日日是好日のレビュー・感想・評価
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考える前に、先人の知恵にゆだねる
これは原作がでたときに、
本屋さんで手にとってひきこまれて
その場でほとんど読んでしまい、
その後も心に残っていた本なので、
今回の映画化は
とてもたのしみだった。
形をくりかえして心を入れる。
それは、先生もそうとしか
教えようがないのだと思う。
私は学生時代、能楽を
やっていたけれど、
舞や謡などは理屈抜きに繰り返して
覚えるしかない。
自然に動けるようになってはじめて
自分なりの解釈などを
すこしづつ入れられるようになる。
その頃茶道を習っていて、
能の舞の姿勢や足運びと、
お茶のお運びの姿勢が
よく似てることに感動した。
あるとき、ふっ、と
腑に落ちる瞬間がある。
もちろん、全てではないけど、
典子が掛軸をみて滝をかんじたように、
水や雨の音をききわけたように。
それは不思議な快感だ。
そしてそれは、無心な繰り返しの中で
初めて得られる。
「こんなことしてなんの意味が
あるんだろう」とか、
「何の役に立つんだろう」
という前に
素直に繰り返す姿勢は美しい。
「稽古」とは古いことをなぞることだ。
ひたすら体に覚えこませる。
そうしてはじめて見えてくることがある。
まず形を作って、そこに心を入れる
自分が、自分が、という個性の主張、
自由という言葉に
かえって縛られてやしないか。
我、というのは尖った形だ。
尖ったところをすこしづつ
丸くしていけば動きやすくなり、
色々なものが
見えてくるのかもしれない。
茶室は狭いけれど、
精神を解き放つことができれば、
大いなる宇宙である。
人智を超えた大きな営みの流れに、
自分を合わせることができるのかも
しれない。
心静か、ということは
なんと幸せなことか。
なんでなんで
知らないものを受け入れていく
描写が自然で良かったです。
難しい作法は難しく
理解しにくいものは理解できず
それでも続けていれば
見られるもの、感じるもの、受けいられるもの
ただ受け身になるのではなく
一つのセリフが印象的でした
『工夫しなさい』
傷つけるような厳しい言葉でしたが
それでいて暖かく感じられました。
結構なお手前でした。
自己満足
作者の自己満足という風に感じてしまった。
自分が本当に何をしたいのか分からない、自分だけ前に進めない感じがする。そんな人生だけどお茶のお稽古で変わってゆく。そんな話。
観る年代によって感じ方は違うのだろうけれど、典子と美智子、2人ともものすごく普通で、そこら辺にいる若い女の子といった感じ。一緒じゃないとお稽古嫌だ、とか2人で目を見合わせて笑う感じとか。
その後歩む人生も、特に周りと違うことは訪れない。悩みも、何もかもが言ったら悪いけど普通。
他のお茶に通う生徒たちも皆同じ。特に着物を着てたくさん集まっているシーンなんかは皆同じでちょっと異様。
日本文化を、お茶を美化しすぎていないだろうか。いや、主人公がお茶という世界に入ってゆく自分に酔っていないだろうか。
そんな生徒たちの中で、お茶の先生の樹木希林だけ違う雰囲気で違う世界に生きている感じがした。
整った!!
