ナイチンゲールのレビュー・感想・評価
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鳥は歌う 自分の意思で 祖国に向けて
黒い森の中を 歩いてきた人よ
少しだけ その足を 休めておくれ
口にした名前は 聞き慣れない響き
僕にだけ その意味を 教えておくれ
黒い森を抜けた 遠い国の歌を
少しだけ その歌を 聞かせておくれ
燃える朝焼けに 染まる海に行かないか
争いの果てに 残るものを知らないか
黒い森を行く 遠い国の旅人よ
愛する誰かが もし君にもあるならば
9mm Parabellum Bullet / 黒い森の旅人 より
夫と子を奪われ陵辱された女性
住む国を奪われ差別された男性
色々あったなでは済まされない
色々のひとつひとつを
心に陰る憂いの数々を 互いに歌い合う
国の歴史は暴奪の履歴にほかならない…
わたしのオーストラリアの移民の歴史なんて
世界名作劇場の『南の虹のルーシー』ぐらいのイメージしか
持ち合わせていませんでしたが、
女性の監督がこんな題材を取り扱ったことに驚きました。
自国の歴史を題材に、辛辣な描写でメッセージ性を
込めたことを支持したい。
その対比と共に、美しい自然を背景にして
ありありと活写したところも併せて
監督の、アンビバレントな心持ちながらも
愛国心を感じました。
わたしの住まう、この小さな島国、日本。
度々海域を脅かされるも、
可能性で言えば…
とっくの昔に侵略され、為政者によって
文化が失われていても
何ら不思議ではない国だったと思うのです…
この奇跡のような幸せに感謝しなければな、と思いました。
北方領土や竹島とかも、より良い解決策が進みますよう
切に願うばかりです。
残酷な歴史
冒頭から一貫する、目をそむけ顔を覆いたくなるレベルの激しい暴力表現。
レイプ、殺人を当たり前にする、イギリス人将校に旦那と子どもを殺されたアイルランド人の女性が、復讐のため将校たちの後を追いかける話。
イギリス人将校と、部下の軍曹へは、観客とて殺意を抱くレベルの怒りに支配されそうになる。
オーストラリア制作だけあって、重要かつ忘れてはならない無法なオーストラリアの歴史(イギリスへの憎悪、または移民側の反省)を感じられる作りになっている。
せつないし、この後どうなるのか想像がつくという悲しさもあった。
19世紀のオーストラリア・タスマニア島で起こった、イギリス植民者(占領)とタスマニアン・アボリジニー(黒人原住民族)の戦争…というか、原住民への一方的虐殺と強制移住、そして種族の絶滅へ至る「ブラック・ウォー」の時代が舞台。
この時代、タスマニア以前にイギリスが植民地化していた、アイルランド(人)の囚人をタスマニアに流刑にして、イギリス人が労働力として使役していた、という基礎知識は必要。
ポスターのビジュアルが好みで、3月の観たいリストの上位作品だったの...
ポスターのビジュアルが好みで、3月の観たいリストの上位作品だったので初日に鑑賞。
舞台はオーストラリアのタスマニア地方、時代は19世紀。とある事から駐屯しているイギリス軍将校に復讐を誓う女性のお話し。
ダコタ・ファニングの「ブリムストーン」をちょっと想像してたけど、共通項は憎しみの感情と暗いトーンの色彩くらいでした。
主人公クレアがアイルランド人であることに加え抗えない立場。そしてイギリスが支配している地域性と支配から生まれる先住民への差別。これらが生む憎しみの感情は根深い。
前半で見せるクレアの表情の変化は凄まじい感情を感じこの先どうなるのかが興味深く、個人の感情と先住民の感情を交錯させた展開も良かったんですが、、そこからがとにかく長くて、寝不足も響いたのかちょいちょい落ちました😪💤
所々の記憶を辿ると、差別に対して救いがあるシーンもありましたし、スッキリとするシーンもあったんですが、二つの感情が平行してゆく展開は、個人的に焦点がブレたと感じてしまい最後まで乗り切れずでした。
上映スケジュールの関係で都内で鑑賞しましたが、地元の映画館でも上映しているし時間があればもう一度観てみたいと思います。
