日日是好日のレビュー・感想・評価
全307件中、121~140件目を表示
お茶の深さと四季の移ろい
ふとしたことからお茶を習い始める女性の日記のような映画。お茶の世界のあるあるのエピソードで始まるが、それだけではない。お茶が日本の四季と共にあるということがよく分かる。
この映画の先生は表千家流だか、映画の中では一度も表千家という言葉が出てこない。僕は表千家流のお茶を習っているが、そこがいいと思う。もちろん表千家という言葉が出ると他流派の人が観に来ないという営業上の理由もあるだろうけれど。エンドロールの最後に「応援 表千家」とだけ出るのがいい。推薦でもなく協力でもないところがいい。樹木希林の最後の作品がこの映画で良かった。同時期に撮影された万引き家族では悲しすぎる。映画としては万引き家族の方がいいのだろうが。
懐かしかった
タイトルなし(ネタバレ)
ついこの間映画館で上映していたと思ったらもうdvdに!
見損ねていた私には嬉しい限りですが。
お茶の世界を通して主人公典子の人生が坦々と描かれていく
学生生活 フリーター 失恋 父の死と
様々な出来事を描かれるのと同時に
お茶の世界も並行して映し出される
丁寧に丁寧にゆっくりとゆっくりと
静かなお茶の世界は現代の忙しくざわざわした今の日本に
失われたものが映し出されているような気がした
お茶の先生を演じる今はなき樹木希林が演じていて
私はお茶の世界は知りませんが、真のお茶の先生に見えた
とにかくお茶の作法は細かい決まりがあり
動作も美しく私には無理だと思ってしまったが
あの静かな作法はなんともいえない不思議な空間だった
悩みながらも決して腐らず前向きに生きて行く典子にも
共感できた。こうして生きていけたのはお茶とお茶の先生との
出会いもあったからかなとも思った
祖母の思い出
祖母がお茶の先生でした。
茶筅で シャカシャカ 涼しげな渓流のような音を茶室に満たし、一瞬の間。
無音・静寂のあとに「 コトリ・・」と茶筅の柄を碗の縁にそっと落とす、
これを二回やるのですよ。「ししおどし」の音ですねー
大阪の公営団地の一室。
ベランダの下にはせわしいバス通りがある筈なのですが、いつしか障子の外には苔むした庭と樋水のつくばいの姿がありありと立ち上がる。
不思議な魔法の一時でした。
あれはオリジナルなのか、何かの流儀なのか、僕は永く確かめる事もせずに祖母は亡くなりましたが。
先日お墓参りの折、やっと母と叔母たちに訊きました、あの「ししおどし」は何なのか。
皆そんなものは知らないと言い、裏千家では余計な音は立てる筈はないと。
おばあちゃん、
結構なお点前でした。
あなたはたった一人僕のためだけに あの時 あの一回だけ あのお茶をたてて下さったのですね。
思い出しました、心を病んでいた孫はあの夏祖母の家に預けられていたのです。
今もあの日の茶筅とお湯の音は僕の心を浄めてくれます。
・・・・・・・・・・・
「形にね、心が入っていくの」樹木希林
映画の世界観は嫌いじゃないし、多部ちゃんが出てた前半までは良かった...
継続は力なり
【茶道の嗜みを品位高く、静かに描く。又、様々な女性の生き方も風味豊かに描き出す佳品】
ゆっくりとした人間的な成長
茶道が教えてくれたこと
主人公の心の成長を茶道を通して描いている。茶道の本質は一期一会の客人へのもてなしで、形で表し、そこに心を込める。そして込めた心をまた形で表す。古代中国の思想家、孔子の仁と礼の思想に似ている。その客人へのもてなしを、日本の風土のその都度の四季を織り交ぜ、茶道は芸術にまで昇華させた。映画に戻ると、四季折々の映像と茶室、茶道具、茶菓子まで全て美しかった。主人公を始め門人達の所作や佇まいの上達の様子も丁寧に描かれていた。物語では、そこに主人公と周りの人々の人生模様が絡んでいく。就職、結婚、親の死。主人公の人生は決して順風満帆ではない。挫折や死別にさえ見舞われる。そして主人公は時に自分の悲運に号泣する。しかし次第に悟る。四季は流れ、良きも悪きも一切は過ぎてゆく。日日是好日。毎日が初めて訪れる素晴らしき日であると。それを気付かせてくれたのが、主人公にとって茶道であった。今度はそれを後進に伝えるために、指導の側にまわるようだ。
人生は五感で感じる。それは、茶道を通して。
教えることで教わることがいっぱいあります
映画「日日是好日」(大森立嗣監督)から。
原作「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」
(森下典子著・新潮文庫刊・252頁)を9年前に読み、
その後、映画館で本作を鑑賞し、そしてまたDVDで観直した。
これが私流の映画の楽しみ方の1つとも言える。
そして、そのかすかな違いに気付き、自己満足の世界だけど、
心が豊かになった、と1人でほくそ笑むが、この作品には、
そんなちょっとした気付きが散りばめられていた。
「梅雨の雨音だわね」と、樹木希林ささん演じるお茶の先生が
