名探偵コナン ゼロの執行人のレビュー・感想・評価
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観るか迷っている人は
身を乗り出さずにはいられない映画だった。安室透という男の確固たる信念、闇深さ。多くの人間の感情の錯綜。
正直言って、観るか観まいか迷っているのなら確実に観るべきである。他のレビューであるように、簡単な内容ではない映画ではある。だからこそ、とても見応えがあるのだ。だが、例え子供が観るとしても釘付けになるシーンばかりで退屈する暇がないため充分楽しめるはずだ。
もちろん現実味のないシーンが多い、と思う人はいるだろう。ただ、あの手に汗握る感覚は他では決して味わえない。
コナン史上最高のスケールの大きさであまりに魅力的な映画だった。2回以上に同じ映画を観る人の気持ちが分からなかった自分がこれなら何度観ても面白いだろうと思える映画と感じるほどだ。ぜひ、観るべき映画である。
面白かったです。
組織の名称が似通っていて理解が追いつけないことが多々ありました(視聴者側の能力の問題)が、全体的にとても楽しめました。
映像と音響の素晴らしさは終始見ごたえがありました。アムロとコナン、(あと車も)の超人的能力も整合性を取るためしかたないレベルを超え、しっかり作品の精度を上げていました。
勧善懲悪ではない、しっかり人物の奥行きが感じられる構成もとても良かったです。
製作進行上しかたないですが、起用されたタレントさんたちの今後の成長とご活躍に期待したいと思います。
安室透好き以外には…うーん?
安室透好きに媚びを売りまくってます。
正直「純黒」のが面白かったです。
2年に1回は都心編で、興奮するし面白い!!
…と思っていましたが、今年は展開や犯人などが容易に予想できて、中だるみがあって、長く感じました。
コナン=脇役
蘭姉ちゃん=脇役
少年探偵団=脇役
園子姉ちゃん=いたの!?
安室さん好きだから☆3付けてますが、そんなにオススメしません。
たぶん今年も5月中は上映しているはずなので、遅めに見に行かれたほうが客が少なくて静かに観賞できるのではないかと思います。
うーん…。
昔のコナンはどこへ行ったのでしょうか。
年々人間味に欠けてきており、スケールが大きくなるとそれに比例して面白味が欠けてきてる印象です。
電車の上や横を車で走ったり、某人気カーアクション洋画に酷似したシーンがあったりと、さすがに呆れました。
スケボーがFDより早いのはまあいいでしょう(笑)
面白味に欠けると言ったのは、推理要素や事件性が無くなってきてるためです。
過去作は作中の証拠や証言、ヒントなどから犯人を推測できましたが、最近の作品は謎解きの段階で新たな事実が明らかになる要素が多いため、「あ〜、そういう事か!」、とはならずに、「へぇ〜、そうだったんだ。」、と、高揚感がなく、ミステリーの醍醐味が無くなってます。
そんなに萌ファン層を狙って何がしたいのでしょうか?
その萌ファンも安室がドリフトしたらキャーキャー騒ぐし、車で突っ込んでコナンを助けたら、「え、安室さん大丈夫?」、などと映画館でのマナーが非常に悪くて、作品に集中出来ませんでした。
萌ファンを否定するわけではありませんが、くれぐれもマナーを守って鑑賞して頂きたいです。
(追記)
良かった点を書き忘れてました。
良かった点は、まずタイムリーな話題の危険性を訴えてる点です。
IoTであらゆるものがネットに繋がるのは大変便利ですが、その危険性を発信してるのは良かったです。
また、安室が敵か味方かみたいなやりとりも上手かったです。
どうせ公安なんだから結局は味方なんでしょ、なんて思いながら観てましたけど、なかなか楽しめました。
黒の組織がらみではない
アムロがメインと言うことで、
ダーティーな映画になると思ったけれど、
案の定倫理観的にどうなの?
