ヘレディタリー 継承のレビュー・感想・評価
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絶えず続く不穏な空気
ずっと不穏な空気が流れる不気味な映画だった
ある家族の祖母が死に、そこからその家族を不穏な何かが侵食していく…物語
冒頭からドールハウスの中にインしていきながら始まる描写のように、カメラワークもどこかドールハウスの中を見せているような奇妙なカメラワークになっており、そこから得体の知れなさ、気持ち悪さみたいなものが如実に現れてくる。また、その家族自体にも始めから不協和音的なモノが漂っているのも描写される。
何も起きていない場面でも絶えず不穏な空気とBGMが流れるので、イヤ~な緊張感が漂う。
ここからネタバレ満載
妹の事故死をきっかけにその家族は完全に崩壊し、その怪奇は加速していくわけだが、確信的にビックリさせる描写は終盤のみでそれ以外は家族の崩壊する様と「コッ」という音が不気味な心理的というかそういう圧迫感、そして時おり訪れる実体的な物理的な何かが恐怖感を煽っていく…
母親の鬼気迫る、追い詰められおかしくなっていく表情が怖い…
ラストにはエクソシスト進化版のような恐ろしい動きをする母親と裸でニヤリとする方々がとにかく怖ぇーー!
ラストにはドールハウス風のカメラワークで完結する辺りも良い感じ
とにかく気持ち悪くてイヤな気持ちにさせるネットリ系ホラー
あ、噂のモノホン幽霊、確認したけどあれなのかな?
唐突すぎるぞ、この決着
米国の田舎町。
グラハム家の祖母エレンが亡くなった。
グラハム家は、娘のアニー(トニ・コレット)、夫スティーブ(ガブリエル・バーン)、息子ピーター(アレックス・ウォルフ)、幼い娘チャーリー(ミリー・シャピロ)の4人暮らし。
アニーも、エレンとは疎遠だったが、それでもやはり母親の死のストレスを受けているが、それ以上にチャーリーに異常な行動が目立つようになってきた。
アニーとピーターの仲はあまりよくなく、エレンの死をきっかけに関係が悪化し、大きな事故が起きてしまう・・・
というところから始まる物語で、中盤までが秀逸。
大きな事故とは、アニーから頼まれ、パーティーに同行したチャーリーが、ナッツアレルギーのアナフィラキシー症状を発症し、病院へ運ぼうとする途中に起こるもので、結果、チャーリーは無残に死んでしまう。
この後、グラハム家には、どうしようもなく重苦しい空気が常に漂い、映画はそこいらあたりを丹念に写していき、ここいらあたりがかなり秀逸なのです。
ここままトラウマに覆いつくされた家族が瓦解し、崩壊していけば、たぶんに「嫌ぁな思いのする映画」として、傑作になったかもしれません。
が、以降、ややホラー映画の定石的展開になり、決着が70年代(60年代後半か?)のオカルト映画的なので、ちょっとガッカリしました。
とはいえ、どうしようもなく行き場のなくなったアニーが、娘チャーリーの霊を呼び出そうとして霊能者に縋るあたり、さらに、霊的な何かが呼び出されるあたりの怖さは出色です。
どうしても、評価を下げざるを得ないのは、やはり決着・落としどころ。
ここからは、ネタバレになりますが、最終的に悪魔崇拝というのはどうなのよ?
ちょっと唐突感がぬぐえません。
いやまぁ、米国の田舎町では、そんなことが連綿と続いているんだ、といわれればそれまでなのですが、崇拝した理由は? とか、背景は?
ま、そんなことは大昔のこと、と割り切ってもいいのだけれども、なんだか、やはり宗教的・狂信的背景が乏しいです。
都会ならばいざ知らず、米国の田舎町、つまり顔見知りばかり、背景はあるし、行動様式もあるはず。
行動様式といっても、奇異な特異なものである必要はなく、廃れてしまった何かを守るとか、そんな程度でいい、そんなもの(いわゆる伏線)がなく、いきなりの突然感。
(見逃しているのか?)
