「フレディの人物像が描ききれていない」ボヘミアン・ラプソディ tattooyeahさんの映画レビュー(感想・評価)
フレディの人物像が描ききれていない
クイーン、フレディマーキュリーについて、顔と名前が何とか一致する、曲は数曲知っている程度の知識で映画を鑑賞。
この状態で映画を見た率直な感想は、自分勝手で極度な寂しがりやのゲイ。それ以上の感想はなかった。
なぜ音楽がそこまで好きなのか?
当時世界を魅了したパフォーマンスの源泉はどこから生まれてくるのか?
などが全く分からないまま。
ぶっ飛んだ遅刻魔だったらt.A.T.uとか他のアーティストもいるのに、なぜクイーンだけ、フレディだけあれだけのパフォーマンスが出せ神格化されてるのか、映画だけでは分からない。
人とは違うコダワリがたくさんあったはずだ。
何となく覚えているのは、革ジャン着てたり、ホットパンツ履いてピアノ弾いてたりする姿。
映画では女装とかは出てくるが、大半はタンクトップでホットパンツとかは全く登場せず。それも最近のカッコいいタンクトップ。当時のタンクトップはもっとデザインがダサかったはずなのに。リアリティないな。
あれだけ色んな奇抜な格好するからには、意味とか拘りとかあったはずなんだけど。衣装については全く触れられていないってどうなんだろう。拘りない人があれだけ奇抜な格好するもんかね。
リアリティで言うと、少なくともメンバーと奥さんはイギリス人のはずだが、全然イギリス訛りになっていない。
フレディマーキュリーはタンザニア生まれだから最悪訛ってなくても許せるが。滑舌が悪いのか鼻声なのか分からない状態だったので訛ってるかを判定する以前の状態だった。
奥さんの英語は微妙に訛ってなくもないかな?という感じだったが、もっとハッキリ訛っててほしかった。中途半端すぎて、前半は「えっ、これみんなイギリス訛り?アメリカ人が演技で無理やりやってんの?」と考えてしまい集中できなかった。リアリティない且つ片手落ち。
でも昔「ラスト・エンペラー」では古代の清の国の話なのに、アジア人っぽい人全員が英語喋ってたし、「ベン・ハー」でも古代ローマ人に英語喋らせたから、ガサツな西洋人にとっては訛りとかどうでもいいレベルなのかもな。
あと、主人公がフレディマーキュリーに全く似ていない。
ちょび髭を生やしてからは何となく見えなくもないかなというレベルになったが、それでもどっちかというとマリオ。
ちょび髭生やす前は、どっちかというとマイケル・ジャクソンの方に似てると思ってしまった。
あれだけ金掛けたのに、もうちょい似てる人いなかったんだろうか。
映画のタイトルにもなっているボヘミアン・ラプソディという曲だが、農村で納期オーバーまでして納得できる曲を作ったが、プロデューサーから「6分は長すぎる」と言われ、そのプロディーサーと決別するというシーンが、結構な時間を割いて描かれている。
ところが、クライマックスのライブエイドでボヘミアン・ラプソディを歌うシーンでは6分の歌が短くカットされている。映画見た後でYouTubeでフルコーラス聞いたが、映画ではない箇所がいくつもあったので間違いない。
実際のライブエイドではフルコーラス歌ったのかどうかは知らないが、どっちにしても駄目。
実際にフルコーラス歌ってないとしたら、あんなに6分に拘ったのに、参加しなきゃ必ず後悔すると言って出場したライブエイドでなぜ端折るのか意味不明だし、映画の中で勝手に短くしたとしたら、「タイトルにもなってる曲を事実を歪めてまでなんで端折るの?」となってしまう。どっちにしてもダメダメでしょ。
しかも「オペラの要素を入れた曲を作る」って言ってたけど、あれオペラか?バラードとロックの要素しかないと思うけど。
歌詞を見ても意味不明。実際ネイティブの人たちが見ても意味不明らしい。
ネットで調べると、自分がゲイかもしれないと悩んでいた時期に、フレディ自身が作詞作曲して作った曲らしいが、映画の中ではそんな描き方はされていない。むしろオペラ路線で行く、文句なんてあるはずないよな?的なイケイケな描き方。
歌の中で「ママ~」と何度も言ってるが、彼マザコンだったっけ?
とか、「死にたくない」という歌詞もあるが、ひょっとしてその頃からエイズかもと思ってたのか、全く違う比喩表現なのか?とか。
映画のタイトルにするくらいだから、もっともっと歌詞について掘り下げなきゃ意味がないと思うんだが。
そしてエンディング曲がなぜかDon't Stop Me Now。。。
最後はボヘミアン・ラプソディをフルコーラスで流そうよ。
ライブエイドの何年も前に出来上がってたDon't Stop Me Nowを作中に一度も流さずにエンディング曲に。しかもここだけ本人の映像流すって。。
フレディの映像出したら主人公がフレディに似てない事が鮮明になるし、本人映像の方が作品の主人公映像よりも価値が上って言ってる事になるよね。
だったらマイケル・ジャクソンのTHIS IS ITのように、全て本人映像で映画作ればよかったのに。。
最後に、これは映画が悪いわけではないが、作中に何度も
「if you say so」のフレーズが登場する。
「(自分は賛成ではないけど)君がそう言うなら」と言う意味で英語では決まったフレーズだが、あれだけ頻繁に使うという事は、「前に言われたから今度は自分も同じセリフで言い返してやろう」的な仲間内で流行ってる皮肉表現だと思われる(たまたま同じフレーズになっただけで深い意味はない可能性もあるが)。
ところが日本語訳が毎回バラバラ。
そこは同じ日本語訳にしないと。なんだったら引用符付きで強調してもいいくらいなのに。
唯一良かったのは、音楽と映像の迫力。それだけで星2つ。