「映画と演劇の橋渡しをする怪作」女と男の観覧車 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
映画と演劇の橋渡しをする怪作
映画と演劇は違う表現形態だが、演劇的だからといってダメな映画とは限らないし、演劇的であることで成立する映画もあり得る。そんなことを証明してくれているのが本作。
『ブルー・ジャスミン』同様、テネシー・ウィリアムズが描くようなアメリカ戯曲に目くばせしているのは明らかで、本作ではより直截に演劇的なアプローチを取り入れている。すなわち、ひとつのシーンがまるで演劇の「場」であるように、役者たちが長セリフの応酬をし、決して自然体とは言えない大仰さもある。
ではこれをそのまま舞台劇にしても成立するかはわからない。いや、ケイト・ウィンスレットが放つ腐りかけの色香のようなものは、映像で切り取っているからこそ匂い立つのだと思う。
群像劇の体裁を取ってはいるが、やはりこれはウィンスレット演じるギニーの物語であり、この名もない女性像の内面をかくも恐ろしい人間ドラマに見せるには、演劇的な装置が必須だったように思うのだ。
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