君の名前で僕を呼んでのレビュー・感想・評価
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総合芸術
映画館で5回鑑賞、ブルーレイで6回鑑賞。
音楽、撮影、原作、脚色、演技、俳優の顔形から筋肉のつき方に光の入れ方。全てが美しい。
映画は総合芸術であると教えてくれる映画。
私は腐女子ではないが、どの恋愛映画よりも胸が締め付けられた。
エリオは最高に幸運な17歳だ。
これほど輝かしくて切なくて甘い夏映画は他にないだろう。
惜しむらくは初回特典の謎の漫画。漫画家さんに罪はないが、仕事を依頼した輩は本気でこの映画を舐めてると思う。腹立たしく悲しいことだ。
毒親育ちの人はきっと父の言葉に号泣する
映画の内容としてはすでに他の方がレビューされているので割愛します。
機能不全家庭育ちの身としては、主人公である美少年の両親の存在が羨ましくてたまらない。主人公と青年の一夏の恋に我々見る側が集中出来るのも、ひとえにこの主人公の両親が常に仲良く安定していて、彼らを監視することなく自分たちの人生に集中しながら穏やかな眼差しで彼らの経験を見守っているからだと思いました。
タバコをスパスパ吸いながらアプリコットジュースはいかが?とすすめる美しい母親の満ち足りた笑顔。
親が安定しているからこそ、子供は何の気遣いもなく自分の人生に意識を集中することが出来るんだと思います。
特に終盤の父親の言葉には号泣してしまいました。
自分も主人公ぐらいの年齢、まさに思春期の頃にこんな素晴らしい親がいて、こんな言葉をかけてもらえていたなら人生は今ともっと違っていたのかなと思いを馳せずにはいられませんでした。
以下、少しだけ響いた部分を抜粋です。
「人は早く立ち直ろうと自分の心を削り取り、30歳までにすり減ってしまう。新たな相手に与えるものが失われる。
だが何も感じないこと…感情を無視することはあまりに惜しい。
お前の人生はお前のもの。心もからだも一度しか手に出来ない。
今はまだ、ひたすら悲しく、苦しいだろう。
痛みを葬るな。
感じた喜びも忘れずに。」
その父の言葉通り、主人公は恋の終わりに暖炉の前で静かに涙ぐみます。悲しみも苦しみも、無理に抑え込まず、痛みをなかったことにはせずに静かにその感情に向き合う。
悲しみにくれる主人公の背後では、家族たちが食事のしたくをしています。失恋の痛みに涙ぐむ主人公に「手伝いなさい」「いつまで泣いてるの」「男のくせに、たかが失恋ごときでめそめそと」「しかも同性愛!」なんて野暮なことを言う人は一人もいません。
優しく、暖かく、主人公の悲しみをいつもと変わらぬ何気ない日常という無言の愛で包み込む家族たち。
この家族と一緒なら、きっと主人公はこの一夏の恋をいつの日か穏やかな想いと共に優しく見つめられる日が来るでしょう。
まるで古い傷跡を優しく撫でるように。
2018年
君の名前で僕を呼んで “Call Me by Your Name (2017)”
アカデミー賞で色々とノミネートされ、脚色賞では受賞を果たした、最新作品。
さて、第90回アカデミー賞シリーズですが、今作はまさに2018年を着飾るような作品でした。
最近よくアカデミー賞で言われていることは、みなさんご存知”多様性”。
人種やLGBTQのような言葉をよく耳にすることが多くなりましたが、映画業界もそれを追い風にするように、映画の多様性にはかなり拍車がかかっていると思います。
今作品で取り上げられるテーマは、男性同士の恋愛です。
主人公エリオが男性への感情を自分の中に見出して、それをどう表現すればいいのかという新鮮な初恋のような物語です。
改めて考えてみると、初恋を描く作品というのは映画業界ではアニメーションやファミリー映画のようなものとして捉えられることが多いですね。
高校生になって初恋なんて言われても、視聴者からすれば少し信じがたいものがあるのかもしれません。
だからこそ、こういうテーマは新鮮で新しい風を感じます。
みなさんに受け入れられる理由もそれかもしれません。
音楽や小説では実際に映像を描写するのは聴く側、読む側だから、彩よく描くことができますが、映画となると、実際に役者がいて映像を描写するのは作り手側。
その違いを乗り越えるきっかけが時代であったということのような気がします。
