日日是好日のレビュー・感想・評価
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庭の季節ごとの風景と茶道の所作が素晴らしい!
二回目の鑑賞でしたが、極めてレベルの高い作品でした。
エンドロールでこの作品を作ってくれた方々に感謝の感情が湧いてきました。
典子と美智子が武田先生宅を初めて訪問した際に茶室に掛かる日日是好日の額を見ながら、何と読むのか?と話した時に樹木希林の声でニチニチコレコウジツと読むのよ!とタイトルが出る時などは非常に考えた作りで、所作を教える武田先生が樹木希林と云う俳優の人格がゆえに出るユーモアが自然でした。毎週通う内に少しずつ茶道に惹かれていく典子。
世の中にはすぐわかることと、すぐにはわからないけど時間が経った時にわかることがあると作品中に言ってました。
失恋後の典子が立ち直り、武田先生の元に行く時に父親がお酒を飲もうかと言った言葉は普通に戻った典子を喜ぶ父の感情をよく表現してました。
父親が亡くなり悲しみの中にいる典子が茶室の中で聴く強い雨音で父に対しての後悔を洗い流すイメージが鎌倉の海に立つ父と思い切り大声で感謝の言葉を叫ぶ画像が素晴らしかった!
その後、達観した典子の表情と日日是好日の意味を理解する。
二回目でこの映画がより良い作品と感じました。
こんな文化のある日本人で生まれて良かったとも思いました。
黒木華、樹木希林、多部未華子、鶴見辰吾、他俳優さんの良い演技でこの作品ができたと思う!
お茶の話がメインかと思ったけど
凛としてお茶目な希林さん・・
エッセイスト森下典子さんがご自身の想いを綴った「日日是好日―お茶が教えてくれた15のしあわせ」を映画化。ちなみに15のこととは
一 「自分は何も知らない」ということを知る
二 頭で考えようとしないこと
三 「今」に気持ちを集中すること
四 見て感じること
五 たくさんの「本物」を見ること
六 季節を味わうこと
七 五感で自然とつながること
八 今、ここにいること
九 自然に身を任せ、時を過ごすこと
十 このままでよい、ということ
十一 別れは必ずやってくること
十二 自分の内側に耳をすますこと
十三 雨の日は、雨を聴くこと
十四 成長を待つこと
十五 長い目で今を生きること
武田先生の元に通ってから四半世紀の間に学んだことだから1時間49分で伝えるのは難しい。
フェリーニの「道」ジェルソミーナの話が繰り返し出てくる、本作も最初は分からなくても繰り返し観て欲しいということだろうか。
人生で出会った本や映画もまた人との出会いのようにその人の心の糧となるのだろう。学ぶことは人それぞれ、普遍的に思える事柄もあるし矛盾もある、森下さん自身が一歩を踏み出すために自身に言い聞かせたようなことも含まれているように思う。
悪い作品ではないがあまりにも内省的であり映像表現としては流れを削ぐ表情のアップなどテレビ的で稚拙に思えてしまうのは残念だった。実は映画そのものより樹木希林さんを忍びたくて観たのだと思う、昔、テレビで見た時からおばあさん役だったが凛とした立派な老婦人になったものだ、それでも時々見せる茶目っ気は相変わらずだった、ご冥福をお祈りします。
お茶の深さと四季の移ろい
ふとしたことからお茶を習い始める女性の日記のような映画。お茶の世界のあるあるのエピソードで始まるが、それだけではない。お茶が日本の四季と共にあるということがよく分かる。
この映画の先生は表千家流だか、映画の中では一度も表千家という言葉が出てこない。僕は表千家流のお茶を習っているが、そこがいいと思う。もちろん表千家という言葉が出ると他流派の人が観に来ないという営業上の理由もあるだろうけれど。エンドロールの最後に「応援 表千家」とだけ出るのがいい。推薦でもなく協力でもないところがいい。樹木希林の最後の作品がこの映画で良かった。同時期に撮影された万引き家族では悲しすぎる。映画としては万引き家族の方がいいのだろうが。
懐かしかった
タイトルなし(ネタバレ)
ついこの間映画館で上映していたと思ったらもうdvdに!
見損ねていた私には嬉しい限りですが。
お茶の世界を通して主人公典子の人生が坦々と描かれていく
学生生活 フリーター 失恋 父の死と
様々な出来事を描かれるのと同時に
お茶の世界も並行して映し出される
丁寧に丁寧にゆっくりとゆっくりと
静かなお茶の世界は現代の忙しくざわざわした今の日本に
失われたものが映し出されているような気がした
お茶の先生を演じる今はなき樹木希林が演じていて
私はお茶の世界は知りませんが、真のお茶の先生に見えた
とにかくお茶の作法は細かい決まりがあり
動作も美しく私には無理だと思ってしまったが
あの静かな作法はなんともいえない不思議な空間だった
悩みながらも決して腐らず前向きに生きて行く典子にも
共感できた。こうして生きていけたのはお茶とお茶の先生との
出会いもあったからかなとも思った
祖母の思い出
祖母がお茶の先生でした。
茶筅で シャカシャカ 涼しげな渓流のような音を茶室に満たし、一瞬の間。
無音・静寂のあとに「 コトリ・・」と茶筅の柄を碗の縁にそっと落とす、
これを二回やるのですよ。「ししおどし」の音ですねー
大阪の公営団地の一室。
ベランダの下にはせわしいバス通りがある筈なのですが、いつしか障子の外には苔むした庭と樋水のつくばいの姿がありありと立ち上がる。
不思議な魔法の一時でした。
あれはオリジナルなのか、何かの流儀なのか、僕は永く確かめる事もせずに祖母は亡くなりましたが。
先日お墓参りの折、やっと母と叔母たちに訊きました、あの「ししおどし」は何なのか。
皆そんなものは知らないと言い、裏千家では余計な音は立てる筈はないと。
おばあちゃん、
結構なお点前でした。
あなたはたった一人僕のためだけに あの時 あの一回だけ あのお茶をたてて下さったのですね。
思い出しました、心を病んでいた孫はあの夏祖母の家に預けられていたのです。
今もあの日の茶筅とお湯の音は僕の心を浄めてくれます。
・・・・・・・・・・・
「形にね、心が入っていくの」樹木希林
映画の世界観は嫌いじゃないし、多部ちゃんが出てた前半までは良かった...
