ファントム・スレッドのレビュー・感想・評価
全130件中、21~40件目を表示
退屈でした
私には非常に退屈な映画でした。そもそもなぜ、こんな年の離れた男が良かったのだろう。有名な仕立て屋としても、かなり偏屈でマザコン?シスコン?。仕事一筋で全てが仕事中心のため、生活に遊びの部分、楽しむことがない。それを人に崩されることを極端に嫌い、罵声を浴びせる。彼を振り向かせようと毒を盛り、看病し、結婚を取り付ける女の執拗なまでの愛の形は究極かもしれないけど恐ろしい。弱らせ、自分しかいないと思わせるって寂しい。共感できなかった。
静寂の美学
朝食にこだわる いわゆるルーティンで、あの朝食じゃないと全てが上手くいかないという囚われ人の考え方 朝食に宗教性、霊性を与えている、ああいう芸術家は多いような気がしました
この映画は静寂がキーで、俳優人の喋る時の口腔粘膜の接着する音、離れる音、舌の接着する音などが鮮明に聴こえる それが特別な雰囲気を与えるエッセンスな映画でした
感情
感情移入出来ぬまま。
理解出来るのは、生活音って気になるよね。
素敵なドレスばかりでうっとり。
毒を盛るのもどうかと思うが、知ってて食べるのもどうかと、、。
色々と身につまされる。
素敵な映画でした。
【人よりも衣装を愛する男の倒錯した恋愛劇を気品溢れるドレスの数々と共に描き出す】
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は毎朝、ルーティンで身なりを整え、朝食を摂る。この風景だけでレイノルズの性格が明らかになる。
彼が作業場で布(レースだろう)を裁断するシーンの美しさ。
彼の前に現れた大柄な素朴で垢抜けないウェイトレス、アルマ(ヴィッキー・クリーブス)に心惹かれるレイノルズ。だが、その理由は徐々に明らかになる。
レイノルズは昼夜問わず、自ら作った絢爛豪華なドレスをアルマに着用させるが、徐々に二人の間に不協和音が生じていく。
仲直りのためにアルマの淹れた紅茶をレイノルズが飲む。徐々に体調を崩していくレイノルズ。
<今作で最も印象的だったシーン>
アルマは更にレイノルズが嫌いなバターを使ってある食材を炒め、料理を作る。微笑みを浮かべながら口にするレイノルズ・・・。
<マーク・ブリッジスが手掛けた数々の衣装の美しさをベースに禁断の愛を描く物語>
<2018年5月26日 劇場にて鑑賞>
デザイナーの夫婦をスマートに
ロンドンで活躍し脚光を浴びているオートクチュールの有名仕立て屋:レイノルズはあるレストランのウェイトレス:アルマと出会い、恋に落ちるが芸術家らしい振る舞いのレイノルズはアルマと何度も激突してしまう。
オートクチュールのデザイナーらしい偏屈な生活。
そこに、ごく一般的な幸せやサプライズを持ち込みたかっただけのアルマだが、ことごとく粉砕される姿には「偏屈だからそうなるわな」としか思えず、そこまでしてまだレイノルズのそばに居ようとするアルマに視線が集まる作りに。
時にはぶつかり、時にはあっさり引き合い、そんなデザイナーと1人の女性の人生をファッション業界を通じて描き切っており、起伏はあまり無く、あくまでスマートに描いて見せたな感があります。
レイノルズが当初スタイルに惹かれて付き合いだしたが、自分の弱さを知るアルマに別の意味で惹かれだし、対してアルマは当初ダンディだが偏屈な彼を知るも、自分の信念を貫いて彼を支えようとする。
「全て相手の事を理解出来なくても、一部一部相手の役に立てればいいじゃないか?」と夫婦の勉強にもなる映画でした。
大人しい作品ですし、淡々と語る様な映画ですので、夫婦で落ち着いた頃、奥さんの作った茶でも飲んで鑑賞下さい。
アルマが毒キノコ。
男目線と、(たぶん) 女目線と、半々に均衡のとれたシナリオ運びだったと思います。
観賞者男女それぞれ、共感納得する部分が多くてこのハウスの物語に呑まれて行ったのではないでしょうか。
カメラと光が秀逸だと思ったら、フィルム撮影だそうです!発泡酒を飲み続けていて久しぶりに瓶ビールのラガーを味わった時の「これだよ、これ!」感です。
音楽もロケもgood。衣装の美しさは言わずもがなですが助演の姉シリルの出で立ちの美しいこと。
【ストーリー】
オートクチュールに全人生をささげていたレイノルズは、田舎町のウェイトレス アルマをスカウトして連れて帰るんですが、このボディ (トルソー) が何故かそのうち喋り出すわけですよ。