と思うところは多かった。
もう麻痺してるところでは歩けど、
今回のアムロの活躍は、
人間の範疇を越えてないですかね~
ゼロ
カッコ良かったです!!!!最近のコナンの映画と違って、殺人が起こる前に阻止するっていうのがいいかな、と。
ただ、安室透っていう存在に重点を置きすぎている感じはしたかな…セリフに違和感が少しだけ、ある感じはしました。
でも、その安室さんの決め台詞とか表情とかは本当に最高。普段見れない降谷零の顔を見れるチャンスだと思います!
近年のベスト作品
特に安室にも興味ないし、近年の劇場版に毎回がっかりしていたし。見るかどうか迷ったんだけど、結局慣例の初日観劇。
が。
思ってた以上の面白さがあって、確実に安室の宣伝映画になった気がする。
爆発する会場
危機一髪のカウントダウン
⚽️で何かを蹴っ飛ばし。
フィクション映画並みのアクション
旺盛な主人公の生命力
こういうようなコナンはもう見るに見て飽きちゃう。
今回も実際にそうなってるが。
が
安室という伏線に関わって案外新しいものも生み出された。
そもそも安室というキャラはTV版でもあるが、彼の公安の立場に不明瞭なところも多くある。今回の劇場版はまさに彼の人柄について「正義の味方」というラベルを貼ったのだ。
特に前後のギャップで一気に安室を「正義」の目線を持つ見る側の近くに引き寄せた。最初は「彼は人殺し」「目的のためなら何でもする」というキャラに定着し、実際はそうでないと、コナンの追跡とともにどんどん真相を見せてくれた。
この点において劇場版にもTV版にも意義が大きいじゃないかと考えられる。
謎解きより今回は高いレベルの「安室vsコナン」である。巧みにしたのは多分コナンが感情的になって公安の話を窃聴するところと、安室が逆に毛利小五郎をハメてコナンの力を借りるところだ。思い深い二人の試合を見てテンション上がった。最後は完全に「安室withコナン」になっちゃったけど、二人の肩を組んだ活躍でワクワクもした(笑)
特にコナンの調査、安室の行動、毛利小五郎の事件を通して、警察、公安警察、検察、公安検察の関係図を明らかにしている。強いて言うならナショナリズムのところもかなりあるが。物語に夢中したところで安室の「僕の恋人はこの国さ」を聞いてグッときた。
警視庁の屋上のシーンでもうそろそろ終わったと思った途端、まさかそのタワーをも壊すつもりの物語とは。。。そういう場合多かったけどね。
そのあといつも通り出番のあるアクションシーンも今回の時間的持続でかなりつよいインパクトを生み出した。
安室とコナンが車で爆発地点に向かう途中のシーンは、今までない完全なアトラクション気分になった。どうせ死なないという前提を持った分、充分に楽しめた!(笑)
カウントダウンの時は天国へのカウントダウンを一瞬に思い出して感動した。コナンの伝統とでも言えるかな。この何回も見飽きのない伝統。
「ゼロ」も安室の本当の名前だけでない感じ、。鏡子の口で、「公安での権力は番号で表す」と言うところから、「ゼロ」はもしかしたら公安のトップなのかなという推測(考え過ぎかも)。 さらにカウントダウンの時も「3、2、1、0」とコナンと安室が言った。まるで今回「零」にまつわる事件を、最後のこの「0」で終わらせるような...
