居眠り磐音のレビュー・感想・評価
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キャスト(特に松坂桃李・芳根京子)が素晴らしい
元々、NHKのドラマで知った「居眠り磐音」
どうしても比べてしまうが、映画公開前にやっと原作を読んでみたところ、松坂桃李の磐音はピッタリだった。
山本耕史も悪くは無かったが、個人的には松坂版磐音がしっくりときた。磐音の長閑な雰囲気と、内に秘めて飲み込んだ悲しさをとても旨く表現していた。
「殿」もホント成長したな~と、シンケンジャーの頃から一目を置いていた役者の姿に感じ入った。
そして特筆すべきは、芳根京子の「奈緒」
楚々とした武家娘の美しさと、花魁時の艶やかさが、スクリーンいっぱいに見事に映し出されていて涙を誘われた。
映画版の「奈緒」芳根京子でなくては、あの悲しさ切なさは表現しきれなかったと言っても良いくらい、良かった。
ストーリー的には、詰め込み過ぎというか、端折り過ぎていて話の展開に唐突感は否めなかった。
もちろん、諸所の都合や大人の事情があるだろうことは承知の上で言えば、恐らく元々続編制作も視野に入れていたと思うので、いっその事、続けて公開するパターンの前後編・2部構成にすればよかったと思う。
前半はあの悲劇のスタートから、黒幕を倒すまで。
後半は奈緒の行方に焦点を当て、吉原での再開までを描けば、原作の流れと雰囲気や中身も巧く料理出来ただろうと思ってしまった事が残念だ。
関前訛りとか、演出上の気になる部分は幾つかあったが、それでも、これぞ時代劇と言える作品だったと思う。
チャンバラで激しく斬り合ったり、戦国武将の戦なんかをスペクタクルに描いたモノだけが劇場向けの時代劇とは思わない。時代劇の良さは、やはり人情や情緒、人の心の機微を豊かに描けるところだと思う。そういった時代劇の良さはスクリーン全面に良く表現できていた。
やはり、劇場で観て欲しい、観るべき作品だと思う(続編のためにも・笑)
私の愛は増すばかり
あの吉原のシーン、切ないですよね。
そして、美しい。
美しいから余計に切なさが増して感じる。
ここ、時代劇だからこそのシーンですよね。
このシーンを見れただけでも、この映画を観た価値が有ったと思います。
この映画の松坂さん、佇まいが良いです。
時代劇に、落ち着いた雰囲気が合っているんです。
それから、陰のある感じが自然と醸し出されるんです。
磐音に松坂さんをキャスティングした時点で、この映画は成功だったんじゃないかな。
そして、芳根さんが演じた奈緒。
彼女、三年ぶりに会えると思った最愛の人に会えなくなる。
次に会える保証など何もない。
それでも、彼女は最愛の人を想い続ける。
時代背景も有りますが、会えない相手を変わらず愛し続ける事が出来るのでしょうか。
私がこの映画を観終わって最初にした事は、なんとなく気になった南天の花言葉を調べる事でした。
何個か気になったのですが、一番印象的なのは「私の愛は増すばかり」でした。
この映画に花言葉が込めらているかは、わかりません。
でも、この花言葉を見た時、会えない間に変わらないどころか、増える愛も有るかもと考えました。
奈緒に対する磐音は、見る人によっては卑怯に逃げている様に映ると思います。
でも、彼女はそうは思わなかったのだろうと。
磐音が悲しみを一人で背負ってしまった様に感じたのでしょう。
そう感じた奈緒も苦しみを背負って生きる道を選んでしまったのだと。
これを愛と呼んでいいのかはわかりません。
でももし、これを愛と呼んでいいのなら、奈緒の愛は増え続けたと考えても間違いじゃないのかも。
そう考えるとあの吉原のシーンは、余計に切ないです。
でも、あそこで終わらないで最後にハッピーエンドへの期待を少し持たせて終わったのが、私は好きです。
だけど万が一、続編ができたら、その道筋が閉ざされちゃうのかな・・・。
私、原作全然知らないのだけど。
時代劇のラブストーリーって、落ち着いたラブストーリーが好きな人には嵌まりますね。
なんと……面白い!
