「何とも言えない」シェイプ・オブ・ウォーター shosho5656さんの映画レビュー(感想・評価)
何とも言えない
水中は何もかもから解放されるような気になる。
同時に何か恐ろしさも覚えるのは我々の古い記憶なのか。
ギレルモ・デル・トロ監督の作品は亜人が度々登場する。
ヘルボーイ然り、パンズラビリンスしかり。
ヘルボーイの水中にいるアイツの過去話だと勝手に思っていたら全然違って、肩透かしを食らった。よく見りゃ全然違う。
題材として分かり合えるはずのない世界と世界が繋がることが描かれやすい。
これも唖の女性と魚人(?)の交流を描く。
主人公の女性が余り美形じゃないのも、安易なハリウッド映画ではないなと思う。
個人的に、セキュリティ担当者が主人公の女性に何故か惹きつけられるシーンが独特だ。ハンディキャップがかえって男の征服欲を掻き立てるのだろうか。その感情は分からなくはない、とても背徳的な気分になった。
肝心の主人公と魚人の恋は、リアリティが無いため余り感情移入できなかった。話せない女性とそれをありのまま受け入れる、他の人と違う視点で彼女を受け入れる魚人。勿論、魚人自身も異端である。
異端同士の恋と簡単に言ってしまえばそれまでなのだが、どうもしっくりこなかった。余りラブロマンス向きでは無いのかもしれない。
魚人が猫をムシャムシャ食べるシーンがあって監督は猫がきっと嫌いなのだろうと邪推する。その後無邪気に他の子猫と戯れているのも何だか可笑しみがある。こういう悲惨なシーンをちょっと許容範囲に落とし込むのは上手だなぁと素直に感じた。
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