これがあれば、おおおおお、と最後に声も出たことでしょう。
観直すと評価が上がりそうな映画
冒頭のミニチュアからの…シーンで早速「何これ好き!」となる。このミニチュアがまたいい感じに嫌な感じで母ちゃん込みで不穏な空気を作り出している。
話がどの方向へ向かっているのかなかなか分からないまま、嫌な感じだけが増していく。そしてアレヤコレヤでこちらが右往左往しているうちに、あの結末。なんかいいように引きずり回された感じ。まだうまく自分の中で消化しきれていない。
本筋からは外れるが『アリー』『ワールズエンド』に続きまたしてもセルフヘルプグループのシーンに遭遇する。AA以外でもキリスト教的要素があるのだとしたら、なんとも皮肉なことだ。
後日『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観て、あまりの落差に苦笑いした。
恐怖が最高潮に達したときギャグに変化
最初は普通の母親がおかしくなっていく様がとにかく怖かったです。
まあ母親は最初からおかしかったけれど...
どんどん家族が狂っていって、父親が死に母親が何かに乗っ取られた瞬間はこれ以上の恐怖をわくわくしながら待っていたら、なんかギャグになりました。
息子が父親の焼死体を見つけたと思ったら裸のよくわかんない人がいるし、急な親子鬼ごっこが始まり、屋根裏に逃げて周りを見るとまた裸の人達。
「あ、ちゃんと股間は隠してる...」と思いながら見ているとまた裸の人達。
なんか笑いをこらえるのに必死で最後はよく覚えてないです。
ただエンディングで陽気な音楽がなってまた笑いそうになりました。
この作品は嫌いじゃないです。
独特の世界観についていけるかどうか
最後の10分くらいで興醒め
冒頭から恐ろしい世界に引き込まれ、徐々に徐々に恐怖のテンションが上がり続ける。
ホラー映画をあまり見ないのに1人鑑賞ということもあってブルブル震えながら話が進んでいった。
ところが、、
お母さんが屋根裏でグサグサ自分の首を刺しているシーン。ここからもう人形に見え始め、一瞬で興醒め。そこから宗教的な流れに一気に進んでいき「継承」が行われる結末まで長い時間をかけて興を醒めさせてくれて、ありがとう。
安心して夜道を歩けました。
P.S.お兄ちゃんって警察とかには捕まらないの?未成年だとしても、なんか処分はないの?そういうもんなの?アメリカならそれこそメンタル治療みたいなのとかありそうだけど、、、。
トニ・コレットの表情とグロ描写にトラウマ!!
ホラー好きには絶対外せない!!っと思って観に行きました。今年観た映画ベスト5ぐらいに入る映画です。今年は当たりの映画が多かったです。今年21本目です。映画の内容はよかったのですが、自分自身に少し災難が起きてしまいました。1回目に行った時は、建物火災、2回目に行った時は、電車の人身事故、2回目に行った時に、この映画、僕が見てはいけないの?!ッと思ってしまいました。でも何とか間に合って見る事が出来ました。2回も大変な思いをしてしまいました。それで映画の内容は、祖母の死をきっかけに一家に災難に見舞われるという内容です。描写がグロかったです。グラハム家の娘チャーリーが車の窓から頭を出し、電柱にぶつかって無残な最期を遂げるシーンや、夜中にピーターの身体に大量の虫がへばついてるシーンや、グロ描写は結構ありました。ホラーが苦手な方や、虫が苦手な方は絶対無理だな?と思いながら見ていました。チャーリーが鳴らすクラッカー音の意味は分からなかったです。ラストの意味も分からなかったです。ラストのオチは何だったのか?という終わり方でした。結局ピーターは死んだのか?。意味不明のままでした。そしてトニ・コレットの演技は凄かったです。拍手したいぐらいに。最後には怪物的な行動を見せる彼女の演技には印象深かった。ラストのオチも考えて、あえて評価4.0にしました。<2018・12・8鑑賞>
前半ホラー、後半コメディ。新鮮だけど惜しい作品。
【良かった点】
主人公一家が置かれた状況をミニチュアで比喩的に表していたのは新鮮ですし、とても効果的だったと思います。
舞台となる家がミニチュアに見えるようなカットがあったり、セットの電気を消すように昼夜がパッと切り替わるカットがあったり。
主人公はミニチュア作家ですが、ある者にとって彼らはミニチュアの人形のようなもので、俯瞰から眺めコマを動かすように支配しているという入れ子構造はベタですが映画的でよかったです。