灰原、少年探偵団も一役果たしたが、蘭一家の存在感あんまりない。まさか服部も赤井も出てこなかった。
物語や解釈でもう色々詰め込み過ぎてたかなー。
結論には、安室は信用できる、すごいキャラになってる!コナンも不死の神!今の時代の『名探偵コナン』はもうフィクション扱いをすべし!。
正直かなり微妙
見て来たけどかなり微妙だった。歴代コナン作品でも「中の下」程度だと思う。
もともと最近のコナン映画は「萌え」狙いに走ってる(金目当てなので仕方ない...)ので、内容自体はあまり期待してなかった。だけど、正直その期待を下回る内容でガッカリした。
まずはじめに、内容が複雑すぎないか?終わった瞬間から「これ話難しくない?途中何言ってんのかわからなかった」って声が聞こえて来たけど、まさに俺も同感だった。別に裁判や警察がどうこうとかの話じゃなくて、犯人やそれに関わる人間の動機や話に無理矢理感がありすぎて、後半はついていけなかった。もっと長い時間をかけてしてくれたら理解できたかもしれないけど、アニメ映画という子供向けの極めて限られた時間内においてあの内容は詰め込みすぎだと思う。
あと相変わらず台詞が臭かったり、白ける。「これは毎度のことだろ」って言われればそうだけど、今回は特にそうだった。「恋人がこの国」とか見てるこっちが恥ずかしくなってきた。あんなのを見てキャーキャー言うのなんて安室にまとわりつく「萌えファン」や右翼しかいないでしょwあと、やけに「クールジャパン」的な所謂「チープなナショナリズム」が映画の中にちょくちょく感じられて、「コナンもかよw」って思ってしまったのが残念。日本警察が話の中心なんだから、そうなりやすい題材ではあるにしても、側から見たら臭いからやめてほしい。もう「日本はー」のゴリ押しは飽きた。
今回はアクションも微妙だった。いや、アクションそのものは最近のコナン映画に勝るとも劣らないレベルの派手さなんだけど、演出があまり盛り上がらないせいか、インパクトに欠けた印象だった。
推理映画ではあるんだけど、初期6作品みたいに、「エンターテイメントに程よい内容の推理」がコナンの味なのであって、相棒みたいな堅い話を見せられてもインパクトに欠ける。別に相棒は好きなんだけど、それをコナン映画の限定された時間内でされると、ごちゃごちゃになって途中からどうでもよくなってくる。
あと「どうせ次は順番的にキッドなんだろうな」って予想してたらキッドで笑ったわ。作者も「キッド、世良一家、赤井FBI、黒の組織、服部和葉、安室公安」関連を回して金稼ぎ考えてるんだろうけど、できれば初期6作品みたいなオリジナリティのある話が見たい。「萌え」狙いだとどうしても話の展開がそうなるからつまらなくなる。
にしても今回のはテンポも悪いし、アクションの内容は派手なんだけど演出がイマイチだから盛り上がらないってのもあって、かなり微妙な映画でした。
次に期待したいんだけど、キッドだから「萌え」に走るのは目に見えてるし、あまり期待はしないでおくwテンポは多分良くなるだろうから「見やすさ」って意味では良くなるんじゃないかな?
それぞれの正義
「それぞれの正義」をテーマに一貫したストーリーや見せ方をした今作。安室透という男の新たな一面を知り、好きになれるだけでなく、キャラクターそれぞれをさらに好きになれる作品でもあります。
コナン映画はよく見るのですが、内容はその中でも一、ニを争うほどの素晴らしい出来でした。
ストーリーや構成、謎解きが丁寧で綿密。ストーリーだけでなく描写にいたっては息を飲むほど美しかったり、迫力があったりと大人の私でも手に汗を握り、時に切なく、時に笑ってしまいました。
コナンファンとして、こんなに素晴らしい作品を作ってくださった監督や主題歌を歌った福山さんに感謝しています。そして、それを見ることができてとても嬉しいです。
安室透君とコナン君が大好き💕
毛利探偵の逮捕される所とコナン君と安室君が(言葉の)対決の構図を考えると最後までハラハラしたりして楽しみました。
今回は安室君とコナン君が一緒に車に乗って犯人を捕まえる姿を見て感動しました。
安室君のドライブテクにコナン君が(すごいなぁと)死ぬかと思ったと言っていたので、びっくりしました。
子供達には多分わからないけど、大人達は満足できると思います。
