万引き家族のレビュー・感想・評価
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コメンタリー込みなら★5
「万引き家族」について、どーしても言いたい事がある。というか、是枝監督にどーしても言いたい!というのが正しいか。
監督は作品の方向をあまり誘導したくない、というお考えだそうだが、それにしてもあまりにも優しくないと言うか、「そこは見せても良いでしょうよ!」というところまで秘密なのはいかがなものか。
と言うのもいくつかあって、まずは海水浴場で初枝が「ありがとうございました」と口の動きだけで告げるシーン。これ、海外では口の動きを読めないので字幕が出るんだそうです。ある意味、日本より優遇されてる!絶対見逃さないもんね!
「食い物にしてる」という亜紀のセリフに象徴されるように、柴田家の家計は初枝の年金でほぼ賄われている。年金目当て、と思われても仕方ない状況で、なお「ありがとうございました」という感謝の言葉が初枝の口から出ることで、この疑似家族の絆が伝わるシーンじゃなかろうか?
みんな離れた所ではしゃいでるんだし、そこは声付きでも良かったと思うんだよね。
祥太の乗るバスを見送り、いても立ってもいられず走って追いかける治のシーン。
散々「父ちゃん」と呼ばれる事を希望していた治に、祥太と決定的な別れが訪れた場面でもあるけど、バスの中で祥太は声にならない状態で「父ちゃん」と呟く。
そこも海外では字幕あるんですよ!出してよ、日本でも!
バスを追いかける治だけでも、じんわりと胸に迫るものがあるけど、「父ちゃん」って最後の最後に呼ぶんだ、と思ったらまず号泣でしょうよ!
で、極めつけ。エンディングのりんちゃんの視線の先に、走ってくる治がいるらしいのだ。信代に教わった数え歌を歌いながら、「本物の家族」という牢獄に囚われたりんちゃんを求め、走る治。姫を拐いに来た王子様じゃないか!冴えないオッサンだけどな!
「選んだのは、絆でした」というコピーに恥じない完璧なシーンだろうに、なんて勿体ない!多分ここで「あんまりよくわかんなかった」みたいなレビュー書いてる人にも伝わったよ!出し惜しみし過ぎ!観客に任せすぎ!
家族ってすごく曖昧で、普遍的な人間の最初の組織なのに個人の経験する家族の形はとても少なくて、自分が「普通」と思ってることが実際普通かどうかなんて怪しいもの。
こんな「家族」があっても良いんじゃないかと思うのも、こんな「家族」は認められないと思うのも、全ては自分の価値観次第。
だからせめて柴田家のそれぞれが「アリ」だったのか「ナシ」だったのか、どう思ってたのか教えてくれても良いと思うんだよね!
出来たら監督はどう思ってたのか、感じたいんだよね!本当に!
是枝監督らしい、と言えば確かにそう。わかってて観たからこそコメンタリーまで鑑賞して大満足。だけど、やっぱりもうちょい監督の思いを感じたかった!
もっとグイグイ来てくれても良いんですよ?
