アルキメデスの大戦のレビュー・感想・評価
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日本人の性のようなもの
戦艦大和の建造をめぐる数学者の戦いという、原作の発想がまず素晴らしい。太平洋戦争には、非合理的な判断が数多くあり、先の大戦で最も欠けていた要素が、この作品の主人公の持つ合理的思考だろうからだ。戦艦大和はたしかに当時世界最大の戦艦だったが、全く戦果を挙げられないまま轟沈した。海軍の運用が適切であれば、もっと戦えたという意見もあるのだが、しかし、実力を出せずに散ったその姿は前後の日本人に判官びいきの感情とともに、無駄の象徴ではなく愛すべき対象として残ってしまった。
「この戦艦を作ってはいけない」と合理的な思考で判断をくだす主人公は、しかし、数学者として大和の設計を美しいと感じてしまう。数学者の業と日本人の判官びいきの心象がなんだか重なって見えるのだ。業や情緒を優先してしまうその有様はまさに日本人的だ。東京オリンピックのいざこざを見ていると、日本人は同じ失敗を繰り返していることは一目瞭然。なぜその失敗から逃れることができないのか。それは日本人の心象に深く根付いたもので、我々が日本人である限り逃れることはできないのかもしれない。
【演技やCG、ストーリー構成の優れた良映画】
アマプラで11月10日に視聴しました。大和やこの時代背景がとても好きなので自分にあった作品だなと思い、この作品を選択しました。
菅田将暉さんや柄本佑さんの素晴らしい演技(特に主人公の心情描写)やリアルなCG、ストーリー構成に興奮を隠せず、心を奪われて一気見をしてしまいました。笑
菅田将暉さん演じる櫂直、柄本佑さん演じる田中正二郎の二人が、当初の関係は芳しくなかったのに、目的のために協力をしていく最中で、友情が芽生えてゆく感じがとても良かったです。櫂直と浜辺美波さん演じる尾崎鏡子の恋愛感情も全くの違和感なく描かれていて、まず人間描写がとても良かったと感じました。軍部の上下関係なども事細かに作り込まれていたのだろうなと感じます。
戦艦大和や戦艦長門、また最初にある沈没シーンや最後の大和を眺めるシーンのCGがとても良かったです。これが戦艦なんだな、そう感じさせられる程にリアルで綺麗でした。
ストーリーの構成もしっかりとしていたため、順を追って見やすく、短い時間の中でも重みのある仕上がりでした。序盤や中盤の気づかないような伏線が終盤で回収されていたのも凄かったです。
正直、今まで観てきた映画の評価が落ちるような映画でした。それ程までに心を奪われました。原作があるようなので、作りやすかった面はあるのでしょうね。原作のアルキメデスの大戦の興味が湧いたので見てみます!
深海で永久に残り続ける大日本帝国の痕跡
大和は世界最大の戦艦であったのに戦果を挙げず、鹿児島県坊岬沖の深海に沈没。いまだに引き上げられません。
大和は、開戦までに大急ぎで完成させたため一部ハリボテだったらしい。また、建造は極秘であった(とは言え、徹底したリサーチをもとに描かれた“こうの史代さん”の原作漫画『この世界の片隅に』でも描写があるように、呉では戦艦大和の存在を知っている者もいた)。
完成後の数か月間、待機という名目で戦艦大和の中は豪華客船のようであり(豪華な食事や高級ホテル並みの寝具)、何故か相撲の訓練ばかりやらされたらしい(戦艦大和の関連本による)。
今作は、戦艦大和の予算に関することが描かれた原作漫画(著者:三田紀房)の実写映画化ということで、大変興味深い内容でした。
アメリカを戦勝国にするためシナリオ通りに開戦したような描写。フィクションということですが、大筋は事実に近いのではないかと思います。
天才数学者に扮する菅田将暉さん、おさげが似合う浜辺美波さん他、俳優さんたちの演技は抜群で、落ち着いたカメラワークで隅から隅まで時代の雰囲気を再現されていて、B級映画どころか完全にA級でした。
アルキメデスが紀元前に生きていたということですが、そもそも紀元前という時代の存在自体が確認のしようがありません。事実ではなく、あくまでも仮説としてなら楽しむことができます。
100年前の大日本帝国海軍のことすら謎だらけなのですから。
浜辺美波≒黄金比
大和はそれまでの戦艦とはあきらかにスタイル設計が異なる美しい戦艦。平山造船中将のセリフにはなるほどと思うこと(依代:よりしろ)もあったが、違うよと思うことも。
櫂は造船工学や波動物理学、気象学、航空力学(扇子飛ばし)にも精通。
原作はコミックで櫂少佐は架空の人物。
方程式はマユツバ物だけど、コミック原作だから文句つけても仕方ない。
軍艦の保有数や建造費を他国に公表しないといけない国際ルールがあったようだ。
東大の数学科の大学院生(菅田将暉)が一人で大勢の芸者をあげて、扇子飛ばしに興じる様は恥ずかしくてみてられない。
尾崎財閥令嬢役の浜辺美波の左右対称の整ったお顔にショックを受けた映画。櫂でなくても、メジャーで測りたくなる。おそらく顔の輪郭のみならず、いろいろなパーツのバランスが黄金比からなっているに違いない
ファンタジー海軍と呪いの子ども
あれれ〜?変だなぁ、ゴジラより全然おもしろいよ〜?
