劇場公開日 2019年6月1日

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「それを知ったとき」誰もがそれを知っている KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0それを知ったとき

2019年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

誰もが何を知っているんだろうと気になって鑑賞
それの中身が見えたとき、私はそれを知りたくなかったし誰にも知って欲しくなかった、特にこの子には知って欲しくない、と思った。

妹の結婚式、再会の喜びと楽しさと幸せの溢れるテンションの高い場で、唐突に訪れる悲劇。
いつか事が起こると分かりながら観ていたので、はしゃぎまくる大人達に若干ハラハラしていたものの、いざイレーネが消えてしまうと悲しみと焦燥が胸にのしかかって苦しかった。

明るく情熱的で開放的な印象のスペインでも村はムラ。
長く続く狭い世界で、芋づる式に解かれる数々の秘密と人間の嫌な部分が露呈していく様がスリリング。
疑心暗鬼と過去のしがらみや心の端っこに座っていた負の感情が連鎖して、どんどん拗れていく人と人の間をまざまざと見せられるのが本当にキツい。

娘のために全てさらけ非情な懇願も厭わない母ラウラを鬱々とした気分で観ていた。
でももし自分の子供が同じ目に遭ったらと思うと、冷静な判断なんてしていられない。
心を鬼にしてでも使えるものはなんでも使って娘を取り戻そうともがくだろう。

ラウラとパコの、全て水に流したとも流してないとも言える絶妙な関係が面白い。
しかし確かに在る愛とも情とも未練とも縁とも言い難いそれの最終的な決断にはだいぶショックを受けた。

誰の立場になって誰を思えば良いのかわからないつくりがいやらしい。
色々な人が出てくるけど、わりと平等にそれぞれの心の内を描写するので、何が正しいのか、何が最善なのか選べなくなる。
一つ一つの事の判明は事件の始まりと同じく唐突に繰り返され、その戸惑いも新鮮に思えた。

戻るものと離れたもの、今後その天秤はどちらに傾くのか。とても気になる。
決して後味が良いとは言えない終わり方にまた呻いた。
本当やらしい、やらしいな。

見た目麗しい人ばかりで眼福であった。
ラウラとパコがペネロペ・クルスとハビエル・バルデムという配役なのも秀逸。
観るまで夫役がハビエルだと思っていたら!
全くいやらしいわぁ…。ゾクゾクして堪らないわぁ…。

イレーネのわんぱく過ぎるはしゃぎっぷりは地味に苦手だった。充血した目が忘れられない。

KinA