時間の経過とともに、感情が変化していく様子は脚本で美しく描かれていたと思います。ヨーロッパの映画ということもあり、またハリウッド映画とは違った、芸術性も感じることができますね。
けど、正直にいうと、ちょっと評価しがたい作品。
まずテーマからいうと、自分の美的感覚がまだ2018年の風に追いついていないのかもしれない。
なぜかというと、どうしても自分の感覚と違いすぎて、キャラクターを信じることができない。尊いとか、美しいとかいう感覚はわからなくはないけど、感情移入することは全くできない。
そこに、家族が入ってきたり、友情が入ってくると、さらにジェネラルになって、感情移入ができるのではないのかなと思う。
だからこそ、Xavier Dolanの作品には120%感情移入できる。テーマは家族、キャラクターの個性として同性愛者を取り入れていいる。その小さそうで大きな違いが、自分の中では映画として楽しむことができるのかどうかということにつながってくる。
そして、映画制作的な面からいうと、脚本は美しいということは、なんとなくわかる。撮影もヨーロッパの手法をつかい、さらにはフィルムの良さも街並みとうまくかみ合っていた。
いちばんの問題は、編集。
低予算だからカバレッジが少ないのはわかるけど、本当にもったいない魔の使い方をしてるなーと思った。前半はそれほど感じなかった。それは二人が自転車で湧き水の湖的なところに行くシーンのワイドの長さは絶妙だった。
しかし、それ以降、何が起こったのかワイドからクロースアップに行くタイミングに違和感を感じまくり、さらには、シーンとシーンのトランジションも急に雑になって。全くストーリーやキャラクターと関係ないのりづけのようなものが、かなり気に障った。
後半のお父さんとの素晴らしいシーンも、絶対あのタイミングじゃないと思う。これが、プロダクション側の責任だとも考えられるけど、それはそれでそこに問題がある。
あとは、音楽。出だしのピアノとストリングスのクラシック音楽はとてもキャラクターとマッチしていたし、ストーリーをかなり後押ししていたと思う。しかし、中盤、クラシックではなくなり、急に楽曲になった瞬間に、そこまでに作り上げてきたものが崩れた印象。それが意図的であったならいいが、それでも、崩す理由には当てはまらない場所だったと思う。
そういう意味で、全体を通していうと、理解できていない自分なのか、それともこの映画自体なのか、そこがまだうまく分析できずに終わってしまったような感じ。
とにかく、後半が本当に好きじゃなかった。
濃厚で甘く切ない!
アーミー・ハマー演じるオリヴァーが、イタリア人から見たセクシーなアメリカンを体現したようなルックスで魅力的過ぎました。いやあ、夏の田舎の風景によく合う…。同性愛モノって受け付けない気がした(ムーンライトがトラウマで)んですが、これは濃厚なのにどこか爽やかで、切なくも甘酸っぱい。恋愛って楽しいよね、ってエリオとオリヴァーがじわじわ語りかけてくる。
同性愛に対して異様な程寛容なご両親がちょっとキモイんだけど、お父さんとエリオの会話は心に響いた。大人になると色んな事に対して鈍感になるし臆病になっていく。それは若い青春の時代に自分を抑えて生きる事を学んでしまうからで、そうならないよう今の自分の感情を全て受け入れてな悩むだけ悩み苦しみなさい、という教え。こういう感覚、どこの国でも変わらないんだなあ。
唯一残念なのは、ラストシーンの電話でオリヴァーが「何一つ忘れない」とか言っておきながらアバンチュールとしか思ってなかったってのが丸出しになるところですかね…エンドロールに差し掛かるところのエリオの表情、悲し過ぎる。
この親なしでは始まらない
美しい。
17歳ってこんなに瑞々しくて、
壊れそうなバランスで美しかったんだ…
と呆気にとられた。
自分もこんなだったけか?と。
自分の17歳は置いといて、
このエリオのこの美しい身体は二度と撮れないのだと
思うと、それだけで観るべき映画だと思う。
この夏が二度と戻って来ない事と合わせて
儚さが増した。
今でこそ同性愛に対してみんな理解を示しつつあるけど、
80年代にゲイであることがどれだけ大変な事かを
考えるとオリヴァーの接し方は大人だし、
完璧な振る舞いだと思う。
エリオは10代の気持ちが抑えきれない子どもっぽさ
と無邪気さを武器にグイグイ来るのも可愛らしかった。
2人の行為は、どれも愛らしく美しかった。
そして何と言ってもエリオの親!