お茶を通して、季節を感じ、心が整うのを感じました。
24年もの間お茶を習うことにより、様々な人物や出来事との出逢いと別れを経験し、自分を見つめ直すことで、自分にとっての大切なものが何か、次第に心が豊かになっていくのを感じました。
水の音、お湯の音、季節による雨の音の違いなど、日常ではあまり気に留めない事柄を、心を落ち着かせ、一度立ち止まってみたり考えてみたり、現代だからこそ必要な生き方を感じ、"毎日が良い日"と思うことが出来る日々にしていきたい。と感じる映画でした。
何か1つをずっと続けていくことは容易くはないけど、生きていく中で、自分の自信に繋がっていくと思い、とても大切だと感じました。
黒木華さんと樹木希林さんの信頼関係も素敵でした。
樹木希林さんの遺作ですが、他の映画も見たくなります。
黒木華さんも、落ち着いていて、良かったです。
凛とする
アマプラで視聴。
なんとなくで通い始めた茶道教室。茶道を通して、礼儀作法や五感を味わうことの楽しさを学んでいく。
お茶を通して、掛け軸や茶碗からイメージを膨らませたり、風や雨音を感じたり。忙しない生活の中で、ゆっくりとその瞬間を味わうことも今の世の中に求められているのかもしれない。
不器用で真面目な主人公、そして面白い先生。このような関係性が素敵だなと思った。
お茶の様子を見ていると凛とした気持ちになり、背筋が自然とピンとしていた。
勝手に持っていた大森監督のイメージ
から、ずいぶん遠い作品。
原作も読んだが、映画、原作ともすばらしい。「にちにちこれこうじつ」の意味が少しはわかったような気になる。
この映画を見た後、禅の言葉に興味を持った。
「日日是好日」とともに「聴雨」(雨を聴く)という言葉が好きになった。
雨の日には雨を聴く。雪の日は雪を見る。夏には夏の暑さを、冬には冬の身の切れるような寒さを味わう。
素敵ですね
日本には、素晴らしい歴史がある。淡々と日本の美しい四季を感じた久しぶりの映像でした。視覚、聴覚、時には嗅覚で感じる日々の何気ない生活。悲しいかな、忘れたいました。樹木さん、黒木さん、素敵ですね。
大森監督やりますね。美しい映像とさり気ない人間の日常を、この時間で纏めたのは立派ですね。有難う御座いました。
日本の原点が心に沁み込んでくる
日本人であることを強く意識できる極めて日本的な作品だった。全編を通して、物語のワンシーン、ワンシーンが自然に心に沁み込んでくる。観終わって心地良い余韻が残る。本作は、茶道を学ぶ女性の半生を通して、生きるための心構えを我々に教えてくれる秀作である。
本作の主人公は、大学生の典子(黒木華)。彼女は、大学生になっても自分の本当にやりたいことを見出せず満ち足りない日々を過ごしていた。そんな彼女を見かねた母は、彼女に茶道を勧める。彼女は戸惑いながらも、従妹の美智子(多部未華子)とともに、茶道教室に通い始める。そして、次第に茶道の魅力に惹かれていく・・・。
派手な作品ではない。しかし、典子たちが茶道を学ぶことは日本の原点を学ぶことに通じていて、我々観客も日本の心に触れることが出来る。茶道教室の先生役の武田のおばさん役の樹木希林の佇まいが素晴らしい。茶道の達人でありながらも、驕るところは少しもなく、典子たちを優しく、時にコミカルな雰囲気で茶道の世界に導いていく。樹木希林の佇まいは凄いというよりは、無駄がなく自然であり水の流れのように周りに溶け込んでいく。人生経験に裏打ちされた、泰然自若とした落ち着きがある。典子たちに語る台詞の一つ一つが、味わい深く人生訓のようだ。特に印象深いのは、形から入って、心は後から入れるものという言葉である。最初は真摯に学べ、考えるのはその後だ、と理解できる。我々が人生において様々なものを学ぶ時に忘れてはならない名言である。
典子は大学卒業後も定職に就かず、バイトをしながら茶道教室に通い続ける。その間、典子の身には様々な事が起きる。そのたびに、武田のおばさんは、優しく典子に寄り添う。そして、典子は、茶道教室に掲げられていた“日日是好日”という言葉の本当の意味を理解し人生を歩んでいく。
本作は、静かな作品だが、茶道を通して日本を強く感じることのできる秀作である。
茶道を通して、淡々と場面は展開していく。 時には楽しく、焦り、傷つ...
茶道を通して、淡々と場面は展開していく。
時には楽しく、焦り、傷つき悲しみ。けれど、毎日が良い日。同じことを繰り返すことが幸せ。
黒木華と樹木希林の感情の時間を感じることができる演技。とても良かったです。
日々を思い、すごく心に響く映画でした。
現代人へのプレゼント
現代に疲れた人々へのプレゼントのような映画だ。
今の社会は全てがはやい。効率を求めて無駄をはぶく。快適さを求めて自然にあらがう。
劇中では、就職活動というテーマを通してそれが語られる。主人公の様に迷いが多かったり、思いを直接言葉にできない人間に対して、企業は魅力を感じない。新人を育てる余裕もない。現代社会は、論理的で処理能力が高く即戦力になる人物を求める。
濁流の様な流れに乗れない人間に対して現代社会はあまりに冷たい。
