ビューティフル・デイのレビュー・感想・評価
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☆☆☆☆ 現代の『タクシードライバー』に偽りなし。 少女を助ける話...
☆☆☆☆
現代の『タクシードライバー』に偽りなし。
少女を助ける話といい、ラストシーンといい…。
やべえくらいにクソ面白い。
鏡に向かい、謎のアルファベットの歌を歌う場面等は。あのトラビスが乗り移ったかの様に思い、ついついニヤニヤしてしまう(^^;;
早い話が、チンケな殺し屋の話なのだが。この男は、過去に強いトラウトを抱えている。
だからこそ、トラウトを払拭させる為に、殺し屋稼業を続けているのだ…とも言える。
更に言うと。この男は、マザコンらしき兆候も見受けられるのだが。どうやら母親共々、過去に起こった事件が関係しているらしいのは。度々入るフラッシュバックで、※ 観客側に(『サイコ』ネタ等を使い)少しづつ提示されて行く。
母親の最期等は、ちょっとだけ『ゴッドファーザー』を想起させなくもない。
映画は半分程度進んだ時に「あれ?終わり!」…と思わせて。ここから一気に急転直下の展開を見せる。
案外と政治的な話が入る…と思わせながら、その真相は浅い。しかし、映画の面白さの前には、寧ろどうでもいい話でした。
どう考えても簡単には「セキュリティーは突破出来んだろ〜」…と思うのだが。そんな意見なんぞは、主人公が手にするハンマー1本だけで、観客を黙らせてしまう。
映画の前半部分で、そのハンマーの使用方法を観せているだけに。シンプルな演出ながらも、観客に有無を言わせないだけの説得力を持っている。
映画に深みの有るストーリー。数多くの伏線を最後に回収し、感動場面で観客を酔わせる…そんな作品を観たい人には全く用は無し。観ない方が良いでしょうね。
何しろチンケな殺し屋が、ハンマー1本を片手にし。人の頭をカチ割る話なんだから(^^;;
こうなったら、子供時代のトラウトを受けた事件を詳しく知りたい…と、つい思ってしまう。
※ 母親がビショビショにした床を丁寧に拭く場面等は、まさに『サイコ』そのものだ!
2018年6月6日 ヒューマントラウトシネマ有楽町/シアター1
「フォーリングダウン」「マン・ダウン」
爽快感は一切無いが、心の忘れっぽい片隅にしぶとく居座り続けるこの二作品に、新しいラインナップ。
音楽がヴァンゲリスっぽかったのは気のせいなのだろうか…。そこでチョイチョイ現実に引き戻されるが(笑)、渦の様な悪夢にすぐ飲み込まれる。それでも絶望ではナイのが不思議な感覚。
さぁ、出掛けよう。今日は素晴らしい天気なのだから。
前衛的レオン。筋書きではなく感覚でスリルを感じる映画
個人的にはかなりの名作。
ただ賛否両論あるのは納得がいきます。
まずストーリーの説明が不親切。
主人公の過去のトラウマや設定がフラッシュバック的に表現されますが、それは脈絡もなくほんの一瞬現れるだけ。
主人公の行動が理解出来ないシーンも少なくなかった。??が頭で渦巻きます。
ただ不可解な場面の連続こそがこの映画の醍醐味というか。
本作品は「スリラー」と銘打っている通り緊迫感煽ることこそがこの映画のキモと思うのですが、
役者、特にホアキンフェニックスの不気味な演技、無機質な音楽、そして不安を煽る理解し難いシーンが見事に融合して、先の展開が読めないというある種の緊迫感を観客に与えることに成功していると思います。
話の運び方でスリルを表現していくのではなく、映像そのものの表現の仕方で直感的にスリルを感じさせる映画。
そういう意味では個人的にベストなスリラー映画の一つだと思います。
豊穣な美意識
筋は要約してしまえば単純なものだが
映像、劇伴、そして編集の力で見応えのある、
引っ掛かりを残す作品となっている。
過程でなく結果のカットを積み重ねることで生まれるリズムと緊迫感。
環境音とも楽曲ともつかない心に刺さる音楽。
こうした豊穣な美意識を受け
極力説明的なカットが排除されているのだが、
ここが理解を難しくさせている部分にもなる。
