タクシー運転手 約束は海を越えてのレビュー・感想・評価
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そんなことがあった80年、知りませんでした
『パラサイト』があまりしっくりこなかったので「韓国映画、自分には合わないのかも?!」って思っていましたが色々な人からこの映画を薦められ観てみました。
韓国映画界を代表する『ソン・ガンホ』さんの演技が、こんな思い題材なのに能天気な雰囲気に「???」と思いながら進んでいくと涙なくしては見られない状態に!
80年、世界中で暴動や戦争、色々な事件が起こっている年でもありモスクワオリンピックの問題もあったりと激動の時代、日本では山口百恵さんの結婚・引退やら松田聖子さんのデビューやら平和な世の中のさなかにお隣の韓国ではこんな大事件が起こっていたとは、自分自身いい年してたのに能天気だったなあって反省します。
『パラサイト』よりこちらの方がアカデミー賞でいいんじゃないかと個人的には思ってしまいます。順番は後先ですが韓国映画に対する偏見が取れてよかったと思います。とってもいい映画です。
タクシー運転手 約束は海を超えて
後世に伝えたいもの
こういう作品がどんどん世に出たらいいのに、と思う。
歴史に埋もれてしまう、知るべきこと。ポスターの笑顔からは、光州事件という重たいテーマを描いた作品とは思いもよらず、しかし、この表情が、キャラクターの特徴を良くとらえたワンシーンだということを、映画を観たあとで理解した。
ひょんなことから光州事件に巻き込まれたソウルのタクシードライバー、決死の思いで韓国に取材にやって来たドイツ人記者、民主化を訴え闘う学生、彼らを助けた現地のタクシードライバーたち。
ごくありふれた人々の、ごく日常の表情と、ごく普通の幸せのために死と隣り合わせで闘う姿、その描かれた対比が何とも切ない。
偶然芽生えた友情と自国への愛国心から共に闘うことを決意した主人公に、己の使命を全うせんとする記者に、若さという武器を超越して信じた道を突き進む学生に、地元を愛するドライバーたちに、引き込まれ応援している自分がいた。
実際には外国からの記者ももっといたらしいので映画的に描かれている部分もあると思うが、名も無き市民の多くが犠牲になり闘った光州事件の事実を、緩急ある展開で描いた。
ちなみに、この映画が公開されたことで、ソ・マンソプ(キム・サボク氏)の子息が判明し、後日ピーター(ユルゲン・ヒンツペーター氏)の家族と面会したそう。
この映画が持つ、もう一つの意義になったのでは。
観てよかった!
見応え十分な2時間18分でした。
ポスターにうつる、ソン・ガンホさんと映像の中の彼ではいい意味で、ギャップがありました。今更ですが、なんと良い俳優さんなんだーと惚れ惚れしました。
韓国の歴史に残る事件、光州で起きた出来事。
ただただ、内容が酷すぎて、恐ろしくなりました。
平和な日常(とはいえ、我が国もいろんな深刻な問題とおかしな政治家を抱えていますが)を過ごせることに心から感謝できました。
ドイツ人記者と韓国人ドライバーのお話。
前半は何かと分かり合えない、通じない2人でしたが、
中盤からだんだんと2人の見ている方向が同じになっていき、また最後には離れているのにお互いの存在に感謝をする2人を見て感動しました。
いつの時代も、暴力でどうにかしようと考え、弾圧しようとする人間がいます。その結果、犠牲になるのは一般人。映画のな中では、たくさんの尊い命が暴力によって奪われています。こんな事が今の日本で起こったら、、、と考えると怖すぎます。
ほんとーに間違った権力者というのは愚かですね。
これは実話をベースにしているとのことで、あんな勇敢なタクシー運転手さんがいたのかと思うと、韓国タクシー界からすれば英雄ですね。