シナリオも、ところどころヤボ(蛇足)感なくはないけど、割と抑えられてて悪くない。
ていうかつまんないと感じる時間がほとんどない。これが日本映画だとかウケる〜
やればできる子!普段からこの調子でやってよー!
後半はもっとスパイアクション的になるかと思いきや、割とひたすら計算。それで正解なんだけどビジュアル的には地味→戦艦大和という問答無用の大ネタ→企画の勝利。そしてなにより戦艦大好き、大和ラブ!って人が愛情たっぷりに監督したことあってのミラクルなのかな。
VFX含めてこの出来は作り手にとっても快挙だろうし、さすがの庵野秀明も嫉妬したのでは?と思わずにはいられない。どうせならスピルバーグにはこっちを見てほしかったなー
菅田将暉はきっちり作品のトーンに合わせてくる的確なチューニングぶり。そこへ初手からギャグすれすれの帝国軍人仕草をかます柄本佑。つくづく、君のおかげで助かる命がある。
世に奥野瑛太が出てる映画はおもしろいの法則があるそうですが、今回もヌメっとした小悪党がいい。そういう奴にしか見えない。
そしていくらなんでもカッコよすぎの舘ひろし、絶妙な温度感で美声をかます國村隼、やや悪代官風味の橋爪功、と三者三様のゆかいな海軍と仲間たち、そこへ来て一番おいしいところを持っていくのは田中泯。
身体は大きく動かさず、絞った声とオーラだけで周囲をねじ伏せていく場面のスリリングさはまさに圧巻と言っていい。上手とか下手とか以前に胆力がスゲー、と思いました。そして最終的に悪魔かな?って思うようなキャラクターに仕上がってるんですよ!山田くーん、このキャスティングした人に座布団10枚以上あげてー!
原作の力があるとはいえゴジラより断然、好感触だったし評判以上だったので驚いた。
多少、演出が薄味すぎん?とか、わざわざ合わない劇伴をうっすら流すのかな謎…という場面もあるにはあったけど、そこまで多くはない。
とにかく冒頭のスペクタクル場面は山﨑貴+白組の気合いが炸裂してて想像以上だっだし、それがストーリー的にもちゃんと意味があったりなど、この手の娯楽映画としては文句なしの水準。えっ、私の基準、低すぎ…?
まぁ彼らが国家について語る時、なにしろそこに「陛下」のフレーバーがない限り、あくまで戦前の皮をかぶった現代人にしか見えませんけどね。。
戦争を巡る政治的な駆け引きの面白さ
冒頭、戦艦大和が沈むシーンで「スゴい!」と映像の出来に唸ると同時に、悔しいような悲しいような、苦々しい感情が渦巻くのを感じた。
戦争の最中、散っていく兵士たちが悲壮で哀れだから?そういう要素もあるかもしれないが、「タイタニック」で沈没シーンを観たときには感じなかった感情だ。あの時はただドキドキと不安と恐怖と無力感だけがあった。
だが大和は違う。
無力感も、「諸行無常」のような寂寥ではなく、何故自分にはこの艦を救う力がないのか、悔しさのような歯痒さのような、積もり積もって怒りにまで達しそうな、そういう無力感だ。
衝撃の沈没シーンから一転、月日は遡って次期主力艦建造会議がこの映画のメインストーリーとなる。
大艦巨砲主義と航空戦略主義の対立からなる、戦艦か空母か?の会議バトルだ。勝敗を決めるポイントは「予算」。数字で完全に決着するハズなのなに、排水量も兵装も多い戦艦の方が見積りが安い、という状況に空母案を推す山本五十六たちは不穏な気配を察知。
たまたま遭遇した櫂に目をつけ、戦艦見積りのからくり調査を依頼して、櫂の奔走が始まる。
櫂と、補佐につけられた田中のやり取りがとにかく面白い。
演じる菅田将暉と柄本祐のコンビネーションも申し分なく、徐々に櫂の仕事ぶりに感じ入り、できる範囲でサポートに打ち込む田中は、この映画の一番身近なキャラクターだ。
軍が気に入らず、能力が高いゆえに不遜な櫂に対し、堅物で筋金入りの軍人である田中。突如上官となった年下の櫂に振り回される田中。軍でのお作法をさりげなく教えてくれる田中。
櫂が主役なのに、田中の事しか書いてないな。
まだ人気があまりなかった頃から柄本兄弟が好きだった私としては、こんな魅力的なキャラを演じている事がすでに幸せだから、許してほしい。
櫂と田中の奔走が、虚しく終わることは冒頭でも示されるし、歴史を見れば明らかだ。なのに、それを暫く忘れさせるほど、二人の必死さに飲み込まれていく感覚は快感ですらある。
さらにこの物語の肝になるのは、帝国海軍の威信を背負わされた「戦艦大和」への秘められた想いだ。
かなり台詞で説明されるものの、映画冒頭で感じた「無力感」を思い返せば、無理筋ではない。
