劇場公開日 2018年6月23日

  • 予告編を見る

「基本的には面白いけど倫理的にかなり引く」女と男の観覧車 SHさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0基本的には面白いけど倫理的にかなり引く

2018年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

めくるめく展開により、最後まで飽きないし、基本的にはとても面白い作品だとは思ったけれど、過ちを繰り返す子供や過ちを繰り返し続ける大人の表現が倫理的にどうも受け入れることができず、むしろ引いてしまった。
ケイト・ウィンスレットの妖艶悪女ともいえる演技を見るだけでも面白みを感じるけれど、あまりに完璧な“ジミー”にやっぱり引いてしまう。
冒頭の魅力的な“キャロライナ”登場そのものが、最近のウディ・アレンの良からぬニュースを知っていただけに、結構引いてしまったのだけれど、監督特有のアイロニーなどを考慮して観賞し出すと、全てひっくるめて楽しめるような作品かなとも思いながら見ていた。
作品のキーとなる観覧車の照明なのか、赤や青の光が人物や舞台を効果的に照らし出す絵が非常に良くて、醜悪なお話しの良きスパイスのように思えた。脚本だけでも十分内容を把握できる作品ではあったけれど、画面内のあらゆる効果でより一層作品を咀嚼できたような気がした。ただ、個人的にそれは苦虫をかみつぶしたよう気が少しだけしてしまったのだが…
あらゆるエゴや秘め事、そしてその対立など、物語の楽しむ要素は半端なくあったけれど、後味は決してよろしいものではない。
映画としては素晴らしいけれど、物語としては好きじゃない。

SH