ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのレビュー・感想・評価
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さすがのタランティーノ節。ただし手放しで楽しめない要素も
マーゴット・ロビー演じる女優シャロン・テートをめぐる史実を知ったのは、ビートルズに夢中で関連本も読み漁った十代の頃。カルト教祖チャールズ・マンソンが「ヘルター・スケルター」に触発され信徒らと事を起こした…とまあ、ビートルズつながりで知識があっただけだが、ハリウッド史の文脈で(フィクションを交え)描写された魅力的な彼女に出会い、歴史を学び直した気分になる。
レオとブラピのブロマンス味、マンソンファミリー拠点の農場をブラピが探るシークエンスの緊迫感、終盤のフィクショナルな飛躍など、心が躍り感嘆させられる充実作であるのは間違いない。ただ、ブルース・リーへの敬意を欠くエピソードや、女性への暴力をエンタメとして描くあたりが、ユマ・サーマンが昨年公表した「キル・ビル」撮影中にタランティーノに運転を強要され起こした事故を思い出させ、タランティーノは根が差別主義者なのでは、との思いを禁じ得ないのだ。
ハリウッドへのレクイエムであり、同時にアンセム!!
落ち目の活劇俳優と、彼に影のように寄り添う寡黙なスタントマンを主軸に、1969年のハリウッドが画面に蘇る。映画がTVに浸食され始め、通りを不穏な集団が闊歩する当時の雰囲気を再現しようとする監督、タランティーノのタッチは、愛情に満ち溢れていて、見ていてとても心地いい。それは、たとえリアルタイマーでなくても感じ取れるはずだ。実在するスターの意外な素顔、パーティシーンが醸し出す刹那的なムード、60'sファッション、人気のメキンカン・レストラン、車、整髪料、等々、登場する人物やアイテムが、映画好きは勿論、カルチャーに敏感な人のアンテナを刺激するに違いないからだ。また、この映画を見てロマン・ポランスキーとシャロン・テートについて調べてみたいと思う人もいるはずだ。狂気に巻き込まれた劇的に不幸なカップルのことを。それも含めて、これはタランティーノによる古き良き、もしかして、悪しきハリウッドへのレクイエムであり、同時にアンセムでもある。悲しいほどに無邪気で明るいシャロン・テート役のマーゴット・ロビーもいいけれど、前半は影が薄くて、後半俄然存在感を発揮し始めるスタントマン役のブラッド・ピットが、噂通り凄い。実年齢を超越しているマッチョな上半身を見れば分かる通り、彼はやっぱり究極のナルシスト。これほど俳優に向いている俳優はいない。是非とも、今後しばらくはこの生業を続けていって欲しいものだ。
とびきりと映画愛と共に、タランティーノの温かさと優しさが伝わって来る
セルジオ・レオーネの「ワンス・アポン・ア・タイム」シリーズを髣髴とさせるタイトルの一作が、彼を敬愛するタランティーノの手によって放たれた。両者のストーリーにさほど共通するところはないように思うが、ふと登場人物の思い出が脳裏を過ぎる瞬間、映像よりも音や声が先行して聞こえてくるあたり、細かなところで手法を踏襲している箇所もある。
とはいえ、本作の一番の見どころは落ち目のハリウッド・スターと、仕事がないのにジタバタしないスタントマン(モデルはバート・レイノルズとハル・ニーダムだろうか?)の腐れ縁とも言える絆だろう。レオとブラピが奏でる微笑ましいほどの関係性を見つめるだけでも最高の2時間半だし、今回のタランティーノは「弱い自分と向き合う者」への温かさと優しさが際立っている。そんな中、並行して描かれるシャロン・テートの日常がどう関わってくるのかにも注目。これ以上は口が裂けても言わないし、言えない。
1960年代の香り漂う、映画と西部劇に オマージュを捧げる映画愛ある作品
いたるところに1960年代の香りがプンプンする。モノクロのTV、往年の映画界のスター、今と比べて古いと感じるハリウッドの街並み、ヒッピーたち…。この映画を観たらもう60年代にタイムスリップした感じを受ける。
その中にディカプリオやブラッド・ピットを紛れ込ませたところで全く違和感なし。この時代でも彼らはスターとしてやっていけるんだろう。
しかし、ただ映画全般にオマージュを捧げているのではない。この映画は
西部劇、マカロニウエスタンにそれを強く捧げている。
その製作の舞台裏を余すところなく見せているストーリーだけでなく、リックの相方:クリスが荒野の一味で面と向かうシーンなんてのはもう西部劇。もっていない銃をいつ発砲するのかドキドキするような駆け引き。相手はヒッピーたち、しかしその戦うスタンスは西部劇のよう。この映画は最早西部劇と言っても過言ではないかも。
