ファントム・スレッド(ネタバレなし)のレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド

劇場公開日 2018年5月26日
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デイ・ルイスの生き様は、映画職人としてのPTAの精神そのものなのだろうか

「役を生きる」とはこの俳優、ダニエル・デイ・ルイスのための言葉である。同じPTA作品の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の地の底から情熱をみなぎらせるような役柄とも違い、ここではナチュラルな仕草や声のトーン、目線の動かし方などを駆使しながら、柔らかな佇まいの中に強靭な何かを秘めた男を見事なまでに演じきる。この存在感に触れただけでもピリリと身が引き締まる思いがするではないか。

老舗ドレス工房の朝の風景、食事時の流儀。ひと縫いひと縫い。全ては仕事中にどれほど感性を研ぎ澄ませるかに傾注され、後のものは二の次。そこに入り込んだひとりの女性をめぐって男の価値観が徐々に揺らいでいく、その戸惑いの過程が実に滑らかに綴られる。そこでふと思った。もしやDDLの姿には、PTAの映画作りの姿勢が投影されているのではないか。特に家族を持つことで変わりゆく精神性について、この映画は深く深く掘り下げている気がした。

ぐうたら
ぐうたらさん / 2018年5月28日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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Paul Thomas Anderson

ポール・トーマス・アンダーソン初鑑賞。
前々から、彼の作品は芸術として価値の高いものだと言われてきたのですが、難解な作品ばかりだとも聞いていたので、見るのを躊躇していました。今回ようやく友人の力も借りての初鑑賞。

結果やられました。難しすぎるー。ストーリーもさることながら、キャラクターを感じることがかなり難しい。多分素直に見ることが一番わかりやすいのだろうが、どうしても深読みしてしまう。このキャラクター実はこう思ってるんじゃないかとか、この表情の裏には何かあるんじゃないかと思ってしまう。それをせずにこの表情や行動から感じられることを素直に従っていけば、この映画に見えてくれるのかもしれない。
難しいのは、ヴィッキー・クリープス演じるアルマのキャラクター。彼女のキャラクターが二重人格なのかという疑念を抱くぐらい謎だった。最初に彼女は「彼には夢を叶えてもらったの」というセリフがあり、映画を見てる中で、何が夢なのかというのを探していたのですが、最後まで見つからなかった。それゆえ、彼女の行動や表情を見ていて「何が目的でこれをしているのか」というのに路頭に迷った。単純に考えると”愛”という大きな感情がそうさせているのがわかるのだが、そこに執着する自信がなかった。そこに彼女の過去と将来を少しだけ見せてくるから、さらに考えさせられる。

一緒に見た友人に気付かされたのだが、洋服の仕立て屋という仕事と、メイクアップ、毒キノコ。それらを使って、表面は美しいが、中に隠れている、隠されているものの醜さというものを表現している。それを踏まえると、それぞれのキャラクターが少しだけ見えてくる。特にダニエル・デイ=ルイス演じるメインキャラクターのレイノルズ。このキャラクターは一筋の軸があるキャラクターなのだが、それ一辺倒で、それ以外の部分が見えなかった。しかし、美しい表面の一方で、中に隠されている醜いものは、彼の本質というか、アルマを動かしている動機に繋がり、そこからアルマのキャラクターがさらに、見えてくれる。

このように細かい表現にこだわり、視聴者にヒントを与え、視聴者にそのヒントを繋げさせ、答えまで導くのが、ポール・トーマス・アンダーソンの手法なのかもしれない。こういう作品は疲れていて眠いときには見ないほうがいいのかもしれない。彼の作品にはとても細かい工夫が多く隠れている気がする。こんだけ普通じゃない作品ばかりなのに、視聴者から評価を受けているのには何かがある。

vary1484
vary1484さん / 2019年2月19日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい 知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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美しい映画

一言で言うと、美しい映画。

映像が文句無しに美しい。

オートクチュールのドレスの美しさと、アトリエの縫製シーンが見もの。

予告編を見た印象とは違い、ほとんど官能的なシーンが無かったのは意外。

そして映像に負けないくらい音楽が素晴らしい。

ピアノの旋律が実にいい。

役者さん達の演技力の高さは言うに及ばず、とても上質で、完成度の高い作品だと言える。

ただし、この二人の愛の形は理解の範疇を超えているし、才能ある気難しいマザコンオヤジに感情移入はできないし、好意的に見ることも出来なかった。

META坊
META坊さん / 2019年1月28日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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キノコブームきてるの?

