ワンダー 君は太陽 : 映画評論・批評

ワンダー 君は太陽

劇場公開日 2018年6月15日
2018年6月5日更新 2018年6月15日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

「人と違う」顔の少年が広げる、やさしさの波紋

この映画の紹介文や予告編を見たことがあるなら、“泣ける”作品であることは容易に想像がつくだろう。しかし、この映画はおそらく、予想より遥かに先を行く感情的な繊細さと深さを持っていて、とてつもなくやさしい。涙を留める努力は徒労に終わるだろう。あらゆる方向から絶妙なさじ加減で、あなたの涙腺を絶え間なく刺激するからだ。

10歳のオギーは宇宙に憧れ、「スター・ウォーズ」をこよなく愛し、両親と姉の愛情に恵まれた少年だ。だが、彼は普通の子ではない。遺伝子の先天性疾患で、変形してしまった顔の持ち主なのだ。27回の整形手術に耐えて「マシになった」ものの、宇宙飛行士のヘルメットを脱ぎたがらない彼は、初めての学校生活で困難にぶち当たる。

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「人と違う」というだけで理不尽な反応を招いてしまう少年が、内面の魅力を武器に成長していく物語は、観客の共鳴を呼んで輝く。想像を超えた展開がやって来るのは、第一章の「オギー」というパートが終わった後のこと。物語はオギーを主軸に置きながら、オギー最優先の家庭で「手のかからない子」を演じてきた姉の「ヴィア」、彼女の親友「ミランダ」、そしてオギーの魅力にいち早く気づきながら、過ちを犯してしまうクラスメイトの「ジャック」へと、主観を移して語り直されるのだ。ここで驚嘆すべきは、子ども時代と思春期の感情(とりわけ友情)がどんなものかが非常によく描かれ、演じられていることだ。オギーが周囲に広げる成長の波紋に、それぞれの立場と葛藤に触れて思い知らされる。誰だって、なりたい自分と現実の自分とのギャップに苦しみ、もがいているのだ。

この映画に欠点があるとすれば、あまりにも口当たりのいい世界観だろう。子ども版「エレファント・マン」とも呼ばれる作品だが、実話ベースではなく醜悪さもない。街で顔面が変形した子に出会ったとき、対応を誤ったと感じた作者が想像力とリサーチの上で書いた、ベストセラー小説が原作だ。現実はきっと、もっと厳しい。けれど「正しいこととやさしいことの間で迷ったら、やさしさを選べ」というメッセージを丁寧に踏襲しているこの映画は、リアルな感情の宝庫なのだ。まずは知ることが、やさしさの源泉になる。この物語から知り、汲み取ったリアルを自分のものにすることが、この世界の素晴らしい“ワンダー”につながるはずだ。

若林ゆり

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