないものは必ずある。だけど、文字だからこそ伝えられる機微も当然ある。映画鑑賞を機に小説の読者が増えれば、映画は成功なのだ。そう思ってクレジットを見たら、監督は「愚行録」の石川慶。なるほど、東欧に精通していることもあり、クラシックも範疇なのだろう。
台詞にもあるように、現実社会にはいろんな音が溢れている。それを音楽ととらえて自分の世界を広げられるのは才能だ。その才能を乗りこなせず足踏みするのは辛かろう。そんな亜夜は、本番前に関わらず、「私は・・、」と言葉を詰まらせて、自分の苦悩を処理しきれずに思い悩むのだ。彼女はその言葉のあとに、どんな言葉を飲み込んだのだろうか?
それでもピアノが好き、か。
やっぱり怖い、か。
たぶん、彼女の感情の中にはどっちの言葉もあったんじゃないだろうか。錯綜する思いの大きさに押しつぶされそうになっていた彼女は、それでも自分自身で乗り越えた。だから、最後のシーンが美しいのだ。彼女の笑顔がまぶしいのだ。彼女が欲していたのは結果じゃなくて、ピアノが好きだという感情だったのだろうから。
音楽は素晴らしかった!
二次元から三次元、そして四次元へ…
音楽と文学、共に造詣がおありの方なら
《音楽を文学で表現すること》また
《文学を音楽で表現すること》が
いかに大変か… お分かりのことでしょう。
文字も音も、それ単体であれば
平面的な【二次元】の存在でしかない。
だがひとたび羅列に置き連ねると途端に
立体的な【三次元】の輪郭を持ち始め
さらに、それらに意味合いや解釈を求めると
ついには空間や、時間をも
超越した【四次元】の世界が広がり
わたしたちの住む世界に寄り添い
そして溶け込む…
そんな音楽 ≒ 文学を映像化しようと言うのだから…
人間の、なんと表現力の豊かさよ…
人間の、なんと表現への貪欲さよ…
本作『蜜蜂と遠雷』で語られる
ピアノを媒介とした表現者たちの飽くなき挑戦。
コンテスタントたちの、その先の人生にも及ぶ
喜びと苦悩、栄光と挫折
それは、時に残酷なまでに儚い…
だから、尊く美しい…
わたしたちはいつも、心を強く惹きつけられる。
そんな人間たちの放つ一瞬の閃きに、輝きに…
どんな言葉を取り繕っても、言い表せない
音楽の真理を探し続ける、求道者たちの物語。
…と、ここまではわたしの原作に抱く感想を鑑みた
文学論、音楽論、芸術論、そして表現論。
「音楽を外へ連れ出す」
「永遠は一瞬、一瞬は永遠」
「わたしは音楽の神様に愛されているのだろうか」
転じて「あなたが世界を鳴らすのよ」
などの副題はあっても
本作の主題を言いあらわすならやはり、
“ カデンツァ ”〈自由に、宇宙を感じて。〉
の一言に尽きるだろう。
宇宙にも繋がる森羅万象のことわりを音楽で表現
さらに映像で魅せる、ないし鑑賞者の想像力に
働きかけることが出来れば
この作品は「勝ち」であろう!と、
その事に留意して本作を視聴しました。
マーくんは自身の理念に裏打ちし作り込んだカデンツァ
明石くんは宮沢賢治の世界観をより再現したカデンツァ
塵くんは強弱のイメージを譜面に記した即興カデンツァ
アーちゃんは白紙の譜面、そのとき感じたままの即興…
これぞ本当のカデンツァ!
…と、及第点は押さえてくれてあってひと安心!
今回のわたし的ベストシーンは
アーちゃんが一度は本選の舞台から
逃げようとしましたが、母との遠い日の約束を
思い出して舞台に戻ってきたときのあの表情!
音楽をする意味と、決意と覚悟が据わったあの表情!
「おかえり」と迎える塵くん!
このシーンで鳥肌と涙とで交互に襲われました!
映画ファン目線 ★★★★☆
クラシックファン目線 ★★★☆☆
原作ファン目線 ★★☆☆☆
原作とは切り離して、
あくまでもひとつの作品として考えるという
スタンスで映画を鑑賞するわたしなので
今回は星3つでご勘弁!
※備忘録:原作との改変部分
①人物の省略化
アーちゃんとマーくんのピアノの恩師を
アーちゃんのお母さんに変更
いち審査員だった三枝子(斉藤由貴さん)を
審査員長に変更
②第三次予選の廃止
原作では物語のピークとなる部分で
本選はいわば最後のご褒美程度の位置付け。
映画ではより分かりやすくするため
本選をピークに持ってきた意図は理解できる
③本選での演奏曲の変更
アーちゃんがプロコフィエフ協奏曲第二番→三番
マーくんがプロコフィエフ協奏曲第三番→二番
それぞれの楽曲を入れ替えて演奏
原作ファンは戸惑うぐらい重要な改変!
三番の方がドラマティックな曲調なので
最後に持ってきたのは演出的には正解
でも単にそれだけの理由だとしたら
わたしは石川監督を信頼できないかも…
④塵くん、明石くんの出演比率
明石くんは最初から最後までより多く出演
塵くんは最初の方の出番がない
個人 対 コンクール から
四人 対 音楽 の構図に置き換えた感じは好印象
塵くんをミステリアスな存在にしたかったのかな?
個人的には練習している彼をみたくなかったし
彼の“ギフト”たらしめる才能のすごさがちっとも
伝わってこなかったし…
奏ちゃんもでてこないし…
原作に思い入れが強すぎるのも考えものだなと思いました(笑)
悪くはない。が、原作のダイジェストのよう
ラスト圧巻!
芸術的な観点から見れば確かにいいが……
原作を読んで、今回の映画化を楽しみにしていた所謂原作ファンの感想です。
まず、原作との差異がほとんど見られなかった。登場人物は全員私が想像していた通りの人物像で、少しばかり安心していました。昨今の小説や漫画の実写化の風潮として、少し不安視している点があったために今作はその点、安心してみることができました。
内容としては原作を読んでいない初見で映画を見ている人にとってはよくわからない作品だったと感じました。本当は演奏中にその各々の心理や葛藤がまるで流れ込んでくるかのように見えるのですが、実写化に際して、監督は芸術的な美しさを追求したのでしょう、映像美だけをみるならばピカイチの作品だったと言えますが、物語としてみるならば……という感じです。
原作を見ている私からしても、今作はあまり感情移入がしにくいと言いますか、心理描写がないために全員が何を考えているのかがあまり理解できずにいたのを覚えています。
93歳の母が眠らずに観て満ち足りていた
音楽未経験者にはもの足りないかも。
疑問が多く残った
原作が好きで映画楽しみにしていたのですが、色々端折られすぎていて残念でした。
いくら栄伝亜夜(松岡茉優)を中心に置きたいとはいえ、風間塵にもう少しフォーカスを当てないと何のこっちゃ分からないのでは?
風間塵の天才っぷりを映像化するのはやはり難しかったのでしょうか。
明石(松坂桃李)もなんか取ってつけたみたいな感じになってる気がしました。。
ストーリーが原作と少し違うのは許容範囲なんですけど、やはり色々疑問点が出てきてしまい原作を先に読まない方がよかったのかな?と思ってしまいました😅
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