シシリアン・ゴースト・ストーリー
劇場公開日 2018年12月22日
解説
1993年にイタリアのシチリア島で実際に起きた誘拐事件をモチーフに、少年少女の美しくも切ない恋の行方を幻想的につづったラブストーリー。美しい自然に囲まれたシチリアの小さな村。13歳の少女ルナは同級生の少年ジュゼッペに思いを寄せていたが、2人の仲が深まろうとした矢先、ジュゼッペは突然失踪してしまう。周囲の大人たちがなぜか口をつぐむ中、ルナは必死にジュゼッペの行方を捜すが……。監督・脚本は、デビュー作「狼は暗闇の天使」が第66回カンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリに輝いたファビオ・グラッサドニア&アントニオ・ピアッツァ。「グレート・ビューティー 追憶のローマ」のルカ・ビガッツィが撮影を担当。「イタリア映画祭2018」では、「シチリアン・ゴースト・ストーリー」の邦題で上映された。
2017年製作/123分/R15+/イタリア・フランス・スイス合作
原題:Sicilian Ghost Story
配給:ミモザフィルムズ
オフィシャルサイト スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る
2019年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
題材となった事件は凄惨なものだが、本作は詩的な美しさがある。美しいシチリアの自然の中の少年少女の青春ドラマから一点、少年の失踪によって物語は犯罪ドラマへとシフトしていく。撮影監督がイタリアきっての名カメラマン、ルカ・ビガッツィだが、事件そのものがまるで幻想であるかのような印象を抱かせる映像を作っている。結末が圧倒的に悲惨なものだが、それすら美しく撮ってしまう。
実際の誘拐事件の犯人を告発する素振りは映画には一切ないし、悪を断罪するでもない。本作が描くのはゴースト・ストーリーというタイトルが示す通り、死を超越した愛だ。少年と少女の想いは肉体と現世の縛りから逃れ昇華する。
これを事件を美化していると観てしまう人もいるかもしれない。しかし、悲惨な事件を悲惨だと消化して、どれだけの人がその事件を憶え続けることができるだろうか。この美しい愛を観た人は、それゆえに残酷な現実を決して忘れないだろう。
ネタバレ! クリックして本文を読む
前情報無しで見ると静かで暗い雰囲気にスピリチュアルなシーンで「?」となってしまっていたけど、全部見た後にうああああああ〜って悲しみが止まらなくなる。
最後まで見た後だと青春の輝きにこんな表現があるなんて…暗いからこそ若さが美しさが際立っていて…純粋なラブストーリーが鎮魂歌として胸に刺さってくる。
ただ暗くゆったりとした間が見てられない人は先にネタバレした方が良いと思う。
全部見てからの衝撃も味わってほしいけど、この映画の地元のイタリアの人達なんかは元の事件を知っている前提で見ているはずで、そう考えると前後関係分からずに放り込まれる必要も無いと感じます。例えば「誰も知らない」を何も知らずに見るのと同じ事です。
ふと前に何かの旅番組で南イタリアのマフィア問題は根深くて地元に影を落としてるって町のイタリアおじさんが語るシーンがあったのを思い出したんだけど…これ見てあぁこういう事も含めてなのか…とあの言葉に少し実感沸きました。
2020年8月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
シチリアの海に癒される・・・とはいえ、最後のテロップには驚かされる。時間の経過があまりにも伝わってこないため、どこからが回想シーンでどこからが現実なのか掴みづらい。もともとショートヘアの13歳の少女ルナ。「つき合ってほしい」とラブレターを書いた直後に失踪した少年ジュゼッペのために、「ジュゼッペがいなくなった。どうする?」といったビラをも配る。が、その時青色に染めた髪。親に怒られ丸坊主・・・時系列がハッキリしてるのはここだけ。
湖の中での妄想や、徹底的に追及しようとする姿など、サスペンスタッチではあったのだが、ここから話が混沌としてくるのです。結構入れなくてもいいシーンを挿入してあるため、ジュゼッペは現実なのか夢なのか・・・がわからなくなる。
悲しい事件ではあるけど、もうちょっとわかりやすく作ってもらいたいところ。湖に何かを沈めるシーンも長すぎ・・・正体がわかったときには思い出したくなくなってしまいます。対照的に美しい風景が登場するため、シチリアに行ってみたくもなります。
すべての映画レビューを見る(全40件)