ユダヤ人は同性愛に寛容なのだろうか?
分かってて息子の気持ちを優先させる姿勢は
素晴らしいしわ自分もこうありたいと思った。
これほど胸打つエンドロールは観たことないし、
恋愛した事がある人全員に響くと思う。
タイトル負けする残念な映画
男性同士の美しくも切ない運命的な恋愛映画だと期待して、拝見しました。
物語の趣旨や設定、主役2人の演技と
北イタリアの美しい風景は素晴らしいのですが、
所々に意味不明なシーンやセリフがあるのが気になりました。
なぜ、エリオはあの女の子と一線を越えてしまったのでしょうか…
オリヴァーと会う、その当日の約束時間の前にも
彼女と行為に及んでいる様も疑問に思います。
運命の相手と一線を越えるかもしれない大切な日には、
正直それ以外考えられないのでは…? 笑
いずれにせよ、この映画を台無しにしてしまっているシーンには間違いないと思いますし、
もっと上手に女の子を使って欲しかったです。
というか普通に考えて、女の子の気持ちを知っていて一線を越えて、
その後は音信不通って最低な男ですよね。
女の子の方も、その後に「怒ってない」って物分かり良すぎですし。
10代であんなに物分かりの良い女の子なんていないと思いますよ 笑
都合の良い女過ぎじゃないですか。
もう一つは、ラストでオリヴァーから電話が掛かってくるシーンです。
何を言うのかと思ったら、「結婚するんだ」……
正直に言って、最低じゃないですか。
運命の相手への想いってその程度だったのかと感じざるを得ませんでしたし、
いくら時代が時代と言っても、人間としてどうなのと思ってしまいました。
何だか、登場人物のセリフと行動が支離滅裂な上、
セリフやストーリーが都合の良いように作られていて、
全く登場人物に感情移入できませんでしたし、
全てが中途半端で何を伝えたかったのか分からず、
期待していた物語とは違い、残念でした。
なぜ世界中で大絶賛されているのかが分かりません。
邦題もうちょっと工夫した方が(まんま
なんの情報も持たぬまま「どんな映画なんだろう」と思いながら鑑賞しました。
細かな心理描写に溶け込む素敵な音楽と風景 イイねー
ニューシネマパラダイスかよってツッコミたくなるチャリ
フィアットとかもかわいかったね(脱線
なんだか物語全然進んでないのに直ぐにそっち系の映画だって、分かってしまわせてしまうのは監督さんの手腕なんですかね。
(ホラーとかサスペンスとか思ってた笑
内容はただのLGBT かなあと(で、何?)
って感じで、、、。勿論、青年の心の葛藤
や懊悩してるなあ…というの嫌いじゃないけど「じゃ 内容なんなの?」って言われると、ただの恋愛失恋映画かな。林檎と鮒?のアップと親父さんの最後の言葉だけは印象に残りました。
でも、一番印象に残ったのはやっぱり
「蝿」かな。途中と最後。あれが何かを意味してるなら、この作品の面白さも分かるんだろうなあ。1時間20分位でいいんじゃね?と思いました。私には長すぎる。
映画界では昨今何でもBL映画にすれば良い思っていませんか?
今年の夏は熱中症で亡くなる方が遂に、三桁を記録する異常気象が日本中で起きた異例の夏だった。
そして映画界でも毎年夏休みには、ティーンエイジャー向けに、彼らの夏の思い出がテーマとなる映画も多数上映されるのが通例だ。
しかし、昨今の異常気象同様に映画界の上映作品も少しばかり異例の作品が上映されているように思ったのは私だけだろうか?
