劇場公開日 2018年11月9日

「音楽のチカラ」ボヘミアン・ラプソディ ao-kさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0音楽のチカラ

2019年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

これは伝記か?はたまたドキュメンタリーか?どちらのジャンルに位置付けるとしても、やや中途半端に思えてしまう。何故なら、本作の真の主役はフレディ・マーキュリーでもQUEENでもなく、彼らの“曲”であるからだ。

『ウォーク・ザ・ライン』『アイム・ノット・ゼア』など、実在したミュージシャンを描く作品はその人の生涯や偉業を綴ることが多く、その中で音楽がエッセンスとして挿入されてくる。しかし、本作はしっかりと曲を聴かせる。むしろ、あの名曲がどのようにして生まれたのか?という誕生秘話のようなエピソードを紡ぐ。クライマックスの「ライブ・エイド」というチャリティーコンサートはもはやライブ映画だ。

ならば、ドキュメンタリーで良いのでは?と思うが、本作の魅力はその曲に観客がノレるというところにある。我々観客の目線はあくまでも観客であり、フレディにはなれない。我々は客観的にフレディの生き様を知り、その上で彼らの曲を聴き、その歌詞の解釈を重ねていく。それ故に彼らのステージパフォーマンスに歓喜し、興奮し、そして涙する。ビートルズの曲だけでミュージカルを創り上げた『アクロス・ザ・ユニバース』も見事だったが、本作はQUEENの曲の力を全面に押し出した真っ向勝負の音楽映画。“We Are The Champions”と言わんばかりに音楽の力が本作に勝利を与えている。

Ao-aO