【悪かった点】
ホラーとコメディは紙一重と言いますが、これは紙突き破ってコメディになってました。後半が残念。笑いこらえてる観客チラホラ。
前半の演出は秀逸でしたが、後半はその撮り方したらコントになるよってカット多数。(写真の切り抜きを裏から磁石で動かしてるの?w)
予告にもある舌を鳴らすアレも前半はかなり怖くてアイデアとしても新鮮でしたが、後半になると乱発で慣れてきてあーまたやってるわー程度に。
ホラーのお決まりを避けるあえてのはずし演出も上手く機能してませんでした。見せた方が怖いのにってところは隠して(ボールかい)、怖くならないor説明過剰だから見せなくていいよってところはじっくり見せられストレスフル(うんさっき燃えてたからね)。
娘の顔面が古いビスクドールのようでとにかく怖く、彼女が出てくるだけでドキドキしましたがわりと前半で退場してしまい映画のホラー性も6割減。
母がなんとか娘の穴を埋めるように顔芸等がんばってましたがやりすぎてもはやコメディに。(プリーズどんだけ言うの)
娘役は発掘したとき監督ガッツポーズだったろうなーと想像できるほどの100年に1人系人材だったのに本当にもったいない。
最後まで(不必要に大きなおっぱいでさえ)あの手この手で使いこなせば「エクソシスト」のキリストとファックしてろガールを超えたかもしれない。
プロデューサーの意向でどんどん別物に変えられて監督途中で投げやりになったような仕上がりでした。ミニチュアでさえ最後は逆効果に。
アレをガチで信じてる集団が身近にいるアメリカの人達はむしろどんどん怖くなるんでしょうね。そのへんのカルチャーギャップも再認識です。まぁそんなことの再認識は別に要らないんですが。
前半が良かっただけに、あのシーンもっと怖くできたよねー惜しいよねーと鑑賞後提案談義で盛り上がれる、語れる映画ではあります。映画は語ってこそ!
静かに襲い来る恐怖。後味の悪いB級定番ホラー。
【賛否両論チェック】
賛:奇妙な雰囲気の漂う一家に、徐々に忍び寄ってくる恐怖とその正体に、驚かされハラハラさせられる。
否:特に前半は、ただただ不気味なままにストーリーが進むだけで、意外と退屈。ラストも消化不良感が半端ない。
何というか・・・、最近よくありがちな感じのホラーです(笑)。祖母が亡くなるも、どこか違和感のある一家。そんな彼らに少しずつ、不気味な【何か】が忍び寄ってくる様が、静かな中にも恐怖を感じさせます。
ただホラーにしてはかなり淡々と進む方なので、特に前半は気をつけないと眠くなってしまいそうです。結構グロいシーンも多いので、その辺りも好き嫌いは分かれそうなところです。
ラストもかなり強引というか、
「あ、そういう感じになっちゃいますか・・・」
といった印象が否めませんが(笑)、気になった方は是非チェックしてみて下さい。
疲れたー
縁遠い世界の話、なのか?
ホラーは苦手であんまり観たことないんだけど、評判を聞いて勇気を出して鑑賞。
怖さレベルだけで言うと、想像してたほどではなかったかも。
でも映画の情報を私が完全に受け取れてるかと言うと、それも怪しいけど。
母親アニーが主人公と見せかけて、最終的には息子ピーターが主人公になるんだけど、振り返ってみると「何もない所にバックミラーが見える」とか「自分の部屋から一瞬で授業中の学校になる」とか、ピーター主眼の演出が多用される一方、母親は娘の事故現場をミニチュアで再現してたりと明らかな異常さを見せていて、そのことは早い段階から暗示されていたんだなと。
しかし自分の人生と「悪魔」が縁遠すぎて、悪魔って言われても…と最後のオチはあんまりピンとこなかった。
(映画とズレるけど、「自分以外の意思で、自分の命が道具のように扱われる」という理不尽は、昨今のニュースを見てると一部の企業や国の態度と変わらないなーと。ものすごいブラック企業のトップに「悪魔!」とか言うのは比喩でもなんでもなかったんだなー。)
でも観劇後は「悪魔かー」ってなったけど、観てる間はほんとに怖くて面白かった。やっぱり演出が凄いんだと思う。
ミニチュアを眺める視点のカメラワークとか、捉えられてない箇所も多いので、2回め観たい気持ちもちょっとある。
ところで。
アニーの話だと、この家族の悲劇は祖母が亡くなってから始まったんじゃなくて、今までも脈々と続いていたことが分かる。