主人公の過去に繋がるフラッシュバックの数々も
およそ推測がつく範疇であるが、
砂漠のカットと狭い部屋でのショッキングなカットは
劇場を出てパンフレットのあらすじを読むまで理解できなかった(そもそもそういう設定であることが劇中で説明されてなかった気が)。
それらを踏まえつつも、
総合的な完成度の高い、鑑賞後の心地よい作品だった。
過激な血の描写でまさかの涙
断片的なフラッシュバックが説明もなく突然差し込まれるし、主人公の背景もあまり分からない。要するに、非常に分かりづらいままに物語が展開していき、終始もやもやした感情をぬぐい去ることはできなかった。
それでも、相当作品の中に引き込まれたし、非常に過激で残忍な殺戮に涙まで催してしまった。
複雑に入り組んだ映像は、いずれも力強くて素晴らしいと感じた。そこに効果的な音響や音楽が組み合わさって、見事なまでに感情を揺さぶった。
これは全くのフィクションだという付け加えに、結構引いてしまうのだが─醜悪な事件や暴力の連続だから…─、とても架空の絵空事ととは思えないところもあり、フィクションではあるけれど真実をついていると思って見ると、より感情移入ができるはず。
複雑な役柄のホアキン・フェニックスと麗しい少女に関しては言わずもがな─。
ふるえる
あの世界観、音楽、映像、そしてジョーに飲み込まれるように引き込まれていった。
まるで光がゆらゆらと絶え間なく差し込んでいて暗くて深い水の中にいるようだった。
冷たいようで感覚がマヒしたようにじわっ暖かくなり、
鋭く研がれたナイフのようで。なまあたたかい血がゆっくりからだをながれていく。
鳥肌がぶわっとたったかと思うと体から心が離れていくような感覚に襲われる。
そして最後にはなぜか理由のわからない涙が止まらなかった。
美しい映像と音楽、まるでジョーの心が映し出されているようである。自分の中の五感が研ぎ澄まされていく。
ショッキングな描写も含まれるが、それよりも人物描写がえがかれており、
美しく悲しく、そしてなにかつながりのようなものやあたたかみを感じる。
「レオン」など孤独の殺し屋や、にがし屋が少女を助けてどうたらこうたらてゆー内容じゃあない!
これはそーいった映画じゃない!
タイトルがでるシーンもセンスにあふれている。
絶対オススメ!
てゆーか僕ももっかい観る!
ホアキンフェニックスの演技にニーナ役の子の深い瞳。セリフが少ないが、2人の演技に圧倒される。
血の描写が
寡黙な主人公役のホアキン・フェニックスの演技と、台詞の代わりに暗く響く音楽に、淡々とした不穏な映像がとても印象的でした。
直接的なバイオレンス描写は控え目ながら、血の描写が生々しくインパクトがありました。
主人公の過去などは断片的な記憶でしか察せられませんが、苦悩するモザイクのような心象を映像でみせる作品かと感じました。
原題は英語で邦題も英語って、原題のままでも良かったのではと思いますが。
どこがビューティフルデイなのかと思って観ていましたが、ここの場面からか、と。
一応、希望を感じました。
彼の心は救われたのか…。
説明いらずであらすじさえ知らなくていい。映像は美しくBGMも素晴らしい。主人公の悲壮感や虚無感がとても伝わってくる。随所に聴こえるトラウマは観客が主人公の追体験が出来るようなっている。派手なことは起きないし、衝撃もない。ただジワジワと伝わってくるのだ。
パズルのような映画
北野武監督の「HANA-BI(花火)」を思い出す。
寡黙で孤独。静けさとバイオレンス。孤独な魂のふれあい。
必要最小限の説明しかない。
主人公のトラウマらしき映像はあるが、その説明はない。想像はつくが。
それに台詞があっても真実ではない。議員は、さらわれたのは自分の娘と言っていたが嘘らしい。彼女は生娘ではない。議員も客だったようだ。
パズルのように観客がピースをはめて行く映画。
素材としてのシーンが並んでいる。
ピースを当てはめて、ストーリーを紡ぎだすのは観客の作業になる。
よくは解らないが、主人公と誘拐された少女は実は似たもの同士らしい。