是枝イズム
封切り以来久しぶりに映画館のスクリーンで観たけど、やっぱり良い映画は良い。
最初に観た時よりも、今回また観て素晴らしさが募った。
ムダの無い、減点主義の評価だと減点ポイントがない是枝監督の真骨頂な作品。
キャスティングもお見事で、リリー、安藤さくら、樹木希林、松岡茉優、子役たち、全員100点満点。
作風自体にも、俳優さんたちの演技にも、2時間ずーっと見入ってしまう魅力がある。
20231118 新文芸坐
心の葛藤模様がリアル
終盤まで感じる妙な違和感。
所々ヒントは出ていて、何かがおかしいんだろうなとは思っても、何がおかしいかは最後の最後になるまで分からない絶妙さは凄かった。
各々が正しいとまでは思っていなくても、何か信念のようなものをもってそれを貫いている。
正しさだけでは生きていけず、そこに幸せの定義も出来ない。そんな現代のリアルさを突きつけてくる作品でした。
しかし、それは大人目線の話。
子ども目線ではまた違うように映り、葛藤し、もがいている大人と子どもの対比も見事だと思った。
とはいえ、自分の親族にこんな家族がいたら距離を取ってしまうだろうし、どこか他人事でありファンタジーだと思ってるから観れるのだとも思った。
生き方はそれぞれ
本当の家族では無いけど家族らしく感じました。本当の家族の方が問題を抱えているケースもありますよね。
万引きはどんな理由があってもNGです。人を助けようと思う人は、商品やサービスを与えるのではなく、自立できる方法を教えたほうが良いので愛だけで片付けないで欲しいです。
お金と幸せ
良かったー!警察の尋問シーン、もしこれが現実でニュースで一部始終を知ったなら私もあんな目で安藤サクラを見るんだと思う。家族っていうか集団って外と中じゃ全く違うよなぁ。リリフラにとって祥太は自己肯定のための自己投影だったのかなぁ。そう思うと祥太が全う(?)になっていくのが余計切ない。だんだん母親になってくお母さんと呼ばれない安藤サクラと進まないリリフラ。おじさんに戻れるのかな。考えさせられる
手放しで評価できない愛の形
犯罪や虐待とは無縁の環境で育った自分にとっては、この映画がどこまで現実に起こり得ているのかは分かりません。ただ、良い意味でも非道徳的な意味でも、正解の押し付けがない素晴らしい映画だったと思います。
まず、登場人物一人一人に心を置けませんでした。出てくる言葉は優しいのにいざとなったら見捨てられそうな不安感が常にあり、映画の終わりまで「この人は良い人なのか?」と考え続けました。でも結局答えは分からず、それこそがこの映画の魅力の一つである「人間らしい人物たち」だったのかなと思いました。
家族たちが警察に捕まってしまった時、映画にのめり込んでいた私はすっかりあの家族の形が好きになっていて、それが正しい愛であるかのような気持ちになっていたため、家族の詳細を知りもしない警察たちの尋問シーンで嫌な気持ちになりましたが、実際、警察の手によって家族が引き裂かれた時、勉強に興味のあった少年は学校に行けるようになり、夫婦の過去の犯罪やおばあちゃんのがめつい部分が暴かれたりと、一気に世間一般の「正しい」視点に戻されました。周りから見れば、あの夫婦は少年の学習する権利を奪いましたが、それは彼らに学がなく子供時代をどうあるべきか、どこに引き渡せば少年を救うことが出来るのか判断することが出来ず、万引きの技術を教えることが最善の賢い選択だと自他共に思い込ませていたのだと思います。
同時に、あの夫婦は間違いなく一人の少女を虐待から救いました。再び虐待家庭に戻された後、謝れと母親に言われて頑なに謝らなかったあの子は、もうすでに虐待の連鎖から断ち切られ本物の愛と、外の世界を知っています。彼女をあの母親が虐待することは本当の意味ではもう二度と出来ないでしょう。
また、私がこの映画で最も気に入っているシーンは、父の言った「何か役割がないとあの家に居ずらいだろ」です。学がない人が、本や学びからではなく経験からのみで出される鋭い人間性を垣間見せるその台詞がとても胸に残りました。
この映画はどんな受け止められ方をしても正解だと言えるほど、良い教育教材であると思うので、いずれ全国の教育機関で生徒たちに観てもらうようなものになればいいなと思いました。万引きは犯罪ですが、きちんと作中で良くないことだと案じるシーンもありますし、羅生門を高校生たちに読み聞かせるぐらいなら万引き家族を観せた方が何倍もタメになると思いますね。
すき
笑いのある楽しい家族像
誰も血が繋がってなかったなんて。
平屋のボロい家で暮らしているところに共通点を見出して、親近感を持ちながら鑑賞していた。
安藤サクラはリリーフランキーを守ろうとして自供した。家族は息子を見捨てようとして逃げるつもりだった。拾った捨てたの押収に見えたけど、あのときみんなで過ごした時間は美しく存在していた。
