タロウのバカのレビュー・感想・評価
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違う意味のおバカ映画
衝動と虚無、生と死
タロウはタロウという名ではない。エージとスギオに初めて出会ったとき、名乗らなかった為に「名前のない奴はタロウだ」と付けられた名だ。要はふたりは名付け親だ。あのふたりに導かれてタロウは進む。
進む、とはいえ物語のようなものはあるようでなく、エージの抑えられない暴力衝動と劣等感、そして非日常を嗤う姿勢、あまりにも普通であるが故の葛藤と恋愛に悩むスギオの間に、タロウは燻んだ輝きを放って立つ。
高校生であるエージとスギオには彼等なりの葛藤があり、それが行動に現れる。対してタロウの純粋は無だ。エージはそこに魅せられ、スギオはそれを恐れる。空の器に注がれる衝動性と、愛の希求。また、河原のふたりが儚い「好き」をタロウに教える。
冒頭であまりにも呆気なく簡単な「死」が描かれ、物語の断片は常に死の気配を纏って進む。冒頭が結末に分かち難く結びついている。
拳銃が与える万能感、暴力、性衝動。そして容赦なく迫る現実。興奮は常に虚無と表裏一体だ。彼等の無軌道な騒ぎと叫び、笑いは私には泣き声にも聞こえる。
物語の最後でタロウは「死」に直面し、泣き叫ぶ。喪失を知ったタロウの行末は誰にも分からない。
大森立嗣監督はこの作品をデビュー前に書いたそうだ。思いのたけを映像に写しとったときの溢れる衝動性に若さを感じるし、また、この時代の閉塞感を無理やりにこじ開けようとしている感を覚える。正しい正しくない、ではなく、こじ開けて突き付ける。
Yoshiという少年は「無」がよく出ていた。目が特に。超自然的な振る舞いも含め、彼しかこの役はできなかっただろう。それで隣に居るのが菅田将暉と仲野太賀なのだからもう役者陣については言うことはあるまい。ふたりとも恐ろしい程の演じ手だから。ここまで振り切った役を違和感なく演じる菅田将暉も、葛藤と弱さを巧みに表現する仲野太賀も素晴らしかったです...。ふたりともまだ高校生役いけるね...
付き合う→できちゃった→結婚→離婚、あっ、「好き」はどこへ?
多分タロウの親がこんなんだから、「好き」の意味が全くわからないタロウ。学校にも行ってないから、倫理、常識、物事の善悪など全く知らずに無軌道に荒れていく。仲良くなった高校生のエージやスギオも似たように挫折感を抱えているので、タロウがバカをやっても拍車をかけるだけなのだ。痛みを知って想像力が働けば、暴力行為なんて思いとどまることもあるのに、エージはSだし、スギオはMといった感じで暴力も戯れの一つにしか見えないことが災いしてしまった(主観的意見です)。
「好き」という言葉はスギオだけが知ってるような口ぶりでしたが、彼はただやりたいだけだったのかもしれないし、大好きなヨーコが売春している事実を知って、頭の中の好きコマンドが正常に作動しなくなっただけのような気もする。でも気持ちはわかる。登場人物中、唯一共感できる心をもっていたのがスギオだからだ。
國村隼が登場して5分くらいで即刻退場するなんて『キル・ビル』以来初めてだったかもしれないけど、こういう贅沢な使い方が良作の証しにと意気込みを感じられるところ。その序盤、実際の障がい者を登場させ、彼らを食い物にしている吉岡のシークエンス。問題作となるゆえんでもあるけど、相模原障害者施設殺傷事件をも想起させ、人間一人の命の重みは障がい者であろうが健常人であろうが同じ。また戦争中であろうが平和な世の中であろうが同じ。といったテーマを表現するには必要だったのかもしれません。
また、河原で3度ほど登場するダウン症の愛子とその彼氏が非常に良かった。普通の会話もできるし、歌も歌えるので軽度なのかもしれませんが、「好き」という感情も持っているし、この点ではタロウよりも優れています。ただ、終盤の悲劇においては、経験したことのない感情だったため口にすることもできません。このおかげでタロウにも死生観がようやく認識できたのでしょうかね。
