米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯のレビュー・感想・評価
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沖縄返還運動に大きく寄与したと呼ばれる政治家、瀬永亀次郎のドキュメ...
沖縄返還運動に大きく寄与したと呼ばれる政治家、瀬永亀次郎のドキュメンタリー。 米軍占領下、米軍兵が組織的に民家に襲来し女性をレイプしまくっていたという”事実”は、知らなかったし衝撃だった。 そういう事を知るのも大事よな~。
あの時代の沖縄に立ち上がる勇気を与えた男
ちょうどこの映画を観る数ヶ月前に 同じ時代を描いた小説「宝島」を読んでいたので さらにのめり込んで見てしまった。 戦後の沖縄は地域性もあるが 中南部はアメリカにやりたい放題やられていたそう。 日本政府がアメリカの顔色を伺うのもわかるけども 沖縄の人たちはメチャクチャな生活を強いられていた。 ニュースにもならない米兵による事件や殺人がまかり通っていた中で、 冤罪で投獄されたり、殺されてもおかしくない中 それこそ不屈の精神でアメリカと日本と戦った男。 この気持ちは忘れてはいけない。 そう思わせてくれる映画。
8月15日に
76年前の戦争で戦場になった沖縄。まともな政治家を必要とし、亀二郎を政治家に押し上げたのは沖縄県民。菅政権下でのパンデミックを経験し、やはり政治家の質を決めるのは国民なのだという事が良く分かりました。
戦後変わったことは「返還された」だけなのかもしれない
大変お恥ずかしいですが、僕は瀬長さんのことは存じ上げませんでした。 本作で知ることとなりました。島田さんを描いた映画の流れで鑑賞です。 一昨年から映画鑑賞の機会を増やすようになり、戦中の沖縄に関するドキュメンタリー作品もいくつか鑑賞してきました。本作もその一環で。 沖縄に関する作品を観るごとに、日本の中で沖縄並びに沖縄県民の方々しか味わっていない、「本土決戦」=「住んでいるところが戦場になる」・・・この過去が一体何の教訓になり、日本は如何に それを生かしているのだろうか?と生かしていくにはどうすれば良いか?をしっかり考えなければ・・と再認識です。そして、いつも思いますが、僕は戦時、戦後の沖縄、並びに日本の歴史にどれだけ無知なんだろうか?と愕然といたします。 本作は瀬長さんの不屈の生涯を膨大な日記の情報をベースに描いていきます。 先人が残した意思と悲しい遺産を風化させないため、その経験を生かし沖縄の方々に同じ思いをさせないための活動を追っています。 なぜ基地を反対するのか?それは再び戦場になる恐れがあるから。 その意思、信念の強さは当時の佐藤首相に熱弁をふるう姿にあらわれています。 もしかしたら過激思想、バランス感覚を無視しているとも見えるかもしれませんが、命を守るためです。命以上に大切なものはないはずです。 沖縄が課せられている対アメリカ施策(と思える)の負担の大きさは、きっと戦時、戦後から変わっていないし、何らかの「変えよう」という政治家もいないのが現実なんでしょう。 あっちを立てると、こっちが立たなくなる。全員が満足する結果なんてない・・・のかもしれません。しかし、可能性はゼロではないのではないかな?と瀬長さんのドキュメンタリーを鑑賞した後に思いました。 じゃぁどうするべきなのか? 僕は答えがありません。しかし、選挙のたびに、国政選挙のたびに瀬長さんや島田さんを思い出し、沖縄の課題をどうするのか?に注目をするようになると思います。 僕たちは先人の経験、歴史を知り、認識し、理解し、悲しいことは繰り返してはならないという責務があるんだと。
佐藤A作との質疑応答が圧巻!
