この世界の(さらにいくつもの)片隅にのレビュー・感想・評価
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前作と同じ作品のようで、別の作品
前作より約40分長くなった長尺版となり、前作では不自然・意味不明だったシーンが繋がりを持つようになりました。
3時間近い上演時間ですが、ほとんど間延びすることなく最後まで見られました。
前作もそうですが、戦争をテーマにした映画としては珍しく、
「戦争はいけないことだ」というようなセリフを一切登場人物に喋らせることなく、
徹底的に歴史検証された時間軸の上で淡々と主人公たちの日常を描くことのみで
結果として戦争時の暮らしや悲惨さを描写している作品です。
私自身、この映画の題材である広島の呉の出身ですが、広島というのは日教組が強い地域で、
学生時代はただひたすら「戦争はいけないことだ」と教えられてきました。
しかし、勧善懲悪的な戦争作品や、明らかに話を盛っている被爆者の体験談など、
内心は腑に落ちないことが多く、そのうち政治的主張まで含まれるようになり、
次第に「反戦アレルギー」になって「反戦」に関するものにはなるべく触れないようになっていました。
前作の公開時も「また懲りずに戦争映画か」といつものようにスルーするつもりでしたが、
Twitter などでのあまりの評判の高さから映画館に行くこととなり、
そして初めて「腑に落ちる」体験をすることになり、今に至ります。
前作と本作は一部脚本が変わっているところもあり、同じ作品のようで、別の作品でもあります。
前作を見て本作でも、逆に本作を見て前作でも楽しめると思います。
前作はネット動画で有料配信もされているので、そちらを見るのも良いと思いますが、
前作同様、とあるシーンは真っ暗な映画館でこそ、というところがあるため、
是非1度は映画館で見ることをお勧めします。
小さな幸せを大切に
率直な感想としては戦争って失うものは多くてもなにも生まないよねってのはまずなにより強く思う。
この作品がそれを主として訴えてるかどうかは分からないけど、まず第一に思った。
そして人の命や心って改めて脆くか弱いものなんだなとも同時に思う。普段はボーッとしてなにも考えてないように見える人でも、大切なものを失えば心が崩れ体も弱っていってしまう。
昨日まで元気でなんともない人が一瞬で命を奪われ、残された周囲もまた壊れかけてしまう。
だからこそ今を一生懸命生きて、そして小さな幸せを大切にし、周囲と笑顔で幸せに過ごすことが大切なんだなと改めて感じさせられる作品だった。
個人的にはとても楽しく鑑賞できたが、ただすごく目新しい作品かと言われると個人的にはそう感じなかった。
普通に見やすくてわかりやすく楽しめるといった作品に思えた。
新規EDでボロ泣き
新規カットはすずさんと周作さんの関係性の追加保管と、りんさんの追加ストーリーみたいな感じでしょうか。
約3時間の映画ですが全くそんな長いと感じられないくらい没頭できました。
今作は、前作の映画だけではしっかりわからなかった関係性や繋がりが分かり、より深く作品を感じることができました。前作を見た人も今作からの人もどちらも楽しめる作品になっていると思います。
軍艦や戦闘機に乗った人が戦う作品が多い戦争ものですが、残った人に焦点を当てたこの作品のように、様々な場所で悲劇があった戦争というものを後世につたえるにも是非多くの人にこの作品をみてもらいたいと思います。
万感の思いです
初日で初見です
冷静に観れない
ここまで来たかぁ
テアトル梅田で観れたのも嬉しい
感想にならない感想しかできない
2回目はちゃんと観れるかな?