自分と同じ罪を彼女が犯すことを主人公は恐れている。
北野映画で突然の暴力がリアルだったように、映さない部分の暴力が怖い。
監視カメラの片隅に物静かに映る暴力。すでに攻撃は終わり、倒れている人物。それらがリアルを醸し出す。
襲撃者を倒し、一緒に歌を唄ったり手を取ったり、なんだか様子がおかしい。
しかし、死ぬ間際の人間に手を握られる恐怖と、それが自分と同じ生き方しかできなかった同族への理解と悲しみを感じる不思議なシーン。
本来掃いて捨てるほどあるハードボイルドな平凡な話を、説明を極力減らして主人公の痛みや苦しみをダイレクトに映すような主観的な作り込みにしているので、よくわからんが辛さは伝わるという変な映画になっている。
説明過多なせいで平凡に堕している映画が多い中で、新鮮さを放っている。
多感な頃に観ていればそれも一興と思うが、こちらはモノを考えるのが面倒臭いお年頃なので、「むしろ平凡なアクション映画でいいんですけど」と呟いてしまった。この歳でパズルなんか面倒臭い。
脳の柔らかい若者が、描かれない虫食い部分をアレコレ想像して、パズコレしながら観ればいいんじゃないかな。
16oz
年老いた母親と二人で暮らす元軍人の殺し屋(自称)が政治家から売春宿に囚われた娘の救出依頼を受ける話。
設定を読んでいないと主人公の素性が判り難いし、PTSDであろうことはわかるけれどチョコチョコと唐突に差し込まれる過去のことや幻視も内容が判り難い。
超シリアスなのにハンマーというのもアンマッチなうえハンマーに拘りがある感じでもないし、しまいには自力で…。
多くを語らずも良いけれど感情移入出来ず雰囲気だけという感じがして面白味に欠けた。
カルト作品化しそう
ストーリーはシンプル。トラウマ持ちの死んだように生きている中年の危機真っ只中の主人公ジョー。家出人捜索請負人が政治家の陰謀に巻き込まれ復讐をしようとするが・・・。
ラストが希望が持てるとこ、音楽がレディオヘッドのジョニーグリーンウッド、ホアキンがあえてマッチョな身体にしなかった、デニーロのタクシードライバーより主人公に好感がもてる、などなどツボにはまった。
やっぱりラストがいい。
最悪なことだらけだけど、どこに行けばいいかわからないけど、天気が良くていい日だから生きて行こうと。ジョンウィックやイコライザーも好きだけど何度も観たくなるのはビューティフルデイかな。
印象派
ざらついた感じの映像と、不穏なBGMがとてもマッチしていて、作品の雰囲気はわりかし自分好みではありました。
全編を通して、会話らしい会話はほとんどなく、淡々とストーリーが進んでいくのですが、結局は、明確な終着点に向かっているわけでもなく、とにかく抽象的で、万人受けするような作品ではありませんでした。「ロブスター」や「複製された男」と似た感じの雰囲気なので、そういった、観覧者に答えを委ねるタイプの作品が好きな方には、オススメです。
レビューを投稿するからには、映画の中身にもちゃんと触れたいと思うのですが、いかんせん、こうして、回想を試みてみても、ストーリーが抽象的すぎて、適当な言葉が思い浮かびません。
自分の感じた作品からのメッセージとして、簡単に表現するとすれば、それでも生きろ、といったところでしょうか。
うーん、
……難しい。
傑作!
試写にて。
ミニマルな語り口ながら、ジョーの内面や過去のトラウマに向き合ってゆく、が、とても美しい傑作。
音響の表現も素晴らしいので、劇場で見るべき。終盤のある出来事を境に音の聞こえ方が変わるのも素晴らしい。
役者はなんといってもホアキン・フェニックスに尽きる。必見。
あとね、邦題は良かったと思いますよ。
むしろ原題は理解が難しい。原題の意味が分からないというのは映画が理解できていないのかもしれない…
しかしこの映画、最後まで真相をはっきりと語ってくれないので観客は想像したまま帰るしかない。どこかでちゃんと教えくれないかな〜
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