ネッド・ライフル
劇場公開日:2018年5月27日
解説
1990年代ニューヨーク・インディペンデント映画界の名匠ハル・ハートリーによる「ヘンリー・フール三部作」の完結篇。ヘンリーとフェイの息子ネッド・ライフルを主人公に、行方不明になった父親探しの旅を描く。里親の元で18歳に成長したネッド。父ヘンリーは国家反逆罪で指名手配中、母フェイはテロ犯として終身刑の身だ。家族の不幸の元凶が全て父にあると信じるネッドは、彼を探し出して復讐するべく旅に出る。道中で叔父サイモンの詩に執着する女性スーザンと出会い、一緒に旅を続けるネッドだったが……。日本では長らく劇場未公開のままだったが、2018年4月に大阪シアターセブン、5月にアップリンク渋谷の「ハル・ハートリー復活祭」で初上映。
2014年製作/85分/アメリカ
原題:Ned Rifle
スタッフ・キャスト
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ハル・ハートリーという監督は、やたらと円環構造とか反復表現を好む傾向があり、それはひとつの作品にとどまらず、フィルモグラフィ全体を通じて言えることだと思っている。
17年かけて完結させた「ヘンリー・フール三部作」も同様で、完結編である『ネッド・ライフル』でもみごとに一作目のセリフと呼応させた鮮やかな幕引きを見せてくれる。
ただし、同じところに戻ってくるのではなく、さらに新しい一ページを開いて、グリム一家を縛っていた呪いのようなものから解き放ってみせた。一本でもねじれた青春ロードムービーとして成立している悲喜劇だが、『ヘンリー・フール』から観直すと感慨の深さもひとしおだ。
いまの時点ではこれがハートリーの最新長編だけれど、これからの映画作家としての変化とずっと変わらぬハートリー節の合わせ技を今後も見守っていきたいので、どうかさらなる新作をお願いします!
2018年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
「ヘンリー・フール」三部作の最終章にあたる本作は、第1作目で幼い息子役だったリアム・エイケンがすっかり青年と化した姿で登場する。すべての発端は「告白」、そして父ヘンリー。彼のせいで家庭はめちゃくちゃになった。18歳になったネッドは今、父を探し出して復讐を果たそうとする。それは同時に、自分の中にある父の要素と決別し運命の呪いから逃れる行為でもあるかのよう。その意味で父を越えようとする、一人の青年の通過儀礼と捉えることも可能だ。ともかく、おとなしそうなのに瞳の中に強い意思を秘めたエイケンの表情が胸に焼きつく。そして今回初登場となるオーブリー・プラザの強烈な個性にも圧倒され、彼女が託された思いがけない役柄の真相に「ああ、そうか!」と納得。小規模な映画ではあるが、そこに確固たる世界観を築き、ジワリと惹きつける謎を忍ばせ、かつ芸術のありかたにも一つの示唆を与えてくれる、奇才ハートリーならではの一作。
2018年5月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
地味ぃ〜な映画を一大叙事詩みたいな三部作にしたハル・ハートリーに頭が下がる!?
情けないヘンリー・フールを二作目で偉大な人物に仕立て上げ盛り過ぎた結果か?本作では情けない自遊人に回帰した感は否めない。
やはりシモネタで笑わせる演出は健在で笑いのシーンは物語と関係無くても笑える。
中途半端に可愛いんだか?なんだか?な女優選びも変態的だが魅力ある演出描写に賛辞をハル・ハートリーに。
とにかく「ヘンリー・フール」を最初に鑑賞してからこその残り二作品な訳で続編ではあるが続編では無い不思議なこの三部作を観たからこそスッキリ出来る?出来ない?異端な三部作!?
2018年5月27日
Androidアプリから投稿
ヘンリー・フールとフェイ・グリムの息子『ネッド・ライフル』が18歳になり、母親の人生を狂わせた復讐として父親を殺そうと奔走する話。
前作でフェイ・グリムが爆弾を仕掛けたと嘘をついたが実際に車が爆発したことにより母親はテロリストとして逮捕、終身刑に、ネッドは保護プログラムにより里親に育てられたという設定。
前作までと同様に外した笑いどころを織り込みつつ寄り道しながら話が進むけど、のらりくらりとした感じはなく今回はそれが本筋にしっかり絡んでくる。
途中で話がズレてきて、ネッドの心情がみえ難くなってしまったけれど、しっかり区切りはついていてなかなか良い締め方だった。
一応3部作ってことだけど、まだ続けられるしね。