本作においては、ブラッド・ピットの演技は常に輝いていた。ディカプリオも演技巧者なのは間違いない。しかし家のアンテナを直すシーンで上半身裸になる場面は一級品。50歳代になってまだ魅せることのできる肉体美。そしてヒッピーたちとの殴り合い(クリスの圧勝)では心は笑顔が見えるのに拳には血が付いている。その飄々たる姿に目が釘付け。これは彼にしかできなかったと思う。まさしくオスカーに値する演技っぷり。
また、タランティーノの過激で暴力的な演出は今回も健在。フェチ的な演出も健在。ストーリーはなんと現実を改ざん。「イングロリアス・バスターズ」「ジャンゴ 繋がれざる者」と続けて歴史的事実を曲げた作品を作っているが、アクションとしてみるならやっぱり面白い。それを堂々とやってのけるあたり、彼は奇才だなぁと思う。
しかし、正直なところシャロン・テートのパート必要だったのか?助演でありながら、ストーリーにほとんど絡まない。正直いなかったら逆に見やすかったのではないかと思うほど。軽く混乱を期したことも、不必要と感じる要因だ。もしくは、クライマックスでシャロンとリックが会うシーンを設けることでパラレルワールドを観客たちに想像させたかったのか?こんな未来だったら良かったのに…と。
この映画はどのシーンをとっても見渡す限り古き良き時代に対する映画愛に、西部劇に対する愛に満ちている。タランティーノはほんとに映画が好きなんだろう。そして自分の好きなジャンルやその思いが詰まった作品であると感じた。
何度も観たディカプリオ、ブラピの初共演の作品。タランティーノの長編...
何度も観たディカプリオ、ブラピの初共演の作品。タランティーノの長編9作目。
劇場で観る前に出演者達を調べてたので「おっ ここで登場か!」と楽しめたし、マックイーンの顔で驚いたもんだ。
ダコタ・ファニングの登場シーンは特に「おっ!ここで登場か!悪女か?」と驚いた。
2025年に観返すにあたって、当時知らなかったマーガレット・クアリー、シドニー・スウィーニー、マイキー・マディソンの3人の見せ場も楽しもうと見てたら、オースティン・バトラーまで出演してたのは知らなかった。
そしてジュリア・バターズが演じる8歳の俳優とデカプリオのシーンは「よく見つけたな、この子役」と今でも感心する。(YouTube見たら天才児だと分かる 映画監督してる)
今作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でブラッド・ピットがアカデミー賞助演男優賞を受賞した同役クリフ・ブースを主人公にした続編となる『ジ・アドベンチャーズ・オブ・クリフ・ブース(原題)/ The Adventures of Cliff Booth』が作られる。
タイトル通りクリフが主人公で結構楽しみだ。元々はタランティーノが監督するつもりだったが、手放したらしい。ブラピが「作ろうぜ」と言ったが渋ったタラを説得する為にデヴィッド・フィンチャーを推薦してOKが出たらしい。
出演俳優の予定は、
ブラッド・ピット
スコット・カーン
エリザベス・デビッキ
ヤヒヤ・アブドゥル=マティーン2世
カーラ・グギノ
ホルト・マッキャラニー
J B・タデナ
コーリー・フォーゲルマニス
カレン・カラグリアン
ティモシー・オリファント
ピーター・ウェラー らしい。
2019年の今作は、4回目の鑑賞なのに自身のFilmarks掲載は "お初" だった様で意外。それだけ時間が経過し、そして久しぶりの鑑賞だった様で今度は171分版を観たい。
ノスタルジックで小粋な映画でした
リックとクリフの友情は心温まる。そしてシャロン・テートはキラキラしている。しかしこれらの描写は、かえって何か起きるのだろうか?と落ち着かない気持ちにもさせる。(実際起きた事件のことは鑑賞後に知った)
リックは、クリフにとって、欲を捨てきれない人間らしい愛すべき存在。クリフは、リックにとって、欲とは無縁に生きる癒しの存在。凹凸が上手くハマっている。
しかし…リックは、ポランスキー夫婦に招待され彼らの敷地に入っていく。憧れていた鉄格子の向こうが、やっと彼の目の前で開かれた。一方クリフは、スタントマンとしての役割を現実的にも果たし、大怪我を負い病院へ運ばれる。二人の人生は距離が開きつつあった。
さりげないシーンの積み重ねで、人生の機微を語る。
全編前フリ
映画観た!
映画館にも見に行ったけどまた見てしまった!
CS放送でたまたまやっていて、2回も映画館で見たのに、また見てしまった!!!