ドキュメンタリーの続編ということで、前作では沖縄の人々の声を中心に瀬長の活躍を描いていたけど、この続編ではダブるところも多い気がするにも関わらず、1972年の沖縄県が本土復帰や、瀬長亀次郎の生活と230冊にも及ぶ日誌の数々、その中でのアメリカとの闘いがメインで、とりあえず「カッコイイ」という幼稚な表現しか思いつかない。さらに意外と『レ・ミゼラブル』が愛読書という庶民的な感覚。 未だに「米軍が日本を守ってくれてる」とか「中国が侵略してこないのは米軍のおかげ」だとか主張する人も多いが、果たしてそうなのか?と疑問を感じた人は見るべき作品。途中までは前作の映像に陰で支える妻フミさんの活躍くらいしか追加されてないんじゃないかと思っていたけど、国会での佐藤栄作首相とのやりとりは痺れること間違いなし!その論戦の後に、首相が瀬長氏の書籍を「読ませてくれ」と頼んだというエピソードも微笑ましい。 最後にはガジュマルが地に根付く映像で締めくくられるのですが、このBGMがまた震えがくるくらい素敵でした。坂本龍一氏はやっぱり天才!
人間味あふれるカメジローさん
米国と戦い、被選挙権まで剥奪されても戦い続け、国会議員として時の佐藤栄作首相とやり合っている中で、沖縄が抱える問題点を心の底から解決しようとするという気概が伝わってきます。対する佐藤首相も答弁を超えて亀次郎さんの著書を読ませて欲しいといい、その2年後沖縄は返還されます。お互いを知り、進めていこうという姿勢は今の国会議員に学んで欲しいところです。今も、辺野古の問題のようにバラマキをしながら強引に行う手法、米国から日本政府になっただけではないか。この映画は数々の問題点を提起していて、沖縄にはまっている私でも知らないことばかり。そして、亀次郎さんの孫たちも登場して、普通のオジイの部分も見せてくれる。沖縄は復帰したとはいえ、まだ占領下にあるようです。もっと我々は沖縄のことを知らないといけないです
沖縄の現代史に欠かせない人物
沖縄におけるカメジロー人気は凄まじい。その原因を知るには最適な映像記録。時系列に淡々と進行する映像に引き込まれていた。カメジロー入院(手術時)の医師の対応に感嘆し、沖映館の社長との交流には、単に保守革新では割り切れない人間関係の奥深を学んだ。
素晴らしい記録映画ではあるが
前作、その名はカメジローを日本映画専門チャンネルで視て、感銘を受けたため、続編にあたる本作は劇場鑑賞することにした。 前作同様、素晴らしい記録映画ではあるが、前作の巻き直しというか、被るような部分が多く、前作以上のインパクトは感じなかった。山場と言えば、佐藤栄作と対峙するカメジローの威風堂々たる主張が、まさに山場足り得るだろう。
瀬長フミさんは良妻の鏡
瀬長亀次郎のドキュメンタリー第二弾である。今回最も心に残った言葉は「小異を捨てないで大同につく」だ。説明不要、言葉のままの意味だ。人はそれぞれに生まれながらの違いがあって、その違いをなくすことは不可能である。だから違いを認めたまま、大きな同一の目的のために連帯するのが現実的で、そのやり方であればその後の内部対立を生まないという考え方だ。実に理に適っている。 現在の野党も同じやり方をすればいいという声もあるが、たとえば憲法改正についての考え方は同じではない。野党議員の中にも憲法改正に賛成の者がいる。そして憲法改正は小異ではない。大同だ。消費税増税についても同じである。 そう考えると、この国で野党と呼べる政党は共産党と社民党だけということになる。れいわ新選組はまだ海のものとも山のものともしれないし、N国は与党でも野党でもない。立憲民主党と国民民主党は憲法改正について大同団結していない。公明党と維新の会は与党である。議員定数465人の定数の内、野党は共産党12人と社民党2人の14人。割合でいくと僅か3パーセントである。道理で共謀罪も安保法制も特定秘密保護法もサクッと通るはずだ。 議院内閣制では衆議院議員の多数派が総理大臣を指名するから、行政も国会も同じ権力者に集中する。そして最高裁判所の裁判長は内閣が指名し、裁判官は内閣が任命するから、司法も行政も立法も同じ権力者である。「私は立法府の長である」と暗愚の宰相アベが言ったのは、理論的には間違っていても、現実的にはそのとおりである。「私は行政府と立法府と司法府の長である」と言いたいところなのだろう。実際に最高裁が行政府に不利な判決をしたのはここ最近では見たことがない。 