私の学生時代で、夏映画の思い出に残る作品と言えば「おもいでの夏」や「スタンド・バイ・ミイ」などに代表される、初恋の切なさや、親友と過ごす夏休みの冒険を描きながら、子供から大人へと成長する多感なティーンの友情を描いた作品の名作が多数有ったように思う。
だがこうした名作に取って代わる作品の多くは今では、BLものばかりになってきた様に思うのだが、映画フリークのみなさんはどう思われているのだろうか?
そんなBL花盛りの今「きみの名前で僕を呼んで」を観たのだが、残念ながら私には、一体全体これは何を描きたくて制作された作品なのか全く私には理解不能な作品だった。
「おもいでの夏」であれば、主人公の青年が年上の人妻に恋をしたと言う話なら、理解出来るし感情移入も出来る。
しかしこの映画では、主人公の17才のエリオと年上のオリヴァーの一夏の体験を描いているがこの作品のラストを観たら、残酷なラスト!
このストリー転回で観客に何を伝えたいの?
初恋は実らない? 甘く切ない一夏の思い出だと?
この主人公の少年エリオをもてあそぶ身勝手なオリヴァーの何処に観客は感情移入しろと言うのだろうか?
ゲイの恋は中々成就しないと言い事伝えたいのか?
私には全く制作者の意図が計り知れない作品に思えるのだが?
前半もこの2人が何故惹かれ合って行くのか?丁寧に2人の感情の変化を描いていない点も気になった。
昨今は何でもBL恋愛を描いていれば良いと言うような作品ばかりが目立つように思えてならないのだが?
BL恋愛映画なら昔から多数制作されてきているが、それらの作品はもっともっと人間の感情の動きや、葛藤を丁寧に描いていたと思う。
ビスコンティ監督の「ベニスに死す」「家族の肖像」など素晴らしい作品が残されている。
マット・デーモンとジュード・ロウで「太陽がいっぱい」のリメイク作品として制作された「リピリー」なども丁寧に人物像が描かれている。
ハリウッドで初めて男優と男優のキスシーン描かれた作品として「メイキングラブ」と言う作品が話題となった後は徐々にBL作品は増えていくけれど、ここ数年でLGBTの人々の権利を守る為にハリウッドでLGBTを作品の中に盛り込むようになった為か、やたらと不自然にBL話を普通のドラマにも盛り込む作品が増加した分、内容の低下が著しいように思うのだが?
登場人物の心の機微を丁寧に紡ぎ出していく事のない作品は結局面白みに欠けてチープな作品になってしまうと思うのだ。
日本でも異例のヒットとなった「ブロークバック・マウンテン」の以降は逆に「ミルク」「モーリス」のようなヒューマンドラマが描かれなくなったのは本末転倒だと思いませんか?
ここ掘れ、アイ、ヴォリ...
アイヴォリーさんが愛を掘り下げた言葉・仕草・情景にズキュンとやられる。イケメンを使って、同性愛を怖がらないで、その感情を抑制しないでって、ホモのススメみたいになってるのが新しく、恐ろしい。
掘って、掘って、掘り下げてる。
アーミー・ハマーの流し目や、ラストのテモシー・シャラメーの表情にドキッとしちゃう自分が怖い…
そんなでもなかった
ヤマがあるわけでもオチがあるわけでもないだろう…
とは予想してたけと、感情を説明するセリフも少なく表情もあんまり変わらないから感情移入する先を見失いました。
結果、憧れのイタリアでヴァカンスを過ごそう!という観光プロモーションのイメージPVをがっつり見せられた感じです。
同性ゆえの葛藤もなく、いつ恋愛感情になったかも不明。
美形のベッドシーンは腐女なオカズにはなるのでしょうが。
“バイでもいいじゃん” の世界を見てると、”愛する人は1人”のなんて古臭いルールで涙するのが不思議!?