大好きです。この映画のブラピが一番好き!ブラピカッコ良すぎるし、ディカプリオはキュートすぎるし。
ラストのヒッピーなぶり殺すシーンは賛否あると思いますが、実際のシャロンがヒッピーに殺されたという史実に対するタランティーノの怒りが表現されていたと思うと、ホントやっちまえー!と単純な私は思うのです。
なんといってもあのイヌにサイン出して、イヌがヒッピーにかかってくとこ、最高カッコいい!!!
ディカプリオ演じる落目俳優がとっても人間らしくて大好き。散々NG出して自信失いかけるけど、バシッと決めたあと、子役俳優の子に褒められて涙ぐむシーンなんてもう…
最高です何度でも見たい映画。まさにエンターテイメント✨
現実では叶わなかったことを映画で叶える
いいところ 右肩下がりの俳優にそのスタントマン長い付き合いで、信頼...
いいところ
右肩下がりの俳優にそのスタントマン長い付き合いで、信頼関係があるいいコンビ。
子役の女の子がしっかりしていて、デカプリオとの会話の時に、子供は理想が多く、大人は現実と向き合いと言った感じで話していて、少し共感した。
スタントマンのプラットのアクションシーンが容赦なく、ハリウッドは強者の場所なのかと思った。
プラットが、デカプリオを送りさった後自分の車で家を去る時の運転がスタントマンなのだと思わせる運転でカッコよかった。
デカプリオのモーターホームでの自分に嫌気がさしてイラついているところは、自分が仕事で挑戦して、失敗した時の感情に似ていて共感した。その後自分を奮い立たせるシーンもデカプリオらしい演技で良かった。
酒場での娘を攫って脅迫シーンが成功して、感激するシーンで、上記のことがあったから一緒に喜んだ。
女優のマーゴットロビーは映画館に主演者として入ろうとして誰かわからないと揉めているシーンは涙が出そうになる。が、上映中本人が演じているシーンで、お客さんが楽しんでいるのを聞いて喜んでいるシーンは、嬉しそうだった。
つまらない
鑑賞前に予備知識必須!
良くも悪くもタランティーノ監督の世界観たっぷりな映画でした!
本作はタランティーノ監督が子供の頃だった1969年のハリウッドの様子を、ほぼ全般で描いた作品となります。特にマシソン・ファミリーの事件を知らないと分からないことだらけになってしまうのでしっかり予習して臨むことがお勧め。
映画は161分でラストの数十分で強烈なタランティーノ節が炸裂でございます。当時の車や街の様子や服装、そしてヒッピー文化といったように、まさしく1969年の光と闇が描かれてます。
映画で中心になるのは、レオナルド・ディカプリオ演じる落ち目俳優リックとブラッド・ピット演じるスタントマンのクリフの友情を描いています。ちなみに二人は初共演みたいです。もう、映画の9割がたは二人の渋い演技を楽しむ映画なのです。なので、ファンにはたまらない作品となります。
タランティーノ監督が、この映画でどうしても描きたかったこと。それは女優のシャロン・テートでした。現実は、残念ながら惨殺されてしまいましたが、監督は彼女が生き生きと人生を楽しんでいるところを見てほしかったと言ってます。劇中では、彼女が笑顔で明るく楽しんでいるシーンが沢山出てきますし彼女の魅力がたっぷり描かれています。演じるのは、マーゴット・ロビーですが、いやほんとに似ている!そして美しいです。まさに監督有言実行です!そこにはシャロン・テートが生き生きと人生を楽しんでいる様子が映し出されていました。
劇中には、ブルース・リーも出てきます。なんで出てきたんだろうと思ってましたが、後で調べるとシャロン・テートやロマン・ポランスキーと深いつながりがあったんですね。そこまでは私も知らなかったですので、映画観る前にブルース・リーとの関係も調べておくと面白いかもです。
俳優といえば、何気にものすごいビックスターも出演し大変豪華な顔ぶれです。しかもチョイ役でしか出ていなかったりしますので、映画を観ながら見つけてるのが面白いかと思います。私は出演している俳優を事前に見てなかったので、あ!アル・パチーノやカート・ラッセルや!って心でつぶやきながら楽しんで観てました。
そしてやってくれますタランティーノ監督!ラストの数十分で大爆発!!!これですこれです、タランティーノ監督が描く世界は!実際、映画観てもらって体験してもらった方がいいかと思いますので多くは語りませんが、この感覚は、同監督作品の『デス・プルーフ in グラインドハウス』でも体験した感覚でした。いわゆる静から動へガツン!って変化する感じです!
ただ、この映画は恐らく万人受けしないだろうなって思う映画でもありました。
かっこいい二人を眺めているだけの映画
迫力満点
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