歴史上の出来事を覆してしまえば一気にファンタジーに突入してしまうこの物語を、太平洋戦争前夜の日本に踏みとどまらせる重要なシーンで、今まで積み上げてきた「櫂直」というキャラクターにリアリティを持たせ切った菅田将暉は、本当に素晴らしい役者だと思う。
見積りの謎解きミステリー、会議を巡る思惑のサスペンス、戦艦に関わる人間たちのドラマ、櫂と田中のバディムービー、とかなり欲張りな映画だが、すべてが高次元でまとまっていて最後まで楽しめる。
血まみれのシーンもほとんど無いので、バイオレンスが苦手な人にもお薦めできる、貴重な「戦争もの」だ。
ヤマトしゅっぱーつ
2024年2月29日
映画 #アルキメデスの大戦 (2019年)鑑賞
巨大戦艦“大和”の建造計画の是非を巡り、海軍内部が二分する中、数学によって計画を阻止しようと奔走する天才数学者の奮闘
#田中泯 が語ることは何でも重みがあるし、最近ハマっている #浜辺美波 はかわいい
そして、#戦艦大和 は記憶に残る
大和の佇まいが絶対的な美しい存在でなくてはならぬ
大和が絶対的な美しいさをたたえた存在で在らねばならなかったその意味する、真の理由を知ることとなる主人公。
数式や尺度の持つ美しさに魅了されて、それまでその世界の中でのみの人生を歩んできた、これまで政治や世界情勢には無頓着で数式の天才であった主人公。
それが全く偶然の、数奇な運命に翻弄され、入り込んでしまった畑違いの世界で最後に辿り着くこととなる、これから日本人を待ち構え、その身に起こる残酷で非常な真実を突き付けられる。
天才肌の変わり者の主人公、サスペンスや陰謀に挑む感や、軍内の勢力争いや階級社会の軋轢、軍と軍需産業の癒着など盛りだくさんで、ラストもどんでん返し的なオチ
等。
予告の印象と山崎監督だからという事で抱いていた「大戦もの」では無かった。
いい意味で、期待を裏切られた。
特に、菅田将暉が食傷気味なのと舘ひろしが苦手な事で、劇場鑑賞には至らなかった作品となっていたので。
観終わって、(残念ながら?)やっぱり菅田将暉は流石だと思わざるを得なかった(笑)。
柄本佑はやっぱり良かったし。
これまた流石、山崎貴監督だと、劇場で観ておけば良かったと思った。
うねりのある脚本と、田中泯さん
プロモーションは館さんと菅田さんでされていた記憶がある本作。ただ、主役は申し訳ないが、田中泯さんただ一人だった。
國村さん、橋爪さん、館さん、柄本さん、菅田さん、鶴瓶さんと、集めに集めた名優揃いの中で、舞踏家田中さんが全てだったと思う。
脚本の段階でこの役を誰にお願いするかは、練りに練られたと思うし、いろんな意見があっただろうに、そこにあの存在感を持ってこれた凄みを、脚本のうねりと共に目の当たりにするしかなく、申し訳ないが全ての俳優陣や演出が、田中さんのためのフリに見えてしまうほどだった。あの菅田さんですら、フリに感じる凄みだった。
とにかく、原作の素晴らしさが元にあるのはもちろんだけど、いつ戦艦の名前を出すか、どう見せるか、考えるの楽しかっただろうなぁー!!!と思える作品だった。プロットだけでへ地味な内容と言われてしまう危惧を、覆せる!!!と全員が思いながら制作したんじゃないかと思う、あっぱれだった。
これが、ゴジラマイナスワンの製作に繋がると想像して、いいものを見たと、心から思った。
山崎貴さんはVFXだけでなく、ちゃんと脚本も演出もすごいのだと、ベタな作品でない本作で改めて感じれてよかった。
賛否分かれる気がする。
ゴジラ-1.0が良かったので、アルキメデスの対戦も視聴。全く前知識なく、監督が同じってだけで見始めた。
戦艦大和が出てくるので実話ベースかと思いきや、明らかに違和感のある演技や思想をもつ軍人さん。
全くデータも示さず、これからは航空母艦の時代だ!いや戦艦だ!と言い合う馬鹿丸出しの会議のおかけでフィクションなんだな。とわかる展開。
しかも、相手の案を廃案にするためにとる必殺の作戦が相手案の予算案がおかしい事を証明すること。
航空母艦より軍艦が安いワケがない!ってみんな賛同してるんだから、それだけで充分なのでは???と思わざるおえない。など突っ込みどころ満載で、合わない人にはとことん合わないだろう作品だと思う。
オープニングで大和が沈む様を観ながら、日本みたいな小国がこんなデカい戦艦作ったら「自分たち凄い」って勘違いして戦争するよなぁ…。
って思って見始めたこともあって、ラストの展開はなるほど!と思った。
そういう意味ではしっかりした作品作りがされていたと思う。
ゴジラ-1.0の山崎貴監督作との事で、鑑賞 映画は、監督のものやな...