生きることと死ぬこと。実際に身内であるとか好きな人が死なないと感情が芽生えないのかもしれませんが、学校にも行けず情操教育なんて受けてないから粗雑な性格に育ってしまう。この映画を観て嫌悪感で満ち溢れるのもしょうがないけど、自分たちは恵まれてただけなんだと思えば彼らの行為がアンチテーゼとして愛を持って受け入れることができると思います。どうしても許せなかったのが、弱者からひったくりをする行為でしたが・・・拳銃が人の心まで変えてしまう恐ろしさも描いていたと感じました。
全くもって共感出来ない、最悪映画
いくらR15映画と言ったって、やって良い事と悪い事はある筈。モラルのカケラさえない、感動に近い物は全く無く、不快さに満ち溢れた糞みたいな映画でした。時計じかけのオレンジでも撮りたかったのか?バカは本作の監督そのものだ。
R指定のエログロ部分については、俺も決して嫌いではないので問題はそこでは無い。演出と割り切って観てられる。だが障害者に対しては別である。
冒頭から終盤までの、障害者を晒し者、笑われ者、嫌悪者のように描き、この糞監督はいったい障害者を社会の邪魔者とでも言いたいんだろか?本作に出演した障害者の方々やその御家族、傷付かれてないのか心配だ。仮にその方々には色々説明、説得した上の作品かもしれない。だが、観る側、障害者を持つ観客に対しては、結構なダメージとなりそうに感じる。こちとらR指定受けてるし芸術は自由だと宣うのであれば、せめて作品広告等に但書で、障害を持たれる方や御家族への配慮を記載すべきである。な、愛情のカケラも無い監督さん、制作、配給会社さんよ!
久々の菅田のああいうキレ演技は好きだが、作品は選んで欲しい。
バイオレンスのなりそこない
予告編動画が、少年の純粋さと残酷さが合わさったように見え、非常に期待してこの映画を拝見させて頂きました。
しかし、蓋を開けると支離滅裂でお粗末な内容。
他のレビューの方も仰ってますが、まず最初の障害者の方の隔離施設?でのシーン。ファーストインパクトとしては、良かったと思いますが、これが全く活かされてない。エイジはなぜ障害者の方に手をかけたのか?その後の展開を見ても、全くその説明もなく、流されていきました。
このレベルの未回収のままの伏線が作品内にあまりに多すぎる……。割愛します。
全体の雰囲気として、殺伐としたものを目指したのかもしれませんが、売春や銃やドロップアウトなどありきたりなものが羅列されむしろ滑稽。作り物感を感じてしまいました。たくさん付属品を付けすぎて結局何が言いたいんだ?
ラストシーンも想像通りで、結局叫んでばかり。
個人的に、池での男児が常に股間を触っている意図や、女子高生コンクリート詰め殺人事件をあんな風に扱っていることが非常に不愉快でした。
演技力は、やはり有名どころの方々は素晴らしい。
國村隼さんも最初だけでしたが抜群の存在感でした。
中心となる3人ですが、菅田将暉の演技力がやはり飛び抜けていて、特に映画中盤では他の方々を飲み込んでいました。仲野太賀さんの最期のシーンも狂気的で、あそこは映画の中で1番ドキドキして拝見させて頂きました。
賛否両論ありますが、僕はyoshiさんの演技はそこまでかなぁ?と感じてしまいました。叫ぶ演技が多かったせいや上記で示したように実力派俳優に囲まれてしまったせいかもしれませんが、少しくど過ぎるし声の感情表現が乏しいかな、と。ですが、まだ未成年で初主演であるので、これからに期待したいです。
演技力の面での星0.5ですが、作品としては大マイナスです。
有力な俳優の無駄遣いで、とても勿体ない。
何かしら鑑賞後、感情が湧くわけでもなく陳腐さが目立ち、シナリオもかなり未完成です。
オススメは出来かねます。
レビュー見て怖くなった
コラージュのように、場面が継ぎ接ぎされていくが、話は確かに展開していき、ラストでタイトルの意味が効いてくる作劇は見事だった。ただ、冒頭の吉岡の語り、タロウの中年女性への語りは、この話の世界に不似合いで説明的過ぎた。あのセリフなくてもメッセージはちゃんと伝わったと思う。
