この世界の(さらにいくつもの)片隅にのレビュー・感想・評価
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そりゃ良いに決まってるんだが
前作が素晴らしく良いんだから、それに加筆した今作も良いに決まってる。
でも、前作の素晴らしさを越えるような何かがあったとは思えない。肉付けしてるんだから、当たり前と言えば当たり前なのか。何を期待してたのかは、よく分からないが。
前作も良かったけど本作も
前作に加えて本作を見ることによって、「銃後」のリアリティに深みが増すように思う。
最近の現実にもあったように、兵を送り出す最高責任者は、自らは守られた環境下にいて、「重要だ。頑張ってきてくれ!」と"訓示"を垂れるだけ。
苦労するのは、最前線と守られない銃後の"普通の"人たち。
「これはこれで ゼイタクな 気がするよ…」
前作、
…と言っていいのか分かりませんが
前作が公開して間もない頃、
プロデューサーの真木 太郎 さんがネット対談で明かした
【30分、資金と時間の都合上やむを得ずカットした】
というお話を聞いて驚きました!
そして、真木さんは【片渕監督が望めば、〈完全版〉を手掛けてもいい】
ともおっしゃっていました。
その言葉を聞いて嬉しい反面、不安にも感じました…
「この30分間が復活したら、作品の密度が薄まってしまわないだろうか?」 と…
杞憂でした!
わたしたちは前作を観たあと、色々と想いを巡らせました。
何度も劇場に足を運んだ方、
何度も こうの史代 さんの原作を読んだ方、
何度も コトリンゴ さんの楽曲を聴いた方、
何度も のん さんの人柄に感じ入った方、
何度も 慰霊碑に祈りを捧げた方、
その度に、戦争に胸を痛めるわたしたち。
だからこそ、さらにこの作品が、愛おしくなる。
続編でもない。 焼き直しの長尺版でもない。
すずさんをはじめ、取り巻く人物のエピソードを《復活》させたことで
さらに強固な密度で、まさに《完全版》として名作が更新されたのです!
今まで、あらゆる時代と国で
勝手に始まって、勝手に終わっていった戦争のことを、その痛みを、
わたしたちは未来に伝えていかなければならない。
今まで、この世界の (さらにいくつもの) 片隅で生きた
すずさんのようなヒトたちがいたことを
わたしたちはけっして忘れてはいけない。
あなたたちが生きてくれたから
今、わたしたちが生きている。
「ありがとう、すずさん」
※追記 : ★マイナスひとつの理由は、
作品への思い入れが強すぎて、感情に流されないための
自分への戒めの釘を刺す思考といたしまして、
説明部分が加わって余韻が薄まってしまった感を
否定出来なかったわたしにあります…
2回目の観賞。 一度めは一人で、今回は友人と観ました。 私は前作は...
2回目の観賞。
一度めは一人で、今回は友人と観ました。
私は前作は映画館で4度観て、DVDは初日に買い、原作マンガもファンブックも買ってしまったものです。
前作の隅から隅まで知っているので、どうしても間違い探しみたいな観賞になってしまいました。
友人は、1回観ただけで、前作から2年後の観賞でした。
大絶賛でした。
「前作のセリフや行動が、追加シーンのお陰でまるで違って観える。まるで新作みたいだった。」
とのことでした。
ああうらやましい。
つまらない訳ではなく、最高に面白かったのですが…。
ああ、原作もファンブックも知らずボーっとしたまんま観たかったなぁ~!
さらに厚みが増した
前作は鑑賞。DVDも購入。原作マンガももちろん見た上での評価。
追加された部分は花街で生きる人間たち。
いわゆる「慰安婦問題」ではない形で彼女らを生き生きと描いた。
戦争中もみんな普通の生活。
この作品を変な政治メッセージとこじつけられたら絶対にいけない。
複数の視点でさらに掘り下げられた「この世界」。
片渕須直監督自身が述べているように、この作品は単に前作に30分追加した拡張版ではなく、ほぼ別の作品とも呼べるような内容になっています。
前作との最大の違いは、前作がすずさん中心だった物語であったのに対して、本作は周辺の人々、特にリンさんの視点が加わることで、より重層的な物語となっていることです。
彼女が深く物語に関与することで、すずさんと夫である北條周作さんとの関係が、単なる仲睦まじい若夫婦ではなく、非常に情念に満ちた関係であることが強調されます。同様に、北條家の人々のすずさんへの関わりに、前作では思いも寄らなかったほどの打算があったことが分かります。
こうした複数の視点から語られる物語は、終盤のある展開に収斂します。それは「無垢な自分」を含めて何もかも失っていったすずさんが行き着いた境地です。本作で最も印象的な場面ですが、前作以上にこの場面が胸に突き刺さる人も多いでしょう。同じ戦争を扱った作品である『ジョジョ・ラビット』が、最後まで無垢である事を失わないことと非常に対照的な展開となっています。今この時期だからこそ、本作と『ジョジョ・ラビット』を見較べてみると感慨深いかも知れません。
改めて劇場で観直してみると、映像だけでなく音響に大変な神経を使って作られた作品であることが実感できて、改めて片渕監督とスタッフの方々の熱意に心打たれました。この音響、そして本作で追加された新譜を体感できる点だけ取り上げても、十分劇場で観る価値のある作品です。
無印鑑賞済
りんさんとの描写が追加されたことで、周作との関係性も補完され印象が変わる。細かな描写にも意味が付加されたりしている。てるちゃんちょっと言葉が九州っぽいと思ったらクレジット中に「飯塚弁協力」の項目を観て、やはりと納得した。
子供時代の哲とのシーンの追加も後々効いてきた。
しっかり軍需工場でのエンジンテストで「いい音鳴らして」(実際はうまくいっていない場面だが)きたのは、ミリオタらしいというか(ですよね?)