ゴジラ-1.0の山崎貴監督作との事で、鑑賞
映画は、監督のものやな
つくづく感じたわ
実は奥が深い映画…なのか?
主人子の天才数学者を菅田将暉がいつもの演技で演じる。
中盤以降は天才描写がイマイチだったので、数式が空中に描かれる天才ムーブを多用するとかしてもっと「只者じゃない」感を出してほしかった。
最後は「試合には負けたが勝負には勝った」みたいなスッキリしないオチだった。
例によってVFXは良い出来で特に冒頭の戦艦大和の戦闘シーンは素晴らしいがストーリー上無くてもいいような?
と、初見で感想を書いた後に山崎監督のインタビュー記事を読んだら、冒頭に大和を持ってきたのは「戦艦を作らせないための物語なのに完成してるじゃん?主人公負けるの?」と観客を戸惑わせるための作りだった(意訳)とか…んなもん分かるか!
そもそも、戦艦を作らない架空戦記的な作品だと思ってたし…。
あと、戦艦を作らせないための行動結果(成果)が、逆に反戦思想から製造に反対していた主人公の考えを変えてしまうという本末転倒というかアンビバレンツな結末も分かりづらい。
沈める目的での“不沈艦”との視点は目新しかったが…
4年前にどこまで評判になっていたのか、
存在すら全く知らないでいた作品だったが、
新造艦を巡る戦艦派と空母派の争いの物語性
に惹かれて鑑賞した。
しかし、全体にマンガチックで
何らのリアリティの無さに戸惑いを感じつつ
の鑑賞となった。
・主人公が米国留学を破棄して
山本らの依頼に応じることも、
・何の資料も無い中で建造費算出せよとの
空母派の命令の設定も、
・時間の無い中、メジャーで戦艦の寸法を
割り出そうとする行為も、
・過去の軍艦建造費が主人公の数式の通りに
ピッタリと一致することも、
・暴かれた戦艦建造費のカラクリも
敵を欺くためとのこじつけのような理屈が
上層部の支持を一旦は取り付けられる
会議の質も、
等々、
原作の設定なのかも知れないが、
底浅く安易でウケ狙いばかりの印象で、
それこそ全てがマンガチックに
感じてしまった。
ラストシーンでの、
大和は日本人の意識を目覚めさせるために
沈める目的での“不沈艦”との視点は
目新しかったが、
そんな造船中将の戦艦製造意図が
原作者の創作に過ぎないとしても、
吉田満著の「戦艦大和ノ最期」での
大和と運命を共にした海軍将校の言葉
「…日本は進歩ということを軽んじ過ぎた。
…敗れて目覚める、…技術の発展を軽んじた
…日本の新生にさきがけて散る。
まさに本望じゃないか」
との思索と比較して、
一見似ているようではあるが、
大和乗組員に対しては
裏切りそのものでもあるし、
組織のリーダーとしては
卑屈な精神の発露に過ぎず、
とても大和乗組員が残した
「戦艦大和ノ最期」が伝える
本当に祖国を愛する崇高な想い
と一緒に出来るものでは無かった。
ゴジラ見た後、見たくなる。冒頭からのシーンが見せ場。菅田くん、柄本...
ゴジラ見た後、見たくなる。冒頭からのシーンが見せ場。菅田くん、柄本さん、みなみちゃん、鶴瓶がいい。田中も。ラストシーンに向かう大和模型の前のシーンは震える。数学、素晴らしい。
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