ワンダー 君は太陽のレビュー・感想・評価
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難病ものをユーモアで描く
「最強のふたり」以降、難病ものを感動ものとして単純に描く作品は減り、代わりにユーモアを交えて描く作品が増えた印象を持っていたが、本作もまさしく新タイプの作品。お涙ちょうだいよりも、やさしい笑いで作品全体を包んでいる。
顔が生まれつき歪むトリーチャーコリンズ症候群を抱える少年、ジェイコブが初めて家庭以外の社会、すなわち学校に行くことで起きる様々な障害、葛藤、そして友情を描いている。イジメはもちろん起きるのだが、彼の持ち前のユーモアと優しさで少しずつ友達が増えていき、楽しいスクールライフを送れるまでになる。
この映画は悪人が出てこない。いじめっ子はいるが、彼らとも和解する。おそらく現実はもっと冷たい悪意があるのかもしれないが、こういう世界であってほしいという作り手の願いが優先されているようにも思う。でもこの映画はそれでいいんだろう。世界のどこかに優しさがある、と信じる力になれるのだとしたらこの映画はそれだけで価値があるはずだ。
互いに照らし合い、輝き合う。登場人物らが織りなす有機的で澄み切った関係性に自ずと涙がこぼれた
こんなに心からの涙が流れたのは久しぶりだ。何も泣けることだけが作品の基準ではないが、主人公のみならず、彼を支える家族や友人の側からも独自の章が語られる時、それぞれが互いをしっかりと照らし合って生きている現在進行形の姿がとても輝かしく胸を貫いたのだ。ああ、この登場人物は、口では言い出せなくても、内面ではこんなことを思っていたのか・・・その心の内側の混ざりっ気なし、純度100パーセントの感情に触れられる幸せ。これほど人間の明るく肯定的な側面に光を当てた映画は、最近では珍しいかもしれない。
人間関係は決して一方通行ではない。我々は時に太陽になったり、惑星になったり、月になったりしながら、支え支えられ、照らし照らされつつ、生きている。こういったテーマを決して説教くさくならない等身大の視点で、爽やかに描ききっている部分が本当に素晴らしい。『ウォール・フラワー』の逸材は又しても傑作を作り上げたのだ。
普通に、気軽に、温かい気持ちになれます
全部詰まった最高の1シーン
最後の方、キャンプの途中でオギーが月を見つめるシーンが2回あり、
どちらもすごくいいシーンで印象的だけど、なぜ泣いたのか分からなかった。
少し調べてみたら、宇宙空間では遺伝子情報に結構な影響をもたらすそうで、地球に戻ってきてもなかなか元に戻らない飛行士もいるとのこと。
それを知った時、全て集約された気がして涙が出た。
オギーはヘルメットをかぶっていた頃はただただ宇宙飛行士に憧れていたけど、
外の世界を知り友達ができて、現実社会と自分が自然にリンクしていく時間のなかで、
宇宙に行くことが自分にとってどれだけ危険かを
知識以上に受け止めた顔に見えた。
前よりも受け止められることが増えたあの時だからこその1シーンであり、川に石を投げるあのシーン、本当にいいなと思う。
ザ・いい話
やや古い映画だが良い作品
今年433本目(合計1,524本目/今月(2024年12月度)12本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
シネマートの跡地にkinoシネマ心斎橋という映画館ができました。木下グループの「キノシネマ」がメインになりますが、キノシネマ心斎橋のサイトを見る限り、ぱっとどの作品が「木下グループの作品か」というのはわかりづらい事情もあるので、「現テアトル梅田と旧シネマートを足して2で割ったような映画館?」という感じになりますね。
ストーリーとしては、生まれつきの顔の疾患などで小学校に行くことをずっと嫌っていたものの、5年生になるにあたっていってみようかと行ったら、案の定いじめにはあうものの、良い人も出会えその1年後(5年生の修了時)には…といった趣旨の映画です。
障害や顔つきなどでいじめるというのは学校にせよ職場にせよありますが、特に初等教育という場においてのそれは、子供の「学ぶ権利」(子どもの学習権)との関係でまずいことになります。一方で、「顔がおかしい」などの「笑ってしまう」ところで「笑ってしまう」ことそれ自体をやめましょうというところに趣旨が伝わるかは、小学5年生(10歳くらい)ではギリギリかなという気がします。
ほか、「ヴィア」パート(お姉ちゃんパート。オリヴィア)ほか3~4人の視点で描かれています。その中で「この子がこの障害を生まれてきたのも遺伝子の一致で…」といった話も出てくるので、「親側の善意有過失の出産によるもの?」という考え方も出てきそうですが、その「出産の責任の話」は一切出てきません。話の飛びすぎを抑える趣旨であろうと思います。
日本においても、例えば火災・震災や重度身障・難病などで見かけ的に「顔にやけどが目立つ」など、何らかの意味で「顔にコンプレックスがある」状況は発生します(実際に東日本大震災だって起きました)。このとき、日本においては趣旨を考えて「個人が一部を隠すフード等を着用することは禁止しない」となっており(兵庫の震災のときも同様)、日本ではこの点、震災での「火事によるやけど」で多く生じる類型であることから、日本のほうが取り組みは早いほうです(むしろ、当該アメリカでも「なら、その部分だけフードをかぶっていく」という考え方はなかったのかな)。