制作中という続編では、そこを回収するのかなぁ
映像美と恋に胸がドキドキ
この映画の素晴らしいところは、主人公の成長を周りの人(特に母親や父親)がごく自然に受け入ているところだと思います。本人の意思を尊重し委ね見守る優しさに感動します。
時代が違ければ違う結末なのかなとも考えました。また映像がとても美しいので切なさが倍増。映画館で観ることをオススメします!老若男女観ればどこかしらで共感できる映画です。
原作の結末とは違うようですが、監督は2人の数年後を描く続編を考えているとか。
美化して観れなかった
私の周りでも絶賛している人おおいんだけどら私は全然乗れなかった。庭で食べるごはんは素敵だし、風景も美しかったけど、あの2人の関係は別に全然美しいと感じなかった。切ないとも思わなかった。2回くらい居眠りしてしまった。「忘れない」とかよく言うよwって思っちゃう。オリバー24歳に見えないし。35歳くらいに見える。見た目とあの態度のでかさと。エリオは15歳くらいに見えた。好きでもない女の子とやるだけやって連絡しないとかほんとクズなことしてるよねぇ。あの可愛い女子も、ひと夏の遊びと割り切ってるのかもしれないけど。オリバーとエリオについて両親が彼らに寛大だったのは、所詮ひと夏のこと、そんなに重要じゃない、ってことなのかなと私は解釈した。
純愛の物語
イタリアのクレマで撮影されたこの作品ですが、風景が本当に綺麗でため息が出ます。一度は夏をクレマで過ごしてみたいと思うほど。音楽も美しく、風景にマッチしています。
Timothée Chalamet、Armie Hammerの演技も自然で素晴らしく、映画自体に入り込みやすかったです。
人が恋に落ちる姿を繊細にかつ美しく描いた物語でした。
忙しくなかなか時間が取れずに6月になり、それでもどうしても映画館で見たかったので一人で片道1時間以上かけて映画館に観にいきましたが、本当にその価値はあったと思います。
何回でも見たいと思うような数少ない映画のひとつでした。
僕の名前で君を呼ぶ
ノスタルジーを感じさせる1980年代。
自然豊かでのどかな北イタリアの避暑地。
ひと夏を過ごす。
出会いは付き物。
主人公の少年エリオもある出会いをするが、忘れられない特別な出会い。
彼が出会ったのは、年上の青年だった…。
最初の印象はあまりいいものではなかった。
大学の美術史教授である父の研究の手伝いとしてやって来たその青年、オリヴァー。
青目金髪のハンサム。頭は良く、運動神経も抜群。
父には信頼され、母や周りの人々にすぐに受け入れられ、女の子にもモテモテ。
ちょっと自由奔放で横柄な所もあるが、それさえも画に描いたような好青年。
彼に比べたら、自分なんて…。
エリオの気持ちも分かる。
多感時期でまだ未熟な少年にとって、7つしか離れてない完璧な存在には、引け目を感じてしまう。
そんな抵抗や苦手意識が、憧れや兄貴分としての慕いとは違う感情へと変わる…。
2人が互いを意識し合い、距離が近付いたのは、中盤のツーリングの時であろう。
何かきっかけがあった訳ではない。
それまでにも泳ぎに行ったり、出掛けたり、ピアノを弾き聞かせたり、他愛ない話をしたり、一緒に過ごす内に…。
ごく自然な事だった。
同年代の女の子とだったら理想的だが、特別な想いに性別は無い。
最初から気持ちを秘めていたのはオリヴァーだろう。少なからずアプローチを感じた。
そんなオリヴァーの気持ちが、エリオの心に灯火を点けた。
意識し始め、惹かれ合い…。
初々しく触れ合う。
想いが確かであると、時にはそっけない態度を取ったり…。
近付いたり、距離を取ったり…。
気持ちが高ぶり過ぎて、不安になって…。
ある夜、心と心、身体と身体が触れ合う。
君の名前で僕を呼んで。僕の名前で君を呼ぶ。
それほどその想いは抑え切れない。
新星ティモシー・シャラメの繊細なきらめき!
