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ストーリー的にはいろいろと不自然な点がありますが、
楽しめました。
主役の多田愛佳さんが迫力でおしきっていました。
ストーリーを不自然に感じる原因の一つはミュールを自己保存本能と
一定(せいぜいで人類と同程度)の知能を持った外来生物と思って見てしまう事です。2番目のミュールが1番目のミュールを殺す目的だったら冒頭でさっさと殺すことが出来たし、逃がす目的だったら最後に殺させた意味がわからず、言動が支離滅裂に見えます。しかし、ミュールが高い社会性を持ち、人類を超える知能を持った生物で、人類との協力関係の構築を目的として人類(主人公)を試していたと見るとそれなり納得出来ます。主人公を合格と思ったので最後に助ける結末に
なったということだと思います。
もう一つ、不自然に感じられる原因は主人公が属する組織を厚生労働省と言う名前からミュールを捕獲、研究する組織と言うイメージを持ってしまう事です。しかし、キャリアが死ぬと数分で死んでしまう寄生生物を捕獲するのに拳銃ほど不適切な装備はありません。キャリアを殺せばミュールも死んでしまいますし、殺さないように手足を撃ったら他の人間に移られてしまいます。捕獲が目的であれば、麻酔弾が
電撃で気絶させるような装備を持つべきです。主人公が属する組織は主人公の認識はどうあれ、ミュールを抹殺する事が目的の組織ではないかと思われます。又、主人公がレントゲンを壊されて使えないのはともかく、外部にいる組織は、病院にいる人を全員、眠らせるか、拘束するかした後に、レントゲンを持ち込んで調べる事が簡単に出来たはずです。それを、しなかったと言う事は、病院内にもう一体のミュールがいる事を知っているか予想していて、全員を検査する事で、逃げたミュールだけでなく、人間に溶け込んで長期間活動しているミュールがいる事を組織内に知られる事を恐れた可能性があります。秘密がばれないように、主人公に全員を殺させてしまおうとした。そう考えると最後に上司が主人公の報告を機密扱いにした理由も理解出来ます。
秘密を守るために全員を殺そうとした残虐性を考えると組織の上部にミュールがいる可能性もあります。敵対するミュールを排除するためにミュールが人間を操って作った組織かもしれません。
この作品は単なる危険な寄生生物との戦いではなく、高度な知的生命体と人類との邂逅の物語である可能性があります。
ただ、惜しむらくは、監督が全てを描き切れていない感があります。