後少年探偵と阿笠博士も頑張っています。
もう一度見たと思う映画でした。
この映画の中で私が1番素晴らしい言葉が有ります。コナン君が(安室さんって恋人いるの?)と聞いたら、安室さんは少し苦笑いしながら
(僕の彼女はこの日本だよ。)と答えたのが1番感動しました。この言葉を聞いてからは1番最初の安室さんの(どんなにも憎まれたとしても僕には守らないといけないものがあるだ)と言葉の意味が分かりました。
謎解き要素よりも…
劇場版ということで、謎解き要素よりも劇場作品ならではのスケール感の大きい展開を楽しむのが、◎な作品。全体的に詰め込みすぎている感じがするけど、その分、間延びせず最後まで楽しめる感じかな。終盤で展開される安室のカーアクションは必見!理屈抜きで楽しみたいところだね。
今までの寄せ集め感が
毎回派手な車のアクション
爆発事件に巻き込まれても
軽症で済むコナンの生命力のすごさ
近くにいない新一に電話しすぎ
オープニングで、新しい建築物の
ニュースが流れるたびに
あー、また爆発で壊されるのねって
インプットされてしまっている。
ビルから車で飛び降りるのは
天国へのカウントダウンの最後のシーン
ボールを蹴って爆発の阻止は
純黒の悪夢の黒の組織と戦う時のシーン
見覚えがあるシーンだらけで
新しい風がない。
衝撃のラストもどの辺がだったのか
わからずじまいです、、
ただの小学生に事の重大性を任せすぎている気が。
そんなに国の治安は簡単に
操作しれていいのか。と思えてしまいました。
コナン君が主人公のハズなのに…
終始主人公が翻弄されていて気づいたら物語が終わっていた。
何を伝えたいのか分からないし推理要素が少なく、物語の要点もよく分からなかった。
少し毛色の違った作品
コナン映画は毎年楽しみにしています。とりわけ、近年の作品は気合の入った高クオリティのものが多いと個人的には思っていますので、今年も映画館まで観に行きました。
今回の作品、予告等では同漫画の人気キャラ安室透にスポットが当たっているように宣伝されています。しかし、その実質的な内容は、警察庁、検察庁、警視庁の関係性や、公安部の存在、その意義など、行政組織関係(司法組織もありましたが、副次的です)に焦点を絞ったものになっています。正直観るまでは、安室ファンの為の映画でしょ?の気持ちはありましたのでこの辺りは良かったと思います。もちろん安室くんもかっこよく活躍してくれます。アクション期待して行きましたが、結構控えめでした。後半はすごいアクションしてましたが、前半わりと静かなので全体的に少なめかな?といったかんじ。この点については後述します。以下詳しいネタバレ感想となります。
今回の事件ではサイバーテロ犯罪が主軸となりますが、現代の遠隔操作ウィルス、IoTなどのタイムリーな事柄を扱っていて、実際に起こりそうな緊迫感がありました。初期のマジお弁当ファックス機とかが懐かしくなりました。時代進みすぎ。
ただ、今回そのサイバーテロがNAZU(コナン世界に出てくる宇宙調査機関。NASAって使っちゃいかんのだな、、)の衛星探査機にも迷惑かけちゃうんですけど、NAZUめっちゃ無能すぎないですかね?
内閣府対策室も。衛星落っこちてきてんのにどうしようどうしよう言ってるだけで何もしないし、官僚だったらもっと適切に対処すると思うんですが、まぁ、コナンくんたちに解決してもらわないといけないしね、、、。
コナンやその周辺をヒーローにするために必然的に周りの機関や組織は貶められる傾向にあります(漫画での警視庁捜査一課全般とか)。
今回の事件は、殺人ではなく、テロ行為であったことから(公安がテーマなので)国家レベルの機関までもが高校生(見た目は小学生)より無能扱いされる運びとなってました。まぁ、この辺はいつものことですが。規模が違っただけです。もとよりコナンくんはFBIと友達感覚だしね。映画でくらい国背負ってもらわんと。
話は前後しますが、映画の前半では、テロ行為の容疑が小五郎にかけられ、逮捕→送検あわや起訴というところまで行くのですが、この辺の刑事手続の概観については、根拠条文が示されるなど、割としっかり描写されている印象でした。けっこう堅い内容なので子供が観るには前半辛そうです。成熟した未成年以上の方であっても興味ない人は眠いかも?