印象的なのは彼らの叫びだ。彼らはみな、自分の意思とは関係なく、社会で生きるための最低レベルの尊厳すら奪われてしまう。悔しいと言えば、自分のせいではないのに負けたことになってしまう。努力したり誰かに頼ったりして挽回できる境遇でもない。そんな状況や心情を細やかに説明できる言葉も持ち合わせていないし、聞き取ってくれる相手もいない。彼らには発せられる言葉がない。だからこそ叫ぶのだ。そして、なんとか立ち上がろうと虚勢を張るほど、彼らの立場は危うくなり、ますます狂乱する。三人の主役は、この心の動きを迫真の叫びで演じきっていた。
なんでそんな叫ぶかわからんっていうレビューがちらほらあるが、そういう感性が世の中を包んでるからこそ、彼らは叫ぶのだ。それが伝わらないのかと愕然とする。映画に描かれた現実も怖いが、その現実にピンと来ない人がこんなにもいる現実はもっと怖い。日本社会の断然は相当深刻なところまで来てしまっているようだ。
タイトルなし(ネタバレ)
うーん、割と好きな監督だから期待し過ぎちゃったかな。吉岡の行動が何かと詰めが甘すぎだし、スギオのお父さん歌ってる場合じゃないでしょ(選曲は好きだけど。)とかはまだ全然許容範囲だけど...。個人的にダメだったのが、タロウが公園にいた女性に急な説明台詞始めちゃったり、謎のスケキヨ集団のミスマッチ感、障害者の方の扱い方が何か雑だったり、やたらみんな大声で叫ぶのも苦手でした。菅田将暉、太賀、奥野瑛太は凄くよかった。
現代社会の諸問題と死の価値観
まず、最初から衝撃的な障害者施設から物語は始まる。現実的にあそこまでの施設があるかはわからないが、存在する可能性もないとはいえない。
ネグレクト、無戸籍児、教師による体罰、援交、現代の日本が抱える諸問題の中で生きる、エージ、スギオ、タロウ3人の若者たち。
死ぬことの意味を軽く考えて生きてきた彼らに、スギオの死は本当の大切なものを失うという死の意味を教えてくれた。
好きという感情もわからなかったタロウは彼らと関わっていく内に、今までわからなかったいろんな感情を感じるようになる。
最後、エージが死んでしまった時、タロウは大好きな友を失くすこと、死ぬってこんなに悲しくて、辛いことなんだってわかったんじゃないかな。
タロウは本当にYOSHIくんで大正解です。
生きてる人間と死んだ人間、どっちの方が多い?
感想を伝える言葉が一個も思い浮かばなかった、、面白くないしつまらなくないし感動してないし退屈してないし共感してないし反対してない。絞り出すなら唖然とした、という感じ、、
感情が爆発するきっかけとなるような出来事がちょっとずつ意味わからないし、住んでる世界が違いすぎてこれが青春と言われても全然共感できないし、正直全然わからなかった。ただ、ちょっとしたスイッチ、勘違いなどで人間の感情なんてどこまでも暴走できるんだな、と身を以て感じてしまったような感触。とても非日常だけど、誰しもこう言うスイッチを押す危険をはらんでいる、のかもしれない??
セリフの拙さが、3人たちの浅はかさを妙にリアルに表現していて、ゾワッとなった。単語がたくさん連なって、言葉が支離滅裂な感じ。彼らの感情が、見ている側にぐさっと刺さる。全然わからなかったけれど、シーンがちょっとずつ対比で進み、複線のようなものを細かく回収していく感じが爽快だった。3人の中では憧れの存在のエージが吉岡や柔道部の前では圧倒的弱者だったりとか。意味わからない流れの割に、説明的なセリフがちょこちょこ入るのがむしろ安心してしまった笑
エージ演じる菅田将暉の狂気は想像通り凄まじくて最高だったが、個人的にスギオ演じる仲野太賀の、没個性的高校生からの箍の外れっぷりがうますぎて忘れられない。ラストの鏡の前での表情、秀逸すぎる。YOSHIも新人とは思えない、と言うか元からこう言う人間なのか?と錯覚するレベルの違和感ない演技だったと思う。
評価しづら!