祖父はどんな経緯で餓死したのか。
生前の祖母はどんな人物だったのか。
晩年の介護はかなり大変なものだったんだろう。
ピーターが生まれた時も、祖母から遠ざけるために壮絶な諍いが起こったはずだ。
映画の前日譚も十分にホラーめいた映画になりそうで、ちょっと観てみたい。
「その背後には悪魔がいる」とか言われると自分とは関係ない話に思えてしまうけど、悲劇や惨劇というものは、一番身近で一番味方であるはずの存在に軋轢が入ることで増殖していくんだなぁ…と感じた。
キリキリ系ホームドラマ
いろんな恐怖、不安がじわじわと蓄積されて行く映画。途中え?って思うようなシーンから想像と違ったいろんな方向へ話が展開していく。と思いきやラストの着地で綺麗に繋がる。
自分が現実的な事、と思っている所謂常識や価値観の違い、また何を正とし何を誤とするか、何を信じて何を信じないか、何を許容し何を許容しないか、それらのせめぎあいが見ていてキリキリしてくる。
咀嚼と補間が必要な作品だとは思うが、そういったせめぎあいや取り返しのつかない出来事、それに翻弄された様な経験が事がある人は誰かに、というより作品に感情移入してキリキリすると思う。
目に見える恐怖というより不安感がずっと持続して行く感覚。
単純なホラー映画ではなくて恐怖家族映画。
よく練られた作品だと思う。
新しいホラーの可能性
この映画は明らかに最初から不穏な空気が横溢しているが、色々な仕込みでむしろホラー映画とは思わせないで物語が進行していく。家長であるお婆ちゃんの死から物語が進行していくのだか、元々上手くいってなさそうな家族のギスギスした感じが観ていて気分が悪い。主人公はドールハウスを作るアーティストで、要所要所でそれが生きている。タイトルの継承は単純なそれではなかった。予告を見て注意深いひとが想像してしまう展開にはならない。ラストは一神教の西洋映画のそれに落ち着くのでヤッパリとかガッカリなんだけど観る価値は大いにあり。現在公開中の日本映画「来る」も色々とテーマが重なっているので観比べると面白い。日本とアメリカの家族への考え方接し方とか神や悪魔の概念がまるで違うことに気付く。
『来る』より来てた!
何が一番怖いって、トニ・コレットの顔でしょ。と、まず言っておいて、やっぱり終盤までギリギリ怖かったです。さすがに悪魔崇拝ってシロモノは日本人の感覚じゃ受け付けないので、最後の最後で減点して4点にしました。
最後にはすべてが何となくわかったレベルではありますが、継承って意味もラストでわかる仕組みになっていたのですね。その最後の最後、エンドロールではジュディ・コリンズの「青春の光と影」が流れる。何でやねん!いや、これはオムライスよりも謎かもしれない。
それにしても、色んな解釈ができるのですね。単に悪魔ペイモンを継承すると見せかけておいて、解離性同一性障害なんかも娘に継承させてるみたいだし、女性にはそうした精神疾患を受け継がせていたのかもしれない。ペイモンには男の体が必要なんだということで、祖母の夫もその息子も早世しているのは、肉体が耐えられなかったということか・・・。ピーターは鼻を骨折(?)しただけでしたもんね。
映画の構成としても珍しい形ではあったものの、冒頭からミニチュアの部屋からシームレスで人が動き出すところは見事だったし、妹チャーリー(ミリー・シャピロ)の事故死までは普通に怖い流れでオカルトすら感じさせなかった。ガラリと雰囲気が変わったのは母アニー(トニ・コレット)が霊能者ジョーン(アン・ダウド)に話しかけられてからだ。そこからは元々スリープウォーカーだったアニーが徐々に解離性同一性障害を患ってることが明かされるし、降霊術やら何やらで怪しい雲行きになっていった。大麻だか何だかクスリが好きなピーターも、霊を受け入れやすくなってたのもわかる。
アニーは首を切っていったのかとか、土下座してたのは誰?とか、ちょっとわからないシーンもいくつかあったので見直したいとも思ったのですが、オカルトだと判明した時点で興味半減したのも事実です。とくに首のない人!チャーリーにしては大きすぎるし・・・
『来る』と『ヘレディタリー』の両方とも鑑賞した人の評価のバランスが真っ二つに分かれてことも興味深い!
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