日日是好日のレビュー・感想・評価
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すごくいい作品、大満足です
25年間の春夏秋冬を優しくしっとりと描いた秀作
お茶をたてる時のお湯の音
木々を打つ雨の音
柔らかく部屋の中まで照らす陽の光
素敵な器に入った個性的な和菓子の数々
脳を刺激する掛け軸の字や絵とダイナミックな筆圧
温かそうで今にも畳の匂いがしてきそうな綺麗な和室
等々が全編通して五感を気持ち良く刺激してきます
黒木華さんの自然で悩める主人公の好演も良かったですが、やはり本作は樹木希林さんが素晴らしかった
先生だけども「私もいつまで経っても上手にできないのよ」なんてたくさんの生徒の前で言っちゃう所や生徒に作法の意味や必要性を聞かれても「そんなこと聞かれてもねえ、知らないわよ、考えるもんじゃないの、感じなさい」みたいなことを言われます、とにかくすごく自然体で余裕、大きい、大きすぎる
でもって所作が綺麗、静かに流れるような動きは到底 一朝一夕では成し得ない技、苦労と努力を重ねてきた大女優の貫禄を目の当たりにし圧倒されました
掛け軸の解説をしてくれたりするのも良かったし、こういう有意義で幸せな時間を過ごせると本当に心が豊かになるだろうなと思いました
”日々是好日”、毎日毎日 来る日も来る日も同じことを繰り返し過ごせるのは喜ばしいこと、人間それが一番幸せなんだろうな、と樹木希林さん演じる先生が語るくだりが一番グッときました
ジュリーの「土を喰らう12ヶ月」や富司純子さんの「椿の庭」と同系列のしっとりとして五感を刺激してくる名作群の一本です
すぐに分かることと時が経って分かること
頭で考えずに体で覚える。慣れれば勝手に手が動く。五感を使って季節や音を感じる。同じ日は二度とない。
最近樹木希林の言葉に感銘を受けることが多く見てみたかった作品をやっと見た。もうすでに他界されていることが本当に惜しい。
幼少期に少し茶道をやっていたこともあって序盤から入り込んだ。一つ一つの動作が懐かしくこんなことやったなぁと自分の体験に重ねながら見た。
幼い頃はその所作の意味もお道具の種類もわからずただ言われるがままやっていたからお稽古に行くのがつまらなかったが、大人になってふとした自分の仕草にあの時のお手前の意味を感じることが多くあった。流れるような品のある仕草。一つ一つの所作に意味があったことを後から知る。道具も季節によって使うものが多くとてもお稽古で覚えきれなかったがなぜその茶器を使うのか、季節ごとの掛け軸や茶菓子の意味、全てのものに意味があって奥深い世界。貴族の道楽と言えばそれまでだけど、ただただ現代では必要のない手技をわざわざ習う人が絶えず継承されていくのはそういうことなのだろう。
黒木華の成長していく姿、特に自信がついてきてからのお手前中の姿はハッとするほど美しく流れるような所作に吸い込まれるようだった。師範を務めた樹木希林、視聴後知ったが茶道は初めてで稽古をしたことはなく直前に見本を数回見ただけで完璧にコピーして演じたというからすごい。それであの貫禄。名女優と言われ人々を魅了する理由がよくわかる。セリフは少ないが会えば包み込むような雰囲気と笑顔、そして一言一言に重みの意味のある言葉。同じ人が集まっても二度と同じ日はない。【どのような日も自分にとってかけがえのない一日である】という教えという掛け軸の言葉。刺さる。
『私は不器用で機転が効かない。ここにも私の居場所がない』何年も続けているお稽古なのに自分より後輩が自分より出来て自信を無くしたり恋人との結婚が白紙になり人生の真冬期状態の典子の呟き共感した。何もかも上手くいかず誰からも必要とされてないような目の前の道が見えなくなるような不安孤独。そんなシーンも淡々と流れ季節は春に向かう。
作中、父親が倒れるくだりはベタな流れだったが人生そういうものなんだろう。樹木希林と黒木華以外の脇を固める人物の描き方は少々雑だった感は否めない。特に美智子はもう少し何とかならなかったのかという感はある(少々デリカシーにかける点。毎週会っていたのに距離のある感じ)
淡々として盛り上がりはないが私は好きな作品だった。
考える前に、先人の知恵にゆだねる
これは原作がでたときに、
本屋さんで手にとってひきこまれて
その場でほとんど読んでしまい、
その後も心に残っていた本なので、
今回の映画化は
とてもたのしみだった。
形をくりかえして心を入れる。
それは、先生もそうとしか
教えようがないのだと思う。
私は学生時代、能楽を
やっていたけれど、
舞や謡などは理屈抜きに繰り返して
覚えるしかない。
自然に動けるようになってはじめて
自分なりの解釈などを
すこしづつ入れられるようになる。
その頃茶道を習っていて、
能の舞の姿勢や足運びと、
お茶のお運びの姿勢が
よく似てることに感動した。
あるとき、ふっ、と
腑に落ちる瞬間がある。