コッポラの『ザ・ビガイルド 欲望の目覚め』観てすぐだからか、昨今の暗い恋愛モノはキノコがブームなのかと…そんな事ないよね。不安になる。

オートクチュールの仕立て屋で超絶完璧主義者、パートナーは作りませんて主義のレイノルズがウエイトレスのアルマを見出し、側に置き始めてから日常が狂ってゆく…みたいな前情報で観てたけど、アルマが異常ってわけじゃないんじゃ、というのが感想。あんな扱いされたらそりゃキノコもブチ込むわ。最初からレイノルズはアルマに優しかったわけではないので、アルマがあんなに惚れてしまうのは疑問に思ってしまったんだけど、今までひっそりと暮らしてた田舎者の女性がお金持ちの男にあれだけ丁寧に扱われ華のように飾られたら気分も舞い上がるね。

静かで上品な音楽と裏腹にあからさまな男と女のマウントの取り合いが泥々して面白かったけど、わかりづらいあのラストにはちょっと納得いかなかった。未来を妄想しておしまい?

幸ぴこ
幸ぴこさん / 2019年1月23日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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共感しきれない愛の形

the職人といった性格の主人公レイノルズと、彼に見いだされた片田舎でウエイトレスをしていたアルマの恋愛物語。どこか異常で、狂気じみた、純愛とは言いがたい不思議な作品でした。

レイノルズとアルマの出会いは、唐突で、かなり淡白ではありましたが、なんとなく双方の感情には理解できる部分がありました。
しかし、ふたりの関係が進んでいくにつれて、どうにもレイノルズの行動で腑に落ちないところが目立つようになっていき、最終的には、彼の考えがすこしもわからなくなりました。彼が急に、ボケ老人になってしまったような感じがしました。

「恋なんて、いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」と有名なバンドマンが歌っていますが、この映画は、まさにそれを映像化したような作品でした。

ユージーン
ユージーンさん / 2019年1月3日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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ダニエル

コートの脱ぎ方。身のこなし。

pigeyes
pigeyesさん / 2018年12月17日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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引退宣言撤回希望

ギンレイホール二本立て鑑賞。

ダニエルさん、本当にこの作品で引退しちゃってイイんですか?
主従関係の逆転をジリジリ見せるポールさんの演出力は流石だし、毒女に精気・正気・才気を奪われていくダニエルさんの演技も、そりゃあ素晴らしいです。
でも、代理ミュンヒハウゼン症候群のような歪んだ愛のオチは、どうかと思いますけどねぇ...
前言撤回スレッドも、誰も文句は言いません。

旅するランナー
旅するランナーさん / 2018年12月3日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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稀代の天才俳優、衝撃と完璧なまでの幕引き

現在の映画界で最高の演技派俳優と言えば?
ロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット…。
多くの名が挙がり、勿論全員が最高に素晴らしいが、自分はある一人の俳優の名が真っ先に思い付く。
ダニエル・デイ=ルイス。
凄まじいまでの役作り。映画出演本数は他の役者と比べてそんなに多くはないが、一作一作ごとの入魂名演。男優では最多であるオスカー主演賞3度…。
演技派、名優の域を超え、孤高で、何か一つの頂きに達している感さえする。
そんな稀代の天才俳優の引退作。
大トリを請け負うのは、彼の神名演の一つ、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で組んだポール・トーマス・アンダーソン。
鬼才と天才のタッグ、再び!
今回、二人が描くのは…

1950年代のロンドン。
高級服専門の仕立て屋、レイノルズ。誰もが彼の作る服に魅了されるが、本人は華やかな社交界に興味無く、ひたすら仕事に没頭していた。
そんな時出会った若いウェイトレスのアルマを見初め、彼女を自分の世界へ迎え入れる…。

レイノルズにとっては、巡り合ったミューズ。
アルマにとっては、シンデレラ・ストーリー。
甘美な大人のラブストーリー…に、このタッグでなる筈が無い。
一筋縄ではいかない『マイ・フェア・レディ』。

見てるとすぐ分かるが、レイノルズは完璧主義者。
性格も気難しく、神経質。
そして、仕事一筋。
だから、幾らミューズと巡り合ったとは言え、その関係が上手くいかないのは予想出来る。
最初の内は良好だった。
レイノルズはアルマを重宝し、アルマもそれに応え、美しく洗練されていく。
しかし…
レイノルズは相手に対しても完璧や自分の理想を求めてしまう。
かき乱される事や干渉される事を激しく嫌う。
それはつまり、一方的な束縛。
アルマは彼に従うだけの毎日に不満を募らせる。自分はミューズではなく、彼の単なるマネキンに過ぎないのか…。
何も彼女だけじゃない。レイノルズが独身でいる理由、彼の元を去ったミューズが何人居た事か。
それでも彼に必要とされたいアルマ。
芸術家とミューズ、その関係は禁断の扉を開く…。

