ファントム・スレッドのレビュー・感想・評価
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面白い
多用されるクローズアップも、フルショットでのポージングや佇まいも、いちいち全てがカッコいいデイ=ルイス氏。そして彼だけではなく、あらゆる映像がワンカットにつき5分位ずつ見続けていたい程美しかった。
しかし話が進み、いよいよ2人の関係に焦点が絞られていくに連れて、現実の世界に引き戻される瞬間が頻発し、余計なことを沢山考えてしまった。夫婦で一緒に見なくて良かったな、とか。「家族はつらいよ」もこんな感じの映画かな、とか。邪念が入ってしまった。
分かりたかったのに!
町山さんの映画評を聴いて俄然観に行きたくなったPTA最新作。大好きなマグノリア以外いまいちピンと心に響かない巨匠の作品は、果たして、深すぎて僕には分からなかった!究極の愛なんだろうけど、そしてクライマックスに至るまでの静かな恋の駆け引き、分からなかった。僕には経験が足りないのだろう。クライマックスシーンは、ゼアウィルビーブラッドのポーリングのピンでぶん殴るシーン以上に凄かった。あのダニエルDの表情は狂喜に満ちていて良かった。
耽美主義
耽美主義が行き着くとこういう感じになるのでしょうか。個人的にはあまり受け入れられないですが、悪い映画では無いと思います。
映像と音楽は、とても素晴らしいし、役者陣も良い。ただし、ストーリーが苦手分野だった。
主人公のバターが苦手なレイノルズが、アルマの作ったアスパラのバターソテーを前に「嫌だが、こうして食べてみせる分別を持っている」といったセリフがあるが、まさにそんな感想です。
下世話なネタで恐縮ですが、80年代に流行ったシュガーの歌「ウエディングベル」を思い出しませんか?
変人に解放されるマザコン
という、どうでもいいお話といえばどうでもいいお話かもしれない。
ダニエル・デイ=ルイスの入魂の演技が必見。
主人公の仕事に対する姿勢が、同じ働くオッサンとして共感できるものがある。
音楽が綺麗。映像も綺麗。
高級レストランで観るような映像美。だけど…
50年代 英国王室、社交界のドレスを誂える
ドレスデザイナーのレイノルズ・ウッドコック。
仕事に情熱をかける彼は恋人は作るも独身のままだった、
ある日レストランでアルマと出会い人生が変わっていく…
衣装の美しさもさる事ながら、奏でる音楽も美しい。
この映画に漂う高級感はドレスコードを指定し
劇場に行かなくてはならないような気にすらなります。
なのにこの映画の根本は男女の束縛について。
題名のファントムスレッドは直訳するなら
「幽霊の縫い糸」「見えない糸」のような意味。
女性に愛を見出さずにいたレイノルズの
唯一、仕事を忘れ人に心を開く瞬間とは何だったのか…
ある種の天才の領域に辿り着いた職人は
片時も仕事を忘れられない。
レイノルズは富裕層で女性にもモテるのだが、
彼自身が女性に全く関心を示さない。
住居には常に誰か人がいて、姉が彼を管理。
食事も姉と共に食べ、マナーが悪いと両方から非難される…
そんな彼を愛してしまったアルマがとった行動とは…
男性には恐怖に感じる映画かもしれません。
「女性は仕事をする姿に惚れる」とあるのに
仕事人間過ぎて構ってくれないと嫌だ、という
ある種の矛盾の極致のような問題を提示した作品でした。
結末部分が・・・。
途中までは非常に良かったのですが、結末部分にやや難があるように思いました。主役二人の倒錯した恋愛を描いていくのは大変なのは判りますが、もう少し、脚本を練り上げて欲しかったな、と、役者陣の出来が素晴らしいだけに残念です。結末部分がややボケてしまっています。支配欲の強かった男性が、いつの間にか、女性に管理され、自分の命まで、預けてしまう、という筋書きは20世紀の不条理劇にたまに見受けられる題材ですが、優秀な役者陣が新たな息吹きを与えているようでした。なんだか、惜しい映画でした。
蛇足ですが、ダニエル・デイ・ルイスはウォーレン・ベイティに似ていますね。
男は単純・女はしたたか
1950年代の英国の景色・衣装・映像美・カメラアングル・音楽、言葉のひとつひとつも洗練されていて、全てが当時の雰囲気をかもしだして完璧で見事だった。アンケートでこの恋愛あるかないかっていう問いに私はないと記載したが、実はあるような気がした。しかも現代でもあちこちで。男って単純で真面目で素直で自分がつらい状況の時に優しく支えてもらったら大喜びで自分の貫いてきた信念まで変更してしまう。女ってしたたかで計算高くてそういう男を上手く操る。過去の自分になかった華やかな世界を手に入れたら手放さないたくましさ。彼女は本当に愛していたのか?愛だけの感情であそこまでしたのか?そこには彼に対する愛情だけでなく思いがけなく手に入れた素晴らしい世界を失いたくないという執着心もあったのではないだろうか?生まれ育った境遇・地位も身分も知識も経済も価値観もあまり違いすぎるとどんな恋愛も破滅的になるような怖さも感じた。そして全てを理解したとしても男は女を受け入れてしまう悲しいサガ(性・相)。優しすぎる純粋すぎるのは男で、女は自分の欲を手に入れ手放さない為にあらゆる手段をこうじる策略家。女って怖い生き物。でも女のしたたかな強さが子供を産み育てる強さにもなり家族を支える強さにもなっている気もする。女って計算高くて恐ろしい存在だってわかっていても女に騙されてもきっとその時々で楽しさを味わえば、男の誰もが幸せを感じて受け入れてしまうものなのかもしれない。世の男性の皆さん、女って怖い生き物ですよ!