死んだ人のことは忘れろとか、いなかったことにしろとか、ないものにしようとする行為と対象になるようだった。
家族が解散して、それぞれの生活を送るわけだけどそれが幸せに前進するのかマイナスになるのか分からない。
長続きはしない、いつかはボロが出る関係性の危うさは幸せを感じるスパイスなのかもしれない。
わざと捕まった少年は、万引きが悪いことなのかの分別もついておらず正当化された環境にいることに、薄々罰の悪さを感じていた。捕まったらどうなるか試してみたかっただけなのかもしれない。ただ一瞬の好奇心で、家族だったものが離散したのは彼にとって、正々と清算した気分になったのだろうか。
松岡茉優が樹木希林に懐いていたのはなんだったんだ、あの子はどうなったんだろう。
生活の音
ほとんど音楽がない映画。
子どもに万引きをさせ、おばあちゃんの年金を頼りにして、そのおばあちゃんはかつての夫を奪った家族の長女を連れてきてその家から定期的にお金をもらっている。
とんでもなくひどい生活なのに、映し出される日常には暖かい絶え間ないなにかが溶けていて、ずっと見ていたくなる。
野生の動物の家族のように、守る。かばう。慕う。抱きしめる。
血の繋がりによって簡単に役割をもらって役割に期待しあう家族よりも、もっと家族。
本当の家族じゃなくても、大切に守ろうと生きようとする中で、誰かがお手本を作った家族の関係なんて軽々と超えていく。
理想や体裁をとっぱらうと、愛が残るのかな。
子どもの映し方が丁寧で、俳優陣が素晴らしくて、隅々まで優しくて、涙がとまらなかった。
法を超えた愛
法を超えた愛が充満してムンムンする。
例えば少年の万引きは愛なのか?それが少女に与えられるもの教えられるもの全てなのだから、彼の精一杯の愛情表現だろう。
愛の先には生きる力強さや、前を向いて生きる希望が描かれており、お互いが愛に影響を受けながら生きている。
僕はこの家族たちを何も持たない悲しい人達と言うことはできない。
許したい家族
法では許されないことかもしれませんが愛情面では許したい。貧乏だったけど楽しそうな家族。万引きは頂けないが後は許したい。
血の繋がりや誰が育てるか?子供に選ぶ権利、行政など考えさせられた。
とても面白かった。
現代の闇にスポットをあてた感動作
もともと高評価作品であったが、日本映画らし過ぎる雰囲気に腰が引け、今日まで後回し。
観終えて率直な感想、これは名作だ。面白いし泣ける。日本映画らしさが全て良い方向に映り、世界的高評価に納得だ。ナイスごちゃごちゃ&まったり具合と言ったところか。
出演者皆の好演技も本作のみどころ。とにかく皆演技派。中でも個人的には安藤サクラさんの演技が特に印象的。母性の洪水に涙。「拾ったんです。捨てた人は他にいるんじゃないんですか?」「なんだろうね…」落涙を禁じ得ない名台詞とドが付くほどの本当の意味での母親っぷり。
何が善で悪なのか。本当の幸せとは。本作はハッピーエンドか否か。最終的には皆どうなったのか。討論会は間違いなく徹夜になるだろう。
こんな事いつまでも 長くは続かない、いい加減明日の事 考えた方がいい。 社会問題に深く切り込んだ姿勢には賛同するが、いかんせんつまんねぇ…😅
万引きで生計を立てる「一家」の姿を通じ、貧困や家族の在り方についてを描き出すヒューマン・ドラマ。
監督/脚本/編集は『そして父になる』『海街diary』の、巨匠・是枝裕和。
万引きを繰り返す「家長」、柴田治を演じるのは『海街diary』『バケモノの子』のリリー・フランキー。
治の「妻」、信代を演じるのは『百円の恋』『DESTINY 鎌倉ものがたり』の安藤サクラ。
信代の「妹」、亜紀を演じるのは『悪の教典』『ちはやふる』シリーズの松岡茉優。
亜紀の勤務する風俗店の常連、4番さんを演じるのは『横道世之介』『セトウツミ』の池松壮亮。
柴田家が保護する少女・ゆりの父親、北条保を演じるのは『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『亜人』の山田裕貴。
駄菓子屋の店主、山戸頼次を演じるのは『ウォーターボーイズ』シリーズや『シン・ゴジラ』の、レジェンド俳優・柄本明。
警察官、前園巧を演じるのは『ソラニン』『シン・ゴジラ』の高良健吾。
同じく警察官、宮部希衣を演じるのは『猫の恩返し』『怒り』の池脇千鶴。
治の「母」、初枝を演じるのは『借りぐらしのアリエッティ』『海街diary』の、レジェンド女優・樹木希林。
👑受賞歴👑
第71回 カンヌ国際映画祭…パルム・ドール🌟
第44回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…外国語映画賞!