3年前の自分に会えたら
泣いて報告できそう
作品を通していろんな思いが
カタチになったことに
ただただ、感動
こんなレビューでは参考にならないけど
今の気持ちを伝えたかったので
また観たら今度は感想をちゃんと書きたい
すずさんリンさん周作さんに再会できて嬉しくなりました。世界は少し広くそして深くなっています。
前作から3年過ぎて、ようやく完全版の公開です。観ないわけにはいきません。
と意気込んだものの…
前の作品は、私にとってものすごく完成した作品でした。
カントク自身の手によるとはいえ、それに手を加えられることで、
いったいどんな作品になってしまうのかと
期待と少々の不安を持って鑑賞しました。 前置き長くてすいません
で。
余計な心配だったようです。
前作同様に、気付いたらエンディングでした。
追加されたカットは
2~3秒程度のシーン追加もあれば、数分単位の追加もあったと思います。
聞いていた通り、リンさんを中心としたエピソードが多かったです。
リンさんと周作さん、二人が出会ったきっかけも分かりました。
私の中での「周作さん=遊び人なの?」」の疑惑も晴れました。 冤罪~
すずさんも、ぼーっとしているだけじゃない熱い血の通った女性と分かりました。
全体を通して、前作よりもストーリーが分かりやすくなったと思います。
前作を観ている方、ぜひ鑑賞してみてください。
観ていない方、この機会にぜひ鑑賞してみてください。
充実した2時間48分でした。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
12/22 タイトル等、一部を加筆訂正しました。
評価自体はまったく変わっておりません。
(こんな隅っこの訂正コメントまで見るひといないかな と思いつつ)
まるで新作
体感的に新規のカットが90分くらいあるのではないかと思える程、まるで新作を観る様な感覚で見る事ができた。
新規カットによって前の画が違った意味合いにみえてくるんだから、モンタージュ理論の教科書の様な作品です。
てゆうか、原作からカットした部分も細かく補完している(角の欠けたノートとか)2016年版がすごいんだけどね。
よくある、「完全版」とか「ディレクターズカット」とか「ファイナルカット」みたいな間違い探しみたいなヤツとは違います。『この世界〜』の世界が好きな人は必見でしょう。
解釈は色々
「この世界の片隅に」を鑑賞済みだが、長尺である事が全く気にならなかった。
よく分からないシーンは、解釈はそれぞれと思い楽しめた。
「すずさん」を中心とした、全般ほんわかとした優しい空気と、かわいらしい絵。戦争で失う様々な事が、よりクリアに感じられた。後世に残るべき作品。
さらにいつくもの
特別先行版に更に3シーン程追加されたそうで上映時間は168分!
全ての女性達に光当たる演出、
男性陣の想いもしっかり描写、
先暖かな終幕も心に滲みる。
素晴らしいアニメーション作品でした。
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2019年11月4日
TIFFにて特別先行版を鑑賞、
上映開始から感極まり、
ずーっと、
ずーっと、
ずーっと、
泣きながら観ていた、
. . .
人の心は複雑で醜く、美しい。
2016年に賞レースを席巻したこの世界の片隅にの「長尺版」いくつもの片隅に。東京映画祭の先行上映で観てきました。未完成版です。
※公開版も鑑賞済みです。加筆します。
東京映画祭版から再修正された場面もありました。
こだわりたるや、見事です。
……胸が痛い。
登場人物が皆、善良と言われていた前作この世界の片隅に、しかし、
すずさんは意外と勘が鋭く、人並み、またはそれ以上に嫉妬深く、主人の過去カノにプレゼントを突き返す強さがありました。
その優しい主人は遊郭の女に入れあげた過去があり、
人が良さそうな叔母は人前でズケズケと配慮のない言葉を並べ…
前作では見られなかった人の心の複雑さ、ややこしさを感じる場面がところどころに追加されています。
さらに描かれる5つの「死」
主人公のひとり、りんさんは理解ある友人、大人なようで、それは実は諦めが達観に繋がっているだけで、これがまた観ていて辛い。彼女は言葉通り女街を出る事なく空襲で命を落とし、彼女の同僚ですずさんに口紅を託したテルは呆気なく病で死に、最愛の妹は父母の死と、自らの死と必死に向き合い、知多さんはすずさんの想いを目の当たりにしたことが命取りに。そして慕ってくれた姪も。。
脆い、あまりに弱い彼女たちの毎日の暮らし。
それでも時に笑顔溢れる暮らし。ささやかな日々、それらいくつもの片隅が、べったりと真っ黒に、戦争に塗りつぶされていく。
前作で、私はりんさんもすみちゃんもきっと生きていると考えていました。
しかし、いくつもの片隅にを観た後はそうは思えなかった。きっと、彼女たちは皆死んだ。戦争に殺された。
義理の姉との関係に特化されていたこの世界の片隅に、とは違い、りん、テルらの物語も交えた多層的な物語に生まれ変わりました。
それがややこしく、テンポが悪く感じる方もいると思います。一度観て整理できなかったら原作を一読頂ければと思います。
いくつもの痛み、苦味、辛さ。そしてだからこその人の美しさ。
こちらもまた傑作。この世界の片隅にとは別の作品としておすすめします。
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