この映画はかつての日本人が大切にしていた時間の感覚や人の育て方を思い出させてくれる。何かを覚えようと焦ったり、意味ばかり求めなくてもいい。自然に合わせて人間の暮らし方を考え、それを楽しめばいい。
大丈夫、ゆっくりでいい。周りに合わせなくていい。
美しい映像と役者達の所作が、そう語りかけてくれる。
眠くなったら途中で寝ても、いい映画だったと思えるような、癒しを与えてくれる映画だった。
雰囲気を楽しむ。
前半の雰囲気はすごく良い。
後半はなんかあるんじゃないかと思ったけどいい意味でも悪い意味でもなにもない。
樹木希林、黒木華、多部未華子、すごくよい。
ストーリー 82点
配役 96点
音楽・映像 90点
全体 86点
もう少し踏み込んでも。
さらっとした語り口で、あまり気負わないでみられる映画。
ただ、茶の湯にもう少し踏み込んだ描写があっても良かったかな、と思います。。
たとえば、蹲にいつもより多めに水を入れておいた、就職試験に合わせて達磨の掛け軸をかけた、はわかるのですが、先生がまさにその室礼を整えている裏方の場面があったらもっと茶人としての側面が際立ったかも。
同じく茶器を選んだり、お菓子をお店に手配したり、とかの様子とか。
常に観客は、客人のような目線で茶室を見て欲しかった、ということでしょうか。お茶の醍醐味ってその準備にかける時間だと思うんですよね〜。そこが映画内でもう少し見たかった。
同じように、女の子にとって、お茶を始めて、着物を着るという行為は、けっこう一大事だと思うのですが、いきなり主人公たちが、普通〜に着物姿で出てくるので、着物にはしゃいだりする場面とか、そんなお仕度中の細かいところがあればなぁ、など思ったりしました。
普段から着物を着慣れている二人だったのでしょうか。着付けがもうちょっと崩れててもリアルで良かったのに、脇役の皆さんも髪型までキマりまくっていたので、ま、そこは映画だよね、と思いました。
大茶会の、お正客に誰もなりたがらない描写、とはいえ、どこかの先生が謙遜しつつ、しっかり前に出る描写は、リアルだなぁ〜と思いながら笑ってしまいました。
でも、後ろにひっくり返ったり、メガネがずれたり、は、ちょっとコミカルすぎるかな。
あと、フラグ立ち過ぎ〜!
と、いうことでわたし的には、さらっとし過ぎて少しだけ物足りなかったです。
だけど、樹木希林の存在感を再確認した映画でもありました。
空気感を味わう
懐かしい子供の頃の実家の空気、
大雨の空気、
同級生が人生の道を先に進んでしまう空気、
若い子の才能に悔しくなる空気、
なんか、そんなあるあるを美しく描いた作品で、
全編を通して心地良くも
なんか気恥ずかしさもある
そんな時間を過ごしました。
特に多部未華子さんの役が、
ああ、いるいるって
誰もが知り合いを思い浮かべられる
そんな役ではないかな。
こうやって
人って歳を重ねるんだなと
感じられる作品でした。
もっとしっかりと
主人公は、自分が何をしたいのか?まだはっきりとしないままに大人になる事に葛藤がある女性。
そんなある日、親戚のおばさんがお茶の先生をしているという事でそこでお茶の作法を勉強してみる事になる。
まず、知らなかったのがお茶というのもこれだけの作法がある事でした。ただ目の前に茶菓子と共に出されるだけくらいの感覚でしかなかった。
戦国時代でも秀吉がお茶というもに一目を置いていた事もあり茶人なる職業が生まれたのかな。
お茶は、何も考えずただ味わう。
日本人の文化の素晴らしさを知る映画でした。
もっとしっかりと観ておけば、もっと味わう事が出来たかなって反省してます。笑
樹木希林さんの演技も自然でとても魅力的な作品でした
たおやかに生きていきたいものです
研究によると、仕事の生産性はマルチタスクよりもシングルタスクの方が高いらしい。スマホ全盛の今日にあっては、スマホでメールを読みながらPCでオンライン会議を行い、タブレットで調べものをするなんていう日常も珍しくないだろう。しかし、この映画を観る時はスマホを閉じてシングルタスクのつもりで映画に集中して観て欲しい。茶道を通じて成長していく主人公の姿を描いたこの作品は、ややもすると一人の女性の心の成長を描いたよくある話で終わってしまう。だが、主人公が最後に気付くように、「世の中にはすぐ分からないものがあり、長い時間をかけて少しずつわかっていくもの」があり、この映画は後者の話である。時間をかけてわかるためにも、心の機微をとらえた瞬間を心に留めておいて欲しいのです。
世の中は、あまりにも目に見える変化を求めすぎている。 でも、目には...
世の中は、あまりにも目に見える変化を求めすぎている。
でも、目には見えない変化に気づける人はどれぐらいいるだろうか。
そしてそれは変わらぬものの中にこそ見つかるのだと思う。
意味のないことを継続することに喜びを感じられる強さ。
そしてもっと丁寧に生きていきたいと思った。
悲しみ、寂しさ。それもまた日々是好日なり。
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