呟いたのを受けて、黒木華さん演じる主人公、典子は心の中で、
「秋雨の音とは違うと思った」と反応する。
また「ある日かすかな違いに気づいた。お湯の音と水の音、違う。
お湯はトロトロって。水はキラキラって聞こえる。
私の中で何かが変わっていった」
この違いを感じることができた自分を褒めてやりたくなるくらい、
嬉しい発見が、お茶の世界にはある。
そして最後に、お茶の先生が主人公たちに、こう助言する。
「雪野さん、典子さん。あなたたちも教えてごらんなさい。
教えることで教わることがいっぱいあります」と。
これが、他界した「樹木希林さん」からのメッセージと心に刻み、
教えることで教わる経験を楽しみたいと思う。
静かで、ゆっくりした映画だったなぁ。
エッセイそのまま映画化
主人公:典子がひょんな事からいとこの美智子と茶道を習い行った事から始まる話。
体験談ぽく淡々と語る。
典子(黒木華)と美智子(多部未華子)の初めての作法習いの際は、まるで2人が脚本無しで演じている様で新鮮味を感じたのだが、それは徐々に無くなり、典子の人生話と化していた。
典子のナレーションも多くなり、「別にそんなに語らんでも」状態に。
茶道って、語らんでも感じ取れる部分が良いのでは?
語るのは武田先生役の樹木希林だけでいい。
人生話も少しはしっかり描きなさいよ。あっさりし過ぎ。
また、エッセイを単純に映画化らしく、
師匠:武田先生の御言葉→次に捻りがない典子のその言葉に纏わる出来事をすぐ持ってくる展開も好きになれない。映画なら伏線でも貼れば?状態。
工夫が無い映画としての作りにう〜ん。
綺麗で華麗な茶道作品だろうが、樹木希林他界寸前の作品だろうが、1映画としてはベタ褒めは致しません。
大切なことは目には見えないのだと
この世界には、すぐに分かることとすぐには分かりえないことの2つがある、という。
それが、主人公ののりこがお茶を教わる中で気づいたこと。
お茶の所作になんの意味があるのかを考えてしまうが、そうではないと樹木希林(演じる先生)。
お茶はそういうものなのよ、意味なんて作法を知るうちに自分で感じればいいじゃないという言葉が、無責任な印象をちらっと受けたが、そうではなかった。
お茶が人を成長させるとか、そういう恩着せがましいものではなく、
のりこの人生に寄り添って、心の安らぎや日常のきらめきみたいなものを表していたので、とても美しいものに思えた。
黒木華(のりこ)の所作もとてもきれいだった。
日日是好日の意味は言葉の通りだが、その受け取り方は人によって千差万別。
きっと、四季や天候、その日の気分を噛み締めながらいただくお茶に、人生の甘みや苦みが凝縮されているのだ。
移りゆく季節をしっかり感じる世界観
樹木希林が観られるので、レンタル開始を心待ちにしていました。
期待通り、自然体でいて、ちゃんと茶道の先生の姿で、心が温まりました。
時が移る演出として
二十四節気や、干支にも触れていて
季節が変わると作法も変わる そんな茶道の風流な世界観に心を奪われました。
数々の失敗例も、自分がやってみたら絶対にこっちだなっていう場面にただただ共感しました。
一畳を歩く歩数も、何歩かわからなくなっちゃったシーンも笑いました。
洗練ももちろん大事なコトだとおもいます。
形だけではなく、心も磨いてこそ、ホンモノになるなと感じました。
頭で考えず、五感でとらえる。
体が勝手にーという言葉も、希林さんが発するから、深みが増しているなと感じるセリフでした。
日々全てが、良き日
エッセイストである原作者の実体験に基づく、お茶の世界。
そんな地味な題材、映画になるんかい!…と思うなかれ。
しみじみと味わい深い、結構な…いや、素晴らしいお手前で。
これぞ、日本映画の良き心。
魅了された点は多々あるが、本作を格別なものにした今は亡き名女優について真っ先に触れたい。
樹木希林。
お茶の先生、武田先生を演じる。
お茶の作法や所作には細かく厳しいが、性格自体は朗らかで茶目っ気たっぷりでユーモラス。
名言もたくさん。
いつもながら、演技なのか素なのか、区別が付かないほど。
希林さんの為のような、ハマり役と絶品の名演。
死去してから今年、2本の出演作が公開されるが、本作こそ最後の作品に相応しいとさえ感じた。
希林さんは女優だ。だから、お茶の事に関しては素人に等しい。
なのに、劇中披露するお茶の作法や所作は、本当にその道云十年の先生のよう。
おそらく、相当稽古し、勉強したのだろう。
その陰ながらの努力を一切見せず、感じさせず、飄々と自分のものに。役作りを必死にアピールするハリウッド俳優とは正反対。
思えば、希林さんはいつだってそうだった。
本当のプロフェッショナル。
代わるべき存在が居ない、唯一無二の名優。
改めて突然の死を悼むと共に、数々の名演で魅せてくれた敬意と感謝を捧げたい。
お茶の世界は覚える事、やる事がいっぱい。
いちいち細かい作法と所作は勿論、それぞれの道具の名称、それぞれの意味…こんなに大変なのか!
