THE GUILTY ギルティ(2018)のレビュー・感想・評価
全305件中、81~100件目を表示
作家ならパクりたくなるストーリー展開
緊急連絡室にテレフォンオペレーターとして派遣されているひとりの警察官。
車で拉致されている女性から掛かってきた電話を受けた事から、事件を動かすキーマンとなっていく。
メチャクチャよく出来たストーリー。
この展開をパクれたら、あらゆる物語が作れそう。
ワンシチュエーションなので演劇でもいいし、コントでもいい。
そして主人公のちょっとした横柄さが秀逸。
期待をあおるのが非常にうまい
少し前に『search/サーチ』という映画があり、とても面白かったので、似たような映画だと思い、期待して映画館に行きました。星の評価は低めですが、私としては好きな部類に入る作品です。いわゆるワン・シチュエーションに限定した映画で、主に低予算を逆手にとって、徹底的に「見せない」演出をして想像力をかきたてる戦略で、過去にも同工異曲、たくさんの名画が名を連ねます。
『リミット』『ロスト・バケーション』『キャスト・アウェイ』なんかが、好きな作品です。逆に、『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』『ジュピター20XX』などは見ていてイライラします。「何が違うんだろう?」って、結局は見てもらうための工夫とか、努力をもっとやってほしいということ。
この映画では、途中どうしても耐えきれなくて寝落ちしかけましたが、持ちこたえました。音楽は一切入らず、効果音として聞こえてくるケータイの着信音さえ無機質な電子音です。その分、電話の向こうで起きているであろうことを、わずかな状況音で想像させる演出は見事です。たとえば、6歳の女の子が怖くておびえているのを勇気づけ、「すぐにパトカーが着くから部屋でじっとして」と言っている向こうからパトカーのサイレンが聞こえてきたらホッとします。これを、大げさにならない程度の役者さんのわずかな安どの表情などで表現し、この少女は声のみで、最後まで映画には登場しません。でも少しずつ情報が増えていき、いま彼女がどういう状況でどこにいるかが、時々刻々と変わっていく様は、観客にゆだねられているので、想像できない人はまったく面白くもなんともないでしょう。その点、落語みたいな楽しみ方です。
主演の俳優さんの演技も見事で、見終わった後に彼がどういう状況で、通報してきた母親がどうなってしまったかなど、実にたくさんの情報が提示されますが、絵面(えづら)としては電話のこっち側だけ。電話の相手がどんなひどい目に遭っているのかは見えない分だけさんざん想像させられました。
途中で、シフトを上がって、現場に駆け付けるとか、作業を分担して、通話を受ける人間と指示を出す人間の役割をつけるとか、いくらでも面白くする工夫が出来たはずなのに、あくまでもワン・シチュエーション、ワンサイドにこだわったがために、見る人が置いて行かれた印象です。それでも評価が高いのは、俳優、監督を含め、ノルウェーの映画が非常に珍しいので好意的にとらえた人が支持したんじゃないかと思います。
2019.2.28
映る画と想像力
映画の本来あるべき良さや存在意義は、
大きな画面に映る画によって、登場人物の感情や物語が文字通りわかることだ
映る画によって、観るものは想像力が膨らみ、さらに映画が終わった後も自分の人生に置き換えるシーンが増えてくる
しかしこの映画は、映る画によって想像を引き立てるシーンがひとつもない
全て会話(字幕)でのみの物語となる
ここで、ただ単に本来の映画に置き換えるのであれば、この映画は小説でも成り立ってしまう映画としての意味をなさない作品になってしまう
しかし、ただの電話越しの会話劇ではなく、同時に主人公のバックボーンが表情や電話室の微妙なやり取りから語られ、映画としての意義を成立させている
そしてラストは、誰に電話をしたのか、観客に想像と思考を委ねてエンドロールへと映る
今までにない、映画の魅力を新たに開拓した作品だと感じた
追記
結末からして、
最初の電話の会話での、夫にバレないように妻が警察に電話をする意味は少し腑に落ちない
(夫が警察に頼りたくないという理由により落としてはいるが)
デンマーク発シチュエーションスリラー
フと気が付いたのですが、デンマークと言われて思い浮かぶ物が何もない・・・デンマークの方ごめんなさい💦もしかしたら人生でデンマーク映画観たのは初めてかも?っと言うほどデンマークに縁もゆかりもないのですが、本作はこんな極東の日本まで流れてくるだけあって、なかなか見応えありました。
オペレーションルームのみで話が展開するのでこれは脚本の勝利ですね。でも実際に現場に出れずに電話のみってムズムズするだろうなぁ。この話って物凄くミニマムで電話の向こうのある一家族を描いているだけなのですが、そこに主人公アスガーの何かやらかしてそうな過去を絡める事で一本の作品に仕上がってます。派手な場面なんて皆無でストーリーで引っ張るので、映画マニアであればあるほど評価が高くなりそうですね。
個人的にはイーベンとの2回目の電話あたりで「あれ?もしかして・・・」と思っちゃって最後は「あーやっぱり」でした。あそこからもう一捻りあれば名作となったかも?アスガーのやらかしちゃった感は半端なかったですが、個人的にはもし110番かけた時に「こっちは忙しいんだ」みたいな対応されると嫌だなぁっと思いました。主人公が嫌いなタイプの人間だったのは個人的にマイナス要因です。
しかし、デンマークって警察が個人の電話番号も車のナンバーも全て把握してるんですかね?あれってリアルな話なのでしょうか?何というかメッチャ管理社会な気がして、そこがちょっと気持ち悪いなっと思ってしまいました。日本はきっと・・・違いますよね?
