この世界の(さらにいくつもの)片隅にのレビュー・感想・評価
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さすがです…
原作にはないと思っていた追加シーンがすべてあったので訂正しました…
前作(無印の「この世界」)を見過ぎてしまったために「あ、ここが追加シーン」と考えながら観てしまうのは大目に見て欲しいんだけど…
追加シーンで印象的なのは、リンさん・テルさん絡みのシーンと、リンさんの語りのシーン、台風・土砂崩れ絡みのシーン。
後ろ二つの追加シーンでは、あまり多くを語らないことで物語的なカタルシスを獲得していた前作の印象が大きく変わったのは間違いないと思われる。結果的にはバランスが崩れてしまうのを恐れずに説明的な描写も加えていった。そこが素晴らしい。これは意図的なものだよね〜…
台風や崖崩れの被害も踏まえた上で、合わせて救済する…
作品の射程が、距離も広がりも格段に大きくなる。そういう片淵監督の意図がハッキリと現れている。
さすがです…
でも、でもね、監督の意図に反してるかもしれないけど、これはあえて「この世界の片隅に(完全版)」と言いたい…
お腹いっぱい
どれだけ戦って死んでいったか、どれだけ被害にあって辛い思いをしたか、誰かを責めたり憎んだりするより、この映画は愛に溢れ、辛いからこそ協力しあい、明るく乗り切って行こう!と言う映画です。
付け加えられた所は、正直退屈する所もありますが、最後に戦争が終わった後で、ひどい豪雨災害にあい、戦争でなくとも、家は壊れ人は死ぬものなのです。と言うメッセージは、この映画の内容にあって、何かを責めるより、強い生きる力が伝わったように思えました。
しかし、個人的には、申し訳ないが、尺的にも前回の 作品で良かったかも。
マイナス評価がない映画
自分も含めて前作から3年間で育った超コアなファンが一定数いるので、公開直後の満足度No.1なのは素直にうなずける。
前作は今作公開の前日まで1133日にわたって劇場公開され続けた。これは映画館がこの映画と監督に惚れて公開し続けたからである。
監督の穏やかでマニアックで情熱的な言動もこの映画のヒットの要因だ。前作ではおそらく180回以上の舞台挨拶を行い、その度にファンと直接会話し、たくさんのエピソードを振り撒く。Twitterでファンのツイートを毎日いくつもリツイートする。
監督のこういったキャラクターが映画館の中の人を惹き付けて、ファンを長くファンでいさせた。
だから3年前公開された映画が今回長くなって新作として公開された訳じゃなくて、ひと続きの、一連のストーリーなのだ。
映画ファンでなく、ましてやアニメファンでもない僕が前作を劇場で45回も観るはめになったのは、作品そのものもさることながら監督、スタッフ、資料提供した方々、映画館、特にシネコンじゃない厳しい経営を強いられながらがんばる映画館みーんなが魅力的だったからです。
前作の映画を作るときに既にこの「さらにいくつもの」を見据えていたのは明らかであり、監督にとっては映画化を決めてから9年間の集大成となるのです。
今作も練りに練られたマニアックな部分と儚くもかわいい遊女のエピソードなどを挿入し、コアなファンが観ても全員納得な仕上がりになっている。
監督は既に次回作に着手したらしく、間違いなくこれからのアニメを牽引することになろう。
前作では語られなかった、遊郭の片隅に生きたリンさんの物語
キネカ大森の初日、舞台挨拶上映に行って来ました。
前作では詳しく語られる事がなかった、遊郭に生きたリンさんの生き様が追加されています。
原作を読んでいたので…
なんとなく物足りなさを感じていた映画が、これで完全に完成したと思いました!
こころに響く、あたらしい作品。そして補完しあう二つの作品に。
「さらにいくつもの片隅」へのまなざしにより物語はより多角的になり、前作で語られなかった部分が浮かび上がっています。すずさんとリンさんだけでなく、径子さん、円太郎さん、小林夫妻、水原さん、テルちゃん...
前作において語られなかった部分が本作で語られたことにより、逆に今作でも語られなかった部分もまた、存在しなかったのではなく、確かに存在していたことが伺えます。その意味で前作を上書きするようなものではなく、補完しあうふたつの作品になっていると思います。もちろん今作から見ても、こころにずしんと、そしてたおやかに響く作品になっています。是非劇場でご覧ください!