もちろん、全てではないけど、
典子が掛軸をみて滝をかんじたように、
水や雨の音をききわけたように。
それは不思議な快感だ。
そしてそれは、無心な繰り返しの中で
初めて得られる。
「こんなことしてなんの意味が
あるんだろう」とか、
「何の役に立つんだろう」
という前に
素直に繰り返す姿勢は美しい。
「稽古」とは古いことをなぞることだ。
ひたすら体に覚えこませる。
そうしてはじめて見えてくることがある。
まず形を作って、そこに心を入れる
自分が、自分が、という個性の主張、
自由という言葉に
かえって縛られてやしないか。
我、というのは尖った形だ。
尖ったところをすこしづつ
丸くしていけば動きやすくなり、
色々なものが
見えてくるのかもしれない。
茶室は狭いけれど、
精神を解き放つことができれば、
大いなる宇宙である。
人智を超えた大きな営みの流れに、
自分を合わせることができるのかも
しれない。
心静か、ということは
なんと幸せなことか。
なんでなんで
自己満足
作者の自己満足という風に感じてしまった。
自分が本当に何をしたいのか分からない、自分だけ前に進めない感じがする。そんな人生だけどお茶のお稽古で変わってゆく。そんな話。
観る年代によって感じ方は違うのだろうけれど、典子と美智子、2人ともものすごく普通で、そこら辺にいる若い女の子といった感じ。一緒じゃないとお稽古嫌だ、とか2人で目を見合わせて笑う感じとか。
その後歩む人生も、特に周りと違うことは訪れない。悩みも、何もかもが言ったら悪いけど普通。
他のお茶に通う生徒たちも皆同じ。特に着物を着てたくさん集まっているシーンなんかは皆同じでちょっと異様。
日本文化を、お茶を美化しすぎていないだろうか。いや、主人公がお茶という世界に入ってゆく自分に酔っていないだろうか。
そんな生徒たちの中で、お茶の先生の樹木希林だけ違う雰囲気で違う世界に生きている感じがした。
整った!!
お茶を通して、季節を感じ、心が整うのを感じました。
24年もの間お茶を習うことにより、様々な人物や出来事との出逢いと別れを経験し、自分を見つめ直すことで、自分にとっての大切なものが何か、次第に心が豊かになっていくのを感じました。
水の音、お湯の音、季節による雨の音の違いなど、日常ではあまり気に留めない事柄を、心を落ち着かせ、一度立ち止まってみたり考えてみたり、現代だからこそ必要な生き方を感じ、"毎日が良い日"と思うことが出来る日々にしていきたい。と感じる映画でした。
何か1つをずっと続けていくことは容易くはないけど、生きていく中で、自分の自信に繋がっていくと思い、とても大切だと感じました。
黒木華さんと樹木希林さんの信頼関係も素敵でした。
樹木希林さんの遺作ですが、他の映画も見たくなります。
黒木華さんも、落ち着いていて、良かったです。
凛とする
勝手に持っていた大森監督のイメージ
素敵ですね
日本の原点が心に沁み込んでくる
日本人であることを強く意識できる極めて日本的な作品だった。全編を通して、物語のワンシーン、ワンシーンが自然に心に沁み込んでくる。観終わって心地良い余韻が残る。本作は、茶道を学ぶ女性の半生を通して、生きるための心構えを我々に教えてくれる秀作である。
本作の主人公は、大学生の典子(黒木華)。彼女は、大学生になっても自分の本当にやりたいことを見出せず満ち足りない日々を過ごしていた。そんな彼女を見かねた母は、彼女に茶道を勧める。彼女は戸惑いながらも、従妹の美智子(多部未華子)とともに、茶道教室に通い始める。そして、次第に茶道の魅力に惹かれていく・・・。
派手な作品ではない。しかし、典子たちが茶道を学ぶことは日本の原点を学ぶことに通じていて、我々観客も日本の心に触れることが出来る。茶道教室の先生役の武田のおばさん役の樹木希林の佇まいが素晴らしい。茶道の達人でありながらも、驕るところは少しもなく、典子たちを優しく、時にコミカルな雰囲気で茶道の世界に導いていく。樹木希林の佇まいは凄いというよりは、無駄がなく自然であり水の流れのように周りに溶け込んでいく。人生経験に裏打ちされた、泰然自若とした落ち着きがある。典子たちに語る台詞の一つ一つが、味わい深く人生訓のようだ。特に印象深いのは、形から入って、心は後から入れるものという言葉である。最初は真摯に学べ、考えるのはその後だ、と理解できる。我々が人生において様々なものを学ぶ時に忘れてはならない名言である。
典子は大学卒業後も定職に就かず、バイトをしながら茶道教室に通い続ける。その間、典子の身には様々な事が起きる。そのたびに、武田のおばさんは、優しく典子に寄り添う。そして、典子は、茶道教室に掲げられていた“日日是好日”という言葉の本当の意味を理解し人生を歩んでいく。
本作は、静かな作品だが、茶道を通して日本を強く感じることのできる秀作である。
茶道を通して、淡々と場面は展開していく。 時には楽しく、焦り、傷つ...