「私は何時間でも誰よりも長く立っていられる」と心に呟き、“仮縫いのボディ”でいたはずのこのウェイトレスが沈黙の禁を破るのです。
で、そんなつもりではなかったレイノルズの慌てぶりが可笑しいのです。想定外の展開への混乱ぶりが。
つまり、町娘アルマが恋人となり、夫の仕事の擁護者でありつつ批評家の地位を固め、ついには彼女は妻を経て母となる。
初めて体験する女性とのお付き合いに苦戦惨憺するレイノルズを応援したくなります。
一日の計画を立て、創作のための霊感を整えるあの朝食のシーンに“粗野な闖入者”が現れて静寂を乱す。あれには爆笑でした。
僕自身の体験ですが ―
「この僕の前に居る人は一体全体なにものなのだ?!」と妻の顔をまじまじと見たのは僕が「いま書き物しているから5分だけ待っててねー」と言ったのにその女性は15秒しか黙っておれなかった衝撃の事件からでした。
男にとって女は厄介。女は仕事の邪魔者です。
女はミステリーです。揺さぶりをかけてくる。そして思いもよらなかった新しい世界を男に与えます。それが女。
すったもんだの結末には、レイノルズはバターたっぷりの毒キノコのオムレツを破顔の笑いで飲み下しましたね。あんなに頑なに手料理を拒絶していたはずが 恋はもーもくですわ。
毒キノコとわかっていて彼は“妻アルマの存在を食べた”のです。
引っ掻きまわしてくれたアルマの毒気を受け容れて人生の脱線を選んでしまったレイノルズの転戦・退却に、同性としては称賛の拍手を送りたいと思います。
こっそり言いますが年上の彼レイノルズは、負けた振りをしていてパパ活の小娘アルマに克ったのですよ。
DVDを見返してみるとこの映画は純愛物語であったことが判ります。
旧約聖書の箴言にこんなくだりがあります
「世の中に不思議なものが3つ、いや4つある~男の女に出会う道」。
自己チューの堅物だったのに恋に陥ちた瞬間のレイノルズは、まるでリチャードギアのようにはにかんだ少年のような表情を見せていました。
「人を好きになるっていい事なんだよ」
「人を好きになったって構わないんだよ」と、
この作品は教えてくれます。
【さいごに】
ダニエル・デイ=ルイスはこの出演で引退と決めていたそうですね。
出演作を絞り脚本を吟味する孤高のアカデミー主演男優が、定席であった主演の地位をウェイトレスに喰われるという“お粗末な”幕引き役を敢えて自分に選んだのは何故か。
ガンジーとしてインドを救い、リンカーンとしてアメリカを救ったDDL は最後に乳母車を押す家庭人として、そして喜劇俳優として一人の女を愛して救い上げた。そんな市井の男になって平凡なラストシーンを自分に贈ってみたかったのかもしれません。
(特典映像の”家庭人になったレイノルズ“のカットは微笑ましいんですよ)。
3回観賞。
PTAらしい、滑稽な狂気。しかしPTA作品らしからぬ美しい物語。
美しい映像と美しい音楽を纏った美しい物語は徐々に狂気に満ちていく。その狂気は踏み外しているわけではない。人間らしく、滑稽。しかし観ていくうちにその狂気が美しく見えてしまうのがこの映画の不思議な所。
ダニエル・デイ=ルイスの圧巻の演技と役作りは非常に説得力があり、どんどん作品にのめり込んでいく。レイノルズは人に好かれる様な人間ではないのになぜか憎めない。それはデイ=ルイスの品があり、時に子供らしい一面がそうさせているのだと思う。
ジョニーグリーンウッドのスコアは非常にシンプルで、この物語はイギリスのとても小さな美しく狂った出来事なんだと思わせる。
PTAらしからぬ、上品でゆったりとした雰囲気の作品だが、人物達の内側に強い愛情を感じた。
余談だが、観終わった後にアスパラガスとオムレツを食べたくなる作品だった。
ダニエルDルイスの弱い役どころを愛してました
昔からずっと見守ってきたけど、強く正義の人よりは、女性のエゴに自らを捧げる弱さと優しさを演じる時に恋をしてしまう。『存在の耐えられない軽さ』の彼は私が一番愛した人でした。
今回引退なんて知らなくてショックでしたが、でも本来ならもう精神的に限界なんだろうと思うと、愛おしくて心が揺れます。今までにして最高に美しい彼を心に留めておきます。私の生涯において素晴らしい俳優との出逢いと別れです。ありがとうの一言に尽きます。
これが究極の愛と言うものなのか…?