観た人の心の中で完成する作品
★が5.0では足りない。10も20も与えたい。
2016『この世界の片隅に』に38分を足して「新作」となった本作。
単なるボーナスカットではなく、「周りの人々のいくつもの片隅」が描かれ、それが効果的に「すずさん」を彩り、様々な感情や女性としての内面まで引き出して、すずせんの身近な人間らしさをより感じさせてくれました。
また、入市被曝した人々、友人のリンさんを空襲で亡くしたなどのエピソード、背後の雑踏の言葉も増してより時代が加わって、「時代」「戦争の悲惨さ」もより強く感じさせてくれました。
音響効果がバージョンアップし、爆撃の迫力も増しました。
新旧二作とも、芯となる「どんな時代においても、懸命に生きていた人々はいた」ことを伝えているという部分は、変わらなかったと思います。
どこかの新聞評にあった「反戦のために作られた」映画ではなく、この中から「反戦の気持ちが湧くことがある」のだと思います。
観た人の様々な心の引き出しにある感情を刺激し、観た人の中で完成する作品でした。
名作
泣いてしまいました。
2016年版もすばらしいですが、こちらの方がより切なく、泣けてしまいます。
要素が増えていても、散らかることなく、ストンと入ってきましたので涙が出ました。
この時代を生きた先人たちに、頭の下がる思いです。
とてつもない
前作というか3年前の本編は、良かったけれど同じ年の「聲の形」の方が私には刺さりました。
しかし今作は違った。今まで古今東西さまざまの作品で「完全版」「ディレクターズカット」「特別版」など出されましたが(ブレードランナーが走りだったような)、出来不出来や好き嫌い、期待や失望は別として「本編を超える衝撃」を受けたものはありません。初めて世に出る「封切」にはそれだけの意味や重みがあるとずっと感じてきました。
しかしこれは違ったのです、初めて。
あの完成度の高い端正な作品を、より深く広く優しく哀しく甘く苦く豊かに押し拡げて観せていただき、陳腐ですが感謝しかありません。
前日に観た、40年以上をリアルタイムで付き合ってきたサーガの最終譚が銀河の彼方に吹き飛んでしまうほど、あらゆる人に勧めたいと思えるマスターピースです。
色褪せることのない〝奇跡のような映画〟
前作にくらべてヒューマンドラマの要素がより濃く描かれていました。
そして、今回は爆弾を落とす側の視点も含めて、空襲のリアルな描写が容赦なく迫ってきます。遥か上空から田畑らしきものは判別できますが、人がそこに生活していることまではパイロットには見えないのです。
なるべく早く戦争を勝利で終わらせようという立場で戦略を立てる人たちにとっては、たぶん、相手国にダメージを与えることで戦争継続の意思を奪うことは大きな目的のひとつだと思うのですが、実際に爆弾を落とすパイロットにしてみれば、自分の操縦する爆撃機が搭載している爆弾をミスなく落とし切ることが仕事の目的になります。人によってはその行為に何らかの葛藤が生じるはずですが、訓練によって躊躇わずに爆弾を投下できる空軍兵士(パイロット)が多く選抜されているのでしょう。
彼らの心の中には、爆弾を投下する先にあるすずやリンやテルが生活している空間への想像力が存在してはならないし、戦争に参加していることがもたらすある種の昂揚感は、元来屈託のない素朴な青年であった若者たちを簡単に大量殺人者に仕立ててしまいます。
その結果、リンや晴海の人生は、パソコンのバックスペースキーでそれまで入力していた文字を消していくように、無かったことにされてしまうのです。
すずさんのただ受け身なだけではない芯の強さや葛藤や揺らぎ。そして、リンさんやテルさんのあまりに儚過ぎる人生。すずにとっては気持ちが通じ合う確かに存在していたはずの彼女らの人生は、すずさんの心の中に居場所を求めるしかないのです。
前作は映画自体は多くを語らず、観た人それぞれが想像力を駆使して、何が自分の心を震わせたのかについて自ら語りたくなるという稀有な作品でした。
本作は、すずさんやリンや径子の人生、そして戦争(空襲)のリアルをかなり具体的に語ることで、鑑賞者はかなり具体的なメッセージを受け取ります。
受け取ったそのメッセージをどう次世代に伝えていくのか。我々自身が宿題を課せられることになりました。
原作への忠実さが増した本作品。 充実した時間でした。
3年間待ちわびた、本作品を遂に鑑賞する事が出来ました。
前作は、映画館でも数回観た後、ブルーレイも購入し何回も見直していたので
本作で、どの辺りが追加されたのかを確認しながら観ることが出来ました。
哲さんとの鉛筆のやり取りや等、前作では少し不自然だった所も補完され納得のいく内容になっていました。
特に、リンさんとのやり取りについては、原作に近い内容となりより本作品の意味合いが伝わる内容となり非常に良かったです。
是非、沢山の人に観てもらいたい作品です。
能年玲奈が上手くなってる!