2人の愛
ピアノの綺麗な旋律とオートクチュールのドレス。他にも画面いっぱいにイギリスの美しいものが詰まってました。
でもそれで余計にアルマとレイノルズの異様さが際立っていた。
ちゃんと作られていて普通に面白かったけれど、狂った愛はわたしは理解できない。
アルマに共感できる自分が怖い
サスペンスあり、ラブロマンスあり、いろんな意味で面白い映画だった
世界的なドレスデザイナーのウッドコックが、休暇のために訪れた田舎町で、デザイナーから見て完璧な体型のアルマと出会い、彼女に心を乱されていく姿を描く
この映画は、困ったことに、少しでも余計なことを言うとネタバレになってしまうので、内容についてはこれ以上は語らないことにする
ダニエル・デイ=ルイスは、寸分の狂いもなく神経過敏なデザイナーのウッドコックを演じていて
本当にこの人は凄いなと思った
しかし、私としては
そのウッドコックのお相手であるアルマの気持ちに共感できてしまって、
そんな自分がちょっと怖くなる映画だった
私もアルマのような「支配欲」が確実にあって
それを突き動かしているのは「私が世話しなきゃ」という母性本能。
見えない亡霊や小姑と彼を奪い合うのは、とても難しいけれど、アルマは最も有効な方法を探していたのだと思う
ということで、私は完全に女性目線で観たけれど、男性が観たら、全然違う作品に観えるだろうし、そこが、この映画の面白さなのだと思う
好みが大きく分かれそう
試写で拝見しました。
この作品は豪華絢爛な衣装と、1950年代のロンドンにお似合いの音楽が素晴らしい!
作品内の恋愛表現については、非常に男性目線的。
隷従させるのか、するのか…
心理戦より、精神的なマウンティング合戦とでもいったほうがいいのかも。
ここは観る人でかなり好みが分かれると思います。
男女の愛の形は人それぞれだから、どんなにアブノーマルかつ変態プレイでも「あり」だけど。
本作では精神的なアブノーマルさであって、エロくはないのでご安心を。
気持ちは、分かる?
年は重ねても「存在の耐えられない軽さ」の頃のDD ルイスの色気は衰えず、引退作なんて残念。
映像的に美しいドレス作成シーンの数々に息を飲みました(そういえば、英国のロイヤルウェディング間近ですものね)。
ストーリー的には「風邪引いた彼氏を張り切って看病した」的経験のある人には気持ちが分かるかも?笑)。女性は共感し男性は複雑な気持ちになるかもしれませんが、それは観てのお楽しみ!
意味深なタイトル通りの怖い映画でした
1950年代のロンドン、レイノルズは彼の秘書を務める姉シリルと共に大勢のアシスタントを従えて活躍する社交界で絶大な人気を誇るファッションデザイナー。レイノルズは朝食をとろうと立ち寄った帰省先のレストランでウェイトレスのアルマと出会う。運命的な出会いを感じたレイノルズはすぐに彼女をディナーに誘い、食事を終えたレイノルズはアルマに体の寸法を測らせてくれないかと提案する。アルマは当然戸惑うが、彼女の背後には静かにシリルが立っていた。
予告を観る限りでは古めかしいロマンスのような雰囲気でしたが、内容は全然違いました。レイノルズに訳分からず振り回されるアルマを見つめる物語が次第にあらぬ方向に転がり、淀川長治先生なら眉間に皺を寄せて「怖い怖い」を連発したであろうこの意味深なタイトルが醸す通りの怖い映画になっています。
フィルム撮影に拘った映像は途方もなく美しく、尋常ではないレベルで当時のロンドンの風景を再現しているのでスクリーンでの鑑賞がベスト、ずっしりと重い重厚な作品です。
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