クリード 炎の宿敵のレビュー・感想・評価
全62件中、41~60件目を表示
あの"殺人マシーン"も…
まず今回の続編決定にあたり、
「前作が豊作だった2015年の映画の中でも一番と言ってもいいほど面白かった」
「その時の監督であるライアン・クーグラーが(スケジュールの関係もあり)監督を降りる(製作には携わっているそうです)ことになった」と聞き、不安を抱いていました。
しかし、きちんと前作でも好評だったカメラワークや音楽の導入など「若々しい感性の演出」を一部引き継ぎつつ、前作よりもエンターテイメント性の高い仕上がりになっており、ファイトシーンは前作とは違うベクトルの迫力も感じました。
前作よりも「泣く」という要素は減っているように感じましたが、それでも最終決戦後のロッキーの後ろ姿や言動には目頭が熱くなりました。
この映画は親子の「因縁」や「2世対決」にフォーカスが当たりがちですが、各キャラクターとの「絆」も見所でした。
偉大なる父の影の大きさに悩み、また今作では自身も父として苦悩しながらも前に進み続けるドニーと正しき道へ導こうとするロッキー、それを見守るビアンカ、メアリーアン。
そしてロッキー自身も、過ちと今一度向き合い、彼もロバート・バルボアの、そしてアドニス・クリードの「父」として成長していく様に感動しました。
また、ロッキー4では勝っても「冷徹なマシーン」、怒りを露わにしても「エラーを起こしたマシーン」、負けて愛想をつかされても「廃棄処分が決まったマシーン」という感じで徹底して無機物的に描かれていたイワン・ドラゴですが、今作は1人の人間として、また厳しく(時に八つ当たりにすら見える)も自身と同じ道を歩ませまいと必死にもがく「父親」として描かれており、それに応えようと過酷なトレーニングに挑むヴィクターとの親子愛に、敵役ながら「思わず」感情移入してしまいました。
新年に自信を持ってオススメできる一本です!!
前作より好き。音楽も好き。
主人公アドニス、その妻ビアンカ、イワン・ドラゴ、ヴィクター・ドラゴ、アドニスの母メアリー・アン、もちろんロッキー…それぞれのキャラクターの視点で観られる作品なので、評価も様々になる気がします。
だから、批判的なレビュー投稿の中にも、なるほどと納得できるモノも多いです。
私は前作が個人的にはイマイチだったので我ながらロッキー愛に欠けていたかな、と今回は「ロッキー4 」を当時以来久しぶりに観て劇場にむかいました。
その分、ドラゴ親子に対する思い入れが強くなったことは否定できません。
かつてロッキーに負けたことで地位も名誉も失い屈辱を背負って生きてきた父親イワンが、それを遺伝子の様に引き継ぎ代理戦争に巻き込んだ息子に、最後は彼自身がタオルを投げてその呪縛から開放してやる(親のためではなく、恨みを晴らすためでもない。自分のための戦いなんだ)という流れはとても良いのですが、もう少し彼らの今後に希望を見せてあげないとあまりにも救いが無さ過ぎる気もしました。ただ、ラストでまたトレーニングを始める二人の姿を見せられることで、この親子に肩入れした私としてはよりこみ上げる何かがありました。
一方で、主人公に関する「なぜ、俺が戦うのか」という命題が、しっかりテーマとして描かれていて、前作よりも私には腑に落ちました。
生まれた子供の耳が不自由だったという事実に対してロッキーが「(あの子は)自分を憐れんではいないぞ」という言葉は、「自分の人生を評価するのは結局自分自身しかいない」という、主人公が悩んでいる事実への1つの解答であり、この挑戦が父親の仇討ちではなく、自分自身の戦いなのだという現実をちゃんと描いています。
そして選手達の鍛え抜かれた身体、そして最後の戦いに向けて仕上げた体躯のさらに素晴らしいこと。(荒野でのロードワークで倒れて立ち上がるシーンを感動風にしたのはちょっとどーかな、とは思いましたが)