前作では素人が台本読んでるだけという感じで映画を見ていても北条すずとしての声ではなく、下手糞な若手女優のんの声として聞こえてしまう箇所が多かった。
今回は本当にナチュラルに北条すずになりきった芝居をみることができ、とても良かったです。
構成と脚本は言わずもがな。大筋の流れはわかっていてもまったく新しい映画としてみることができました。
エンドロールの後にはリンの人生を振り返るおまけアニメーションがあります。
「神は細部に宿る」、この格言通りの作品だ。一見さりげない顔を見せな...
「神は細部に宿る」、この格言通りの作品だ。一見さりげない顔を見せながら、その表現力、テンポ。通常の劇映画にはできない技で、大胆かつ繊細に、そして奥深く、観る人の深層を打つ。もし前作が無く、「さらにいくつもの」が初見であっても、だれもが驚くほどの傑作と称賛するだろう。アニメ、劇映画を問わず、この作品の力量、普遍性は日本映画界の大きな成果だ。
完全版、なんだけど…
大好きな作品なので、あまり評価は下げたくないのですが…
すずさんの内面的な部分が補完され、恐らく描きたかったものが描ききられているんだと思います。追加された内容だってファン的には大満足だった。
しかし、映画の構成から考えると、主題から微妙にズレたところで間延びしてしまった感が否めない。
そもそも前作の時点で、過不足なく、必要な要素は全て描写されていたのです。緩急含めて、非常に濃密な内容の連続で、事あるごとに心が揺さぶられる感覚に驚いたものでした。
原作からずいぶん端折られた部分もありましたが、逆に想像の余地を残していたり、映画をみた後でも「あれはそういう意味だったんだ!」という発見があり、感動しました。
そういう意味では、今回の描写は、1つの答えを与えてしまうものです。それを、同じ映画の中でやる必要はあったのか?少しテーマを変えて、リンさんスピンオフで良かったのでは?と正直思ってしまいました。
重ねて言いますが、追加部分、決して悪くないです。相変わらず表現のセンスも素晴らしい。だけど、新たな衝撃を与える内容ではなく、元々本編でそれっぽく仄めかされていた内容なので、わざわざ全体のテンポを悪くしてまで挟む必要がなかったのが非常に惜しいです。
周作のたくましさ
前作は何故こんなシーンがせかせかと進むのかと思った。
後で時間の制約が厳しかったことを知る。
本作はそんな印象はなく、ゆっくりとストーリーを追うことが出来る。
そういう意味で完全版だろう。
前作と比べて存在感を増しているのは白木リンだ。
前作ではなぜ登場したのか分かりづらかったが白木リンの存在が
このタイトルのテーマに繋がっている。
そして周作、周作の姉と主人公のすずがこの物語の中心となっている。
頼りなさげに見える周作もじっくりと描かれた本作を見ると
こんなにたくましい人なんだと仕草一つ一つに思わせる。
白木リンとは対局にいる水原への対応、
白木リンに引きづられたすずへの対応にそれが伺える。
泣かずにいようと思ったが広島の遺児が周作の姉を
慰める存在になっていくシーンではやはり泣いてしまった。
前作で初めて知って初回での感動に及ばなかいが、
あらためて見る価値のある完全版だ。
先の通常版ではカットした原作部分を追加した長尺版で、良い作品だと思うけど・・・
先の通常版ではカットした原作部分を追加した長尺版で、良い作品だと思うけど、個人的には通常版のほうが好きだ。
今作の印象として、
通常版に比べて少しエロい
通常版に比べて少しグロい
通常版に比べてテンポが悪い と思う。
あと、スペアとしての嫁の立場は原作どおりだけど、このあたりの描写はそもそも無くてもいいんじゃないかと個人的には思う。
そのほかにも、上映時間に限りがある中で追加する必要があったのかなあと個人的に思うところがいくつかある。
原作にそった長尺版だけど、すこし冗長な作品になってしまった印象。
原作を再構築して話を短めにまとめた方が良かったのではないかと、個人的な感想。
ちなみに、けっして悪い作品ではないですよ。
完全版と呼ぶに相応しい。