復讐の旅の案内人にアボリジニの青年を雇ったクレアが、観客をアボリジニの受難の歴史への案内人となる。
①タスマニアがまだ大英帝国の流刑地だった頃の話。②イギリスのゲス将校(最近これくらい同情の余地のない悪役も珍しい)に夫と娘(可愛い赤ちゃん)とを奪われた(殺された)流刑囚のクレアは復讐の念に駆られ将校の後を追う。その道案内としてアボリジニの青年ビリーを雇う。③その旅(タスマニア島を横切る)の途上で、自分以上に白人(イギリス人)に何もかも(土地も自由も家族も)奪われたアボリジニたちの姿を見ることになる。
満員の劇場内から伝わる緊張感
一体どこに救いがあるだろうかこの物語に。オーストラリアでイギリス軍が行った非道な所業について、また、アイルランド人の受難の歴史を調べて、咀嚼しないと僕自身の魂がおかしくなりそうだ。
夫をイギリス軍に殺されたアイルランド人がアボリジナルと一緒に仇を追いかける。ある意味西部劇だと聞かされていたが、とんでもない。この物語には、カタルシスも感動もない。
陵辱を受ける女性たちの心の叫びに、心をえぐり取られ、イギリス人にとって邪魔というだけで殺されたアボリジナルの無残な姿を見て義憤にかられる。
『ナイチンゲール』は、とんでもないバイオレンス映画だって前評判だったけど、ジェニファー監督の前作『ババドック』は、ホラー映画というよりは、お伽話のような内容だったから、映画会社の大げさな宣伝くらいに考えていた。間違いなく、超ハードバイオレンス。
躊躇しながら、相手を殺すシーンなんかは、微妙な間がある上に、何度も振り下ろすから、肉片化する顔も、返り血もリアリズムの極致。
ゲーム・オブ・スローンズでお姫様だった、アイスリング・フランシオシの体をはった演技がもう凄い。
アボリジナルのビリーが叫ぶ『ここは俺たちの土地』『ここは俺たちの国』
現実にはその後も続く虐殺、民族浄化のオーストラリアの歴史。大英帝国の子孫である人たちは、この事実をどこまで受け止めているのだろうか。
コロナ騒ぎもかかわらず、僕が見た回はソールドアウト。その価値は十二分にあった。
追記
アボリジニは差別的なニュアンスを含むので、最近ではアボリジナルと呼ぶのが一般化しつつあるということなので、アボリジナルに訂正しました。
最盛期に約3万7千人いたタスマニア島のアボリジナルは、1876年に純血のタスマニアン・アボリジニはとうとう1人もいなくなってしまった。ジェノサイドされたのはビリーの部族だけはなかった。言葉がでない。
シューラ・ルーン
19世紀イギリス植民地時代のオーストラリアはタスマニア地方で、イギリス軍中尉達に旦那の前でレイプされた上に旦那も赤ん坊も殺されたアイルランド人女性が復讐の為に後を追う話。
出世を目論み北部に中流する上官に直訴する為、3人の流刑囚と2人の部下を連れ先住民ガイドと共に山に入った中尉を追い、旦那の残した愛馬レベッカに乗りガイドと2人で山に入るクレアという展開。
アイルランド人女性の復讐劇という体で、当時のイギリス人、アイルランド人、アボリジニの民族問題をみせていく流れは、非常に考えさせられるし残酷な描写も多々あり胸に響く。
しかしながら、単純にこの作品の展開としてだけで言えば、中盤を過ぎた辺りで急にヒヨッてムダに延ばす感じが怠い。
合流してからはまた面白くなったけど、ここでも急に今までの問題提起をフォローし始める感じがちょっと鼻につく。
とはいえ、非人道的な輩に対抗する違う立場の二人が協力関係を築きながら迫って行く様や、ラストの展開はとても面白かった。
【19世紀のオーストラリアの歴史的位置づけを背景に、残念ながら現代にも脈々と続いてしまっている、当時の数々のレイシズムを苛烈に描き出す作品。】
ファーストシークエンスが観ていて、とても辛い。
と共に、当時オーストラリアを植民地且つ、流刑地として活用していた傲岸不遜な”グレート・ブリテン”の人々の姿が描かれる。
彼らに過酷な仕打ちを受け続けたアボリジニの人々の想像を絶する姿や、白人ながら、当時から差別的待遇を受ける事の多かったアイルランドの位置付けも垣間見える。
救いは、
