「観た後に心がさまよってしまうのはなぜ」ボヘミアン・ラプソディ myuさんの映画レビュー(感想・評価)
観た後に心がさまよってしまうのはなぜ
フレディ・マーキュリーについて詳しくないのでこの映画を観た限りですが、とても周囲の人々に愛されていたのだと感じました。
監督が、彼をとても愛しているのでしょうね。
音楽(作曲)の才能が死ぬまで枯渇せず、バンドとして初めから成功し、その成功が没落しなかったことを思えば、総じてとても恵まれていた人に見えました。
彼のまわりには、バンドのメンバーや元奥さんなど、(彼が望むかたちではなかったのかもしれないが)彼のことを真摯に考えてくれる人に囲まれていました。
それなのに、なぜ彼は、あんなにも孤独なのか。
人種的な背景やゲイということを考えても、彼が「なぜ」孤独で、さらに言えば「なぜ」天才であるのかが、わからなかった。
あんなにもヒット曲を生み出した、インスピレーションの秘密はなんなのか、彼個人の本質的なものが見えてこず、ドキュメントのようでありつつも「本人」には迫っていない感がぬぐえません。
それでも最後のライブシーンは圧巻だし、ある種の「感動」はあるのですが…
クイーンの曲が主役だと言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、「よくできた映画」ではありつつも、心がさまよってしまい、うまく感想が出てこない映画でした。
蛇足ですが、映画通りだとしたら元妻のメアリー(名前合ってますよね?)は、なんてよくできた人なんでしょうね。
別れるときの「あなたは悪くない」も偉いなあと思いましたし、彼のニーズに付き合ってしまったら共倒れは必須。大切に思っていながらの、別れたあとの距離の取り方が絶妙で素晴らしかった。