…と言っても、「完全版」ってこれまで公開後にDVDを売るために作られた売り文句の場合が多かったが、これは違う。
前作の反響の多きさ・評価の高さ・興行的な成功はもちろん、クラウドファンディングなどで熱烈に支持されたその声に応えるため、前作で劇場公開のためにやむなくカットされた原作のエビソードが加わった、本当の完全版。
ここ数年で最も好きな映画の中の1本が前作「この世界の片隅に」。
劇場に何度も足を運び、DVDも購入。
そして3年の月日を経て、またあの作品が帰って来た。
それも、前作に散りばめられていた原作のピースが、シームレスに作品と繋がり、より大きくさらに厚みのある物語になって。
なんとなく言葉足らずだったり消化不良な感じのあったシーンも、ちゃんと補完されているし、すずさんの感情の動きもきめ細かく描かれている。
そして玉音放送の後の慟哭。
何回観ても私はここで感情が抑えられないのだが、今回は言葉もすずさんの気持ちがより捉えやすいように少しだけ改編されていて、今回も涙が溢れてしまった。
「生」も「死」も、決して劇的なモノではなく、日常の延長線上にある。
普通であること、その日常の大切さをすずさんの存在を通して教えてくれる。
人は独りではない。
どこかに必ず居場所があり、誰かと必ず繋がっている。
前作に比べてより分かりやすくなったことで、いわば「隙間が埋まった」「遊びがなくなった」様な気もするが、作品のメッセージが強く伝わる分、物語の基本線は同じなのに自分の中に新たな心の動きがあることに気づく。
そのくらい完成度は高い。
「昭和」の物語を「平成」から「令和」へと跨ぐ様に繋いだという意味でも、この作品の意義は大きく、その先の世代まで傑作として後世に語り継がれるのは間違いない。
こんなにも受ける印象が変わるのか
前作「この世界の片隅に」は大好きな作品なので複数回見ています。前作に思い入れが強い分、余計なものが足されてぼんやりしたイメージになったらどうしよう?と観る前は少し不安でした。観てびっくり、凄い。前と比較とかするような作品じゃないです。これはまた別の物語になってます。すずさんはすずさんなのだけど、隠していた心の内をもう少し見せてもらった感じ。途中悲しくてやりきれない気持ちにもなりますが、それ以上に心が温かく、優しい気持ちになります。
前作と同じ作品のようで、別の作品
前作より約40分長くなった長尺版となり、前作では不自然・意味不明だったシーンが繋がりを持つようになりました。
3時間近い上演時間ですが、ほとんど間延びすることなく最後まで見られました。
前作もそうですが、戦争をテーマにした映画としては珍しく、
「戦争はいけないことだ」というようなセリフを一切登場人物に喋らせることなく、
徹底的に歴史検証された時間軸の上で淡々と主人公たちの日常を描くことのみで
結果として戦争時の暮らしや悲惨さを描写している作品です。
私自身、この映画の題材である広島の呉の出身ですが、広島というのは日教組が強い地域で、
学生時代はただひたすら「戦争はいけないことだ」と教えられてきました。
しかし、勧善懲悪的な戦争作品や、明らかに話を盛っている被爆者の体験談など、
内心は腑に落ちないことが多く、そのうち政治的主張まで含まれるようになり、
次第に「反戦アレルギー」になって「反戦」に関するものにはなるべく触れないようになっていました。
前作の公開時も「また懲りずに戦争映画か」といつものようにスルーするつもりでしたが、
Twitter などでのあまりの評判の高さから映画館に行くこととなり、
そして初めて「腑に落ちる」体験をすることになり、今に至ります。
前作と本作は一部脚本が変わっているところもあり、同じ作品のようで、別の作品でもあります。
前作を見て本作でも、逆に本作を見て前作でも楽しめると思います。
前作はネット動画で有料配信もされているので、そちらを見るのも良いと思いますが、
前作同様、とあるシーンは真っ暗な映画館でこそ、というところがあるため、
是非1度は映画館で見ることをお勧めします。
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