社会的には「あのアポロ・クリードの息子」として非常に恵まれた環境で生まれた彼が、ボクサーとしての人生で出会う挫折と克服、という意味では前作よりもよっぽど説得力があると感じます。前作ではただの「坊っちゃんのワガママ」にも見えてしまった部分が、今回はちゃんとボクサーとして、父親として、男として、人間としての成長に繋がって描かれています。(1作目のファンの方は多い様ですが、私は断然こちら推しですね。)
飄々とした演技が光るシルベスター・スタローンの、ラストの息子との再会で見せたぎこちない雰囲気。ここも良かった。孫の子供がめちゃくちゃ可愛い。
奥さん役のテッサ・トンプソンもいい。
そして、その物語をドラマチックに飾る音楽がまた素晴らしい。
「ロッキー4」が当時MTV全盛期のサントラ主導という印象だったのに対して、本作の音楽はよりストーリーに対して緻密に練り込まれていて、何より音楽自体が「新しい」「新鮮」。
この時代の新たな英雄譚の始まりというにふさわしい楽曲が並んでいます。
とは言え、過去作を観ていなくてもメッセージはちゃんと伝わって来る様にできています。
ここまで書いておいてナンですが、この映画を決して傑作だとは思いません。
でも、シリーズと供に年齢を重ねたファンには、いろいろな感慨を抑えられない、そんな映画です。
ぜひ劇場でご覧下さい。
素晴らしい!!!
ロッキー4は見たことを忘れさせない衝撃的な始まり方で幕を開ける
生涯忘れることはないアポロの死。そのことのコンプレックスを抱えた愛人の子アドニスクリード。恨みに身を任せ挑発にのりボコボコにやられ、本当の戦う理由を見つけ見事自分の父を殺したドラコの子ヴィクターを倒す…
シナリオは王道中の王道だが、細かいところが素晴らしい
テーマの親と子というところが非常にうまいタッチで描かれている
裏テーマは次世代の台頭。最後のロッキーの後ろ姿を引きのショットは、芸術そのもの。あしたのジョーさながらである
ドラコが血に染まったタオルを投げ、試合が終わるというのもロッキー4に対する答えになっている。特訓が荒野で行われるのもロッキー4のオマージュになっていて楽しめた
中盤で若干ペースダウンしたかなと感じたがそれが後々生きてくるのでプラスになった。
新年にふさわしい映画かつ、今年ベスト級の映画であった。
一見の価値あり!
暫くぶりのロッキーシリーズ
ロッキー4以来、ご無沙汰していたが今回は前評判が良さげなのでIMAXで鑑賞。
時は流れても、あの凄まじいトレーニングシーン、最終ラウンドまで縺れる激闘の凄まじさは健在でした。
負けたドラコ親子が2人で黙々とランニングしているところは実に良かったですね。
理屈を捏ねてないで観て、感じてください。
敵も魅力的
2019-003@T・ジョイSEIBU大泉
世代的にロッキーは未鑑賞、前作鑑賞済だけどうろ覚えの状態でも十分楽しめた。
話としては大筋では王道。
でも、主人公が挫折した時に普通なら無様だな、、ってなる所がロッキーは優しい。深い海の様な優しさで主人公を包み込む。痛みを知ってる人間は強いな、と。
肝心のボクシングシーンは、ヘタなボクシング映画だと役者さんのバストアップのショットを多用して誤魔化したりすることもある中、そこはロッキー、素人目にはちゃんとボクシングしてたし、迫力もあって満足。
大振りのパンチが多いのはご愛嬌といったところか?笑
そして、敵役のヴィクター。
この作品の主要キャラは皆誰かが誰かの親で、とりわけ父親としてどうあるのかロッキーを含めて模索している。
そんな中ヴィクターだけは一人のボクサーとして存在している。
台詞は少なくはじめのうちは何のために闘っているのかな?と不思議に思うのだけど、話が進むうちに父親のために闘っているのがわかる。
そこがどうしても泣けてくる。
おそらくだけど、彼のエピソードをもう一つ増やしていたらお客さんは皆、彼になびいてしまったんじゃなかろうか。
最後の闘いでダウンしたヴィクターに向かって、頼む勝ってくれ!と思った人は自分だけではないはず。。。笑
アドニスがそうしたように彼が自分のために闘うようになった姿を見てみたい。
虎の穴
ロッキーがコーチするんとちゃうんかい?!