企画段階から参加しただけあって、完璧主義者のレイノルズは完全主義者のデイ=ルイスそのもの。
彼と互角に渡り合ったほぼ無名のヴィッキー・クリープスの存在感も見事。(レスリー・マンヴィルも印象残すが、彼女より、クリープスがノミネートされるべきだったのでは…?)
ファッション業界が舞台なだけあって、劇中登場する数々の衣装の素晴らしさには目を見張らされる。オスカー衣装賞も納得。
フィルム撮影による往年の名画を彷彿させるようなクラシカルな映像、流麗なジョニー・グリーンウッドによる音楽…。
アンダーソンの演出も格調高く、全編を通じて、エレガントで香り立つような官能美さえ匂い感じさせる。

それら演技、演出、ムードは紛れもない超一級品。
しかし話自体は、好み分かれそう。何せ、アンダーソン作品だから…。
なかなかに理解し難くもあり、KO級の愛の物語でもある。
そう、このムードに陶酔させられていたら、展開に衝撃受ける事間違いナシ!
禁断/究極の愛と言うべきか、狂気か、それともホラーか。
これは是非見て貰いたいので言えないが、一言だけ言えるとしたら、
女は怖い!
レイノルズの周りには常に女性の存在が。ミューズであるアルマ、唯一の理解者である姉シリル、そして亡き母…。
特に母の存在は大きく、今も夢に見るほど。
はっきり言ってしまえば、愛に飢えた完璧主義者のマザコン。
彼女たちからの愛を受け、時にはその愛に応えられないレイノルズ。
一見男が女を翻弄し、意のままにしようとしているようで、実際は…。

本当にこれは、究極の愛の形か、禁断の世界か。
しかし、誰にも真似出来ない唯一無二の作品である事は確か。
鬼才はまた一つの境地に。
そして稀代の天才俳優は、最後の作品も我々に完璧なものを見せてくれた。

近大
近大さん / 2018年11月30日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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人生を変えるには劇薬も必要だ

初めは、マザコンシスコンエロジジイのデザイナーに田舎娘の毒食わし女が殺伐と痴話喧嘩しまくるのかと侮りましてすいません。
毒キノコいつ知りましたのか。
母の亡霊を観て、自分の不完全さを知り、敢えて毒キノコを食らう。
食わせる方もわかる、食いしん坊さんへ、最初のセリフが、活きてくる。
自分の想いを叶えるための毒キノコではないなんて、愛のため、命がけで愛していたなんて。
お見それしました。

アサシン
アサシンさん / 2018年11月27日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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偏った愛の形

秀作と言われるが、何か好きになれない映画だった😢

シゲドン
シゲドンさん / 2018年11月27日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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デザインと美術

ドレス、装飾、食事、食器、壁紙、、、美しさに溢れているが、二人が持つ狂気的な愛は美しいのだろうか。

WALLE
WALLEさん / 2018年11月11日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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丸の内ピカデリー爆音映画祭にて鑑賞

これは男女で意見が分かれそうだ。前知識なにも入れずに行ったのですが、正直女まじ狂ってるわ男負けないで、ってずっと思いながら観てた。これが運命の恋なのでしょうか。ダニエル・デイ=ルイスはひたすらにセクシーでした。

みな
みなさん / 2018年10月22日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い
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やはり女性に翻弄される

ポール・トーマス・アンダーソン×ダニエル・デイ=ルイス!最強のタッグによるアートかつ下世話な傑作。

英国ファッション界で名声を博す仕立屋が若きウエイトレスをモデルとし、自分の色に染め上げていく…と思いきや、女も実にしたたかだった。

このシニカルなエンディングはアンダーソンの心情の吐露といえるだろう。

まっくん a.k.a. エロくそチキン
まっくん a.k.a. エロくそチキンさん / 2018年9月27日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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完璧な美しさ

兎に角美しい。
それぞれのカットがそのまま絵画になるのではと思えるほどに美しい。
ダニエルの所作の一つ一つが美しく優雅でセクシー。
見た目の美しさと物語の毒が溶け合う。
悪い薬みたいな映画だ。

かづ
かづさん / 2018年8月25日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  怖い 知的 幸せ
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マザコン男と独占欲の強い女との憎愛劇

時代背景と階級制度みたいなものがあるにせよ、初対面のお客に惹かれ家までついていくものなのか。よほどお互いが惹かれ合わない限り、あのシチュエーションには共感できなかったが、結末まで見終わって、まあ仕方ないかという映画。
人の心を理解するのは、どんなに近くにいても難しい、けれど最後にわかりあえたから良かったねという、マザコン男と独占欲の強い女が繰り広げる愛憎劇ならぬ憎愛劇ですね。

