RBG 最強の85才 劇場公開日:2019年5月10日
解説 85歳で現役の最高裁判所判事としてアメリカで広く知られる女性ルース・ベイダー・ギンズバーグ(通称・RBG)に迫ったドキュメンタリー。アメリカでは関連本が何冊も出版され、Tシャツやマグカップといったグッズまで作られるほどの知名度と人気を誇る、RBGことルース・ベイダー・ギンズバーグ。85歳で現役の最高裁判所判事として活躍する彼女は1993年、ビル・クリントン大統領政権下でアメリカ最高裁判事に任命される。女性やマイノリティへの差別撤廃に緩やかに寄与していった彼女の判例の数々や、ニューヨークのユダヤ系の家に生まれ、苦学の末に最高裁判事まで上り詰めていったキャリア、そして、それを支える信念や愛情を、女性監督のベッツィ・ウェスト&ジュリー・コーエンがカメラに収めた。
2018年製作/98分/G/アメリカ 原題:RBG 配給:ファインフィルムズ
スタッフ・キャスト 全てのスタッフ・キャストを見る
自分も含めて、差別の問題というのは日常に織り込まれ過ぎていて、よほど意識的にならないと気づかないことがわんさかある。男女の格差問題もそのひとつで、「完全な平等」というものは存在しないとしても、どこに理不尽が存在しているのかを慣習から切り離して気付くためには、ルース・ギンズバーグのような人が必要だったのだなと改めて知らされるドキュメンタリーだ。 本来、スポットライトを浴びてもてはやされるような人ではなかった彼女が、自分のやるべきことを追及した結果、ポップアイコンになっていく。その数奇さな成り行きも興味深いのだが、差別との戦い、何に立ち向かい、何に怒りを感じるべきかなど、誰もが知るべき差別問題のABCを教えてくれる入口になってくれることも、この作品が作られた大きな意義だと思う。
2019年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
力強い反対演説がウケて、ポップアイコンとなったギンズバーグだが、実はかなり控えめな性格の人だ。この映画は彼女のシャイな部分がよく見える。しかし、芯はとても強い人であることもわかる。彼女は元々は中道左派の立場なのだと思うが、最高裁判事の構成が右に偏るにつれて、対抗するために発言が力強くなっていった。そうして気がつけばポップアイコンとなっていたわけだが、その過程はアメリカ社会が中道派を失い、両極化してゆく過程とも重なる。 男女同権を訴え続け、男性に不利な法律があれば、それすらも是正のために戦う彼女こそ真のフェミニストと言える。そして彼女の憲法遵守の姿勢をしっかり本作は描いている。「ブッシュVSゴア」のフロリダ選挙の再集計の裁判での彼女の行動は見事なものだった。あの時、ギンズバーグは表面的な思想ではなく、国を支える理念を守ったのだ。 「特別扱いはいらない、踏みつけている足をどけるだけでいい」この言葉が彼女の理念を見事に表わしていた。
2021年12月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
ビリーブを鑑賞済みだったので、なんとなくストーリーは予想ができていましたが、こちらはドキュメンタリーとのこと。配信が今月までというメッセージをネトフリで見かけたので慌てて見ました。 感想…やっぱり素晴らしかったです。 描き方も良かったと思います。口コミのように色々な人の意見が、彼女ルースと言う人の印象を固めていく。 古い写真なども見れて素晴らしかったです。映画ビリーブの方だと時代背景を勿論、想像はできるけれど主演の2人がイケてるせいか、時代背景が霞んでしまった気がしました。いや、あちらはあちらで素晴らしいのですが… それと、素敵なパートナーに恵まれた人だなぁと羨ましくなります。 夫は自分の能力に自信がありました。という発言も良かったです。自分に満足してる人を探そうと思いました。そして自分には満足出来るよう研鑽を積もうと思いました。笑 映画で心に残った言葉(備忘録) “Real change, enduring change, happens one step at a time.” “People ask me sometimes, ‘When will there be enough women on the court?’ My answer is: ‘When there are nine.’ People are shocked. But there’d been nine men, and nobody’s ever raised a question about that.” “My mother told me two things constantly. One was to be a lady, and the other was to be independent. Don’t be distracted by emotions like anger, envy, resentment. These just zap energy and waste time.” 上記にはありませんが、下記も好き。 議論に勝つには怒鳴らないこと。大声を出すと相手は話し合いに応じません。(いや、おっしゃる通りです。私もおうじないようにしてるもの。) 男性と平等であるために重要なのは女性が自分で決断を下せるかどうか。自己決定は女性の人生の尊厳の核心にあるものです。政府がその決定に干渉するなら女性を責任ある大人として扱わないことになりますし判断力を奪ってしまう。(これはpro choiceに関した見解を述べてるのですが、他の場合でも当てはまると思います。) あぁきっと悔しい思いを沢山してきたんだろうな… 私もハゲタヌキに昔、冗談を言われたから理解はできます。笑って交わしたけど一生忘れないし時々悪い風が吹いて思い出す度に脳内射殺ですけどね。 多様性や今まで画一的だったものへの見方が変化している、何が正解かわからない時代だからこそ、押し付けない、互いを尊重する姿勢が求められると、この映画を通して思いました。
2021年9月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
アメリカの最高裁判事だったルース・ベーダー・ギンズバーグ(RBG)のドキュメンタリー。 名前だけは知ってたけど、詳しく知らなかったので、彼女を知る最初の教材としては最適だった。 女性の権利向上、そして男女平等な権利のために尽くした人。 敬意を表するしかない。 しかし、パワフルな85歳。 日本の80代の枯れ切って理念も何も無くしている政治家どもと比較して、彼女の崇高さは本当に胸を打つ。 惜しくも昨年2020年に亡くなられてしまった。 そして、彼女が生前懸念していた通り、トランプは大統領選を待つことなく、保守派のコーニー・バレッドを最高裁判事に任命した。彼女の功績を明らかに踏みにじる行為だ。 トランプはようやく大統領を辞めたが、最高裁判事は終身職なのでまだ50歳にもなっていないコーニー・バレッドは30〜40年は影響を与えてしまう。これは、保守とリベラルの戦いという単純な話ではないと感じる。アメリカ建国の理念をどう考えるか、という話だと思う。 私はアメリカ人ではないが、彼女のような人は尊敬する。 若い人に人気があったのもよくわかる。 そして、若者が最高裁判事の顔も名前も当たり前のように知っている、というアメリカの状況は羨ましく思う。 日本との比較はここでは避ける。虚しさしか感じないので。。。 良いドキュメンタリーでした。