悪くないけど…何故か入り込めて観れなかった。
あの音楽が鳴ると
テンション上げるね!
それ以外の音楽が邪魔に感じた。
ドラコを応援したくなってきた。
ポスターかっこいい!
最初から最後まで涙
冒頭の憎悪でしか結ばれていないドラゴ親子の荒んだ生活から涙が出てきました。英雄と呼ばれたロッキーの栄光の陰でもがく親子の辛さたるや……。
そしてその後に登場した成長したドニー。順風満帆に見えた彼にほっこりしたのも束の間、アポロとロッキーが手にしたチャンピオンベルトを手に入れ、ビアンカにプロポーズし、結婚。そして妊娠まで。同時にドラゴからの挑戦を受けるか否かでロッキーと決別。父親と同じ立場に登りつめたドニーにのしかかるプレッシャーと、再び父親(のように思ってるロッキー)から見捨てられた怒りで冷静に戦えないドニーが憎悪しかないドラゴにボコボコに痛めつけられる姿はあまりにも生々しく観ていられないほど。
そこから這い上がるドニーと彼を温かく支えるビアンカやメリーアン、そしてロッキー。
厳しいトレーニングを経てドラゴと再戦し、おなじみのテーマ音楽をバックに奮闘ドニーの強さに感動し、ドラゴ親子の苦しみに胸を締め付けられました。
何より、ラストのシーンを思い浮かべると今でも泣けてきます。
アポロの墓前で妻と子供を紹介するドニー。
疎遠だった息子をようやく訪ねたロッキー。
憎悪ではなく愛情を持ってトレーニングするドラゴ。
3つの親子が再びスタートして終わるという、なんとも感動的なラストシーンで、大泣きしてしまいました。
前作に引き続き最高の映画だと思いました。
みんな成長した
クリードはハートの弱いチャンピオンで、周りの助けで頑張れてる。ロッキーは他人には的確なアドバイスをするけど、自分の事は不器用。クリードもロッキーもイワンも最後は1つ成長したようで、ちょっと物足りなさは感じるけどいい終わり方だった。炎の宿敵とあるが、宿敵はドラゴではなく、自分だったということです。
やはり
スタローンは華がある。ロッキー、いつまでもご健勝を祈っております。
ドルフとブリジットは出てるだけだったな
ドラゴ陣営がまるで描かれていないのが非常に残念だった。
ロッキーに負けてからどんな苦汁を飲んできたかで、汚い手を使ってでも勝つ事を正当化できるのに。いきなりフィリー(!)に乗り込んできて喧嘩売って、反則して。
嫁も途中で帰らないで檄を飛ばしてくれよ!
最後も和解もしないし。
「4」のラストのロッキーの説教をきいてたらこんな試合をしないだろ。
親はバチバチやってるけど、二世の俺たちは正々堂々やりあうぜっ!!っていうのが観たかった。(後出しジャンケンですね。すいません)
ドラゴのリングインの時に来た“ウルっと”は“無駄ウル”だったぜ!
試合数も少ない。ドラゴの咬ませ犬にコンランを出せば「4」へのオマージュにもなったのでは?
とか言っても、例のファンファーレが聴こえるとウルっとくるんだよね。
多分目をつぶってても泣けるんじゃないかな。
俺たちはエモい音楽さえ聴こえれば名作扱いしちゃうんだ!!ボヘとか、グレとか、
ドラゴをもっと観たい
ラングレンの雰囲気と演技が最高!