第44回 セザール賞…外国映画賞!
第13回 アジア・フィルム・アワード…作品賞!
第42回 日本アカデミー賞…最優秀作品賞/最優秀脚本賞/最優秀監督賞!✨✨
第10回 TAMA映画賞…最優秀作品賞!
カンヌで最高賞となるパルム・ドールを受賞するなど、国際的にも高く評価される一作。興行的にも成功しており、国内だけでも40億円を超える大ヒットを記録している。日本を代表する映画監督、是枝裕和の集大成とも言われており、氏の代表作の一つとして名高い名画であります。
そんな本作なんですが…。
自分としては……。うん…。
この映画を鑑賞して、私はこうなんと言うか、超一流の精進料理みたいな映画だなと感じました。
日本中から最高級の食材を取り寄せ、それを最高峰の料理人が調理する。
カボチャの煮付け、茄子の天ぷら、胡麻豆腐、生麩の柚子味噌田楽、五目おこわ、季節の野菜のお味噌汁。そしてデザートはお抹茶と和三盆のお干菓子。
食後は偉いお坊さんが出てきて説法なんかしてもらって。それで食べた人全員、徳が高くなったような気持ちになってお寺を後にする、みたいなね。
んでまぁ、グルメな人はそれで良いのかも知れないけど、自分みたいなバカ舌は「ハンバーガー食いてぇ…😮💨」と思う訳です。
肉!🍖魚!🐟卵!🥚にんにく!🧄
うがーー!もっとジャンクなもんを食わせてくれっっ!!
ちょい意地悪な言い方になるけど、これは良くも悪くも「ザ・邦画」って映画。
・「…っぁなや……ゃはまぃった………れはそぅ…けど」ボソボソ。みたいな何言ってんのかよくわかんない上に辛気臭い会話。
・煮詰まった人たちによる「血は繋がってなくても俺たち家族!」な関係性。
・美しい景色のロングショットと、そこを駆け抜ける少年少女。
・貧困/障害/DVなど、社会に蔓延る問題への目配せ。
・汗だくの男と女による、雨の午後の情事。
・ここぞと言うタイミングで流れる、ピアノやストリングスによる陰気な劇伴。
これらの要素がいかにも邦画って感じ。海外作品にはない味わいです。海外の人たちは「YEAH!コノ辛気臭サが邦画ノイイトコロデース!サイコーデース!👨🏼🦱」ってなるんだろうか…。
国内でも大ヒットしているんだから、陰々鬱々としたものが観たいと言う観客が多いんだろうけど…。うーん。
この「暗くて深刻で賢そうなもの」のほうが「明るくてハッピーなバカっぽいもの」よりも価値がある、という風潮ってなんなんすかね?どうせ社会問題を扱うなら、コメディにして笑い飛ばした方が絶対良いじゃん。
貧困/格差/家族の問題を取り扱っていると言う点では、『パラサイト 半地下の家族』(2019)や『ジョーカー』(2019)と似ている。
日本、韓国、アメリカで、同じようなタイミングで同じようなことを題材にした映画が誕生しており、しかもそれらが国際的に高い評価と興行成績を叩き出しているというのはなかなかに興味深い事実。
こうした経済格差は日本国内のみならず、世界的な問題となっていると言うことなんだろう。
ただ、本作と『パラサイト』『ジョーカー』の違うところは、後者2作はどちらも社会問題を扱っていながら、エンタメとしても高いレベルの作品であると言う点。
陰鬱な気持ちにさせるだけではなく、娯楽的に楽しめるポイントもちゃんと用意されている。
対して、本作は社会問題を観客に叩きつけることを目的とするあまり、娯楽的な要素は皆無。頭からお尻まで、とにかくドヨ〜ンな気持ちにさせられる。
120分全てがスローテンポな上、スカッと出来る抜きどころは一箇所もない。なんでこんなツラい思いをしながら映画を観なくちゃならんのだ…と何度思ったことか。
映画とは結局のところ娯楽。仕事や勉強じゃないんだから、楽しさこそが至高。そこを忘れた作品を評価する気にはなれない。
第一、現代日本に蔓延る問題を鋭く切り取った問題作!みたいな顔をした映画だけど、あまりにも一つの家族に社会問題を集約させすぎていて、「こんな家族居るわけねーだろっ💦」という気がしてしまい、この映画が提起する問題点を素直に見つめることが出来なかった。
そりゃフィクションなんだからファンタジーでいいんだけど、リアリティラインの引き方は考えて欲しい。
とまぁ、賛否で言うと完全に否。
とはいえ、観終わったら何にも覚えていない無のような映画とは対極に位置する、いつまでも心にドシンと居座り続ける作品であることは確か。
地味で面白みのかけらもないが、観客の心に強い影響を及ぼすとてつもないパワーを持った映画であり、そういう評価軸で判断すれば、本作は日本映画史上に残る名画と言える…のかなぁ?