継続は力なり
【茶道の嗜みを品位高く、静かに描く。又、様々な女性の生き方も風味豊かに描き出す佳品】
ゆっくりとした人間的な成長
茶道が教えてくれたこと
主人公の心の成長を茶道を通して描いている。茶道の本質は一期一会の客人へのもてなしで、形で表し、そこに心を込める。そして込めた心をまた形で表す。古代中国の思想家、孔子の仁と礼の思想に似ている。その客人へのもてなしを、日本の風土のその都度の四季を織り交ぜ、茶道は芸術にまで昇華させた。映画に戻ると、四季折々の映像と茶室、茶道具、茶菓子まで全て美しかった。主人公を始め門人達の所作や佇まいの上達の様子も丁寧に描かれていた。物語では、そこに主人公と周りの人々の人生模様が絡んでいく。就職、結婚、親の死。主人公の人生は決して順風満帆ではない。挫折や死別にさえ見舞われる。そして主人公は時に自分の悲運に号泣する。しかし次第に悟る。四季は流れ、良きも悪きも一切は過ぎてゆく。日日是好日。毎日が初めて訪れる素晴らしき日であると。それを気付かせてくれたのが、主人公にとって茶道であった。今度はそれを後進に伝えるために、指導の側にまわるようだ。
人生は五感で感じる。それは、茶道を通して。
教えることで教わることがいっぱいあります
映画「日日是好日」(大森立嗣監督)から。
原作「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」
(森下典子著・新潮文庫刊・252頁)を9年前に読み、
その後、映画館で本作を鑑賞し、そしてまたDVDで観直した。
これが私流の映画の楽しみ方の1つとも言える。
そして、そのかすかな違いに気付き、自己満足の世界だけど、
心が豊かになった、と1人でほくそ笑むが、この作品には、
そんなちょっとした気付きが散りばめられていた。
「梅雨の雨音だわね」と、樹木希林ささん演じるお茶の先生が
呟いたのを受けて、黒木華さん演じる主人公、典子は心の中で、
「秋雨の音とは違うと思った」と反応する。
また「ある日かすかな違いに気づいた。お湯の音と水の音、違う。
お湯はトロトロって。水はキラキラって聞こえる。
私の中で何かが変わっていった」
この違いを感じることができた自分を褒めてやりたくなるくらい、
嬉しい発見が、お茶の世界にはある。
そして最後に、お茶の先生が主人公たちに、こう助言する。
「雪野さん、典子さん。あなたたちも教えてごらんなさい。
教えることで教わることがいっぱいあります」と。
これが、他界した「樹木希林さん」からのメッセージと心に刻み、
教えることで教わる経験を楽しみたいと思う。
静かで、ゆっくりした映画だったなぁ。
エッセイそのまま映画化
主人公:典子がひょんな事からいとこの美智子と茶道を習い行った事から始まる話。
体験談ぽく淡々と語る。
典子(黒木華)と美智子(多部未華子)の初めての作法習いの際は、まるで2人が脚本無しで演じている様で新鮮味を感じたのだが、それは徐々に無くなり、典子の人生話と化していた。
典子のナレーションも多くなり、「別にそんなに語らんでも」状態に。
茶道って、語らんでも感じ取れる部分が良いのでは?
語るのは武田先生役の樹木希林だけでいい。
人生話も少しはしっかり描きなさいよ。あっさりし過ぎ。
また、エッセイを単純に映画化らしく、
師匠:武田先生の御言葉→次に捻りがない典子のその言葉に纏わる出来事をすぐ持ってくる展開も好きになれない。映画なら伏線でも貼れば?状態。
工夫が無い映画としての作りにう〜ん。
綺麗で華麗な茶道作品だろうが、樹木希林他界寸前の作品だろうが、1映画としてはベタ褒めは致しません。
大切なことは目には見えないのだと
この世界には、すぐに分かることとすぐには分かりえないことの2つがある、という。
それが、主人公ののりこがお茶を教わる中で気づいたこと。
お茶の所作になんの意味があるのかを考えてしまうが、そうではないと樹木希林(演じる先生)。
お茶はそういうものなのよ、意味なんて作法を知るうちに自分で感じればいいじゃないという言葉が、無責任な印象をちらっと受けたが、そうではなかった。
お茶が人を成長させるとか、そういう恩着せがましいものではなく、
のりこの人生に寄り添って、心の安らぎや日常のきらめきみたいなものを表していたので、とても美しいものに思えた。
黒木華(のりこ)の所作もとてもきれいだった。
日日是好日の意味は言葉の通りだが、その受け取り方は人によって千差万別。
きっと、四季や天候、その日の気分を噛み締めながらいただくお茶に、人生の甘みや苦みが凝縮されているのだ。
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