期待に応えようと奮闘する息子。
だが、劣勢になるのを見て、無情に席を立つ元母ルドミラ。
それを見てタオルを投げる父親。
そして一言。
『もう、いいんだ…』
涙が止まりませんでした。
最後に二人で微笑ましくジョギングしてるシーンもジーンと来ました。
【ドラゴ】というタイトルでこの親子の物語が観たい!
ありがたいロッキーのお言葉満載!
エンディングで何とも複雑な心境にさせられたシリーズ二作目。
自分はこのエンディングでドラゴ親子にとても同情して涙を流してしまった。
スポーツは国によってはその国の名誉をかけるところもあるわけで、ドラゴ親子は人生を国の名誉を汚したという敗者としての苦悩を味わい続けてきた。そして今作でクリードに負けたことで再び敗者としてもなお汚名返上をするべく前を向いてトレーニングを続けていくというラストシーンは何とも切ない。
それゆえにクリード勝利を心から喜べない若干の後味の悪さは残ってしまった。
個人的にはラストの試合後にクリードがドラゴ親子に対してのリスペクトのマイクパフォーマンスがあったりすればドラゴ親子の傷も癒えたのではないかと、まぁそれがスポーツの厳しさと言われればそれまでだが…
しかしそれ以外は前作同様、古くからのロッキーファンのツボを突きまくるノスタルジーな演出も随所にありながらも新しいロッキーイズムをさらに確立させているあたりは期待どおり。
今作はやはり「ロッキー4」との比較は避けられないわけだが、なるほどこんなやり方できたかとか、こんな違いを見せてくれるのかと興味をそそる部分もたくさんあって楽しめた。
前作以上にロッキーとクリードとの師弟愛は深まり二人のやりとりを見ているだけでもグッときてしまう。そこにはやはりロッキーのお言葉が常に深く心に響いてくるものだからだと思った。
自分は10代の頃から「ロッキー」シリーズを見ては毎回元気をもらってきたが、それは「クリード」シリーズにも間違いなく受け継がれている。
オールドファンも必見だが、今まで「ロッキー」を観たことない人達にも是非オススメしたい。
What will you really fighting for? 今回もアツかった!
誰もが知ってる「ロッキー」の続編、「クリード」の第2昨目です。いっやー、今回もアツかった!話のストーリーは王道過ぎるぐらいなのですが、それでも「ロッキー」である事から1ミリもブレずに1級の胸アツ作品に仕上がってます。ホント好きだわ、このシリーズ。
本作では今までよりもっと「家族」にフォーカスしてある印象でした。アドニスが父親になる事、ドラゴ親子、ロッキーの親子と家族ドラマが中心に来ています。元々ロッキーはボクシングを通しつつもドラマの面が強かったですしね。ドラマパートがしっかりしてるからボクシングの試合も盛り上がるもんです。
しかし、試合の場面はホントに痛そうでした。アドニスが肋骨を打たれた時には観ているこっちも「ヒャッ」っていう変な声が出てしまいました(周りで観てた方ごめんなさい!)。後、トレーニングシーンでのアドニスの走ってるフォームがカッコいい事!マイケル・B・ジョーダンしっかり体作ってきてるなぁ。素晴らしい!
またスタローンの円熟っぷりがいいんですよね。ロッキーの言葉一つ一つに重みがあります。スタローンはアクション俳優でヒットしてから低迷してた時期もありましたが、ここに来ていい歳の取り方してるなぁっと思います。元々ロッキーの脚本でアカデミー賞取ってるだけあって、ドラマ作りは上手いですよね。最終戦でアドニスが勝利した後に、今までだったらリング上での喜びがメインだったのが本作ではリングを見つめるロッキーの背中で、世代交代が嬉しくもあり、寂しくもありといった感じで何気に印象深いシーンでした。
ロッキーの面白かった要素を見事に引き継いでいるクリード。ベタな展開でも見終わった後はスッキリと明日も頑張ろうって気持ちになれる良作でした。
それぞれの家族の絆と熱い戦い
今までロッキーシリーズを全て観てきましたが、それぞれの家族の絆も含め、一番魂を揺さぶられた内容でした。ロッキー万歳。ドラゴはやはり強い。何度でも観れる。。
立てヴィクター
ドラゴ親子を応援していた。
ヴィクター、立て!って思った。もうクリードシリーズはこれで完結で次はドラゴシリーズのはじまりの予感。スタローンの脚本でぜひ映画化してほしいね。
立っんだ!クリード!
