劇場公開日 2019年8月30日

  • 予告編を見る

「さすがのタランティーノ節。ただし手放しで楽しめない要素も」ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0さすがのタランティーノ節。ただし手放しで楽しめない要素も

2019年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

マーゴット・ロビー演じる女優シャロン・テートをめぐる史実を知ったのは、ビートルズに夢中で関連本も読み漁った十代の頃。カルト教祖チャールズ・マンソンが「ヘルター・スケルター」に触発され信徒らと事を起こした…とまあ、ビートルズつながりで知識があっただけだが、ハリウッド史の文脈で(フィクションを交え)描写された魅力的な彼女に出会い、歴史を学び直した気分になる。

レオとブラピのブロマンス味、マンソンファミリー拠点の農場をブラピが探るシークエンスの緊迫感、終盤のフィクショナルな飛躍など、心が躍り感嘆させられる充実作であるのは間違いない。ただ、ブルース・リーへの敬意を欠くエピソードや、女性への暴力をエンタメとして描くあたりが、ユマ・サーマンが昨年公表した「キル・ビル」撮影中にタランティーノに運転を強要され起こした事故を思い出させ、タランティーノは根が差別主義者なのでは、との思いを禁じ得ないのだ。

高森 郁哉
YSKさんのコメント
2020年6月11日

アメリカ人のハリウッドスタッフからブルースリーは、変人で嫌な性格だったという話もちらほらあるのも事実です。

YSK
ShunActUさんのコメント
2019年9月9日

劇中劇のナチを黒焦げにするのと同じことをマンソン一味にしてみたって劇でしたし、襲撃犯らで一番悲惨かつ間抜けに撃退されたのも男性でしたし、8歳の女性への暴力的なシーンで正にその様にしてこその劇なのだとの丁寧な説明もありましたし、女性差別的なメッセージ込められているとは感じませんでしたね。
或いはヒッピー文化に対する嫌悪感は強く感じました。

ShunActU
ペニーさんのコメント
2019年9月8日

…これはただただタランティーノの願望なんだなって感じました。
こんな結末だったら良かったのになぁって
女性に暴力っておっしゃっていますが、実際に起こった事件は、女性が妊婦を襲ってるって事を忘れていませんか?
せめて映画の中でなら、これくらいの反撃をしてもいいんじゃないでしょうか?
それも許せませんか?
申し訳ありませんが、私は少しスカッとしました。

ペニー
croknちぬたぬさんのコメント
2019年9月5日

皆さんの見識と学識は、わたしを賢くしてくれた感じがして、読んでいてきもちー。
はなづまりがぬけた感じ。
この映画、いい映画でしたよね。

croknちぬたぬ
ツバキさんのコメント
2019年9月4日

表現者は、人間としてクズでも、社会の見本となる人物じゃなくてもイイんでは。作品が一級品であれば。

ツバキ
グレシャムの法則さんのコメント
2019年9月4日

鯖太郎さんへ
プロとか有識者(TVでコメンテーターを務めるような方々)とされる人の発言には、ご本人が望んでいなくても一定の権威や影響力が伴ってしまうので、客観性とか論理性でなく、実は印象や生理的な感覚が根拠の情緒的な内容であっても、説得力が付与されることがあるので、書き手側には慎重さが求められるし、読む側には漠然と鵜呑みにしないだけの健全な猜疑心が必要なのだとあらためて気付かされました。ありがとうございます。

A uVisさん、yoshuggahさんへ
目を背けたくなるほどの暴力描写はイングロリアス・バスターズにおいても、ナチスドイツの将校相手にありました。女性への差別的な背景があるのかどうかは本人以外誰も分からないので、決め付けるのはやめて別の視点…例えば、理不尽で邪悪な存在への被害者側の憎悪や怒りの象徴。或いは理不尽な暴力に対抗するのに同じだけ非人間的な暴力を行使するとこんなにもおぞましい不快な思いしか残らないということを知らしめる。そんな背景だって考えられませんか。
昨今のハリウッドのセクハラ問題やブラッド・ピットさんやディカプリオさんのキャリアを想像すると、差別的な意図を持つ監督に協力することはないと思われるし、もし、監督がそういう人だと知っていたのなら、二人とも差別的な演出を許容したということになりませんか。

グレシャムの法則
yoshuggahさんのコメント
2019年9月3日

私もブルースリーだけでなく最後のバイオレンスシーンを含め差別的なものは感じました。
詳しいのにわざわざああいった描き方をするのは悪意を感じざるを得ません。

yoshuggah
鯖太郎さんのコメント
2019年9月2日

タランティーノの日本をはじめとしたアジア人への敬 意は素晴らしいです。この映画でのブルース・リーについても様々な文献から引用したセリフであり、シャロン・テートをはじめとした俳優にアクションを教えていた下積み時代です。その時代のハリウッドを築いた人物としてあえて描くことに敬意を感じました。しかし、物語における優先順位はブラピをカッコよく描くこと。
そのブラピが走り回していた車カルマンギアはユマサーマンが事故った車です。あの事故シーンのフィルムはタランティーノからユマに提供し、和解、反省もしています。しかし同じ車を使うあたりのタランティーノのクレイジーさは映画好きだからこそ、表現として譲れなかったんだとおもいます。その最高峰の馬鹿さが皆が愛するタランティーノの映画愛なのかなと。
影響力もあるPROレビュワー様がニュースの断片や映画の表現から差別主義者であると記載しておられ、そこはいちファンとして見逃せず、書かせていただきました。

鯖太郎
kokobatさんのコメント
2019年9月1日

タランティーノに関する見解は全く同意します。

彼の作品群は面白さに比例して鑑賞者の高いリテラシーが必須で、
ツッコミ待ち
である事が前提のはずですが。
自明に思えるそれを欠いた評価は全く社会的価値を持ちません。
残念ながらこの本来のアンダーグランド作家は表裏逆転した時代を代表する理解をされていると言わざるを得ないでしょう。

kokobat