ウインド・リバーのレビュー・感想・評価
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That's a warrior. 知れば知るほど奥が深い
アメリカのワイオミング州ウィンドリバー先住民居留置。正直この作品を観るまでは全く知らなかったです。アメリカで当初公開が4館から始まって2000館以上まで増えたという話とジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが出演してるサスペンス物という知識だけで観に行った訳ですが・・・いやー、重かったです。
映画を観てるだけでも重かったのですが、後で調べれば調べる程出てくるアメリカの暗部。ウィンドリバー先住民居留置って鹿児島県と同じぐらいの広さがありながら警官6人しかいなかった、行方不明や未解決の事件が多い、ってそりゃそうなりますわな。鹿児島県と同じ広さをたった6人で見て回れって土台無茶な話です。でも、それがネイティブ・アメリカンが今も置かれてる状況なんですね。雪に閉ざされる過酷な環境に追いやられながら、部族の伝統すら忘れ去られ、それでも生きていくしかない状況。なんだかやるせないです。
アメリカの一部でありながらアメリカに見捨てられてるというか、コリーの娘の事件が解決しなかったのもそういう背景があったからなんだって気が付いた時は益々重い気持ちになりました。きっとトランプさんの言う「アメリカ・ファースト」の中にはこの地域は入っていないんだろうなぁ。
最後に「どれだけの人間がいなくなってるか誰も知らない」ってテロップが何となく唐突に感じたのですが、ミステリアスな事件を解決する物語に乗っ取りながらも一番伝えたかったのはネイティブ・アメリカンの現実だったという作りはテイラー・シェリダン監督上手いですわ。銃撃戦のスリリングさとか、コリーの無双っぷりとか、ちゃんとエンターテイメントしてましたもんね。
どうしても他国の話ですし、正直パッと観ただけでは伝わらない事も多いとは思うのですが、内容を調べれば調べる程「あー、そういう事だったのか」って事がわかる作品です。これはお見事としか言いようがないですね。
いい映画見たな〜って感じ
重い重いと言われてるけど見終わってうわ〜面白い映画だった。胸糞悪いラストではなかったし。
吹雪の音以外ほぼ静寂な中ストーリーは淡々と進むんだけど観客置いてけぼりなことないし、キャラクターの行動に納得もいく。
エリザベスオルセンが始めはチャラチャラしたお姉ちゃんかと思ったら正義感と根性のあるキャラだったのが良かった。
被害者女性とボーイフレンドの顛末があまりにも酷くて、でも現実に起こりそうで寒気した。肺が凍って出血するってほんとさぁ…
クライマックスの銃撃戦、痛いくらいの緊張感とハリウッドみたいに鮮やかな立ち回りをしないところがすごく印象に残った。
ジェレミーの狙撃もカタルシスがあって救われた。
タイトルなし
目には目を歯には歯を。
冒頭のシーンと対になる制裁の場面は被害者の強さと犯人の惨めさ弱さをあぶり出していて良かった。
ネイティブ・アメリカンの家族の絶望の淵から1歩前に進み始める終わり方が重い話の中の微かな希望として最後に提示されることで少し気持ちが晴れた。
マチズモと保留地問題
とても完成度の高い映画だと思いますが、いまいち好きではないです。
テーマのひとつに強さがあるように感じました。雪と沈黙しかないウインドリバー地区では、弱き者は鬱屈して死んでいくしかありません。心身ともに強くないと地獄では生きていけないと言えそうです。
どちらかというと精神的な強さが不可欠だと感じました。主人公コリーが友人マーティンに、悲しみから逃げるな、と強くアドバイスしますが、この地域では、逃げ=死なのだと思います。
自分の弱さに負けたら即淘汰。そして淘汰されるのは自己責任。確かに、間違いなく真実の一側面ではあります。
本作は、正義と悪がくっきり描かれています。正義=強者、悪=弱者。
被害者の2人は強者でした。強い意志を持ち、軍隊や大学に行くなど、この地獄から脱出する力もありました。もしかすると彼らは弱き者たちの怨念に殺されたのかもしれません。
終盤はくっきりとした勧善懲悪となります。暴れん坊将軍レベルのわかりやすさ。まったく乗れません。
その理由は、私が弱者側に共感しているからです。
あんな地獄で腐るのは当然です。強くあれる方がレア。かつては自分自身も時代や環境に翻弄された経験があるため、加害者たちの鬱屈が自分のことのように感じられました。暴発への共感はさすがにないですが、未来がなさすぎるが故にああいう悲劇が起きるのも理解できますし、だからこそやるせなかったです。
ラストの成敗シーンなんて、加害者の魂の叫びこそが胸を打ちましたよ。
インディアン保留地の問題を訴えたかったと思いますが、アメリカンマチズモと保留地問題は噛み合わせが悪く感じました。保留地みたいな地獄を作り出さないことが、大脳が発達しまくった社会的動物である人類の務めだと思います。なので、強さを強調するよりも、そっちに力点を置いた方が説得力がでたのではないでしょうか。
飽きずに見られる完成度の高い硬派エンタメ映画だと思いますが、諸手を挙げて好きとは言えない作品でした。
裁きの曠野
C.J.ボックスが好きで、映画.comのニックネームも彼の著書の原題を拝借したもんです。だから、この映画の設定はど真ん中のストライクな訳で、凍った曠野や雪の解けかけた山脈と言った景色だけでワクワクしてしまう。
