劇場公開日 2018年9月22日

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「これからご覧になる方へ、お願いがあります。」バッド・ジーニアス 危険な天才たち 琥珀さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これからご覧になる方へ、お願いがあります。

2018年9月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私自身の反省も含めての話です。
この話は、進学校に入るところ、その後の進級、主舞台となる試験…、というように時間の経過があります。ところが、映画として見せるためどんどん展開してしまうので、登場人物の分かりやすい個性や募る仲間たちのことが、見ようによってはとても安易で軽く見えてしまいます。
しかし思春期の数年間で培われる、

『仲間との信頼関係』
『リンの冷徹な視点(父親との関係で見せる弱さとは裏腹の)で仲間たちを見極める判断力』…裏切者は出ないのか?
『学校生活を送る中で、努力だけでは格差に勝てないことを思い知らされ、リスクを負ってでも一発逆転に賭けたくなる現実を知ること』

などについては、しっかりと認識したほうがいいと思います。タイの国内事情のことはわかりませんが、アジアに共通する賄賂文化への失望(結局、大人の世界はお金なのか?)も校長との会話の中で、示唆されます。思春期の高校生がそういう現実を目の当たりにしてしまったことを想像すると、バンクの正義感、というより自分は真面目にやってるのに、努力もしない奴が抜け駆けしていい目を見るのは許せないという気持ちも痛々しいほどわかります。同時にクライマックスでミッションに挑むリンの決断の重さも伝わってくると思います。
リンと親しい仲間たちとの友情も映画で表面的に受けてしまう印象ほど薄っぺライものではないことも想像できます。
ぜひ、彼ら彼女達が多感な時期を一緒に過ごした数年間の重みを想像しながらご覧いただきたいと思います。

グレシャムの法則