これは実は由々しき事態ではなかろうか。有権者のバランス感覚がおかしいとしか言いようがない。アメリカの大統領選挙でも大抵は接戦だ。投票率は日本と同じくらい低くて50%ちょっとだが、アメリカでは投票するために有権者登録をする必要がある。日本でもアメリカと同じように選挙のたびに有権者登録が必要になったら、投票率は激減するだろう。半減して25%くらいになる気がする。そうなったらもはや民主主義国たり得ない。 瀬長亀次郎の長い戦いはその後も引き継がれてはいるが、少なくとも選挙の結果を見る限りは、日本の有権者は沖縄などどうなってもいいと考えていると判断せざるを得ない。非常に残念である。 さて、瀬長亀次郎のブレない姿勢はドキュメンタリー第一弾でも十分に解ったつもりだったが、沖縄を統治する米軍から被選挙権を剥奪されたことは本作品で紹介されるまで知らなかった。政治家にとって被選挙権がないということは四肢をもがれたに等しい。しかし亀次郎には、何もできないから諦めるという選択はなかった。被選挙権がなくても立候補する。選挙運動をする。賛同してくれる同士を応援する。 家にあっては相談に来る人の話をすべて聞く。アドバイスがあれば話して聞かせる。金が無いと言われれば借りてきて渡す。借りてくるのはいつも亀次郎の妻瀬長フミさんだ。亀次郎は政治家だからそれなりの対面を保たなければならない。だから影でフミさんが苦労していた。蓋し良妻の鏡のような女性である。 本作品のハイライトはフミさんの知られざる活躍である。この女性がいたからこそ、瀬長亀次郎の不屈の人生があったと思う。亀次郎は94歳という長寿で、フミさんは100歳まで生きた。長寿のご夫婦である。二人の信念は、民衆が黙っていない、必ず米軍のいない、基地のない平和な沖縄が取り戻せるというものであった。いまだにそれを実現できていないことを日本の有権者のひとりとして恥ずかしく思う。 前作に引き続いてナレーションを担当した山根基世の落ち着いた声はとても聞きやすい。男性のナレーションは前作の大杉漣も悪くなかったが、本作の役所広司のナレーションはとてもいい。声に力がある。日本の有権者はしっかりせいと、聞いているこちらが励まされるようであった。
今の僕たちにも繋がる問題
米軍が戦後沖縄に持ち込んだ民主主義によって、米軍統治が困難になり、更に、米軍が統治を放棄して沖縄が本土復帰することになったことによって、今度は米軍基地の返還が困難になった…そんな、パラドキシカルな状況…というような説明があったように思う。 民主主義とは、民意とは一体何なのだろうか。きっと教科書の答えは簡単そうだが、この「戦後沖縄」というメガネを通して見ると、沖縄県民の抱える問題は、普天間の辺野古移設にとどまらず、県民の生活そのものに関わる重要な問題だったことがよく分かる。 瀬長亀次郎さんはじめ、多くの人の尽力で自治の範囲は拡大するが、沖縄県民の実に4分の1の血を吸った大地に戦争の戦禍が二度と及ばぬようにとの願いは、本土復帰後にも存在し続ける基地で、まだ道半ばだ。沖縄県民の方には申し訳ないが、やはり、仲井真さんが知事在任中に辺野古移転を承認してしまったことが残念でならない気がする。 だが、この民意を問う闘いの意義は大きい。なぜなら、今、日本のあちこちで民意を問う動きが高まってるように思うからだ。秋田のイージスアショア設置については、先般の参院選でこれに反対する候補が自民党候補を抑えて勝利し、秋田選出の別の自民衆院議員も、これを無理だと表明した。横浜のIR誘致も実に横浜市民の90%が反対を表明している。皮肉なことに、この背後には菅官房長官がいる。菅さんは秋田出身で神奈川選出の議員だからだ。これが現在の自民党の実態で、一部の政権幹部による強権的なところが明らかだ。 僕たちは、沖縄の抱える問題に解決策を全て考えただろうか。基地を一気に失くすことできなくても、少しずつでも可能な方法もあるかもしれない。 跡地の普天間だって、国主導の国内企業と癒着したような話に乗るより、沖縄県主導で、海外資本に解放して、例えば、中東や、中国や、ヨーロッパや、アメリカ資本の施設が出来て、世界のあちこちから人々が訪れれば、そんなところに爆弾なんか落ちやしない。 それだって、立派な防衛だ。
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