荒廃とした世界
ほとんどが足立区、葛飾区近辺の高速下の荒川土手あたりの小菅拘置所や綾瀬近辺を殺伐とした舞台をエリアとして描かれており、劇中でも語られてますが昔センセーショナルに報道された綾瀬の女子高生コンクリート詰め殺人事件を思い出さずにいられませんでした。
15歳くらいの男の子が一度も学校に行ったことがなく
中途半端な不良2人の友達と過ごす日常。
だんだんと無軌道ぶりがエスカレートしていく。
究極のネグレストや援助交際などいろいろ出てきます。
主人公タロウ役には、本作デビューとなるモデルのYOSHI、タロウと行動をともにするエージを菅田将暉、スギオを太賀が演じています。
今年、立て続けに劇場公開された元SMAPの3人が主演した三作品がまったく宣伝活動がされずに終わったのに対して、本作が日本テレビの朝のテレビの情報番組で告知されていたのが驚きです!菅田将暉の力なのかビックリです。その中でYOSHIさんが2年後の18歳までにハリウッドで主演映画に出るのが目標と言っていたのが印象的でした、、
菅田将暉の本領発揮❗
菅田将暉本領発揮作品
私は好き。
生きることの馬鹿馬鹿しさとその貴重さが、三人の若者(そのうちの一人は名前もない16歳)のヤンチャ騒ぎの中に描かれる。
オチがあるようでないようで「は?なんで??」となる人もいるだろう。
けれど、生と死は、日常の中にこうして普通の顔をして在るものなのだろう。
この映画の中では、ところどころに「死」が現れ、その隙間隙間に「生」が息づいている。
本人達は気づいていないのであろう絶望と希望が、揉みくちゃになりながら最後のシーンへと繋がっていく、物語性のない物語だ。
これが初めての芝居だという新人YOSHIの生々しさ。菅田将暉と大賀の演技だとも思えないリアリティ。
菅田将暉は、こうした中途半端なチンピラ役で突っ走ってこそ本領を発揮する。大賀の、悪の中で揺れ動く真面目さもいい。主役のYOSHIは、ほとんど演技をしていないのに危うい存在感がある。
あちこちに純な若者達の姿が見える。いや、悪さをしながら皆純なのだ。行き場のない純なエネルギーが、どこに辿り着くのかは、実際に観て欲しい。
長期間は上映しないだろうし、上映している劇場も少ないが、只今上映中。
この手をインディーズ系というらしい。
先日観た「アルキメデスの大戦」より、こちらの方が私は好きだ。予想はしていたけれど。
久しぶりに映画のパンフレットを買った。パンフレットは軽くピラピラと眺めるに留めて、先入観なしで私の感想を書いてみた。パンフレットをじっくり読んで、もう一回くらい映画をじっくり観て、また書けたら、と思う。
映画の前にお茶した友人が「レビューが3点台だったから観ない」と言ったので一人で観たが、他人のレビューなどでいい映画を見逃すのはもったいない。純文学のようなこうした作品は流行らないのだ。少し毛色が似ていなくもない『ディストラクション・ベイビーズ』も、インディーズ映画好きの人にはお勧めしたい。どちらも、楽しい映画ではないが。
映画や芝居やコンサートを「消費」ではなく「生産」として観、聴きたいと、常々思っている。
タロウのバカ
重たい
エネルギッシュではある。
古臭い映画
終始胸糞悪い。
障がい者の方々を出演させる意味は?
股間を触りながら女の子と話す意味は?
菅田将暉も仲野太賀も高校生には見えないし、演技初挑戦?のYOSHIは生理的に受け付けない顔だし、セリフが聞き取れない箇所や理解不能な場面も多い。
パパ活?援助交際?をしてる女子高生の掘り下げ方も浅い。
よくこんな映画で全裸を披露したもんだ、勿体ない。
建設中の家が彼らの溜まり場のように描かれていたけど、それもおかしいし。
何よりも不愉快なのは、女性の扱いがひどい。
女子高生コンクリ殺人事件について、あんな触れ方をするなんて。ご遺族の気持ちを考えたら、あんなセリフは思い付かない。
菅田将暉や仲野太賀の無駄遣い。
さほどファンでもない私でさえそう感じるのだから、ファンの方々はやりきれないだろう。
『葬式の名人』と並ぶ駄作。
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