コナンの漫画はほぼ全てのお話が、捜査の現場でのお話ですから、犯人特定→逮捕という段階で解決!みたいになります。
しかし実際は逮捕の後には取り調べがあり、その後検察官の元に送致され、再度取り調べをうけ、起訴されて、裁判を受け、判決確定がなされるまでは被疑者、被告人であり、犯罪者とは言えないため、逮捕時点が解決ではありません。
この点、普通の人、とくにコナンを鑑賞されておられるお子さん達は、逮捕されて事件解決!みたいな感覚になってしまっていることが多いと思うので、現場での推理、逮捕の【後】どうなるのかという事を同じ【名探偵コナン】というコンテンツで多少なりとも詳しく描いた事には結構大きな意義があるのかなと思いました。
ただ、明確さや整合性がイマイチなところもなくはなかったです。例えば、一つ疑問だったのが、小五郎がまだ起訴前勾留であるにも関わらず公判前整理手続きが行われていた点です(起訴されてなければ訴因特定されてないため、争点の確認もくそもないのでは、、)。裁判官に予断を抱かせないためにも、せめて起訴されていることは要件ではないでしょうか(刑訴法316条の2には「被告人」の文言しかないですし)。まぁ、普通の人は何も思わないでしょうが。この事については起訴前勾留でも公判前整理手続きが出来るんだ!ということであれば全く問題ないと思いますが、調べても出てこず分かりません。どうなんでしょうね。
また、そのへんの手続き、決まり事などを守ろうとする割には、ドローン無限に飛ばして航空法無視しまくったり、公安は違法捜査が当たり前!みたいなこと言ったり、コナンくんもスケボーで道路堂々走ったり警視庁公安部に盗聴器しかけたりなど、法規範に触れまくってる行為が多々見受けられました。まぁ、お話成り立たないんで、いつものことですけどね。コナンくんが違法っぽいなぁみたいなこと最初に言いますが全然免罪符になってないよ。
最後はテロの真実が明らかになりコナンくんと安室さんが頑張って衛星落下止めます。ていうかめっちゃ物理的に位置をずらしたんですが。このへんはコナン映画の見どころでしょうね。前半が画の動きのない話だっただけに後半のアクションは興奮しました。
以上色々書きましたが、めちゃめちゃ楽しかったですし、クオリティも高かったです。終始飽きずに観れました。ただ、万人ウケするかと聞かれたらそうでもない気もします。
今回のコナン映画の評価としては、
1.これまでに当然として描いてきた現場推理、逮捕ではなく、その後の手続きを描いた点
2.普段あまりフィーチャーされない警察組織関係を中心、柱にお話を作っている点
3.特定人に対する殺人行為ではなくテロ行為を事件の主軸にした点
の3点により、少し毛色が違う作品になっているなぁと評価できると思います。
(なお、2.については、毎年コナン映画では特定のテーマや分野を詳しく扱いますが(例えば絶海の探偵の海保)、漫画やアニメ、映画で最も関わることが多いにも関わらず、その組織自体にはあまり言及されていなかった警察そのものに焦点を当てた、という意味で今回の映画の特徴であったのではと考えています。)
脚本担当は相棒シリーズを書かれている方なので、それらが好きな人にはほんとうにマッチする作品だと思います。ただ、本当にアニメ映画としてだけを期待、もしくは今までのコナンシリーズの感じを期待して観に行くと思わず面食らう人も多いのではないかなと思いました。
映像は文句なくカッコよく綺麗です。なにより、タイトルコール時のメインテーマが今年はカッコ良かったです。是非映画館で観られることをお勧めします。
(追記)
今回の映画について、相棒的な警察組織要素があって面白かったという話ばかりしてしまいましたが、今回の第1テーゼ、本論である"正義"についての描写の感想を忘れていました。
この映画の監督、立川譲さんはパンフレットにて、今回の映画ではコナンを光、安室を闇として(また、闇の中に輝く光として)描いていると仰っています。
2人が分かりやすいVSの構図になっている感じもしましたが、実際は、安室、コナン、そして犯人の三者の"正義"がぶつかり合っていました。犯人は"自身の正義"のために、安室は"国防という正義"のために、そしてコナンは"大切な人を守りたいという正義"のためにそれぞれ行動します。