まぁ一言で言うと「良い映画だけど趣味じゃない」と言うことです😅
全然好きじゃない映画だけど、俳優の演技は素晴らしい!
安藤サクラや樹木希林も良いが、MVPだと思ったのは池松壮亮✨出演時間は1分くらいだと思うんだけど、あの表情の演技は凄いっすねぇ。彼が重宝される理由が初めてわかった気がする。
また、本作は役者の肉体の艶やかさをとてもよく引き出していたように思う。安藤サクラの背中!松岡茉優のお胸!!そしてリリー・フランキーのお尻!!!
監督のインタビューによると、この作品は「肉体」の映画であるとのこと。樹木希林が見せた「老い」と、役者陣の体当たり演技が見せた「性」。対照的な肉体の対比が、「生」と「死」という人間の根源的問題を明明と描き出していたように思う。
…にしても、松岡茉優っておっぱい大きいんすねぇ…。
ぐだぐだ書いてきたことを要約すると、観ていて気が滅入ること間違いなしの一本だっ!ということ。
好き嫌いは別れるだろうが、強烈な映画であることは間違いない。鑑賞にはそれなりの覚悟を持って臨むことをお勧めします!
家族ってなんだろう
正しい家族なんてこの世にひとつもない
どの家族にも間違ったこと、正しくないことが必ずあると思う
それでも愛であり絆があればそれは家族なのかなと思わされる
犯罪は悪である
万引きとか車上荒らしとか死体を埋めること、それらは立派な犯罪
でも、祥太をパチンコ屋の車に置いていった生みの親、ゆりをネグレクト・虐待する生みの親、彼らも重大な犯罪をしている
ただそれが表に出てこないだけ
警察は表に出てきた犯罪だけでものごとを考えている、まさに世間と同じ
本当に考えなきゃいけないのは、世間から見えない犯罪、特にこどもの未来を奪う犯罪を減らすことだと思う
方向性がズレている
是枝監督の映画は苦手だがこれは面白いだろうと期待して観た。映画「パラサイト 半地下の家族」が面白すぎた為。万引き家族は内容似てるらしいので。
だが結果的に期待外れ。是枝監督のセンスにやはり違和感覚える。私的にそんな監督は他にも世界的な名監督にも多々いるので単に自分の感覚が変なだけだろうが、そこは気にしない。
主人公の男が不細工なうえ演技が単調で、警察の尋問受けてる時が特に残念だった。こういう難しいシーンでは演技力足りない俳優。表情が型にはまっててリアルさの点で物足りない。無難にそこそこの演技をしてるだけなので、この役者である必要性を全く感じない。このリリー・フランキーという俳優を是枝監督はよく起用するが、この役者で満足してるのはセンスおかしい。
貧困がテーマゆえジメジメゴチャゴチャした部屋で納得だが、見せ方もっと工夫して欲しい。例えば映画パラサイトの半地下一家も貧乏ゆえ家ジメジメゴチャゴチャだがある種美しさがあった。そう感じさせる映像。これぞ映画だと思わせる。確かに汚いんだが趣を味わえる。韓国と日本の家事情の差とかの問題ではなく映像の差。
いかにも貧困日本人の家らしさは表現できてるが、そのまんま過ぎる。ドキュメンタリーではなく映画として作ってるなら、観る気にさせるよう工夫して。貧困日本人の家らしさの表現なんて別に一つではないと思う。このままでいくとしても映像処理とかでもっと何とかならんかな。当然処理してるだろうが足りない、もしくはズレてる。何かの記録映像なのかという感覚に陥る。映画としての映像を楽しみたいのに。でも本作以外でもそんな映画沢山あるので別にいいと言えばいいが。