・夫と子どもを無残にも殺されたクレアと彼女と徐々に距離を縮めていくアボリジニの案内人ビリーを一晩家に泊め、食事を出す白人老夫婦の夫がビリーに掛ける言葉とそれに驚き、涙するビリーの姿や、(当時、彼のような方は稀有であったろう。)
・クレアが勇気を振り絞り、彼女への蛮行及び愛する夫と幼子を殺めた唾棄すべき”グレート・ブリテン”の若き将校が、自分の戦功を上官にアピールする酒場で、彼の蛮行を滔々と述べ、渾身の気合で震える声で歌い上げる
”私はナイチンゲールではない・・”
と謳い上げるシーンである。
・更に言えば
”クレアではなく、ビリー”がアボリジニの闘う正装で、”本懐”を遂げ、アボリジニの儀式に則り息絶える、夕日が沈む海岸の美しい風景である。
(この後半シーンが無ければ、私は今作のレビューを上げなかった。冒頭のシーンでは鑑賞作品選択を誤ったと内心、自分を痛罵していたのである・・・。)
それにしても、ジェニファー・ケント監督の、これホラーではないか?と一瞬思ってしまう程の苛烈な映像の数々には本当に驚いた。
(作品テイストは随分違うが、同じく女性監督であるリン・ラムジーをほんの少しだけ想起してしまった・・。)
<観ていて辛いシーンが多いが、様々な事を現代社会に問いかける意義ある作品である、と鑑賞後に私は思った。>
後半に退屈さを感じてしまった…
女性監督ということもあってかクレアの描き方はとても繊細で人間味のあるリアルさを感じた。
夫と娘を将校に殺され希望を失ったクレアが黒人のビリーを雇い共に復讐の旅に出る話しだ。
将校及びその周囲があまりにも残虐で非常に不快な存在であるため早い段階でクレアに感情移入してしまい作品を鑑賞してしまう。
またもう一人のキーパーソンとなる黒人のビリーもまた将校に叔父を奪われ復讐を誓う。
当初はクレアとの関係も奴隷の様な扱いを受けていたが共に旅をし時間を重ねる事で互いに理解し合い力を合わせて旅を重ねる事になる。
その間に何度も将校らを殺せる機会に出会すのだが、復讐と言えども人を殺める事に直前になり躊躇う気持ちが出てしまい、機会を逃したり、かえって自分がやられかけてしまう。
話の中盤からずっとそれが繰り返し続くため後半は流石に退屈に感じてしまった。
結局最後はビリーの手で将校を殺めて終わる。
自分に置き換えた場合、仮にも大切な人を奪われた場合奪った人間を果たして簡単に復讐し殺める事ができるのか…恐らくできないであろう。その辺の心情描写を繊細に描かれていたのはとても魅力に感じた。
しかしそのシーンがあまりにも長く繰り返し行われすぎた様にも同時に感じてしまった。
答えはいつも先送り
序盤こそあまりの痛ましさに目を背けたくなるものの、中盤からは友情を育むバディもの兼ロードムービーでホッとさせ、そこからの終盤は壮絶で、痛快なリベンジ劇の達成を見届けることになる。
そんな自己都合に満ちた期待を抱いて鑑賞したのが、間違ってました。
もっとシリアスで多角的な視野から人間と暴力の関係を問いかけるヒューマンドラマでした。
・暴力と支配欲
・暴力がきっかけのPTSD
・暴力による決着を解決と呼べるのか
などなど。
考える機会は、映画の数だけあると言ってもいいくらいなのに、答えはいつも先送りすることになる半永久的な課題です。
タスマニアンデビル
イギリス入植時代のオーストラリアはタスマニアが舞台。リベンジものですが、予告ストーリーにあるようなバイオレンススリラーじゃ全然ないです。スリラーと謳ったほうが興行として有利だと思ってしたとすれば、作品に対する冒涜ですね。
アイルランド人の女性(クレア)が主役です。が、ビリー(新人俳優のアボリジニ男性)も立派な主役ではないかと思われます。恥ずかしながら、この映画を見て初めて、アボリジニに対する迫害の酷さを知りました。25年前にシドニーに行ったことはありますが、アボリジニは個性的なアーティストなんだぐらいの認識しかなく、アイルランド人に対する差別は知っていましたが、タスマニアが流刑地で、奴隷同様の扱いであったこともあらためて知りました。