結果的には、犯人は自身の正義に迷いが生じ、コナンと安室はそれぞれ守りたいものが共通項をもった(衛星が落ちることで国が滅びる=コナンの守りたい人も滅びる)ために共闘し、その正義目的を達成します。ここまで見れば、犯人の正義は劣位であって、コナン、安室の正義は五分五分だった。という終わり方にしたのかとも思われます。
ですが本当にそうでしょうか?犯人は自身の正義のためサイバー犯罪を犯し、安室は国の正義のため小五郎を罪人すれすれに仕立て上げ、コナンは大切な人のために盗聴したり、探偵団のみんなに違法行為をさせたりしています(流石にここの違法性については言及していません)。規模の大きさにさえ目を瞑れば、3人の行為は全く同一であると考えられるのです。
クライマックスシーンでコナンは、「正義のために人が死んでもいいのか」と問いかけますが、この問いはどのレベルにも当てはまる問いかけです。すなわち、「正義のために違法行為をしてもいいのか。」「正義のために人を罪人に仕立て上げてもいいのか」という問いとパラレルであるということです。もっと問いかけを大きくすると「他の何か、誰かを犠牲にして正義の名の下に行動することの是非」です。
なかなか重い問いかけをしたところで、余韻を残して物語は終わるのか、と思いましたが、意外なところから答えが返ってきます。
今回のゲスト声優である上戸彩さん演じる橘境子です。
彼女は警視庁公安部、風見の公安捜査における協力者ですが、協力者から解放してやると言われた時彼女は激昂します。「利用していたなどと思い上がるな。私は私の正義のために私の意思で協力者となっていたのだ」と。そう吐き捨てて彼女は去ります。ここに、先ほどの問いの答えがあります。すなわち、彼女は「正義のために犠牲になると思われている側」(=被利用者)ですが、正義の執行人(利用者)とは縦の関係ではなく、横の関係であると主張しており、この点が、この映画が一番言いたいことです。先ほどの問い、「他者の犠牲の上の正義は是か否か」というものの答えは、「存在しない」です。なぜなら、正義の執行人と他者は上下関係ではなく、平等関係だからです。
この映画の中では、コナンも安室も探偵団も警察も犯人も橘境子も羽馬二三一も、誰もが自分で考え、自分がやりたいこと、正しいと思うことのために行動しています。そしてそれは是か否かを問うことではないのです。人の数だけ、正しさがあるということなんです。「完全な正しさは0だが、正義は無限」と福山雅治さんが歌うのはこういう意味なんです。
映画の中での公安は、"協力者にやらせた違法捜査の責任は自分でとる。"との信条をもち、協力者との関係を断ち切ることを「解放する」と表現しています。ここが間違いです。上下ではなく平等なんです。映画の公安は上下の関係として協力者との絆を捉えています。正義のための犠牲という発想はこの前提があるからです。
では、コナンはどうだったか。その答えは一番最後です。コナンは自身の正義のために、探偵団に協力してもらいましたが、エンドロール後、彼は探偵団の事を「あいつらは自分がやったことが国を救ってるなんて気づいてない。ほんとすげーよ。」と称えます。そうです。"自分たちがやりたいと思ったことを行なった"ということを称賛しているんです。つまり、コナンが協力者として扱ったように見えた探偵団達を、公安とは違い、平等関係として捉えていたということが最後に明らかになります。彼だけは答えにたどり着いていたんですね。そうしてこの映画は幕を閉じます。
そして先ほど、コナンの正義は「大切な人を救う」と言いましたが、表面上そうであるだけです。コナンが大切な人を救うために動くように見えていますが、彼の行動理由の実質は、小五郎の逮捕が事実とは違うからです。つまり、コナンの正義は「真実追求」だったんです。ゾクゾクしませんか?
彼は漫画、アニメ、映画を通して一貫して真実がなによりも優位であると考えています(印象的なのは3つのK事件ですかね)。なぜなら、「真実はいつも一つ」なのですから。
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