新感覚ミステリー 開幕
感想
素直に面白いと思いました。電話対応の場面だけでここまでの緊迫感を出し続けられる点が素晴らしかったです。アスガー役の人の演技はもちろん、聞こえてくる声や音のリアリティは圧巻でした。よって、アスガーと同時に耳を傾けて状況把握に努めるリアルタイム型のミステリーでもあったと思います。しかし、この映画最大の見せ場でもある予告編でも書かれていた衝撃の結末についてはあまり衝撃感はなかったと思いました。中盤辺りでオチが読めてしまったのでその点ではあまり楽しめかなかったです。
総評
観て良かったと素直に思える良作だった。状況把握の必要性を感じれました。
余白の美学
ミニマルの極致みたいな映像はもちろん、
セリフの間だとかの”余白”づかいがすごく巧み。
いちおうクリエイティブ職の端くれとして思うのは、
こういう表現って観る側のことを信頼してくれてると思うんですよ。
万人にウケるようにするには説明とか、どうしても情報量を多くしがちで。
でも本当に表現力が豊かなのは、映像じゃなくて人間の想像力だっていう。
ハリウッドでリメイクが決まってるらしいけど、出来上がりが楽しみだ。
75
タイトルが複合的な意味を持っていて今回の事件を通して自分とも向き合うところが素晴らしい。
ただ、父親に止められているのに大丈夫だと言って弟の部屋に入らせるところや、父親に向かってお前は加害者だと怒鳴りつけるところは明らかにミスリードを誘ってる感が強くて、ある程度予想できる展開になってしまっていたのが残念だった。
とはいえ、ワンシチュエーションを生かして視聴者を見入らせる脚本はお見事。
ギルティ
声だけで視聴者は想像するしかない。
それは主人公も同じで、自分達は主人公と同じような感覚に陥る。
本を読んでいるのと同じ感覚。文字を読むのではなく、声を聞いて事態を想像する。とても斬新な手法。
『映画館から出る観客の頭の中ではそれぞれ違う絵が描かれている』という感想コメントが非常にしっくりくる。
登場人物ひとり。他は声のみの登場。
登場人物ひとりで、電話でのみの構成。
全く予算のかかっていない映画なのに、最後まで目が離せない映画でした。
主人公が電話の声だけを頼りに展開しているサスペンス。
電話から聞こえる声や話し方から悟る偏見や先入観にご注意。
正義感と傲慢
前半は、冷静で頭の回転が速い主人公を
カッコいいなぁ〜なんて目でみちゃうんですよ。
子供にも優しいし、警察のしきたりなんてはみ出しても助けたい!って姿も素敵
途中からなんとなく相方に対しても横柄な感じとか
妻が出て行ったことも隠したり、あれ?
ってなって。
パパが絶対開けるなって言った部屋を
開けてごらん。って言った罪
夫を加害者、妻を被害者と電話だけで勝手に思い込んで
突っ走った罪
これに気づいた時、一気に
傲慢で馬鹿な男に見えてしまった。
そんな自分の視点の変化に一番ビックリしたのだけれど。
オペレータールームのみの密室で繰り広げられるストーリー。長回しを多用し、沈黙も多い。
まるで一人芝居にも思える演出だけれど
演技もうまいしこの狭い空間で飽きさせない展開が凄い。
単に誘拐を解決しただけでなく、自分を正しいと信じたが故の悲劇がみもの。
最後は自殺はやめたことになっているが
自殺した方が映画のストーリーとしては面白かったのでは?
ラストにかけた電話は、奥さんかなぁ。
先が見えると辛い
searchと同じく最小限の登場人物と場面展開で観客の頭の中に現場シーンを勝手に拡大させるという超高生産性作品。こっちはずいぶんアナログですが…。どっちが先かは知らないが、金は無くとも知恵と工夫でいくらでも面白い映画は作れるという気骨みたいなものは感じる。ただ……途中でオチが見えちゃうんだよね。こうなると後半は自分の予測とのつじつま合わせとなり純粋に楽しめなくなってくる。もう一捻り出来んかったものか。ラストは自分の思いと事実は必ずしも一致しないという教訓が感じられ、事件解決でメデタシメデタシで終わらないところが欧州映画らしくて良かった。
想像させる映画
ここ1,2年で似たシチュエーションの映画やドラマを見ていましたが、一味違った作品です。
緊急通報司令室の中でしかカットがないのと、通話の先は声と周りの音だけという構成です。
序盤は、秀作を期待してたのですが、私的には残念な作品かなと感じました。
まず、中盤でだいたいおちが想像ついてしまったこと。
そのため、主人公が、ちょっと無能に感じてしまったのが、最大の原因です。
主人公自身が、司令室が腰掛けなのでしかたないかもしれませんが。
いい点は、見せ方だと思います。
通報司令室の中以外は、声と周囲の音だけなので見る人に想像させるという斬新な見せ方です。小説に近いものを感じました。
最後の主人公の行動についても、人により解釈がかなり異なるのではないでしょうか。
キレる電話番(声が良い)
飛ばされて電話番させられてるからか、あんなに物を壊す警官いる?って感じでした。が、時間が経過するにつれ、仲間との連携とか重要と成長(笑)。最後は自分の裁判?へ向かう。スッキリとした気持ちで。がんばれー!
上映した当時に観ていたのにレビュー書くの忘れてました。
新感覚
問題を犯し、内勤で電話受付をすることになった刑事という設定のもと、話が始まる。
皆、序盤で違和感を感じるはずだ。主演の刑事が一向に部屋から出ようとしない。移動しても隣の部屋や廊下だ。なんなら最後までそのまま終わってしまう。
全ては受話器を通して起こる音と声が頼りの事件だ。
オーディオブックなどで聴く推理ものの小説ともまた違い、見ている、いや聴いている本人の想像力が頼りの映画なのは間違いない。
全305件中、81~100件目を表示