今度の敵は、ドラゴの息子だ!
ドラゴの父は、アポロの仇であるし、ロッキーは父を負け犬にした宿敵 遂にヘビー級を制したクリードに
襲いかかる。ブリジットニールセン再登場には、びっくりしたなあ!
ロッキーのテーマーが流れると熱くなるぜ!
シリーズファンは必見
最初に言っておくと、前作ほどのインパクトは無かった。ただ、本作が悪いと言ってるわけではなく、クリード1作目があまりに突出した傑作ということで、今作も素晴らしい作品です。
個人的な比較ですが、前作では後半1/3ずっと号泣してましたが今作はクライマックスで号泣したぐらい。結局号泣はする。
ロッキーシリーズ含め過去作を思い出させる展開も多いので、全作見た上での鑑賞をオススメ。というか普通に面白いのでシリーズ全部見てほしい。
一番良かったシーンはドラゴがタオルを投げ込んだところ。あそこでドラゴは勝利も栄光も捨てて息子を救ったんだけど、同時に、「あの時タオルを投げられなかったロッキー」も救われたように感じられました。
そう考えると試合の結末をこうしたのは素晴らしい。
欲を言えば、ドラゴ親子の話をもっと深く描いてほしかった。ラストで一緒に並んでランニングしているシーンで少しホッとしたけど、もうちょっとだけ明るい未来を見せて欲しかったかなー。ドルフラングレン好きの個人的な願望ですが。
“クリード”、“バルボア”、そして“ドラゴ”
いきなり2019年ベスト映画が来てしまったのではないか。大方の予想をはるかに覆し、ライアン・クーグラーの名を世界に轟かせた前作からはや3年。“クリード”シリーズは重厚で壮大な家族の物語を描いてみせた。
アドニスは前作からさらに成長し、世界チャンピオンにまで上り詰める。現実世界でもマイケル・B・ジョーダンは『ブラックパンサー』でキルモンガーを演じて大スターとなっている。今作では肉体も演技もより堂々たるものとなった。
だが、そこに“ドラゴ”親子が立ちはだかる。ヴィクターは冒頭からソファーで雑魚寝中に起こされ、ランニング中に『早く走れといったら早く走れ。』と叱咤され、試合中すら父親に罵倒される。およそ親の愛情など受けたことがないであろう彼の憎しみがこもった目は忘れがたい。演技経験のないフロリアン・ムンテアヌだが、本物の格闘家ならではの闘志むき出しの表情は見事だし、父・イワンに責められる時の恐れや悲しみや寂しさが出てしまう情けない目も見事だ!
そしてなにより素晴らしいのがドルフ・ラングレン演ずるイワン・ドラゴだ。30年以上にわたる悲しみと憎しみが刻まれた顔と佇まいはアカデミー賞ものだ。最初こそ冷静な面持ちだが、イタリアンレストランでロッキーと邂逅した際には地の底から響くような憎悪がこもった声で喋り出す。男の色気と哀愁に満ちた瞬間だ。
恨みで視界が曇ったアドニスに相手の規格外のパワーに為す術なくKO寸前。相手の反則負けにより王座は守られたが、自身の情けなさと憎しみでアドニスはさらに苦しむ。だが愛娘アマーラの誕生により、父親の過去の遺恨ではなく、今を生きる家族とその未来のために立ち上がる。『ロッキー4』よろしく僻地での地獄の特訓を経て蘇るアドニスの虎の目!今回は雪原ではなく荒野というのが画面をとてもフレッシュにしている。癒えたばかりの肋骨を殴ってどうするとかは言ってはいけない。
そしてクライマックスの試合は本作最大の目玉だ。前作以上にアップを多用し、よりキャラクターの内面に飛び込むカメラワークに興奮した。何度殴られても不屈の闘志で立ち上がる姿はロッキーそのもの。よりダイナミックに仕上がったお馴染みのテーマとアドニスの勇姿!負けじと立ち上がるヴィクター!ルドミラが退席しても諦めないヴィクター!復活したアドニスにタコ殴りにされても立ち続けるヴィクター!
