君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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この気持ち
ヨーロッパの夏とティモシーシャラメ
夏の光がそそぐヨーロッパの美しさと、ティモシーシャラメの未完成な危うさが魅力的。果物の甘い匂いが充満しているみたい。
英語、イタリア語、フランス語が混在し、ドイツ語の朗読もあり、言語の境界はあいまいだ。アプリコットの語源のように変遷していく。性や自己と他者の境界のように。
エリオの性はまだゆらいでいて、知的な両親の元で育った彼にあるのは、ただまっすぐに欲望をぶつけること。彼はゲイに目覚めたのではなく、心を通じた相手がオリヴァーだっただけ。エリオの心の動きが繊細に表現され、二度とない17歳の夏を閉じ込める。
オリヴァーのマッチョで支配的な振る舞い。肩幅が広くて自信家のアメリカ人。彼はいつでも主導権を握りたがる。
エリオとオリヴァーの思いが通じた後、それまで自信たっぷりだったオリヴァーは常に不安な表情を浮かべるようになる。反対にエリオは生き生きし出す。愛を知った者、その愛を恐れる者。
理解ある素晴らしい両親、美しく優しい女友達、邸宅、秘密の場所、才能、そして別離、描かれているのはこうであったらという理想の10代なのかもしれない。もう若くはない私たち、何かを逃してしまった私たちにあの頃の気持ちのはかなさと永遠さを思い出させてくれる。
蝿が気になるが、蝿はタナトスだろうか。オリヴァーとエリオがキスする場面、マルシアに冷たくする場面、暖炉の場面…。
この映画はアイヴォリーの「モーリス」と呼応している。アイヴォリーが監督だったらとも思うが、それは叶わぬ夢。
個人的にはアーミーハマーがマッチョすぎて苦手だったのと、いつ好きになったのかが今ひとつわからず、前半乗り切れなかった。でもとにかくラストの暖炉の長回しだけで100万点。
もはやLGBT映画はマイノリティではない
イタリアの避暑地で、24歳と17歳の若いイケメンの2人がひと夏の恋に落ちる。美しい風景と美しいお顔と、美しい身体…なんとも甘酸っぱくすがすがしい。
本作は、バイセクシャルを描いたLGBT(セクシャル・マイノリティ)映画であり、第90回アカデミー賞では作品賞にもノミネートされ、脚色賞を受賞した。
アカデミー賞では、昨年も同性愛が描かれた「ムーンライト」(2017)が"最優秀作品賞"を受賞し、2016年にもやはり「リリーのすべて」や、「キャロル」があった。すでにLGBT映画はメジャーで、"マイノリティ"ではない。
今どきといえば、FACEBOOKのユーザー基本設定にしたって、ジェンダー(性別)のカスタムは58種類も用意されている。"あの人が好き・・・"という好意にも異性・同性を問わず深度があるように、確かに恋愛の形が無限にあることは理解できる。
個人的には、かつて教育評論家の尾木ママ(尾木直樹)のセクシャル・マイノリティについての発言が印象に残っている。
"もともと人間の性っていうのは、例えば一億三千万人いたら一億三千通りある。その原点に、(社会が)いま気付き始めてきたかなっていう段階ですね"。
それでも"マイノリティ"と呼ばれるのは、今なお隠さなければならない現実が存在するから。そして本作のように"LGBT映画"とくくる作品が存在することにほかならない。
監督は、前作「胸騒ぎのシチリア」(2016)でアラン・ドロンの「太陽が知っている」のリメイクを撮ったルカ・グァダニーノ。美しい風景もさることながら、色彩力豊かだ。映像をエリオ(ティモシー・シャラメ)とオリヴァー(アーミー・ハマー)の美しいラブストーリーに昇華させている。
画期的なのは、17歳のエリオを支える両親の先進性である。2人の交際を認めてしまうばかりか、アドバイスまでする。母親のアネラは、息子のエリオに古いフランスの小説を読んできかせる。父親のパールマン教授は、"人を好きになることを自制してしまう"ことによって、失うものの大きさを諭す。性教育を超えた人間教育をわかっている両親の凄さに、感銘を受ける。
(2018/5/12 /TOHOシネマズシャンテ/ビスタ/字幕:松浦美奈)
あまり見ないエンドロール
話の中身はよくわかりませんでした。
景色はきれいでしたが。
わざわざ結婚の報告はしないでほしい。
そのままひと夏の思い出で終わってほしい。
合わなかった
最初から最後までとにかく山場も意味もなく淡々と進むので非常に長く感じました。
もしかしてこういうトラブルが起きるのかな?と思うようなシーンは全て肩透かしで終わり、じゃあなんで入れたの?というものばかり。
女性を当て馬のように扱っている点や、アプリコットを使った自慰、それを食べようとするシーンはただただ不快で、タイトル回収も鑑賞前に色々と考えを巡らせていたのがバカみたいと思えるほど意味不明で虚しかったです。(個人的にはタイトルの件が一番がっかりでした。邦題のセンスがないだけかと思いきや、原題そのままとは…)
少なくともイケメンがイチャイチャしているところが観れれば良い、という方は楽しめるのではないでしょうか。
高評価だったので楽しみにしていましたが私には合わなかったです。
映像美はもちろんストーリーの本質に気付いた瞬間鳥肌が立ちました
心の保湿効果
ひと夏の経験、それだけ。
性に目覚める年頃の少年の、ひと夏の恋、禁断の…。ただそれだけを描いた作品なのにこの長さ⁉︎
一台のカメラで撮ったような殆どアップを使わないカメラワークも、だらだら感を増して、怠い。映画館のスクリーンで観る効果も薄く、DVDで見るのとなんら変わらない。むしろ映画館で見たから、睡魔に襲われずに済んだか?