自分だったら細かすぎて疲れてしまうだろう。
頭で考えるから、出来ない/分からない。身に付けば、自然と手が動く。
それが出来た時、作法や所作の何と美しい事!
お茶の世界って、深い。
本作は和の美を嗜む作品だ。
畳の茶室。
部屋から覗く庭。
掛け軸などの装飾。
和菓子は見た目も美味しそう。(自分、和菓子好きなので)
映像は美しく、音楽も美しい調べであったり軽快であったり。
何度も何度も“美しい”という言葉を用いて恐縮だが、本当にその美しさに心奪われる。
どちらかと言うとシリアスやハード系が多かった大森立嗣監督にとっても新境地。
もう一つ印象に残ったのは、“音”。
大臨場・大迫力の音とは全く逆の静かな音ながら、
水を汲む音、水が沸く音、お茶を点てる音、庭の水の流れる音、飲みすする音、水とお湯の音の違いに至るまで、全ての音が心地よい。
目を閉じ、聞き浸りたいくらい。
黒木華、多部未華子にもほっこり。
よく女優なのに美人じゃないと言われる二人だが、個人的にこの二人、個性的で魅力的で、女優としても非常に好きなんだなぁ…。
黒木は、自分の人生にさ迷い中のヒロイン・典子。
多部は、サバサバして自律性のある従姉妹の美智子。
本作は、典子の20数年に及ぶ物語である。
大学生時代、親に薦められて始めたお茶。
全然身に付かず、いちいち細かすぎて、正直うんざり。
続けられるのかなぁ…? と言うか、お茶をやってて何か得になるの…?
就職に苦労。やっと見つけたバイト。
悩み、面接や試験など大事な前日、途端にお茶を嗜みたくなる。不思議な事に。
典子の性格上、何事も長続きしないタイプだろう。
が、お茶だけは長く続いている。
自分の人生に多大な影響を与えた…などという、大それた事ではあるまい。
自然とスッと、自分でも知らぬ内に、お茶が身に染み渡っていたのだ。
時の移ろい、典子の悲喜こもごもの歩み。
仕事、失恋、出会い、そして別れ…。
お茶と絡めながら。
20何年も続けているお茶。
いつもと同じ、変わる事の無い。
しかし、決してそうではない。
その都度その都度点てるお茶に、二度と同じお茶は無い。
人生とて同じ。
よく変わらぬ同じ日常の繰り返しと言うが、全く同じ日など無い。
必ず毎日、何か新しい事、新しい日がやって来る。
それは、一期一会。
だからこそ、一日一日を、嗜みたい。
辛い事も、悲しい事も、
嬉しい事も、幸せな事も、
お茶を楽しく頂くように。
一生に一度きりの日々。
その日々に感謝。
その日々全てが、良き日。
「日常の愛おしさ」を認識させてくれる映画
映画を見終わった後、「日日是好日」の意味を検索しました。
それによると、日々是好日は雲門禅師の悟りの境地を表した、最高の言葉とのことです。
一般に「好い・好くない」の判断の基準は、お金が儲かった・損をした、よいことがあった、嫌なことがあったなど、優劣・得・是非にとらわれたものさしで考えがちですが、日々是好日とは、そんなこだわり、とらわれをさっぱり捨て切って、その日一日をただありのままに生きる、清々しい境地なのだそう。
今が、悲しみの中にあろうと、喜びの中にあろうと、一瞬・一瞬を大切に生きること。と書かれていました。
この世界観を黒木華と樹木希林がとても丁寧に演じていて、共感しました。
季節の移ろい、花、雨、着物、感情が程よい距離感で語りかけてきます。激しく感情をゆすぶられることはないですが、気持ちの中の中に届くような、映画をみたあと、所作を美しくしたくなるような、そんな大人な映画でした。
全307件中、121~140件目を表示