枕崎台風にオチをつけてくるのがすずさんクオリティ。
知多さんがががが。
音楽も新曲追加やアレンジ変更など気合が入っている。
などが追加シーンの印象。
それと前からあったすずさんが焼夷弾を消す場面だが、黄燐焼夷弾だったら非常に正確に消し方を描いているとか(『このミステリーがすごい!2020年版』「皆川博子×辻真先 レジェンド対談」中の辻真先氏の発言より)。すずさんがやけくそになってめちゃくちゃに消してると捉えていたのだが、ちょっと違うのかもしれない。そんな新たな発見もあった。
原作の漫画を読んだので、戦渦で生きている女性をこんなふうに描いてい...
原作の漫画を読んだので、戦渦で生きている女性をこんなふうに描いているんだということは理解して観に行った。かなり期待していたのだが何故か全く感動しなかった。どうしてだろう、私はもう純粋ではなくなったのか。
168分!
2020年映画館鑑賞5作品目
長い長すぎる168分
冗長だ
尾骶骨が痛い
期待していた内容と違う
白木リンのスピンオフかと思っていた
前作ではボツになった白木リンの話を単純に加えた完全版というわけでない
前作の部分もけっこう削られテンポが早すぎる
それなら120分以内にコンパクトにまとめて欲しかった
編集下手くそと少し腹が立った
前回同様絵はいいし能年玲奈も喋りも良かった
最近のジャンプの漫画よりこういう絵の方が好き
政治家に忖度することを批判するくせにバーニンググループのトップに忖度して能年玲奈を使わないテレビ局の人たちは偽善者だ
それを批判しない新聞も大馬鹿だ
僕は世界の片隅でを反戦映画と受け取らない
それだとなんか安っぽい感じになる
戦争や自然災害など過酷な状況で生きぬく人間ドラマの素晴らしさだ
それでいてほのぼのとしている
笑顔が絶えない
たしかにみんな笑って暮らせるならいい
∋ ∈
3
世界に誇れる反戦映画であり人間讃歌
オリジナル版もそうでしたが、今作でも後半から涙止まらずでした。世界に誇れる反戦映画であり人間讃歌。人の暮らし営みだけでなく、どうにもならない複雑な感情といったものが本当に繊細に丁寧に描かれていて、ずっと切実な気持ちでスクリーンに引き込まれていた。今よりずっと、人々の人権意識が低く、一人ひとりの人権も守られず、命も儚かなかった時代(嫁入り、人身売買、戦争など)に、それでも日々の暮らしを紡いで繋いでゆく人々のたくましさ、生々しい感情、悲しみ、笑い、楽しみ、切なさがほんとに美しく、そこが反戦映画としてだけでなく、美しい人間讃歌として成立しているこの作品の凄さだと思う。流されるようにして呉にきた主人公も、ほんとは意志を持って人生を生きてる。夫にも真摯に向き合ってる。自分の感情を見て見ぬふりせず、丁寧に扱ってる。そんな誇り高き人の人生を見せてもらえたことが尊い。前作同様エンディングにますます泣いてしまうのだけど、自分が産んだ子でなくとも、子どもの姿というのはいつの世にも希望の光になるとも思った。
戦下の生と(性と)死
2016年公開の『この世界の片隅に』の改訂増補版。オリジナル作品では「戦争の「当事者」としての庶民」を強く意識しましたが、本作では・・・
昭和19年、広島で暮らす19歳の浦野すず。
突然、見初められれ、呉の北條家に嫁ぐことになった。
大らかで、鷹揚で、かなり世間知らずのすず。
嫁いだ先でも、性格は変わらない。
しかし、海軍鎮守府のある呉は、敵機の襲来を繰り返し繰り返し受けることになる・・・
というのは原本のレビュー時に書いたあらすじめいたものだけれども、改訂増補版でもそれは変わりません。
けれども、印象はかなり異なります。
原本が「戦争当事者としての庶民」を強く感じさせるにしても、主人公すずのキャラクターから幾分ファンタジーめいた感がなきにしもあらずでしたが、今回は、三業地の赤線の女・リンとの関係を大きく描くことで、庶民の「生身」感は強くなりました。
夫・周作とリンとの関係、さらに、周作とすずの夜の営みも描かれることで、性=生の側面は強調されています。
個人的には、三角関係=平和な時代、というようなイメージがあるのですが、戦下で死が近しい分だけ、より生々しいものに拘るのかもしれませんね。