ヒロインが芳根京子で、脇も演技がうまい役者で固めて、主演の松坂桃李は大丈夫なのか? って、心配半分、からかい気分半分で観に行ったのね。そしたら、面白かった。
どうも松坂桃李は《孤狼の血》あたりからうまくなってんの。
それに、この役は無口な主人公が人知れず苦しむって役だから、台詞より見た目の良さが重要なんだよね。そこに合ってた。
ただ、ラストの「生きてる方が地獄だ」ってところは、ちょっと演技が足りてなくて、そこだけ残念ではあったんだけど。
で、この作品は演出がうまかった。「こいつを用心棒に」って磐音を連れてくシーンは、歌舞伎っぽく大きな芝居でやんのね。それが時代劇に合ってて、むしろ自然に観えたりして面白いの。
殺陣のシーンも多いんだけど、役者さんたち殺陣なんてやったことなさそうな人ばっかりでね。でも、良かった。練習したんだろうなあってのと、殺陣を工夫してんなあってのと両方だったね。
波岡一喜もがんばってて、ちゃんと悪役の剣豪に見えたしね。
ストーリーでは「ヒロインの芳根京子を救ってやれよ!」と思うんだけど、そんな甘い話を書かないんだよ佐伯さんは。
「こら止むを得ないなあ」っていう事情があるとはいえ、磐音はヒロインから逃げてるんだよね。そんな男が簡単に女を救えるはずないってことなのかなって思った。
あと佐々木道場での「よう来たな」は泣きそうだった。号泣しそうな感じ。これは原作の良さだろうな。
時代劇にいまの役者が意外とはまると解ったし、シリーズ化して欲しいね。
時代劇も克服!?
ここ数年の秀作続きのおかげもあってミュージカルの苦手意識を克服することができたのですが、時代劇もコメディやアクションもの以外はあまり積極的に観ていませんでした。ごめんなさい!反省しきりです。派手派手アクションではなく王道の時代劇って言うんでしょうか(今まで観てこなかったのでおこがましいですが)切なくて、悲しくて、やるせないけれど面白かったです。泣けました!さすがの柄本明さんの怪演、素晴らしかったですが、できればシリーズ化して延々と敵役を続けて欲しかったですね。また芳根京子さん、透明感のある美しさに涙しました。もちろん松坂桃李さんの人間味あふれる演技にも感銘を受けましたし、彼の代表作になり得ると思うので是非とも続編期待します。関係ありませんがJINの南方先生と野風を思い出しました。ただ封切始めの休日にもかかわらず映画館の中観客が10人くらいしかいないのとほとんどが年上の方々ばかりだったのが残念でした。老若男女楽しめる作品なんですけどね。口コミでどんどん観客動員されること、切に望みます。いい映画でした!
魅力的なヒーロー像だけでなく、人情話としても秀逸
すでにテレビドラマ化や漫画化もされている、時代劇の本命、待望の映画化である。
日本映画としても今年前半の必見級だ。「キングダム」のスケール感や迫力は別格だが、オーソドックスなサムライフィルムとして、松坂桃李演じる主人公・坂崎磐音(さかざき いわね)が生み出すヒーロー像は、実に魅力的である。
おそらくヒットするだろうし、シリーズ化すれば、松坂桃李の代表作になるだろう。
原作は佐伯泰英による、全51巻+スピンオフ1巻で累計発行部数2,000万部超えという、"平成で最も売れた時代小説"といわれる(映画化原作は「決定版」のほう)。
今回は原作の序盤のエピソードが映画化されている。
3年間の江戸勤番を終えた坂崎磐音は、祝言を控えた許嫁・小林奈緒(芳根京子)の待つ、九州の豊後関前藩に帰った。しかしそこで親友2人を失うあり得ない事件が起きる。しかも磐音が斬ってしまうことになる親友の琴平は奈緒の実兄だった。
傷心の磐音は、奈緒に顔向けもできず、藩を離れ、浪人となって江戸に戻る。昼間は鰻屋で下ごしらえの仕事をし、夜は直心影流の剣術で用心棒稼業を始める。そしてまた事件が起きる。
形は、勧善懲悪のお約束フォーマットに基づいているものの、江戸時代の政争エピソードだけでなく、普遍的なラブストーリーの側面もあり、人情話としても面白い。奈緒と磐音がどうなるのかが見もの。
とはいえ。原作では今後、磐音と おこん(木村文乃)が夫婦になって、いずれ息子の空也が生まれ、さらに代替えして活躍していくという大長編なので、ぜひシリーズを続けてほしい。
(2019/5/18/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
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