さんにん@㌦㌦
さんにん@㌦㌦さん / 2018年7月22日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  怖い 難しい
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音楽とドレスがきれい

主役のデザイナーがイケメンっていう設定なんだけど、どう見てもおじいちゃんで恋愛映画としては感情移入できなかった。ドレスと音楽はうっとりしました。ヒロインもきれい。

Zita
Zitaさん / 2018年7月22日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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愛のカタチ

愛する男に毒を混ぜ込む事には賛否両論ありそうだがこれも一つの愛のカタチ。女性の強さと恐ろしさを感じながら禁断の愛の行方に最後まで飽きずに観ることが出来ました。この作品の重要な役割となるドレスも素晴らしい。
2018-134

隣組
隣組さん / 2018年7月22日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
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めくるめく

この監督、この俳優。そして、「毒」というキーワード。この物語はどのような結末にたどり着くのだろうと、観る前から空恐ろしい気持ちでいっぱいだった。切り刻まれるのは男か女か、もしくはお互いか。どれほどに陰惨な修羅場が繰り広げられるのか…と、頭のすみに覚悟と緊張感を常備。けれども、まるで夢から醒めるように、すっと映画は結末を迎える。 どこまでも、甘く。なんというハッピーエンド、と思えたのは、彼らの振りまく毒にすっかりやられたせいだろうか…と、かえってぞくぞくした。
この映画のクライマックスは2つある。まずは、完璧なデザイナー、レイノルズが自ら否定し、破り、汚したドレスの復活。本人は自分がしたことを察する間もなく熱にうさなれ、かつて自分が贈ったドレスを纏った、若き母の幻影に出会う。そんな幻をあっさり打ち消すのは、田舎のウエイトレス上がりのアルマだが、レイノルズは成すすべもなく、一寸の隙もなく看病に徹する彼女を受け入れるよりほかない。夢と現実が入り交じったような暗い密室の外では、まばゆいほどの光の下で、新たなドレスが着々と形づくられていく。その指揮を執っているのは、彼でもなく、完全無敵の姉でもない。見えない糸であやつられているように、主人不在のまま整然と立ち働くお針子たちは、不思議な存在感を放っていた。
そして更なるクライマックスは、終盤の食卓。アルマは優雅な動きで(レイノルズが嫌悪する)バターを惜しげなく使った料理に毒を盛り、彼もまた、それを優雅に味わって見せる。フレームの中では、第一のように彼が苦しむ様子は描かれない。毒を盛る人・盛られる人が、まるで共犯者のように共鳴し合っている。実は毒は幻なのか、平然としているのが演技なのか。毒を盛る・盛られる様子が演技なのか。真実はフレームから押し出されているだけなのか。突き詰めようとすればするほど、物語の糸は絡まり合う。真実を求めるのではなく、自分にとっての真実を選び取れ、と迫られているように思えた。
第二のクライマックスの後、薄暗がりの中で、新たなドレスがつくられる。姉も、お針子たちも、もういない。そこにいるのは、レイノルズとアルマだけだ。華やかな諸々から隔絶されたような2人が、これまでになく満たされ、ほのかな光さえ発しているように見えた。
思いがけないラストに遭遇し、ふと、塚本晋也監督の「六月の蛇」を思い出した。仕事も人生も駆け出しだった当時は、その結末に戸惑うばかりだったのだが、なぜかこの映画に引かれたという職場の大先輩は満足そうだった。「最後に、倫子さんはしあわせになってよかったよねえ…。」予想もしないシンプルな感想に、衝撃を受けた記憶は今も鮮やかだ。久しぶりに「蛇」を観返してみたら、今の自分はどんな感想を持つだろう。そして、あの先輩も、の映画をどこかで観ていたらと願う。

cma
cmaさん / 2018年7月19日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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着る、食べる、愛する

生活と愛は密着している。「ドレスを着る」非日常では全てが上手くいく二人でも、一緒に生活するとなれば話は別だ。習慣の違いにイライラし、リズムを崩されることに我慢できなくなり、言い争いがさらに溝を生む。非日常で恋をする事と、日常で愛を築くことは全く別のことだと強く思う。愛する人を語るアルマの笑顔、最初と最後で全く受ける印象が違う。
繊細なレース、咀嚼音、階段の軋み、卵の柔らかさ。生活の風景がリアルで色鮮やか。何回も出てくる食事のシーンがいつも美味しそうで素敵だった。

rio
rioさん / 2018年7月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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PTAの狂気

PTAなのにイギリスが舞台?!と思ったが、相変わらずの主人公達の狂気、歪んだ愛。
もちろんその世界観と細かな描写は文句なしではあるが、そろそろPTAの現代アメリカを舞台にした映画も見たい。

まぁみどり
まぁみどりさん / 2018年7月11日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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