この生々しさによって、玉音放送を聞いたすずの悔しさは原本以上に増幅したように感じました。
原本よりも、今回の改訂増補版の方を評価します。
只々愛おしい
前作ですっぱり切り取ったリンのエピソード。
個人的に寂しかったがあれはあれで英断だったとも思うし、物語としてとても綺麗にまとまっていました。
そのリンのエピソードを加えた本作。
ディレクターズカット版なのか、完全版というべきなのか、ともかく嬉しかったです。
そしてやはりというか、リンが入る事で物語にとても深みが増していました。
前作はとてもふわふわしててそれがまた心地良いのだけど、そこに人々の巡り合わせや生と死の重さが増したような印象でした。
前作も何度か観る機会があったのですが、回数を重ねる度じわじわ沁み入ってくる感じですね。
特にその台詞一つ一つが心に残ってくるんです。
それと桜の木のシーン、再現度の高さというか演出が本当に素晴らしかった。
全体のつながりも良く、新しい作品としてまとまっていましたね。
逞しくて、悲しくて、嬉しくて、寂しくて、そして暖かい。
只々愛おしい作品です。
広島で見るこの映画は感慨深い。この世界の片隅にもサロンシネマで見ま...
広島で見るこの映画は感慨深い。この世界の片隅にもサロンシネマで見ましたが、土地のもつ力を感じながら見る映画は格別。あの最後のシーンがお兄さんだったとは、、、。
すずさんは良いなぁ
監督の執念に感謝します。
こんなに素晴らしい映画を作って下さってありがとう。
見た人がすずさん萌えになる事必定な一本。
唯一悲しいのは前作のイノセントなすずさんが上書きてしまった事。
もちろん今作のすずさんも素晴らしいのですが!
この世界のさらにいくつもの片隅に
当時の夜の星の位置から釘の頭にギザギザがあったか?まで6年かけて時代考証や検証をし、商店街を再現、その家族まで出演させ、徹底的に普遍性を追求した前作をベースに、さらに原作の登場人物の個人の伏線を掘り下げた完全版になります。初めて観られる方も違和感なくストーリーを追える良作なので、気が付いたら片隅の世界に浸ってしまい、3時間近い上映時間が、あっという間に過ぎることでしょう。前作は11回映画館で鑑賞しましたが、特に、前作で伏せられていた、遊女のリンさんと周作さんとすずさんの際どい絡みや人間関係、リンさん、テルさんのある意味、片隅からの達観した悲しいエピソード。特にテルさんの全てを語るような、博多弁 よかねー で思わず感極まりました。呉工廠に務めるお父さんのシーンでは、35.8Lの副列星型空冷18気筒
2000馬力を誇る 誉 エンジンや二式大艇なども登場し、鉄道オタクさんだけでなく軍事兵器オタクさんも満足できる仕上がりです。当時の広島や呉にタイムリープし浸れる不思議な映画です。
とことん逞しく
168分の長尺が、自分にはまったく長いと感じなかった。
まるで新しい作品をもう一本観ているような、とはいえ
オリジナルの記憶がまだ新しいことで再発見にも至れる。
すず、リン、径子のこれまでの人生とこれからの運命を
丹念に掘り下げてやや大人版となった今作は、鑑賞者の
年齢や立場等で観る角度がかなり違ってくる。一女性が
たどる成長驒として、数奇な運命を振り返るきっかけと
して、現在の自分が感じるありのままを今後もこの作品
で追体験できることだろうと思った。
個人的には、径子の印象がかなり変わった。
意地悪な義姉でなく数々の不遇に見舞われた女性だった。
それでも自分で選んだ人生だから悔いはないと言い切り、
晴美を失った後すずに広島行を促す姿には涙がこぼれた。
すずが周作への愛を確実なものと認識する水原やリンの
エピソードでは、腹を立てて夫を罵る姿が印象的だった。
そうそうもっと想いをさらけ出せ、すずさん!と笑った。
喧嘩して言い合いを重ねて夫婦はどんどん成長するもの。
リンは周作の名書とお茶椀とすずの描いた絵を、きっと
死ぬまで大切に持っていただろう。
自分の居場所を最も分かっていたのは彼女に他ならない。
世界の片隅に活きている女性たちはとことん逞しいのだ。
径子を通じて思うこと
「この世界の片隅に」はDVDで観ました。そしてこの作品は劇場で。映画はやはり劇場が一番ですね。世界観にどっぷり浸かれます。
