「男と女の感性の違い、そして元女優妻の嫉妬の激しさ狡さ嫌らしさが満点」女と男の観覧車 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
男と女の感性の違い、そして元女優妻の嫉妬の激しさ狡さ嫌らしさが満点
男と女の感性の違い、そして恋愛に溺れる女性達の姿が、しっかりと描かれて感心はさせられた。
舞台は50年代のニューヨークの遊園地。
まず、そのレストランで働く元女優を演ずるケイト・ウインスレットが、演技を感じさせなくて凄い。前夫を若い男との浮気で傷つけ自殺させた過去にも関わらず、子連れでも再婚してくれた現在の夫にときめかず、若い作家志望の大学生ジャスティン・ティンバーレイクとの逢引きに夢中になってしまう。そして、日常からの脱出の夢を彼に重ねてしまう。演技のリアリティが十分すぎて、大学生で無くても突き放したくなる様な女の嫉妬の激しさ、狡さ嫌らしさと非現実生が表現されていた。
メリーゴーランド管理者の夫の娘、ジュノー・テンプルも良い。父親の反対にもかかわらずマフィアの男の元に走り結婚したが、FBIに多くをゲロし殺さそうで逃げ込んできた。にもかかわらず、文学的大学生ティンバーレイクに、まるで恋する乙女の様に夢中になってしまう。命からがら転がり込んだ時の姿と、彼が私に夢中と、夢見る様にウインスレットに話す落差をつけた演技が、とても魅力的に思えた。
そして、学生役のティンバーレイク、本人的には自分の心に忠実に二人に接していることで、結局は二股をかけてしまっているのが、面白い。他の人間に相談までして現実重視し、娘の方は諦めようとするも、結局は娘の方を誘ってしまっているのだ。
ということで、放火し映画館に入り浸る子供、夫役も含め、ウッディアレン本人や、過去の妻達や現在の妻を反映した様な私小説風のキャラクターが登場も、どの家庭にもある様な普遍的な男女となっていて、流石と思えるところはある。
ただ、この映画の最大の欠点はウインスレットの演技が多分演出に忠実で、うますぎて、だからこそ彼女に少しも魅力が感じられないこと。というか、彼女のキャラクター設定、つまり魅力を封じたウッディアレンの脚本自体が最大の難点かもしれない。こんな女は追い出してしまえと早々と思ってしまった。脚本兼監督アレンもそう思ってることの反映の様に感じてしまったのだ。
きりんさん、コメントありがとうございます。
ケイト・ウインスレットの全ての出演作を見ているのですね、凄い!
私はタイタニックとコレしか見ていなくて、他の出演作も可能なら是非見てみたいと思いました。
なるほど、最後の一文に唸りました。
タイタニックの初登場の頃からケイト・ウィンスレットという俳優は、全ての出演作において「大根」なのか「驚異的な天才」なのか、僕は計りかねているのです。
退屈さ、魅力のなさを演じているなら凄いが、紙一重かもしれない。あまりいないタイプですね。