愛せない息子
解説
「トーキョーノーザンライツフェスティバル2018」(18年2月10~16日/渋谷ユーロスペース)上映作品。
2017年製作/103分/ノルウェー
原題または英題:Hjertestart
スタッフ・キャスト
- 監督
- アーリル・アンドレーセン
-
クリストッフェル・ヨーネル
-
クリストッフェル・ベック
「トーキョーノーザンライツフェスティバル2018」(18年2月10~16日/渋谷ユーロスペース)上映作品。
2017年製作/103分/ノルウェー
原題または英題:Hjertestart
クリストッフェル・ヨーネル
クリストッフェル・ベック
「考えるな感じるんだ」という言葉がぴったりな映画でした。
説明臭くない、現状そのものを感じ取る映画です。
これは想像以上に複雑な作品。
まず、一つ目の見所は国境を超えた「親子の絆」。
ノルウェーの夫婦が、コロンビア人の男の子を、養子縁組するところから話は始まります。
妻から愛され幸せな生活を送っていた家族。
何不住ない暮らしでしたが、ある日突然妻が事故で死んでしまいます。
残されたのは容姿の息子と、孤独な夫。
これまで、妻から愛されてばかりだった息子を、男一人で育てなくてはならなくなります。
愛し方がわからない父の不器用な態度が、観ている私をイライラさせます。
妻の死に向き合えずに、息子に寄り添えない孤独な男。
そんな父に息子の精神も不安定になり、毎日衝突してばかりです。
怒り、悲しみの連続に、親子の絆がどんどん消滅していく様子が辛いです…。
そして、とうとう息子との生活に耐えられなくなった父は、コロンビアへ本当の母を探しに旅立つことに…⁉︎
このまま、親子は分かり合えないまま別れてしまうのか?
息子も、父に不信感を抱いたまま離れてしまうのか…。
104分という時間の間、ずっとドキドキ、ハラハラの連続でした。
息子から「嫌い」と言われ続け、途方にくれる父。
子を愛したいのに愛しかたがわからない気持ちが、もどかしく不甲斐なく伝わってきます。
くっついたら離れ、離れたらくっつく。
手探りを続ける、父の必死な姿が切ないです。
この映画のもう一つの見所は、「ノルウェーとコロンビアの格差社会」。
コロンビアで捨てられた男の子を、ノルウェーの裕福な家庭が助けるという部分にスポットを当てています。
国が違えば、教育が違い生活も違う。
コロンビアの教育や福祉環境の整っていない社会では、母子が必死になって生きる世の中。
対するノルウェーでは、教育も福祉も環境が整い、豊かな生活を送っています。
そんな各社社会の現状を映像からリアルに感じることで、ますます親子の関係性に、深い絆を感じる事が出来ました。
今回は、SKIP国際Dシネマ映画祭の昨年の最優秀作品を鑑賞しました。
試写会の会場では、「湯を沸かすほどの熱い愛」で有名な監督と、映画コメンテーターを迎えた贅沢なトークもありました。
映画の見所を鋭い切り口で解説してくれる為、普段何気なく観て終わってしまった自分に不甲斐なさを感じました。
余計な説明やナレーションの一切ない、「感じる映画」の素晴らしさを知ることのできた、贅沢なひと時でした。
2018年ノミネート作品が、来月から川口で上映されるとのこと。
この試写会を機会に足を運んで観たくなりました(o^^o)