おっとりとした性格のすずを通して、その対極にあると言っていい戦争の存在が強烈に胸を痛くします。「戦争はダメです」‥このことを語り継ぐために必要な作品。そう思いました。
どんな時代にあっても、その中で繰り広げられるそれぞれの人生。時代のせいにすることもできる、人のせいにもできる。しかし、僕はこの過酷な状況で語られた径子の言葉が強く残りました。
「自分が選んだ道の果て」
恋をして、結婚をして、戦争が起きて、疎開して、離縁して息子を手放し、かけがえのない晴美を失っても「自分が選んだ道の果て」と言える彼女の強さに打たれました。そして、それだけに日本の敗戦を知った時に人知れず晴美の名を呼んで泣いていた姿が愛おしくさえ思えたのでした。
僕らは彼女に学ばなければならないと思います。「自分の選んだ道の果て」と言えるように。時代がどうであろうとも自分の人生を生きることの大切さを教えてくれたように思います。
径子の存在もまたすずの性格と反対側にあるものだと思いますが、戦争を通じてお互いの痛みを知りながら歩み寄っていく光景もまた印象的でした。
戦争が終わり、新しい家族が増えた北条家の幸せを祈らずにはいられませんでした。
いい映画
だいぶ経っていることをもあってか、別の映画を観ているような気がした。
前回のレビューは下記みたいな感じ。
-------ここから引用
主人公があまりにも普通で純粋なので、対比によって周りの環境の激変が際立つ。戦時中の疑似体験として、最高峰ではないか。それも、それを体験しようと観に来た訳ではないのに、体験するという凄さ。こういう作品が、戦争を風化させない映画なんだろうな。
-------ここまで引用
今回は、このレビューにはならないな。ひとりの女性の視点で数年を体験する映画、かな。(その点は変わっていないんだけれど、長くなりエピソードが増えた結果、そちらの印象が非常に強くなった)
すずと周作、すずと径子(晴美)、すずとリン… 知らない者達が知り合い、ウマがあったりあわなかったり、お互いを好ましく感じる時もいやあな気持ちになる時も経験しながら、暮らしていく姿、かな。その舞台として、たまたま大戦下の呉を選んだ、という感じ。
今回追加されたうちの多くを占めるリンとのやりとりは、楽しさとやるせなさに彩られていて、リンのセリフ「この世界に居場所はそうそうのうなりゃせん」が、この映画の中心にあるのだろう。
自分も、通常版を先に出したことが、結果として大成功だったと思う。こっちの作品(長尺版)は、咀嚼が大変。もちろん観た人それぞれの受け取り方なのだが。
余談
168分(2時間48分)は長かった。今回は、後に座ったカップルの男が、愚にもつかないことを大声で喋るヤツで正直参ったので、余計に長く感じたのかな。あ〜、鬱陶しかった!
より丁寧に描かれる事で感じる普通の暮らしと戦争
オリジナル版で衝撃を受けたのも記憶に新しい本作。戦争という非日常が背後にあっても、日々の暮らしを笑って、恋して、明るく、逞しく、普通に生きるすずさん達に、またしても涙が止まりませんでした。
戦争がいかに恐ろしく普通の人々までをも苦しめていたかが体感出来ると同時に、戦争中だって冗談も言えば恋バナもする、今の時代と変わらない普通の暮らしがあったこともまた実感。そしてそれを一瞬でぶち壊すのが戦争だということも、普通の暮らしを丁寧に描くことでより際立っていました。
この作品を今の時代に作ってくれて、この感情を抱かせてくれて、やっぱり感謝しかありません。多くの人に見てほしい名作です。
ぐっと大人の物語に
長尺版・・・正直大丈夫かなと思ってました。
だって再編集したやつで最初より良かったってあまりないんで。
でも心配は杞憂に終わった!
新たなシーンが加わることでより深く心情が描かれてぐっと大人の物語に。
新たなシーンも不自然さはなく前回は時間、予算の関係で泣く泣くカットしたんだなと。
すずさんがより魅力的になってます。
ぜひ観ておく事をお勧めします。
それにしてものんはほんと声があってるし、演技もすばらしい!
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