性風俗店が出てくるのが日本らしい。あと主人公の妻が夫よりだいぶ年下なのが若干なんか微妙にロリコンぽくて日本らしい。妻もっと若くするとか徹底しても良かったのでは。だがこの妻役は演技上手いので不満なし。むしろ彼女の演技力のおかげで本作は救われてる。他に良かったのは婆さんや店主の爺さんだがこの人達は上手くて当然。ただ家庭内で婆さん1人だけヤバイ雰囲気を醸してる為いつか大問題起こしそうなトラブルメイカー的な予想してしまったが、あんだけヤバさ醸しておきながらあっさり死んだ。期待してただけにガッカリ。必要以上にヤバさ醸すとミスリードされた気分。婆さんにターゲット絞って見てしまうので。家族全員ヤバさ醸してるならともかく。
子役は居候の小さい女の子が個性的な顔立ちが超可愛らしくて良かった。ちゃんと影もあるので役に合ってる。主人公の息子の少年も個性的な味ある顔なので期待したが、演技パッとせず印象薄くて全然イマイチだった。だが演技含めこの子の良さを引き出せない監督が悪い。父役(主人公)と同じく無難に演技しすぎで観ててつまらないから心揺さぶられる事もない。もっと演技に光るところあれば良かったのに(父も同様)。日本の子役は棒演技が多いけど本作の子役はマシだと思った。是枝監督の「誰も知らない」の柳楽優弥も棒演技ひどかったが圧倒的な魅力があって演技とか超越した存在感あったから本作もあのレベルの子役だったら多少はマシな映画になっただろう。ちなみに「誰も知らない」もイマイチだが柳楽の魅力のみで何とか乗り切った印象。
是枝監督作で毎回思う事だが間のとり方が嫌だ。観てて退屈な間の開きがチラホラある。もちろん上手いと思えるとこもあるが下手のほうが目立つ。下手に感じるのは単に私の好みじゃないからだけど。視聴者をいかに退屈させないかを重視し実現できる監督は有能だと思うが是枝監督はそれが無い(あるかもだが私は感じない)、だから独りよがりな監督だと思ってしまう。別に独りよがりでも映像美で魅せる等あれば逆に名作なり得るがセンス超重要だから是枝監督にはハードル高そう。間を長くとってもそれを感じさせない空気感や映像等あるなら良い。あと必然性をちゃんと感じられるとか。是枝監督はそれらもあまりなく、もしくはあってもズレてるせいで独りよがり感しか感じず観てて退屈。
あと見づらい構図、若干イラつく構図がチラホラある。見づらいからイラつくのだ。こんな構図にする理由は芸術志向だからか。平凡な映画にしたくないとか。監督の頭の中に視聴者の存在は無いのかな。狙ったような構図はあざとい。パラサイトは構図が素晴らしい映画だがあざとさは全く感じずただただ構図に酔える。名監督なら当たり前に出来る事なんだろう。監督の技量の差か、単に私の好みの問題か。彼が作ってるつもりの映像美を映像美とは全く感じないから、是枝監督とはセンスが何もかも合わない、で済む話だが。
是枝監督の映画は見事に好みじゃないからこの監督は無能とすら思う。あざとさなど視聴者にバレたらマズイよ。その点パラサイトの監督もあざとく作ってるだろうがそれを感じさせない技量もあるのでは。それでこそプロ。たまに是枝監督の映画は、技量不足なのに図に乗った学生作品のように感じる時がある。もちろんプロだから上手いと感じる部分もあるが、それ以上に欠点が多いから帳消しになってしまう。
本作はカンヌ受賞作だがカンヌやアカデミー賞とれば名作とは思わない。審査員より自分の感覚信じるべし。まあ本作の良かった点を探すとすれば風俗店での描写は凄く良かった。けど風俗店だけ良くてもなという気分。万引きシーンもそこそこ楽しめた。だが万引きという行為が観てて興味深いというだけの話で是枝の技量関係ない気がした。せっかくの万引きシーンをもっと面白く釘付けにさせてくれるなら別だが、是枝にそこまで期待するのは酷だろう。あと主人公の妻と同僚どっちが退職するのか2人で相談しろって発想はいい。そんな状況悲惨ゆえ面白い。