笑いのあった前半から、涙がでてくるような悲しいシーン続きの後半。どちらも見応えあるのであっという間に終わってしまった、、、
映画を観ると、普段考えもしないような事を改めて考える時間を作ることができます。映画に感謝です。
コメディかと思いきや→重い作品でも本当に良い映画
主人公にとっての「タクシー運転手」という役割の意味
主人公は独裁にも戒厳令にも全く関心がない。娘に靴も買ってやれず、家賃も払えない貧しさから、金を稼ぐことしか頭にない。光州に到着してからも、デモ隊を軍が強制排除するさまを屋上から見て絶句するドイツ人記者たちを尻目に、主人公はデモ隊の女性からもらった握り飯を食べては、「これがこの辺の味付けか」などと感心している。主人公にとって、「タクシー運転手」とは、金をもらって人を運ぶ仕事だ。乗客が金を払えるかどうかは重要だが、乗客の目的はどうでもよい。デモに参加した息子が負傷したのではないかと心配し、病院まで乗せてくれと懇願する母親に対してさえ、「金はあるか」と確認する。「おいおい、この状況で金を取るのかい」とつっこみたくなる。
あまりの無邪気さに、ソウルに残してきた娘を案じドイツ人記者たちを残してソウルへ戻るという頃には、そういう生き方もあってよいと思えるようになってくる。だから、光州を脱出し、近郊の街で食事を摂りながら、主人公が迷い始めると、「せっかく脱出できたんだぞ。余計なことを考えるな。早く娘のところに帰れ。光州に戻るんじゃない」と叱りたくなった。
物語が終わりに近づくにつれ、主人公にとっての「タクシー運転手」という役割の意味が急激に変わる。弾圧への抵抗を描く映画では、弾圧の中でも職業上の使命を貫く人々に感動することが多いが、弾圧によって職業の意味がこのように変わるという描き方に心を揺さぶられる。
軍人だって、国民。
・光州事件?なにそれ?な人にとってもわかりやすくしてる親切さ◎
・「事実に基づき再構成してます」の域を遥かに超えた超絶カーチェイス。
そこにエンターテイメントにするんだッッという覚悟を感じる。
・韓国の田舎の一般道で、マッドマックスとスターウォーズをやった試みが素晴らしい
・タクシー運転手は基本全員バック技術が超絶
・兵士の中にも早く内乱終わらせたかった人もいたのね
・単なる勧善懲悪じゃなく、軍事政府側にも花を持たせてることに感心
(兵士も国民だしね)
・前半で主人公の心の貧しさをちゃんと描いてる(周囲の人の好意を味わえない、感謝できない)
・そこからの主人公の成長の見せ方と演技が素晴らしい(周りの好意にまみれていることに主人公がやんわり気づく食堂のシーン、素晴らしい)
・映画の中で再会させるなんて、粋だなあ。
・この事件自体を過去と割り切ってからきしエンターテイメントに仕立てた思い切りの良さが素晴らしい。
・光州の運動に関わっていた人は、後に韓国の重要なポストについている。例えばノ・ムヒョン元大統領やムン・ジェイン現大統領。(へぇボタン連打)
・朝鮮半島の歴史が動いてる時期に観れてよかったぜ!
韓国って。。。
史実が胸に迫る
連帯
喜怒哀楽全部乗せ
カーラジオから流れるポップな歌とともにコミカルに始まって、やがて事件への怒り、死の悲しみ、運転手として友を空港に送り届けた達成感、仕事を終えて娘に会えた安堵感、喜怒哀楽全ての感情を揺さぶられます。
これ程の揺さぶりをかけてくる映画はなかなかないと思います。
公開時に2回映画舘で観て、今回久しぶりに自宅で鑑賞し、やはりまた惹き込まれて一気見しました。
以下は初見の時の感想。
コミカルに始まり、後半はシリアスな展開へ。予想以上にハラハラさせられました。
運転手たちが命懸けでタクシーで駆けつけるシーンはかっこよかったなあ!