監督の過去作やキャストの方達のことは失礼ながら存じていない上での鑑賞です。
ドレスと音楽のお洒落さが美しい。
静かで陰鬱な空気が漂う物語でしたが、飽きずに観ていられる映画でした。
自分の世界にひたすら没頭するデザイナー、ウッドコック。
そんな彼を自分のやり方で変えようとするパートナー、アルマ。
アルマは二人の時間を求めてある方法で側に寄り添う…。
怖くて共感しがたいことだけど、複雑にも隣にいるときはとても穏やかな時を過ごしているように見える二人。
生活リズムが狂いそうで不安になるウッドコックではあるが、、結局は女に翻弄されてしまうのが男なのだろうか…。
・・二人の中で成立していて幸せならそれでいいと思えました。
仕立て屋の愛、ウエイトレスの愛
一流仕立て屋(ダニエル・デイ=ルイス)とウエイトレス(ビッキー・クリープス)が恋におちる。
この二人の恋の行方を追いかけていくが、最後までどうなるか分からない。
人間のやることは矛盾に満ちている。
姉は多くは語らない
個人評価:4.2
双方の特性を理解した上で、多くは語らず中立でいる姉の存在が、物語をよりシックにしている。
独占欲と狂気を帯びたアルマの愛を、歪に受け止めるレイノルズ。身体のライン以外は全てにおいてダメ出ししかないアルマを何故身を呈して受け止めるのか。それはアルマへの贖罪と、向けられた愛の刃を飲み込める程の自身の気持ちを確認できたからなのか。ラストの食卓のシーン。言葉は無く2人の視線だけで、初めて本当の意味で愛を確かめ合ったのだろう。
まるでカズオ・イシグロが原作かのような、こんなにも気品漂いエレガントでシックな恋愛映画を見た事は無い。
上質の衣を纏ったコメディ
ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品の中で、最も笑えた作品だった。
本作を限りに引退したダニエル・デイ・ルイス演じるウッドコックの偏執ぶりは、これまで鑑賞してきた映画の登場人物としては珍しいほどに自分との共通点があり、アルマが対抗すればするほどに、ウッドコック目線で拳を握りながら応援していた。
自分も、集中している状態で話しかけられると、それが上司であってもイラっとした態度を表してしまうし、電話中に横から口を挟まれるのも、家族が廊下を歩く音やドアを閉める音を立てるのも(おそらくなんらかの軽い障害があるだろうと思われるほど)苦手なことが多い。
何か嫌味を言われたり、主張に対する反論を食らったりすると、相手が「参った」するまでやり込めてしまうこともしばしばである。
だから、あの朝食の場面で繰り返される攻防は、本当によく分かるのだ。
終末で、静かに、穏やかに、しかしかなりの粘着性を持ってアルマに屈して行くさまに、自嘲と敬愛の気持ちがないまぜになりながら、笑わざるを得なかった。しかし、決して不快ではなく、なんかもうしょーがねーなー!という感じで笑ってしまった。
この時、ウッドコックの変質ぶりにばかり目が行っていたが、実はアルマこそがそれを上回る偏執狂なのだと気付かされたからだ。
やり過ぎてしまった者同士の、実に上質なイニシアチブの取り合いコメディ。アンダーソン監督がそれを狙っていたかどうかは別にして、映像美だけの映像作家ではないことを証明するに十分な作品だった。
「マイ・ビューティフル・ランドレット」以来、リアルタイムで長い付き合いとなった名優との別れとしてはややさみしい感じはしたが、きっと自伝的な本作での幕引きは、本望だったんだろうな。ありがとうございました。
ヒロインが無理だった…
評判いいしPTAだし外れないだろうと思いアマゾンプライムで見た。冒頭の俳優の身のこなしや音楽にうっとりして雰囲気に飲まれ、いい映画に違いないと期待して観てたけど…
ヒロインのアルマが我を出してきてから、「あ、無理だわ…」となってしまった。
確かにレイノルズは面倒な男だ。でもああいう仕事をしてる人だし気持ちはわかる。仕事人間なんだなぁと。
性格に関しても理解できるのに、アルマは「サプライズしたい」とか言ってお姉さんにやめとけって言われてもやる強情さ。絶対喜ばないだろ、とこっちも思って、やっぱり駄目だったじゃん…からの毒キノコ??!!で、もうついていけなかった。サイコパスとしか…