表情一つ、抑えた感情表現一つ、胸に染み入る。
特にラストの数分に及ぶ長回しによる心と表情の揺らめきは、語り継がれるだろう。
アーミー・ハマーも魅了と実力を存分に発揮。時々凡作でその才能を潰してしまうが、本来は演技派なのだ。
父親役マイケル・スタルバーグの好助演も付け加えたい。実は、父は息子のオリヴァーへの想いを知っていた。息子の特別な感情を咎める親が多いが、そんな息子を思いやる。ラスト直前のそのシーンは目頭熱くさせられる。
2人の淡く切ない恋心をきめ細かく描いたルカ・グァダニーノの上質で素晴らしい手腕。すでに話題になっている次回作『サスペリア』リメイク版がどんな仕上がりか、期待と興味尽きない。
自身も同性愛者である巨匠ジェームズ・アイヴォリーによる脚本は、台詞一つ一つに気持ちが込められてるかのよう。
そして本当に、この美しい風景、美しい映像、美しい物語に心が洗われる。
男同士の同性愛を描いた作品故、好き嫌いははっきり分かれる。
自分も引き込まれながらも、感情移入とまではいかなかった。一応、自分は同性愛者ではない。
かと言って、同性愛に差別や偏見は無いつもりだ。愛の形は気持ちに正直に、人それぞれ、自由。
単に作品の好みの問題で、同じく同性愛を題材にした『キャロル』や『ムーンライト』は合わなかったが、本作は『ブロークバック・マウンテン』以来久々の当たり!
物語、映像、演出、演技…思ってた以上に魅了された。
ひと夏の出会い。恋。別れ。
2人が再会する企画進行中の続編も是非見たい。
イタリアに来たアメリカ人
イタリアの風景が、色鮮やかで、美しい。ストーリーは、詩的なセリフを挟みながら、淡々としている。少年時代の大人への憧れのような、恋愛なのか、と思いながら、鑑賞した。主人公が、ハリー杉山に似ている気がした。。
人生における「幸福な出会い」について
恵まれ過ぎた少年の 年上の青年との ひと夏の物語
障害は ほとんど無く、北イタリアの別荘地で 人目も気にならない
原作は読んでいないが、映画では 同性愛については エリオが 教会の屋根の十字架を 一瞥する程度である
アカデミックな両親のもとで、音楽や文学に親しむ早熟なエリオに 自分を、彼とオリバーの幸福な出会いに 長年のパートナーであった イスマイル・マーチャントとの関係を ジェームス・アイヴォリー(脚本)は重ねたのだろうか?
美しい風景の中で 少年の揺れる心と体が 瑞々しく描かれているが、光と影の 光ばかりを見せつけられていると、少々 だれる
アイヴォリーには もう一人 、ルース・プラワー・ジャブヴァーラ(脚本家)と 仕事上の幸せな出会い があり、彼女との共同執筆だったら… と、思ったりもしたが、
製作過程に「大人の事情」が絡み、大胆なベッド・シーンのある アイヴォリー監督案が 見送られたことを知る
これが全体の 緩慢さを招いている
出資者の反対と 主役二人の「全裸撮影禁止条項」なるものがあり、アイヴォリーは これに疑問を呈している
(映画界は 女優を いとも簡単に、全裸にしてしまうのに!)
個人的には 折中案でなく、ジェームス・アイヴォリー監督作品で 強行突破して欲しかった
それでも、エリオ役のティモシー・シャラメは 思春期の早熟な少年を 好演している
そして 最後に父親が エリオに語る言葉が この映画の 総てを表している
このために ジェームス・アイヴォリーは老骨に鞭打って、製作・脚本を手掛けたのだと思う
この脚色が 数々の評価を得たのは、この名匠へのリスペクトと、その衰えぬ気骨や感受性、美意識に対する称賛、そして作品から 溢れる想いが伝わるからだろう
恋愛不感症でも、胸キュン
予告編でピンときた通り、大変好みの映像でした。
自然光でフィルム撮影、素晴らしいです。
レンズも一本しか使用していないとは(観直しに行こうかな??)
父ちゃん加点が0.5、車加点が0.5。
恋愛ものに胸キュンすることなど、滅多にない年頃になってしまいましたが、本作ではグッと来てしまいました(ストレートですけど)。
エリオ視点と同時に、オリヴァー側の気持ちも汲みすると、胸キュン度が上がりますね。
両親も含めて、なんて恵まれた環境なんでしょう。
でも車のセレクトのように、趣味が良すぎて信用ならない、みたいなところもあってちょっと面白いです。
『サスペリア』のリメイク、期待しちゃいますね。
楽しみにしています。
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