ビリーは両親、兄弟、叔父をイギリス人に殺された奴隷です。森で老人と貧しい暮らしをしています。自分をクロウタドリ(黒いオウムに見えました)といい、アメリカ先住民と共通する自然との一体感を感じます。まじないをしたり、薬を作るところはやはり、シャーマンですね。川に流されたはずのクレアが大木の根元で目覚め、黒いオウムを追って行くとビリーに逢える場面は神秘性に溢れています。頻繁に描かれるクレアのPTSDによる幻覚シーンも半端なく、熱演もさることながら、悲しみがのし掛かって来ました。母乳が服に滲んで、痛そうで、かわいそうでした。
イギリス人将校が本当に悪いやつで、殺されたぐらいじゃ、全然スッキリしません。やつは本当のタスマニアンデビル。そういう意味でも復讐ものとしての要素も軽い感じがします。バイオレンスは悪役が95%以上です。
クレアの歌うアイルランド民謡とビリーの歌と踊りが素晴らしかった。
二人を匿ってあげた白人の老人のやさしさにビリーが涙しながら、それでもこの自然と大地はわれわれのものだと訴える場面に目頭が熱くなりました。
下手な歴史書より映画のほうが信頼できる監督なら真実に近いのかもしれませんね。
凄い映画を観てしまったという感じです。しかも、女性監督です。⬅️偏見とかではありません。誤解のないよう。
歴史を見つめる
オーストラリアの流刑者問題とアボリジニ虐殺の問題を題材にした寡作だ。
追跡は、まるで昔観た西部劇のようでもあるし、ビリーが自分を黒い鳥に例えるところは、ダンス・ウィズ・ウルブズを思い出させる。
アボリジニは、アメリカ・インディアン同様、自然とともに生きていたのだ。
イギリスは長い間、アイルランドを侵略したり、搾取を繰り返してきた。
有名なのは、クロムウェルの虐殺だ。
アイルランド人に対する苛烈な扱いも窺える。
日の沈まぬ国は苛烈な征服のうえに成り立っていたことがよく分かる。
クレアは、途中で復讐を思い止まる。
怖くなったと言うが、復讐は復讐の連鎖に繋がるとの危惧もあったのではないだろうか。
ビリーは、復讐を実行する。
仲間を殺害されたこともあるが、母なる大地を奪われたことに対する憤りもあったのだろうか。
日本でもアイヌを追いやった歴史はある。
僕達の国土の成り立ちを歴史として認識することの必要性も感じる。
ありがちな西部劇のストーリーとは違うようにも思う。
国や国境なんて、案外脆弱なロジックで成り立っているのかもしれない。
"This is my country. This is my h...
"This is my country. This is my home." 《男》何もかも奪う白人 --- クレア × ビリー = 人としての尊厳を踏みにじられまるで他人の所有物のように扱われてきた二人が体現・直面する女性軽視 × 人種差別など様々なテーマを内包した、残酷なリベンジスリラー。そして、それでも森林の奥に迷い消えることのなかった人間性の尊さ --- 最初の方と復讐を誓ってからでは主演アイスリング・フランシオンの顔がガラリと変わる、そんな彼女の熱演は必見。ただ、それほどまでに深いがため、監督脚本ジェニファー・ケントも安易な選択をする事なく、語弊を恐れずに言えばクレアの言動を腹立たしく感じることもあった...が、それらが彼女の人間らしさを見事に肉付けしていたと思う。そして彼女の標的の総本山である中尉役サム・クラフリンはイケメンながら例えば『ライオット・クラブ』のように実に不愉快腹立たしいキャラクターを演じている。が、個人的には"ボーイ" = 案内人役バイカリ・ガナンバルのキャラクターが素晴らしかった。決して万人受けするような作品ではないが、だからこそ意味意義があるし、怒りや暴力といった負の原動力から生まれ得る同情、愛、優しさをもの凄い力強さで紡いでいる異色の戦争映画と言えそう。
今年有料鑑賞22本目
ナイチンゲール、じゃなかった
まあ、そりゃそうか、と。
復習にもえたがっつりバイオレンス。後半、急に主人公の心境が180度変わっちゃうのはちょっと納得いかず。
結局はどの集団にもパワハラもどきはいるわけな人間の哀しい性を見せられました。
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