それで弱って介抱してもらってから、結婚申し込むレイノルズも単純だな、と…。
その後の結婚生活も噛み合わず、やっぱりアルマの品のなさが目立つ。そして自分の立場が危うくなるとまた毒盛って、レイノルズもそれを知ってハマっていく。
これはラブストーリーじゃなくホラーなんだろうな。
コメディ入ってると言うのもわかるけど、私は笑えないや…。
こんなの異常だし悲しい。美しいドレスと比較することで更にそれが際立つしそれが狙い目なのもわかるけど悪趣味すぎる。笑
PTAさんのセンスは好きだけど私は好きじゃない話だった。作品としての完成度は高いと思う。これは好みの問題。
アルマ役の女優さんの魅力が薄く、違う女優さんがやったらまた印象が違ってたんだろうけど、そしたら意味がないのかな。
ファッションやインテリアは最高だったなー。食事する部屋の壁紙がウィリアム・モリスで素敵だった。
Paul Thomas Anderson
ポール・トーマス・アンダーソン初鑑賞。
前々から、彼の作品は芸術として価値の高いものだと言われてきたのですが、難解な作品ばかりだとも聞いていたので、見るのを躊躇していました。今回ようやく友人の力も借りての初鑑賞。
結果やられました。難しすぎるー。ストーリーもさることながら、キャラクターを感じることがかなり難しい。多分素直に見ることが一番わかりやすいのだろうが、どうしても深読みしてしまう。このキャラクター実はこう思ってるんじゃないかとか、この表情の裏には何かあるんじゃないかと思ってしまう。それをせずにこの表情や行動から感じられることを素直に従っていけば、この映画に見えてくれるのかもしれない。
難しいのは、ヴィッキー・クリープス演じるアルマのキャラクター。彼女のキャラクターが二重人格なのかという疑念を抱くぐらい謎だった。最初に彼女は「彼には夢を叶えてもらったの」というセリフがあり、映画を見てる中で、何が夢なのかというのを探していたのですが、最後まで見つからなかった。それゆえ、彼女の行動や表情を見ていて「何が目的でこれをしているのか」というのに路頭に迷った。単純に考えると”愛”という大きな感情がそうさせているのがわかるのだが、そこに執着する自信がなかった。そこに彼女の過去と将来を少しだけ見せてくるから、さらに考えさせられる。
一緒に見た友人に気付かされたのだが、洋服の仕立て屋という仕事と、メイクアップ、毒キノコ。それらを使って、表面は美しいが、中に隠れている、隠されているものの醜さというものを表現している。それを踏まえると、それぞれのキャラクターが少しだけ見えてくる。特にダニエル・デイ=ルイス演じるメインキャラクターのレイノルズ。このキャラクターは一筋の軸があるキャラクターなのだが、それ一辺倒で、それ以外の部分が見えなかった。しかし、美しい表面の一方で、中に隠されている醜いものは、彼の本質というか、アルマを動かしている動機に繋がり、そこからアルマのキャラクターがさらに、見えてくれる。
このように細かい表現にこだわり、視聴者にヒントを与え、視聴者にそのヒントを繋げさせ、答えまで導くのが、ポール・トーマス・アンダーソンの手法なのかもしれない。こういう作品は疲れていて眠いときには見ないほうがいいのかもしれない。彼の作品にはとても細かい工夫が多く隠れている気がする。こんだけ普通じゃない作品ばかりなのに、視聴者から評価を受けているのには何かがある。
美しい映画
一言で言うと、美しい映画。
映像が文句無しに美しい。
オートクチュールのドレスの美しさと、アトリエの縫製シーンが見もの。
予告編を見た印象とは違い、ほとんど官能的なシーンが無かったのは意外。
そして映像に負けないくらい音楽が素晴らしい。
ピアノの旋律が実にいい。
役者さん達の演技力の高さは言うに及ばず、とても上質で、完成度の高い作品だと言える。
ただし、この二人の愛の形は理解の範疇を超えているし、才能ある気難しいマザコンオヤジに感情移入はできないし、好意的に見ることも出来なかった。
全130件中、21~40件目を表示