ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル : 映画評論・批評
2018年3月20日更新
2018年4月6日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー
別人格への変身を加えて正編を拡張する「ジュマンジ」20年越しの続編!
オンラインゲームで無敗の格闘キャラを操るのが小学生だったり、ネットで愛想をふりまく美少女キャラの正体がオッサンだったりと、アバターとユーザーとのギャップに面食らった経験は誰もが大小持っていることだろう。しかしまさか、そんな要素がひと昔前のアドベンチャー・ファンタジー映画と結びつくことで、現代に適合する快作が生まれるとは思わなかった。
1996年の映画「ジュマンジ」は、プレイ展開が現実となるボードゲームによって、ジャングルへと引き込まれる姉弟の冒険を描いたものだ。今回の「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」は、この魔法のゲーム盤がコンピュータRPGに進化を遂げ、4人の高校生を翻弄する20年越しの続編である。しかも4人は、貧相なオタク男子が筋骨隆々の冒険家(ドウェイン・ジョンソン)に、イマドキの女子高生が髭デブの中年学者(ジャック・ブラック)にといった、自身とは全く別人格のアバターに姿を変えられてしまう。そして96年版がプレイヤーを過酷な大密林へと誘い込んだように、彼らもまたリアルなジャングルで、神秘の石を悪党の手から守るために戦うことになる。
ゲームとはいえ、3つの予備生命を使い果たすと、高校生たちは本当に消滅してしまう。そんなシビアを極めたジュマンジで、彼らは冗談みたいなアバターを駆使せねばならないのだ。そうした状況が生み出すギャップの妙味こそが、映画の面白さを倍加させていく。そして4人は別人格と向き合うことで、壁を感じていた現実での人間関係や、克服すべき諸問題に対し、乗り越える示唆を与えられていくのだ。
また96年版を知る者は、ロビン・ウィリアムズの演じたチャイルディッシュな主人公が強く心に残っているだろう。時間感覚のないゲームの中に取り込まれた彼は、実世界では何十年と行方不明のままで、全財産をつぎ込み自分を捜していた父の愛情を知る。そんな親子の絆を彷彿とさせる属性のキャラが今回も絡み、観る者をホロリとさせる。とにかくアバターという新設定と「ジュマンジ」の遺産をとことんまで活かしきった、完成度の高い続編というほかない。今回も太鼓の音にはご注意を。
監督のジェイク・カスダンは「スター・ウォーズ フォースの覚醒」(15)の脚本を担当したローレンス・カスダンの息子。本作が「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」(17)を興行トップの座から引きずりおろし、3週連続1位に君臨したところ、こっちはむしろ時代の変化と世代交代を強く覚える。
(尾﨑一男)