人物の相関関係が複雑。実は血縁関係なかったり。複雑にする必然性が本当にあるんだろうか。複雑にする事で面白くなってるのか疑問。家族と思わせて実は…と驚きの真実を明かしたつもりでも、それまでの話で心揺さぶられる程の盛り上がり等なく淡々と物語が進んでいた為、ふーん他人同士だったのか程度にしか感じない。
というか万引き家族の話なら、普通に血の繋がった家族にしといた方が面白いし深みも出る気がする。しょせん他人同士ならば今まで見せられた父子の万引き犯罪連携プレーもたいして心が傷まないのだが。本物の父子でやってるから観てるほうも複雑な感傷が残るのであって。是枝監督は感覚ズレてると思う。私的には話を複雑にすればするほど鋭さとか迫力とか減る感じするのだが、本作は元々それらが薄いからマズイ。単純で突っ走って欲しかった。そのほうが万引き家族の迫力が増す。しかし無能監督だと内容が単調になりかねない為、つい複雑のほうへ逃げてしまうのかな。構図にしろ設定にしろ、平凡さを脱したいのかなと感じるが、それなら先にまず人の心について学んで欲しい。当然学んでるかもだがズレてる?基本がズレたままなのに上級目指してしまってるみたいな上昇志向だけは感じる。
終盤の警察の事情徴収時のやりとりが退屈。色々明るみになっていく面白いシーンのはずなのにつまらない。監督の技量不足のつまらなさを安藤サクラの一流の演技力だけで乗り切ってる感ある。妻が泣くあたりのシーンが長くて間延び感があり、気分が徐々に高まる所だからあえて長いんだろうが、演出でもっと短く表現して伝えられる気が。単に長く映すという安易な手法取ってるのが嫌だ。現実味とかリアル表現を意識してるのかもだが、ドキュメンタリーや記録映像的なのを観たい訳じゃないので、そこは演出力でもってリアルさ表現した場面が見たいのだ。現実の時間経過と映画内の時間経過は違うので、短く表現できる箇所は短くして欲しいという私の好みの問題だが。
妻は子供の事言われて泣いてるし血の繋がり無いとはいえ子供達に結構愛情持ってる風だから、妻を主役にした妻視点で物語描いた方が感動できるのでは。それにリリーフランキーは主役の器じゃない事に加え、この夫に深みを感じないから余計この映画に心動かない。主人公は別に良い人である必要は全然ないが個性は欲しい。なのに役柄的に個性もあまり感じないので何故この男が主役なのか不思議。
ラスト近くの「父ちゃんおじさんに戻るよ」という父のセリフは凄く良かった。なので疑似家族の設定でも別にいいかもと最後は思えた。このあたりはリリーも言い方表情ともに凄く上手い。最後だから頑張ったのかな。息子が乗ったバスの追いかけっぷり見ると彼なりに愛情は深かったのかな。ここも凄く感動した。それまで淡々な男だったのに最後に突然ああいう感じになるのは手法ズルいけど上手い。あまり面白い映画じゃないが最後にちゃんと感動させてくれた。終わり良ければ全て良し。と言いたかったのだが、この後エンドロールの音楽がウザく、もっと普通の音楽のほうが味わい出ると思った。音楽さえも狙いに来てるあざとさを感じて、ラストでの良さがココで帳消しにされた。
不満の多い映画ではあるが風俗店のとこだけは凄く出来が良くて、監督の力量を見れたのは良かった。風俗店をテーマに映画作ってくれたら絶対観に行く。あの客役の池松壮亮の演技も最高だったが出番少なすぎた。客の池松や店内などの撮り方も完璧だと思えたし映像も良くて私的にかなり好みだ。という事で、むしろ風俗店以外の当監督の映画は観る気しない。私的には是枝監督の風俗店以外の映画に面白さを見出すのは困難だろう。ラストの出来の良さで持ち直した感はあるが、それならもっと早くして欲しかった。やれば出来るのに姑息に独自感狙いすぎて結果的にズレちゃう感じなのかな。万引き家族という超興味深いテーマなのに方向性がズレてる為つまらない出来になってるのが残念。面白い映画を作れない監督という印象が更に強まってしまった。同監督の「誰も知らない」と本作は若干似てるが本作のほうが出来が多少マシだとは思う。そして映画パラサイトと似てると聞いたが全然似てないのだが。あっちは娯楽志向で本作は芸術志向という印象。だがパラサイトのほうが映像美や構図の素晴らしさがあり芸術性の高さを感じる。是枝監督が狙ってるであろう芸術性が私的には単なる陰気臭さとして映る。せめてユーモアを感じさせるような点が多少なりともあれば良かったがそれも皆無。だからなおさら魅力が薄い。