気になる手は多々あるものの、重度身障、難病等に相当しうる子の小学校等の初等教育に行く、周りをそれを応援するという、今現在2024年現在風にいえば「子供の学習権の実現、その学習権が担保されているかを大人それぞれが見守る」という部分に大半きます。この点については古い映画でもあるため明示的に触れられることはなかったですが、気が付く方はいるかなといったところです。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/映画全般の「選"択"の"択"が「選たく」「選だく」?という字幕について)
映画内では「存在しない」英単語 supposably と、「存在する」英単語 supposedly がどちらも登場します。
存在するのは後者ですが、不慣れな子は前者を使ってしまうことがあります。前者はたとえば、probably 「おそらく」といった語が基礎語であるため、こちらに「合わせる」傾向があり、そのため「存在しない」単語を作ってしまうことがあり、その「存在しない」単語に対して「Dをつけて使うのが正しい( supposedly が正しい語)」ということを主人公側が述べています。
ただ、この点は特にネイティブでも誤用が多い使い方の一つであり、何らか字幕に工夫が欲しかったところです。
(減点なし/一度しか出ていない人たち/「シャルロット」さんなど)
「シャーロット」さんだっけ?最初に学校を案内して「たとえが全部音楽、芸能チックだから誰もついていけないから黙ってて」と言われてそうそうドロップアウトするシャーロットさん(シャルロットさん)など、一度しか出ない人は案外多いです(ただ、この作品は明日以降の2024年12月13日以降において予告されている続編について、「本作品であまり光の当たらなかった人を中心に描く第二幕」ということになっていますので(詳細は続編版参照のこと)、ここは微妙かなというところです。
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(減点なし/参考/この映画と現在(2024年のつながり))
本作品それ自体は明確なフィクションですが、本作品はいわゆる「言葉によるいじめ」がふんだんに、かつ年相当、時代描写も正しく登場するため(Wiiがギリギリあったころ)、他作品の同趣旨の映画と共に映画であることをことわった上で、大学等の研究対象としてしばしば登場します(なので、原題タイトル名に movie などで検索すると、論文などがヒットすることがあるが、この映画の福祉論の観点からの見方であったり、いじめ論であったりといったものがしばしばみられる)
主人公が替わる、少年少女の友情映画。そして犬を含めた家族の愛情物語...
主人公が替わる、少年少女の友情映画。そして犬を含めた家族の愛情物語。
オギーを演じたジェイコブ・トレンブレイは『ルーム』(2015)の天才子役。
物語:オーガスト・プルマンはふつうの男の子。ただし、顔以外は。生まれつき顔に障害があるオーガスト(オギー)は、はじめて学校に通うことになった。だが生徒たちはオーガストの顔を見て悲鳴をあげ、じろじろながめ、やがて「病気がうつる」と避けるようになる。一方で、オーガストの話をおもしろいと感じる同級生は少しずつ増えていた。そんなとき、夏のキャンプで事件が起こる……。
そんなラケル・ハラミロ・パラシオ(Raquel Jaramillo Palacio)による児童文学小説「ワンダー」の映画化。
読んだ子どもたちはオギーのその後の人生を知りたくて、自分たちで勝手に続編の構想をしてオギーのその後を書いたりしてたらしい。
作者のパラシオに正式に続編の依頼が来ても、ファンの子どもたちが作った続編やその後のオギーの想像を壊したくなかったのか 続編は執筆しなかったらしい。
しかし、いじめっ子のジュリアンに視点を当てた物語が書かれ それが映画化される。ジュリアンの祖母サラのサバイバル『ホワイトバード はじまりのワンダー』(2024)だ。
ジュリア・ロバーツの表情がいい。
優しくあたたかい気持ちになる
1人を中心にしたみんなの愛や優しさや強さが溢れ出す映画
家族愛に溢れた素晴らしい作品
見終わって心が暖まる作品
てっきり、子役の男の子の成長と葛藤を中心に据えた、ハートウォーミングストーリーだとばかり思って、やや構えて見に行ったんですけど、そこにもうひとひねり加えた上質のドラマがありました。
具体的には、登場人物の一人一人を主人公に据え、章仕立てで話を展開することで、ある人物から見ると可哀想な男の子も、実は羨ましくて仕方がないという、皮肉でリアルな展開に変わっていき、ほとんどの人が映画の中でいい方向に成長します。
言ってみれば主役の男の子の顔が醜いのは、誰が見ても分かる可哀想なハンディキャップで、大人には守ってあげるべきポイントとして映りますが、子供にとっては「メガネ」「そばかす」「ガリガリ君」「デブ」などの、分かりやすい肉体的欠陥で、映画的にはそこを強調したことで一瞬で物語の方向性をみんなが理解できるという、アイキャッチの役割を果たすことになります。そこがこの映画の画期的なところで、怪物と少年の複合したキャラクターを持つ主人公というのはアニメでしか見ていない気がします。
個人的に感動したのはお姉ちゃんが舞台で熱演するシーン。劇中劇のセリフの一つ一つが身の回りの人物に当てはまり、まるで閉じ込めていた感情を吐き出すかのようにみんなの心に響きます。それにしても子役の演技がどれも素晴らしい!