現代人へのプレゼント
現代に疲れた人々へのプレゼントのような映画だ。
今の社会は全てがはやい。効率を求めて無駄をはぶく。快適さを求めて自然にあらがう。
劇中では、就職活動というテーマを通してそれが語られる。主人公の様に迷いが多かったり、思いを直接言葉にできない人間に対して、企業は魅力を感じない。新人を育てる余裕もない。現代社会は、論理的で処理能力が高く即戦力になる人物を求める。
濁流の様な流れに乗れない人間に対して現代社会はあまりに冷たい。
この映画はかつての日本人が大切にしていた時間の感覚や人の育て方を思い出させてくれる。何かを覚えようと焦ったり、意味ばかり求めなくてもいい。自然に合わせて人間の暮らし方を考え、それを楽しめばいい。
大丈夫、ゆっくりでいい。周りに合わせなくていい。
美しい映像と役者達の所作が、そう語りかけてくれる。
眠くなったら途中で寝ても、いい映画だったと思えるような、癒しを与えてくれる映画だった。
雰囲気を楽しむ。
もう少し踏み込んでも。
さらっとした語り口で、あまり気負わないでみられる映画。
ただ、茶の湯にもう少し踏み込んだ描写があっても良かったかな、と思います。。
たとえば、蹲にいつもより多めに水を入れておいた、就職試験に合わせて達磨の掛け軸をかけた、はわかるのですが、先生がまさにその室礼を整えている裏方の場面があったらもっと茶人としての側面が際立ったかも。
同じく茶器を選んだり、お菓子をお店に手配したり、とかの様子とか。
常に観客は、客人のような目線で茶室を見て欲しかった、ということでしょうか。お茶の醍醐味ってその準備にかける時間だと思うんですよね〜。そこが映画内でもう少し見たかった。
同じように、女の子にとって、お茶を始めて、着物を着るという行為は、けっこう一大事だと思うのですが、いきなり主人公たちが、普通〜に着物姿で出てくるので、着物にはしゃいだりする場面とか、そんなお仕度中の細かいところがあればなぁ、など思ったりしました。
普段から着物を着慣れている二人だったのでしょうか。着付けがもうちょっと崩れててもリアルで良かったのに、脇役の皆さんも髪型までキマりまくっていたので、ま、そこは映画だよね、と思いました。
大茶会の、お正客に誰もなりたがらない描写、とはいえ、どこかの先生が謙遜しつつ、しっかり前に出る描写は、リアルだなぁ〜と思いながら笑ってしまいました。
でも、後ろにひっくり返ったり、メガネがずれたり、は、ちょっとコミカルすぎるかな。
あと、フラグ立ち過ぎ〜!
と、いうことでわたし的には、さらっとし過ぎて少しだけ物足りなかったです。
だけど、樹木希林の存在感を再確認した映画でもありました。
空気感を味わう
もっとしっかりと
主人公は、自分が何をしたいのか?まだはっきりとしないままに大人になる事に葛藤がある女性。
そんなある日、親戚のおばさんがお茶の先生をしているという事でそこでお茶の作法を勉強してみる事になる。
まず、知らなかったのがお茶というのもこれだけの作法がある事でした。ただ目の前に茶菓子と共に出されるだけくらいの感覚でしかなかった。
戦国時代でも秀吉がお茶というもに一目を置いていた事もあり茶人なる職業が生まれたのかな。
お茶は、何も考えずただ味わう。
日本人の文化の素晴らしさを知る映画でした。
もっとしっかりと観ておけば、もっと味わう事が出来たかなって反省してます。笑
樹木希林さんの演技も自然でとても魅力的な作品でした
たおやかに生きていきたいものです
研究によると、仕事の生産性はマルチタスクよりもシングルタスクの方が高いらしい。スマホ全盛の今日にあっては、スマホでメールを読みながらPCでオンライン会議を行い、タブレットで調べものをするなんていう日常も珍しくないだろう。しかし、この映画を観る時はスマホを閉じてシングルタスクのつもりで映画に集中して観て欲しい。茶道を通じて成長していく主人公の姿を描いたこの作品は、ややもすると一人の女性の心の成長を描いたよくある話で終わってしまう。だが、主人公が最後に気付くように、「世の中にはすぐ分からないものがあり、長い時間をかけて少しずつわかっていくもの」があり、この映画は後者の話である。時間をかけてわかるためにも、心の機微をとらえた瞬間を心に留めておいて欲しいのです。
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