是枝にはいつか面白い映画作ってくれるよう待っている。自国映画を批判して韓国映画褒めるのは正直微妙な気分もあるのだ。アカデミー作品賞を韓国映画がとったので、とるなら先にまず日本映画だろうという思いもあったが、日本映画の衰退激しいから韓国に先越されてしまったのだ。この前見た半導体競争の番組思い出した。日本映画の復興を願ってるので是枝監督にも期待はしてる一応。
2023/01 VOD
見終わっても15分くらい泣き続けてた…
切なすぎた…
リリーフランキーと安藤さくら、樹木希林という名役者たちのせいでものすごい「リアル」な幸せが描かれていた。からの最後の終わり方が切なすぎる…
幸せとは何なのか。
家族とは何なのか。
貧困とは。教育とは。愛とは。
みんなの気持ちがわかるからこそ心がつらくて涙が止まらなかった。あんなに幸せだったのに…
幸せな時間を過ごしてたのに…
たぶんこのキャストじゃなかったらこんなに泣ける映画じゃなかったんじゃないかと思います。役者ってすごい。
どうこの物語を納得するか。
淡々と話は進む。
映画を見るほとんどの人にとっては現実では起こりえないことである。一方で映画の登場人物のうちの誰かには不思議と感情移入することが出来ると感じた。
この映画を見たあとにどのように自分の中でこの物語を納得するか、が皆それぞれ違うと思う。
私としては、永遠に続く幸せで無くても、たとえ刹那的な幸せでも、無いよりはある方が良くて、良い経験として記憶に残ることは良いことだと思った。
母が言った「本当に幸せだったから、これくらいならお釣りが来る」というセリフに全てが込められてると思う。
ずっと続く幸せではない、と分かっていても、こわがらず思い切ってその幸せを掴むことも悪くない。そんなことを思わせてくれた映画だった。
かんたんに答えの見つからない問い
家族とはなんだろうかという問いが提示される。さらに、貧困、虐待、犯罪。答えを見つけるのは難しいし、難しいからこその問いかけであろう。
リリー・フランキー、樹木希林、安藤サクラ。子役もよかった。
すごいおもろい
お金とは、幸せとは、家族とは、人間とは〜って考えさせられた。
柴田家で幸せはお金がなくても成立していて、温かくて、幸せで、笑顔でみんな過ごしていた(ゴリゴリ万引きしとるが)ことから、お金がないと買えないものばっかりで選択肢も狭くなるけど、人生って結局人だな!人人〜!と改めて感じた。
でもおばあちゃんが死んだときに涙一つ流さず残されたお金を漁ったり、しょうたくんをあっさり見捨てて逃げようとしたり。生活を守るためには必要だが時々見える冷たさにびっくりする。
前半の日常の描写から一転して、急に家族がガラガラと崩れていく展開はとても惹きつけられた。
あとキャストの演技もすごい…すごい!
あきちゃんの取り調べの時に絶望した顔とか、ママが涙を拭うシーンとか、りんちゃんが虐待されていたことが暗示される時とか…印象に残りまくり。
所々描写される社会問題とか、機能の崩れを感じる家とか、邦画の生まかしさとか、みるべし めちゃおもろ映画 めちゃ泣きめちゃおもろ爆考えさせられ映画 みましょ!
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