エリオの視点で描いているからか、オリヴァーがエリオに惹かれ恋しく想う感が分からないし、いかにもアメリカの好青年的なアーミー・ハマーが年齢的にも上過ぎて、この役にどこかしっくり来ない…。
内容もちょっとセクシャリティが強過ぎて、作品の本題は別のところにあるのかな?と思ってしまった。
アカデミー賞始め、多くの映画賞で話題となったからか、映画館は満員だったが、評価の高さほどの感動は無かった。
大自然の美しさと、胸を引き裂かれるほどの(同性)愛の切なさは『ブローク・バック・マウンテン』の比ではなかった…。期待して見に行っただけに残念😢
肉体美と純愛
"Because I wanted you to know"
派手なドラマチックさはなく、物語は淡々と進む。
それゆえエリオとオリヴァーの熱く激しい情熱や衝動が繊細に表現され、すっと心に馴染む。
映画では原作ほどエリオの心境をこと細かく表現出来ないであろうと思っていたが、原作の台詞を省き沈黙で表現する事でより人物の内面を描いた監督や俳優陣の力量は本当に素晴らしかった。
エリオが繰り返し呟く
"Because I wanted you to know"
この台詞の後から、制御していた感情がぽろぽろとこぼれ出すようにエリオに微笑むようになったオリヴァーの表情も忘れられない。
切ないラブストーリーや同性愛を扱った作品では悲しさややり切れない感情を大きく表現し涙を誘うが、本作は違う。
静かに涙するエリオ。その背景では日常が続く。
だらだらと長いエンディングで余韻を台無しにされる事がないどころか、このエンディングのお陰で余韻はいつまでも続き、素晴らしい映画体験となった。
原作を読んでから鑑賞したが、それが正しかったのかわからない。
この映画から得たものを表現しきれない自分がもどかしく、星の数を決めるのも躊躇われる。
つらすぎる
同性愛か、または主人公たちに寛容であろうとするあまり、異性愛に対していささか無神経になってしまっているように見えた。
息子が手ひどく振った女の子を夕飯に招待する母親の行動を、優しさと見るか無神経と見るかで、好みが分かれる気がした。
自分だったらつらすぎる。よりによってあの家で。
そのあとの、振られた女の子のあまりにも物分かりのいい態度や、唐突に父親の長台詞が始まり、まるで物語の答え合わせをするような展開に至っては野暮。
音楽は好みだけども、音は好きになれなかった。
とにかく美しい。
北イタリアのどこかで
少年と青年は出会い、惹かれあい、愛しあって、そして わかれる 。
これは、ひと夏の恋の物語である。
それは、年齢、人種、性別すら関係がない。彼らが男同士であることへの障害は一切無い。理解ある両親と「怒ってない」と言ってくれた友人。みな美しく、やわらか。主人公が体験したこの恋は、きっとかけがえのない財産になる。
そう、たとえ、いまは悲しくても。
北イタリアの風景、音楽、ファッション、そして彼ら の美しさは、わたしの心にずっと残るだろう。
夏が待ち遠しくなってしまった。
両親の存在の大きさ
「景色と音楽と間がすてき」
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