何を隠そう筆者はアドニスのドラマ以上にヴィクターのドラマに号泣してしまった。生まれてからずっと親の愛情を求めて戦い続けたヴィクターを思うと、この文章を書いてる今も目頭が熱くなる。『ロッキー4』では冷徹な悪役に描かれたドラゴ側にも骨太なドラマを持たせたことこそ本作最大の魅力だろう!一番大事なものは国でも威信でもなく息子と気づいたイワンが投げた血染めのタオルにその全てが詰め込まれていた。
試合が終わり、アポロの墓前で孫娘を紹介するアドニス。そしてはるばるロバートのもとまで足を運ぶロッキー。“クリード”と“バルボア”、そして“ドラゴ”の親子の間に流れる壮大なドラマ!今年のチャンピオンは『クリード 炎の宿敵』で決まりだ!!!
ロッキーのDNAとは、弱きことを認めること
前作クライマックスのファイトで惜しくもチャンプを逃したアドニス(マイケル・B・ジョーダン)。
その後、6戦全勝で遂にチャンプとの王座決定戦。
アドニスは見事王座を手にするが、遠く離れたウクライナの地では父アポロの仇・ドラゴの息子ヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)が剛腕ファイターとして力をつけていた。
そこへ目を付けた辣腕プロモーターは、アドニス対ヴィクター、すなわちクリード対ドラゴ因縁の対決を画策し、アドニスの初回防衛線の相手としてヴィクターを米国に招聘する・・・
というところから始まる物語で、そんなことは粗筋に書くまでもないほどの因縁話の構図。
だけれども、この映画、そんな因縁話に収まらないスケールの大きさがある。
このスケール感、初回対決で、もうこれでもか、というほどアドニスがやられてしまう。
試合はヴィクターの反則負けなのだが、勝負としては「チャンプを継いだ」アドニス・クリードの完敗である。
で、再戦となるわけだが、それだけではフツーの映画、ぼんくら映画の範疇になってしまう。
そこんところを、脚本シルヴェスター・スタローン(ジュエル・テイラーと共同)が『ロッキー』のDNAを注入した。
『ロッキー』のDNA・・・それは、自分自身の弱さに気づくところ。
第1作では、まるっきりの噛ませ犬・負け犬でしかなかったロッキーが、愛するエイドリアンのために、自分自身のために最終ラウンドまでリングに立つ、その心意気・こころざしの映画だった。
後にロッキーはチャンプになるが、この『クリード』シリーズでは、家族とも疎遠(というか音信不通)で、孤独に死を迎えるばかりの老残兵として登場していた。
そして、今回のアドニスは王座を手にするが、ボロボロに痛めつけられる。
何のために戦うのか、それが問いかけられる。
敵討ちではない・・・
弱さを認めること、認めた上での戦い。
『ロッキー4 炎の友情』で、ズタボロのアポロに対してセコンドとしてタオルを投げられなかったロッキーの心情が繰り返し登場する。
弱い、すなわち、敗ける、を認めること。
これがこの映画の一番のポイントで、アドニスとヴィクターの再戦でそれが描かれる。
ここは、号泣必至。
イワン・ドラゴ役のドルフ・ラングレンは儲け役である。
とはいえ、アドニス、メンタル的に弱すぎるところがあるんじゃないの? と思わざるを得ない節も多々あり、そこんところが歯がゆかったです。
全62件中、41~60件目を表示