中にはちょっとほろ苦い結末を迎える人もいますが、こんなに出て来るキャラすべてが成長するドラマもなかなか珍しいと思います。『THIS IS US36歳これから』なんかが好きな人にはきっとぴったりハマる映画でしょう。
お姉ちゃんの彼氏のバイオリンの腕前を披露して欲しかったのと、お父さんの影が薄いこと、その他、思ったのと違う展開になったこともいろいろありますが、全体的には満足できる一本でした。
ジュリア・ロバーツがしゃしゃり出て来ないのも良かった。
結局、誰にしろ欠点があって、そこをお互いが理解し、認めることが大切なのだと分からせてくれる映画です。息子に見せたいけど、興味ないんだろうなぁ。同じ年頃の子供たちが、どう思ったか、すごく気になります。
世界は素晴らしすぎて気付けない
感動😭😭
27回
まず、泣けた。
普通じゃないってなんだろう。
普通ってなんだろう。
確かに27回も手術して尚且つ顔に影響が残っているのは普通とはいえない。
では、この劇中で「普通の子」は誰なんだろう。
10才にして27回は負担があまりにも大きすぎる。
精神的にも体力的にも。
27本のバンドを飾るのは痛みと苦しみの象徴。
性格はまず歪むし、死にたくなるかもしれない。
後ろ向きになり自分は要らない子だと思うかもしれない。
それでも明るく聡明で優しくまっすぐな子に育ったのは家族の手厚い支えだろう。我が子を決して恥じず、閉じ込めもせず、外の世界へと向かわせる。オギーも親にも完全に依存する事なく奇跡に近くね?って思った。
「太陽」はオギーだけでなく全ての少年少女のことを指すな。
最初、オギーだけでなく、周りの人々からの視点や境遇にもスポットが当てられててとても好感が持てた。
特に姉であるヴィア。
弟のことは大好きで大事。両親も大事。
でも太陽のオギーほど気にはかけてもらえない。
それでも弟が落ち込んでいたら助ける親友でもある。
かつて、一人っ子だった彼女。親の愛を全て注がれていた時期があった彼女。その辺、上の子として産まれた子は複雑かもしれない。
たくさん我慢したんだろうな。でも君も家族から見たら太陽なんだよ。
子供って何かきっかけさえあればすぐに仲良くなるのがすごいなぁと自分の子供の頃を振り返るが確かにそれはそう。子供の頃なんて足が早いって事だけでモテてたようななもんだったし。結構単純。
自分よりもすごい、一緒にいて楽しいなんて最高の友達。
一度は裏切ったジャックもどうしてもオギーと仲直りしたいと願う。
こんな本音と建前事件は大人でもよくあることだけどたった10才の外見にハンデのある少年には死ぬほどキツい。
それでも許すオギーの器の大きさと優しさ、彼もまたジャックという初めてできた友達を諦めきれなかったのだろう。
あまり気に入らないなぁと思ったのが校長先生の「オギーの顔は変えられない。だからこちらが変わる必要がある」という言葉。
学校全員がオギーと仲良くなる必要もないし、ハンデがあるというだけでオギーもただの少年だ。
それこそ逆に差別ではないだろうか?
オギーは常に下を向く。
そして靴を見て、その人を判断していた。
しかし、最後には人を知りたいのなら「よく見ること」と締めくくる。
オギーの自信としっかりと未来を見据えることができる言葉だと思った。
宇宙飛行士になれたらいいね。
あと、スターウォーズ観てないからネタがわからなかった。ごめん。
優しい人達のお話
久々に心地よい余韻。
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