某国には同情とか共感という概念が無く、翻訳に困るのだと言う話を聞いたことがある。ネイティブ・アメリカンには、おそらく「正義」の概念が無い。自然に宿る精霊が全てを決めるのだから必要ないんだ、きっと。
他所からやって来た無法者達は、コリーの手製カスール弾に吹き飛ばされるのだが、それは仲間の命を守るためだ。最悪の1人だけはガネットピークで自然の裁きを受ける(本当にあんな所まで連れて行けるのかどうかは知らないが)。低圧で膨れ上がった肺胞に氷点下30℃の呼気が流れ込めば、一呼吸毎の陽圧で毛細血管は破裂し肺の中は血液で溢れる。自分自身の血で溺れ死んだ男は報いを受けただけであり、コリーが正義を全うした訳じゃない。勿論、友人の娘の復讐でもない。あくまでも自然の裁きによる結果なのだ。だからコリーは氷の様に冷たくいられるし、罪悪も感じない。
連邦法に裁きを任せない。州法にも渡さない。この地で犯した罪は、この地の神の裁きを受けてもらう。ただそれだけのこと。
現代西部劇の基本例題の様なお話でした。
日本の神道に通じる精神。雄大な自然。強烈な火力を持つ銃器と凶器。惹かれる要素が揃ってる、個人的に。
C.J.ボックスの映画化、本当に、本当に、心待ちにしてます。まだ映画化されてないだなんて、そっちの方が謎だし。
Tバック
娘さんを亡くしたお父さんが
同じ境遇のジェレミーレナーの顔を見た途端
糸が切れた様に感情露わに
号泣してしまうシーンはもらい泣きしてしまいました。
実際にはドア越しなので見えてませんが
ナタリーが逃げ出すまでの出来事...見ててキツかったです。
最初は酔った勢いでのちょっかいみたいなものだったのが
エスカレートしていき
あっという間に大惨事
主犯?キッカケになった男が
ナタリーと同じ状況で死に至るシーンは
生ぬるい‼︎もっと...と思ってしまいましたが
お父さんが「どんな最後だった?」
ジェレミーレナーが
「哀れだったよ」
それを聞いたお父さんの笑みで
あの制裁で良かったんだなと感じました。
エリザベスオルセンが病室で
「ホントに裸足で10キロも...」と
震えてるシーンもぐっときました。
集団の怖さ
裸足で10キロも
ある女性の殺人事件の犯人探しが主軸ではあるが、大切な娘を失った悲しみ、ネイティブアメリカン居留地の現実、厳しい人生をどう生き抜いていくかが描かれている。
娘を殺された家族の悲しみ方が、よくみる白人映画の描写とは違っていて感心した。「マスターオブゼロ 」でデフが「白人家族と違ってセックスの話を親としない」と言っていたが、私たちが普段アメリカ映画でよく見る「親との関係性」「悲しみ方」も、それぞれの文化によって、様々なバリエーションが現実には存在する。
終盤、急にけっこうな銃撃戦が起こり様相が変わってしまった。映画的には見せ場だろうけど少し派手すぎかな。雪の中からの狙撃はすごくカッコよかった。エンタメと社会派のバランスという意味では良かったのかも。
女性FBIが頼りなくてどうなのと思ったが、最後まで被害者に心を寄せていたところが良かった。運の良さなんてない場所で生き残った彼女が娘を亡くした彼には少し慰めになったのかもしれない。
スノーモービルや雪深い居留地など、ふだん描かれることの少ない生活が垣間見られたのが興味深かった。
カナダの居留地でネイティブアメリカン女性の行方不明者がものすごく多いというニュースを以前目にしたので、この主題がもっと注目され、改善されると良いと思う。この映画ではネイティブアメリカンであるがゆえ、という理由づけはなかったけど。過酷な状況は弱い存在をさらに追い詰めるのだな。
想像できない氷点下
ジェレミー・レナーの抑えた演技が秀逸。エリザベス・オルセンと2人が出てると,どうしてもアベンジャーズ感が。
娘を失った二人の父の寂しさ感が半端なく伝わる。ネイティブの役者さんたちが上手い。死に化粧すらも伝承する手立てを奪われているのが酷。
採掘所に一緒に行った二人の警備員が殺されてしまい,可哀そうであることよ。狙撃シーンでは最後の一人を狙うのかなと思っていたが,結局,復讐のいけにえにする展開がベタかな。一番初めにちょっかい出した奴だったし。採掘所,今の時期は運転していないって字幕に出てたけど,誤訳?
話題
後半に急展開を迎えるのだが、あっという間に解決するのはちょっと出来過ぎな感じだが、まあ納得の結末。ハンターは犯人を同じ目に合わせて、FBI捜査官は彼に間一髪のところを助けられて病院送り。
過酷
単なるクライムサスペンスで終わらない重い感動
西部劇好きなら必見
☆☆☆☆ 簡単に。 ミステリーとして観たならば、それ程の深い話でも...
☆☆☆☆
簡単に。
ミステリーとして観たならば、それ程の深い話でも無い。
犯罪モノとして観たならば、犯人は直ぐに割れる。…と言うか、観客に向けて敢えて分かりやすく提示してくれる。
主人公の男の心に、深い傷を負わせた3年前の悲劇。
今それがまた、娘の友人に起こった現実の辛さ。
娘の父親へ投げ掛ける言葉は。そのまま、彼が3年前に受け取った言葉でも有る。
そう!これはお互いの親の立場が、そのまま入れ替わってしまった悲劇的な物語。
男はハンターとして、強い決意で娘の弔い合戦に向き合う。
なかなかタイミングが合わずにやっと観れましたが。シンプルで有りながらも、味わい深い作品で。スクリーンで観られて本当に良かったと思える作品でした。
2018年8月25日 角川シネマ有楽町
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