記者を無事出国させ、幼い娘の待つソウルに戻れるよう祈るような気持ちでした。
自然と涙の溢れる素晴らしい作品でした。
韓国の民主主義
『1987、ある闘いの真実』(2017)も良い作品だったが、この作品も素晴らしかった。
血を流して勝ち取った民主主義は、きっと強いと思う。
この映画で採り上げている光州事件は1980年。たった40年前のことだ。
テレビや新聞のニュースを頭から信じ込み、「こんないい国はない」と言う主人公。私たちは彼のことを笑えるだろうか? 私たちに知らされないところで大変なことが起きているかもしれない。そうでないと誰が断言できるだろうか?
光州から逃げる途中で検問に捕まる場面。絶体絶命だったが何故か見逃される。軍の中にも政府のやり方を好ましく思っていない人間がいたということなのか。
キリングフィールド
誰もいない森の中で木が倒れたら音がするか
あのタクシー運転手はどうなったのか、知りたくてネットで調べました。
実際にはタクシー運転手ではなく、高級ホテルのお抱え運転手で英語を話し、この時の仕事も内容を知った上で受けた仕事だったとのこと。韓国で映画公開時に息子さんが現れ、映画と実際の話の大きな相違点として、特に高額の報酬のために引き受けたというところが残念、と話されたそうですが、映画が実際の話通りであったなら、逆に感動が薄れたと思うのです。やはり最高の見せ場は事なかれ主義だった主人公が巻き込まれながら自分が見たこと、経験したことで事なかれ主義から転身、自分から行動を起こしたところにあると思います。
私も「光州事件」のことは知りませんでした。でも知らないからこそ、光州で何が起きたのか?(最初の方のソウルでの学生たちのデモ抗議運動が伏線となっています)好奇心的なところからラストまで一機に見ました。
おにぎりをくれたお姉さんや歌謡曲祭に出るつもりで大学に入ったという学生、光州のタクシー運転手たちが次々と犠牲になっていくところはゾンビ映画で生き残った人間たちが自己犠牲を伴いながら主人公たちを助けようとしながらやられていくそんな悲壮感と重なりました。その分、学生の遺体があった病院で片方の運動靴が脱げていてそれを履かせる演出が良くわかりませんでした。田んぼのあぜ道に遺体が捨ててあったのですよね。運動靴は片方脱げたのなら病院には無かったはずなのですが。
時が流れて二人が会うことは無かったわけですが、結構皆さん会って欲しかったという意見が多くてびっくり。そんな陳腐なラストはいらない。
ラスト、無事フィルムは世界へ発信されることになるわけですが、これを見ながら思い出したのは少し前日本人ジャーナリストが渡航禁止国へ渡った後、人質となり身代金との交換の材料とされましたこと。その際、日本では自己責任論がネットで起きましたが、本人が無事帰国した後、また同じようなことが起きたとして、渡航禁止国へ行きますか、の問いに「行く」と確か答えていたと記憶しています。
行くなと言われて行かないのであればジャーナリストではない、そこで何があったのかを知らせることがジャーナリストの仕事だ、そんなことを答えていたと記憶しています。
「起きたことが人に認知されなければそのことは起きなかったことと同じ」というタイトルに通じます。
言葉の壁を越えて
「海を越えて」
海を越えるには国境や言葉の壁が立ちはだかる。それを超えて芽生える友情や信頼関係には胸が熱くなる。
信頼関係を作るために言葉は重要だというのを思い知らされる。ドイツ人記者が大事な鞄を預けようとした際、タクシー運転手ではなく言葉で意思疎通のできる学生に渡したところが印象的だった。
信頼関係を作るためにはまず言葉。しかし共通の強い目的があるとその壁は乗り越えられる。
ドイツ人記者にはもちろんタクシー運転手にも事実を知らしめたい、という目的と責任が芽生えたとき彼らの間に言葉の壁はなくなった。
そこで育まれた信頼関係と友情はとても強固なものだということをソンガンホとトーマスクレッチマンの熱演が教えてくれた。
公開時めちゃくちゃ行きたかった作品。面白かった。 公州事件。韓国の...
脚本が混乱に誘う
報道の力
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